合同戦導入:上級生との初接触と20名のわいがや
# TID:C01_P01_T0810_I00__07L__合同戦導入:上級生との初接触と20名のわいがや
# EID:07L
# タイトル:合同戦導入:上級生との初接触と20名のわいがや
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## ■ 季節
・ベイルスレイブ夏の終わり
・秋の始まり(風の端に冷たさが混じる)
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## ■ 舞台
・学園都市ベイルスレイブ:合同課程訓練場
・合同戦フィールド(110m × 70m/中立帯/象徴揺らぎ)
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## ■ 登場人物
・水理ミナト(15)
・立花ランド(15)
・守屋レン(15)
・佐伯さやか(15)
・今度おと(15)
・井上琉生(15)
・渡辺陸斗(15)
・佐藤新(15)
・北村朔太郎(15)
・岡田悠真(15)
・ニーコス・書(15)
・渡辺ひまり(15)
・春日井はるな(15)
・真壁千夏(17)
・小林大和(17)
・佐々木伊織(17)
・田中結菜(17)
・中村颯太(17)
・山口芽依(17)
・ルイ・シウバ(18)
・鈴木蒼空(18)
・その他合同課程メンバー
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## ■ 目的(増えるのはOK/減らすのはNG)
1. 合同課程の本格始動(上級生との接続)
2. 20名の“横の線”を立ち上げる
3. 上級生の能力・思想・文化を提示する
4. 1年生の“縦の線”(ミナト班)との対比を作る
5. 合同戦のルール理解と緊張感の形成
6. A/Bチームの構造的差異を提示する
7. ミナトの“選択肢が多いと迷う”性質を浮かび上がらせる
8. 千夏の“数字に出ない強さ”を伏線として提示する
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## ■ テーマ
「合同課程の本格始動」
「縦の線と横の線の交差」
「数字に出ない強さの存在」
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## ■ 物語構造(Dual Structure / Multi Structure)
Aパート:上級生との初接触/20名のわいがや
Bパート:ミナトの分析開始と“選べない”問題の浮上
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## ■ beats(物語の流れ)
① **Scene1:上級生の自己紹介**
・年代・文化・戦術思想の違いが提示される
・1年生が“合同課程の本番”を実感する
・ミナト班は静かに聞きつつ、横の線が立ち上がる
② **Scene2:5大大会の説明**
・合同課程の“出口”が提示される
・上級生が大会経験者であることが示される
・1年生の緊張が高まる
③ **Scene3:合同戦ルール説明**
・木槌/象徴揺らぎ/魔力封印などのギミック提示
・“預けられる”交流が目的であると明示
・20名の戦いの構造が見えてくる
④ **Scene4:20名のわいがや(Aチーム)**
・颯太・はるな・大和・蒼空の上級生が自然に混ざる
・ランド・琉生・朔太郎・おと・芽依が役割を語る
・ミナト班の“優しい馴染み”が横の線と対比される
⑤ **Scene5:20名のわいがや(Bチーム)**
・千夏の圧/陸斗の筋力/レンの拘束/新の声掛け
・シウバの転移が脅威として提示
・さやかの不安と結菜の支え
・横の線の“混ざり”が自然に描かれる
⑥ **Scene6:上級生同士の小声**
・千夏の強さ
・ミナトの判断速度
・1年生の伸びしろ
・“数字に出ない強さ”の伏線
⑦ **Scene7:1年生同士の混ざり合い**
・琉生と颯太/朔太郎と大和/ランドと陸斗
・はるなと千夏の“勝負がつかない”関係
・ミナトの内心で“情報過多”が始まる
⑧ **Scene8:教官の締めと合同戦5日後の告知**
・緊張と期待が高まる
・20名の空気が一つにまとまる
⑨ **Scene9:Aチーム1日目午前:離脱速度テスト**
・颯太の初動/ランドの直線/はるな・朔太郎・おとの特性
・ミナトが“逃げ切れる/逃げ切れない”を分類
