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021.ジィッタの想い

 始まりはジィッタの何気ない一言だったと思うの。

 まだ、お義兄ちゃんが言うにはジィッタにア○ネスの呪いかかってた頃。

 この国でカーマくんの誕生を祝う誕生パーティーがあったの。

 お義兄ちゃんに似てるけどお義兄ちゃんじゃない男の子。

 初めて抱っこした時に半身を持って行かれた気持ちだったの。



 今、思うと一目惚れかも知れないの。



 べ、別にちっちゃい子が好きって訳じゃないの。

 本当なの。

 お義兄ちゃんに似てるけどお義兄ちゃんじゃない、家族という感情よりも、まだ男の子と思える子・・・。

 きっと想像した未来の姿に一目惚れしたの。


 そんな感情は、当時は分かんなかったけど、ずっと一緒にいたいなぁっと思ったの。

 そして、思わず呟いちゃたの。



     『こんな子なら、ジィッタも赤ちゃんが欲しいの』



 横にいたお姉ちゃんの曾孫のクーカちゃんがその呟きを聞いていてお姉ちゃんに教えちゃったの。

 ジィッタの呟きを教えられたお姉ちゃんは、ニコニコしながらお義兄ちゃんに報告したの。

 そして、誕生パーティーがお開きになるちょっと前に、お義兄ちゃんに呼ばれて、正式発表は、カーマくんが18歳になってからだが、カーマくんとの婚約が決まったと教えられたの。

 『2人とも長生きの血筋だから200年くらいの年の差なんて誤差なのじゃ』と言う、カルキお姉ちゃんの鶴・・・龍の一声で決まっちゃったって言ってたの。

 カルキお姉ちゃん、大雑把過ぎるの。


 その後、家族のみんなに、婚約について、お祝いされたけど・・・。


 

    ジィッタは、カーマくんとの赤ちゃんが欲しいんじゃなくて



    カーマくんみたいな赤ちゃんが欲しかっただけなの。



 当時はそう思ってたと思ったけど、きっと嬉しかったの。

 未来の旦那様を思うと心がときめいたから・・・。

 

 この事があってから、ジィッタの止まっていた身体の時間が動き出したの。

 まるで、ア○ネスの呪いが解けたように・・・。


 それから、ずっと、会わせて貰えなかったカーマくん。


 『会わない方が恋心が燃えるのよぉん』


 ポルノフさんの指示だったらしいの。

 その後のこの国で起きたクーデターで、心が張り裂けそうになったけど、無事だと聞いて、ホッとしたの。


 『逆光源氏計画って言うらしいよぉん』

 『カーマきゅん、まだ小さかったから、婚約について聞いてなかったみたいなのよぉん』

 『ジィッタちゃぁんの好みに育っているわよぉん』

 『カーマきゅんの餌付けは大大大大成功よぉん』


 色々と報告は受けてたけど、会わせては貰えなかったの。

 でも、昔、言われたように、報告を受ける度に恋心が燃えてたの。


 久々に会ったカーマくん、お義兄ちゃんのようにかっこかわいくなってた。


 カーマくんは、婚約について知らないから、婚約については無かったようにお話しするの。

 色んな感情が溢れてきてるけど、ジィッタの方が年上だから、平常心なの。

 ジィッタは大人だから、くーるでびゅーてぃな行動をするの。


「カーマくん、ごめんなさいなの。きっと、お義兄ちゃん、お姉ちゃんが裏で糸を引いているの。もう、ほんとに・・・。サプリちゃんも、悪ふさげしすぎなの。後で、みんなに、お姉ちゃんの料理を再現したのをお腹いっぱい食べさせてあげるの」


 ジィッタ総料理長が呆怒している。

 なんですか?

 そのお姉ちゃんの料理と言う、たんぽぽの料理とためを張りそうな感じのする物体は?

 本当に料理とは言いたくない代物だ。

 食べられる事ができるモノを組み合わせてるだけなのに、なぜ、食べられる事が出来ない物体が錬成されるんだろう?


