第248話 クーリッヒ反撃
「劣勢だな。少しずつ後退しろ!ギランさん、ここはフロントラインでなんとかする!奇跡の剣の救援に向かってくれ!」
アイリスはフロントラインのメンバーで戦線を固めるとギランにそう言って窮地の奇跡の剣の救援に向かわせる。
「ふん!わかった!全マッスルクラブの団員に告ぐ!奇跡の剣の救援に向かうぞ!!気を引き締めろ!!Aランクモンスターとの戦闘だ!!」
ギランは黄金の筋肉を輝かせてポージングをしてそう通達して、クランメンバーを連れて駆け出した。
「こりゃ、死ぬかもな。流石にこの数にこの強さは厳しい。」
奇跡の剣のメンバーであるアッシュが膝をついてそう言った。
「弱音を吐いてるんじゃねぇ!いいか、最後まで諦めるな。そうすれば状況は変わっていく。」
アルドは弱音を吐いたアッシュに喝を入れて、大剣を構える。
「ギィ、しぶといニンゲンだ。だけど、もうボロボロだ。」
マザースパイダーはそう言ってアルド達を八つの赤い目で見つめる。
「油断するな。人間にマリラ様がやられたんだ。最後まで気を抜くな。」
バトルマスタースパイダーも油断なく奇跡の剣を睨みつけている。
「助けに来たぞ!!」
ギランに率いられてたマッスルクラブのクランメンバー達がアルド達の元に駆けつけ、アルド達を囲うようにして蜘蛛達と対峙する。
アルド達はすぐにマッスルクラブのクランメンバーに回復薬や回復魔法で回復されていった。
「ほらな?状況は変わっていく。あははっ!ほれ見ろ!」
アルドはそう言って蜘蛛大軍の後ろ側に現れたエリシュオン軍の本軍を指差した。
そして後ろを向くと王国軍の援軍も到着しようとしていた。
空を見ると遥か上空で空蜘蛛たちを打ち倒し、再度戦線に復帰しようとしている龍軍の姿もあった。
「さぁ、流れが変わった。ここから蜘蛛狩りの始まりだ。クーリッヒに手を出したこと後悔させてやるぞ!!」
アルドは獰猛な笑みを浮かべて大剣を振り上げてバトルマスタースパイダーに向かっていった。
アーガスト率いるエリシュオン本軍が蜘蛛の背を打ち、王国軍がクーリッヒ軍に加わって正面のクーリッヒ軍、王国軍は一気に攻勢に転じて、想定した通り、前後から挟み撃ちの型となった。
数の利は逆にこちらが有利となり、一気に形勢が逆転したのだった。
「形勢は逆転した。これより我らは敵本軍を切り開き、敵の大将を討つ!!」
ナラは待っていた好機が訪れ、俺たちに向かって大きな声で号令をかける。
「ついに、この時が来た。」
レオンは覚悟を決めた顔でそういった。
「これは歴史に残る戦いになるはずだ!みんな、僕に続いてくれ!!行くぞ!!」
ルーカスはそう言って剣を抜き駆け出した。
俺たちは最前線に着き、これから一気に敵軍を切り開く。
そして、一つ最悪なことがある。
「先陣はパーティー クローバーに任せた。」
ナラは勇者を下げてまさかの俺たちクローバーを先陣に据えて突撃していくことを命令したのだ。
こいつ、俺らを使い潰す気か?
つーか、ルーカスもさっきまで意気揚々だった癖にナラに言われたら素直に下がりやがって!
