第98話 アグーの罠
僕はハードル伯爵より私兵団を預かり、討伐隊がいるキャンプまで戻りすぐに準備をして出兵した。
早く叩かなければ村や街が襲われてしまう。
そして、僕達はすぐにブーモルの残党 オークの英雄アグーが率いる軍団と対峙した。
「ほほう、お前が勇者ルーカスか?思ったより若いのだなぁ。」
金色の鎧に金色の毛を生やした一際デカいオーク、アグーが俺を見てそう言った。
「貴様がアグーか?魔王ブーモルが倒されたのだから大人しくしていればいいものを!」
僕はそう言って剣を抜く。
「ブハハ!魔王ブーモル様は残念ながらあの蜘蛛に討たれた!しかし、我らは力をつけ奴ら倒し、奴らから我らの王国を取り戻す!そのためにはまずは拠点が必要だと思わないか?」
「ふん!その程度の戦力で攻めてくるなんて、いやその程度の戦力しか用意できなかったか!」
アベリオが鼻で笑いながら言った。
「拠点を構築するのにはどこがいいか考えた。魔王アルモルドの国境付近はだめだ、あいつらはかなり戦力を伸ばしている今の我らでは太刀打ちできない。もちろん蜘蛛の近くもだめだ。ならばここ。ここは王国の首都とも遠く大軍を派兵するには時間がかかる。しかし、一つ懸念点があった。お前だ、勇者ルーカス!」
アグーはそういうと大きく吠えた。
すると、僕達討伐隊の両側面からオークの軍団がさらに約1000ずつ現れた。
「なっ!?そんな!付近にはこんな軍隊はいなかったはず!!」
「ブハハ!!経験の差だな!俺はいくつもの戦場を戦い渡った歴戦の将軍だ。俺の仕掛けた伏兵が小僧のような勇者に勘付かれると思うか?まずは勇者、お前を葬る!お前の力は魔王にも届き得る、お前を葬りここに拠点を作り軍を再構築する!!ゆけ、オークの戦士たちよ!!勇者の首を取るのだ!!」
「まずい!!皆、固まれ!希望を捨てるな!」
僕は怯えた皆に呼びかける。
まずい、敵の罠にまんまとハマり味方の士気が目に見えて落ちている。
このままでは全滅する!
「勇者ルーカス、慌てるな。まだ勝機はある。」
「あなたは、ロンさん。」
馬に乗ったハードル私兵団のロンが僕の隣に来て行った。
「まんまとあの金豚にしてやられたがまだ巻き返せる。ほとんどが歩兵の討伐隊の兵をここに残し、騎兵である我等ハードル私兵団と勇者パーティーであの金豚のとこまで切り進み、お前があいつを討ち取るんだ!俺ならお前をあの金豚のところまで連れていける。」
「やっぱり元近衛騎士団長、頼もしいぜ!」
ドルフがニカっと笑い言った。
「確かにこの状況、それしか手はありませんね。」
マーミアも賛成のようだ。
「それでは残された討伐隊はどうなるのですか?指揮系統がいなくなればこの士気です、すぐに軍は瓦解しますよ!今我らは包囲されているのです、軍としての隊列が乱れ瓦解すればあっという間に討伐隊は虐殺されます。」
アリルが意見を挙げる。
確かにこのまま士気の低い討伐隊をここに残していけば瓦解するだろう。
「勇者ルーカスよ、騎兵だけで行くべきだ。この突撃は機動力が大事だ。歩兵を連れていけばスピードがどうしても落ちる。」
ロンが僕を見て言う。
「…ドルフ、アベリオ、マーミアはここに残って討伐隊の指揮を、僕とアリル、ハードル私兵団はアグーを討ち取るために突撃する。」
「なっ!?最大戦力の勇者パーティーを分断するのか!?お前、それであのアグーに勝てると思ってるのか?ここは戦場だぞ!?」
たしかに敵のアグーの強さはBランク上位。魔王に迫る強さだ。フルパーティーで挑まなければならない相手だ。
だが、僕は討伐隊のみんなを見捨てることはできない。
「僕は見捨てたりなどはしません。みんないいか!」
僕の決定に僕のパーティーは同意の意を示す。
「くそっ!あまちゃん野郎どもが。まぁ、いい。だが、絶対に仕留めろよ。お前たち死んでも勇者ルーカスをあの金豚のところに連れて行くぞ!」
僕達は討伐隊とドルフ、アベリオ、マーミアを残して、アリル、ハードル私兵団とともに馬で突撃する。
先頭はハードル私兵団の団長のロンだ。
「ブハハ!やはり向かってきたか!重装歩兵前へ!敵の突撃を受け止めろ!!」
アグーがそう言うとオーク兵の中から一回り大きいフルプレートアーマーを着込んだらオークが出てきて一列に並んだ。
そして背中に背負っている自分の身の丈ほどある大きな盾を構えて待ち受けた。
そして、オークの重装歩兵は俺たちの突撃を弾き飛ばした。
「くぅ!まずい。思ったより硬い!!」
突撃して跳ね返されたロンが苦悶の顔を浮かべて言った。
まずい!ロンさんの突撃が跳ね返されてしまった!!
クソ、突破力のあるドルフかアベリオを連れてくるべきだったか!?
「さぁ!!みんな助けに来ましたわぁ〜!!!」
その時、包囲の外からあの少女の声が聞こえた。
まんまと勇者達はアグーの策にハマってしまいましたね。
そして、アリアちゃん登場笑
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