「でも、なんとなく分かるの。お義兄ちゃんは、悠久の時間を世界平和のために使ってるの。武力で世界を統一しちゃえば早いと思うんだけど、お義兄ちゃんは、それを良しとしないの。統治者と婚姻で親族関係を結んだり、仲良くなったりして、世界平和の協力者を増やしてるの。そして、このマーチ王国は、辺境でも要の位置にあるから、早く、家族が治めている国にしたいと思ってるの。ジィッタは、理解できても納得出来ないから、お姉ちゃんの料理でお仕置きはするの」


 つまり・・・・・・。




 ジィッタ総料理長の姉の料理は罰ゲームって事?




「カーマくん、巻き込んじゃって、本当にごめんなさいなの。でも、ジィッタをカードに使うって事は、お姉ちゃん情報だと、かなり本気みたいなの。『妹でも、本当に必要ならば、政略結婚させるから、ジィッタも、覚悟を決めておきなさい』って前々から言われてたの。だから、サプリちゃんは言ってなかったけど、これは、きっと、政略結婚なの。ジィッタは、お義兄ちゃんやお姉ちゃんのためなら、良くても、カーマくんは、こんなお婆ちゃんじゃ、きっと、イヤなの」


 お婆ちゃんどころか、俺と同い年でも、通じそうな見た目だ。

 エルフやハイエルフの加護を受けていなくて、この若さって事は、龍の血が混ざっているのだろうか?


 ふと、ジィッタ総料理長の目を見ると、言葉とは裏腹に少し期待をしているような感じがする。

 頬も少し赤い。

 俺の希望的観測だがな。


「どう? カーマきゅん。ヤる気になったぁん?」


 ああ、こいつだ。

 きっと、こいつだ。

 ジィッタ総料理長を今回のカードとして使わせたのは・・・。


「ああ、すっかりな。相手はあんたで良いのか?」


「いやぁん。カーマきゅん相手じゃ、か弱いアタシだと、相手にならないわよぉん。カーマきゅんの相手は、アリストよぉん。アリスト・ラーマタンよ」


 このアフロ、いけしゃあしゃあと。


「ちっ!」


 思わず舌打ちしてしまった。

 戦闘をヤれないと事もあるが、実力不足でヤれないと言う事実に対しての2重の意味でだ。


「俺の相手は、アリスト・ラーマタン・・・・・・国王? で良いのか?」


「敬称を付けるのなら、是非とも『たん』でお願いしたい。『アリストたん』がお薦めです。どうしてもって言いにくいと言うのなら、呼び捨てで構わない。アリスト・ラーマタンでも、アリストでも」


 あーーー、ポルノフさんの知り合いなんだなぁと実感できるセリフだ。

 後半のセリフが、全く感情がこもっていない。

 真面目に国政をやってたから、真面目な人だと思っていたが・・・。

 そっち系統の人だったのか?

 いや、真面目にそっち系統の人か。


「アリスト」


「アリストたんが、お薦めなんですが・・・」


「・・・」


 この目・・・本気らしい。


「アリスト、周りは俺を勝たせたいらしいが、それで良いのか?」


「もちろんです。でも、簡単には勝たせませんよ。」


 そう言って、指にはまった指輪を見せてくる。

 俺の指にも付けているヤツだ。

 神珍鉄製の指輪だ。


「イージスか・・・」


「はい、これがあれば、決定打は喰らいません」


 自動的に完全防御をしてくれる代物だ。

 1対1なら、これほど厄介で有能な防御装備はないが、弱点が無いわけでもない。


「桜・・・いや、ひよここれを使って、イージスを展開してくれ」


 ポケットから神珍鉄の1cm角のブロックを取り出して、ひよこに渡す。


「イージスっです」


 毎度の事ながら、不思議な光景だ。

 六角形の物体が7つ浮かんでいる。

原理や材質なんて全く分からない。

 神珍鉄が材質と言えなくもないが・・・。

 ただただ、術者に対しての攻撃をほぼ無効にするという事だけが分かっている。


「私じゃダメなんですか?」


 桜が不機嫌そうな表情で聞いてきた。


「ああ、桜を壊したくないからな」


「ひよこは、壊れても良いっです?」


 今度はひよこが不機嫌そうな表情をみせた。


「そんな事は無い。だから、ひよこ、どんな事があっても動くなよ」


「は、はいっです」


 桜がニコニコしている。

 単純に何かあったときに、ひよこの方が修理が楽なだけなんだが・・・。


【乙女流:合気術:刹那】


 全てイージスに対して、寸止めの攻撃を同時にする。

 実際には、寸止めじゃない。

 0距離だ。

 僅かに触れているので、若干、マイナス0距離?