「突風!!クローバーの突破力を見せよう!」
リーナはやる気満々で敵の防御に風穴を開けて俺たちの突破口を開いて俺たちはそこからどんどん敵陣を進んでいく。
「風の精霊よ、かの者に風の加護を与えん。リーナ任せたぞ!」
ルーファはリーナに風の加護を与えてリーナの風の出力が増し、リーナの体に風の鎧が纏われる。
そして、ルーファは俺の後ろに移動した。
アリは気づいたら気配を消している。
「ファイアーボール!」
俺は後ろからファイアーボールを撃ちまくっている。
そう、我らのパーティー クローバーはリーナへの負担が半端じゃないのだ。
みんな働かないから…
それでもリーナの実力は本物で、凄まじい突破力でどんどん敵陣を切り開き、進んでいく。
「ここから先には行かせない。」
俺らの突撃を止めるためにAランクモンスターであるマーダースパイダーが3体も現れた。
3体のAランクモンスター。まともに戦えば精鋭隊は足止めを喰らい、この敵陣の中で囲われ、敵の大将のいる本陣に辿り着くことは叶わないだろう。
ちょうどいいか。
「ここは俺らクローバーが請け負う。精鋭隊は先に行け!」
俺は前に出て精鋭隊にそう言った。
「えっ!?」「げっ!?なにいってるんですかジンさん!!」
「Aランクモンスター…やってやろう!ジン!!」
ルーファとアリは人を非難するような声というか悲鳴をあげて、リーナは剣を構えて強敵相手に闘志を燃え上げる。
「任せた。ルーカス、クローバーと先頭を変わって!」
ナラはそう言ってルーカスに先陣を切ることを命じる。
「わかった!」
ルーカスは前に出て、敵陣を駆ける。
「ここから一気に大将のところに駆けるよ。ルーカス、本気でね?」
ナラはそう言ってルーカスに命じた。
「ブレイブパワー!!」
ナラの言葉を聞いてルーカスは勇者の力を解放して凄まじい勢いで蜘蛛を切り裂いていく。
「す、すごい。」「これが勇者…」
ルーカスの力に冒険者たちは感嘆の声を出す。
「これ以上は行かせない。」
蜘蛛の戦士たちを連れたダーラが精鋭隊の行手を阻んだ。
「こ、こいつはダーラ。」
勇者ルーカスの前にバトルマスタースパイダーのダーラが現れた。
「お前は、あの時のニンゲンか。ナラ様をたぶらかし!ナラ様を陥れた!!許さない、許さない!!」
ダーラはルーカスだとわかると激昂して襲い掛かろうとする。
「待て、ダーラ。」
「何者だ!?いや何者であろうともニンゲンは全て滅ぼす!…貴方は、ナラ様?」
「そうだ。そこを通せ。」
「そんな、なんでニンゲンに!?」
「言うことを聞きなさい。」
「…ダメだ!前にもナラ様に伝えたが貴方は族長ではない!貴方の命令は受けない。族長の命令に背くならば、ナラ様とて容赦はしない。」
「変わらないな。お前は命令がないと動けないのか?」
「族長の命令に従うのは当然だ。」
「族長が本当に正しいのか?いや、正しいことは一つなのか?」
「どういうことだ?」
「族長には族長の正しいことがあるだろう。だが、私には私の正しいことがある。同胞であろうとも必ずしも正しいことが同じとは限らない。お前が今一番したいことはなんだ?正しいことをはなんだ?」
「私にとって一番したいこと?正しいこと?」
ダーラはそう言って考え込んだ。
「そうだ、答えろダーラ、そして我が戦士たちよ!!」
「私は、私はナラ様と戦いたくない。ナラ様と族長で争ってほしくない。どうか、前のように。」
ダーラはそう言って怒りを抑え、ナラに懇願する。
「我らもナラ様に戻って欲しい。」「ナラ様がいなくなるのはいや。」「戦いたくない、帰って来てナラ様。」
ダーラに率いられていた蜘蛛の戦士たちも次々にそう言う思念を送った。
「ふふっ、ならば私が族長に意を唱えよう!この戦いを早々に終わらせて私はこの場の同胞を率いて族長と話に行く。今同胞たちを率いているのは誰だ?」
「マリラ様です!」
ナラの戦士の蜘蛛の1人が前足をあげてそう言った。
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