【土魔法:補助魔法:錬金】


 イージスに阻まれて攻撃が通らないのなら、イージスを攻撃の通る物体に変えてやればいい。

 分身を沢山作って攻撃をしてやっても、攻撃が通るんだが、通ったら術者に攻撃してしまうだろ?

 だから、【土魔法:補助魔法:錬金】を選んだんだ。

 そして、神珍鉄を塩の塊に変える。

 岩塩みたいに固いのではなく、地面に落ちたら崩れる程度の固さにだ。


 イージスとして機能しなくなった塩の塊は地面に落ちた。


 何をしたか、通常の人には気付かれないようなスピードだが・・・特別席に3人、そして、アフロヘアーも気付いたようだ。


「イージスを使うとこんな事になるが・・・先祖代々から受け継いだ神珍鉄じゃ無いのか?」

 

 表情を曇らせるアリスト。


「最強の盾が無くなっただけです。攻撃さえ喰らわなければ良いんです。それに、桜には劣りますが、金にモノを言わせて作ったと言われてるカーマ・ディーイアイワイさまが作った銘無し人形(ノーネーム)があります。この銘無し人形(ノーネーム)の攻撃を先に当てるだけです」


 威勢の良い事を言っているが、表情は曇ったままだ。


 たんぽぽに抱かれているミニ人形(ドール)に念話で確認する。

 魔法銅のCPUをひよこの分身でくるんだだけの簡単な作りのミニ人形(ドール)だ。

 そして、CPUに組み込んだのは【四季】だがな。

 【四季】は、元々、マルチタスクで動作するように作ってある。

 インターフェースが一つ増えたとしても、全く影響がない。


『【四季】、アリストの銘無し人形(ノーネーム)って、銘付き人形(フラワーズ)化いけるよな?』


『可能です・・・ボディは・・・多少劣りますが・・・CPUは拡張出来るように余裕を持たせていますので・・・銘付き人形(フラワーズ)化・・・出来ます・・・デザインストック7-2人格データ《うりぼー》を推奨します・・・』


 思っていた通りだ。

 記憶が曖昧だったから、念のために確認しただけだからな。


「・・・アリスト、その銘無し人形(ノーネーム)をちょっといじるぞ」


 アリストの返事を待たずに、【四季】が、アリストと銘無し人形(ノーネーム)人形遣い契約履行(コネクト)を強制的に人形遣い契約履行終了(ディスコネクト)させる。

 『四季』が管理者権限を持っていたから、【四季】もアリストの銘無し人形(ノーネーム)の管理者権限用のパスワードを知っていたんだろう。

 セキュリティに問題はあるが・・・。


【乙女流:合気術:刹那】


 銘無し人形(ノーネーム)が崩れ落ちる前に抱き抱える。

 龍人化している状態なので、人形(ドール)を支えるくらい余裕だ。

 ただ、力を込めすぎると、壊す可能性がある。


『空き領域検索・・・完了・・・銘付き人形(フラワーズ)用プログラム・・・書き込み完了・・・デザインストック7-2人格データ《うりぼー》・・・書き込み完了・・・CPU、起動させます・・・・・・銘付き人形(フラワーズ)用プログラムが【四季】にアクセス許可を求めています・・・マスター、どうしますか?』


「許可を」


『了解です・・・【四季】に新たなユーザーを登録完了・・・』


 これで、銘付き人形(フラワーズ)の同士討ちは無くなった。

 識別信号で、味方を攻撃しないようにしてあるプログラムのためだ。


 戦争とかなら仕方がないが、こんな余興で儂が作った人形(ドール)を壊したくない。


 アルカニダ関連会社製の人形(ドール)なら、喜んで壊すがな。


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