・芽依がランドを支える
⑩ **Scene10:ペア組手(3分×3本)**
・颯太 vs ランド
・はるな vs 琉生
・ミナト vs 芽依(“迷い”が露呈)
⑪ **Scene11:千夏の“数字に出ない強さ”の解析**
・ミナトがプロファイルの異常に気づく
・千夏は“倒さない”戦い方
・面圧で選択肢を潰す
・ミナトが戦慄する
⑫ **Scene12:フォーメーション決定**
・前衛:颯太/はるな/大和
・中衛:蒼空/ランド/琉生
・後衛:朔太郎/おと/芽依/ミナト
・ミナトの迷いが影として残る
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## ■ 物語の意義
・合同課程の“本番”が始まる
・20名の横の線が自然に立ち上がる
・ミナト班の縦の線が対比で強化される
・ミナトの“選べない”性質が物語の核として浮上
・千夏の“数字に出ない強さ”が伏線として機能
・合同戦の構造が読者に明確化される
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## ■ 次回へのフック
・ミナトの迷いが戦術にどう影響するか
・千夏の面圧への対策
・シウバの転移への対策
・A/Bチームの初動の違い
・ミナト班の“優しい馴染み”がどう戦場で機能するか
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## ■ 固定ルール
- この台帳は **“増えるのはOK/減らすのはNG”**
- beatsは **最低3以上(短縮禁止)**
- 目的は **削除不可/増加はOK**
- 物語構造(A/Bパート)は必ず記述
- テーマは **最低3行**
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◆【台本】上級生との合同戦:導入
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【ト書き】
ベイルスレイブの夏の終わり、秋の始まり。
空気はまだ暖かいが、風の端に冷たさが混じり始めている。
合同課程の訓練場に、1年生と上級生が整列している。
教官
「今日より、上級生を交え、年代、民族、職業、関係ない、真の合同課程となる」
「上級生たちにはあらかじめ、お前たちの能力情報は渡されている]
【ト書き】
教官は一拍空け、合同課程総勢20名を見渡す。
教官
「きちんと後であいさつしておけよ
まずは上級生たちに自己紹介してもらう
1年生、傾聴!」
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◆ 上級生の自己紹介
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【小林大和(2年)】
「小林大和、二年だ。タラーナ出身。得意なのは体力勝負。細かい話は後だ。
困ったことがあればいつでも声をかけてくれ」
【佐々木伊織(2年)】
「佐々木伊織、二年です。ギタル出身で、戦術理論で攻めるタイプだ。
何か分からないことがあれば、いつでも相談に乗りますよ。特に体力自慢を相手にするときの戦術は、
指の数よりたくさんもってるから、さ、よろしく」
【ト書き】
伊織はちらりと大和を見て、1年生に向き直る。
シウバが、伊織を見てわずかに口角をあげる。
【田中結菜(2年)】
「田中結菜、二年です。サポート役として、みんなが動きやすいように立ち回るのが好きです。
タラーナ出身、私の支援期待してね!」
【ト書き】
結菜は、ちらりとランドとさやか、ミナトを見て一瞬だけ笑って戻った。
【中村颯太(2年)】
「中村颯太、二年。ギタル出身の斥候担当だ。見てるからな。変な動きがあったら、すぐに教えてくれ。」
【真壁千夏(2年)】
「真壁千夏、二年です。ヴァルクレーン出身だけど、幼い頃からずっとタラーナで過ごしてきました。
あっと、主に騎士の技を使うよ。いつでもぶつかってきていいからね?
頼られる先輩になれるよう、頑張ります!」
【ト書き】
ちなつは、はるなの方を向いて、にっと笑って、手を小さくひらひらとさせた。
【山口芽依(2年)】
「山口芽依、二年です。タラーナ出身で、結菜と同じでサポートが多いかな。
でも、解析が得意、私の目はごまかせないわ。はい、レン君だったかしら?
そういう解析眼を隠蔽して使うのは良くないわよ、特に女子に嫌われるわ、よろしくね」
レン
「ちょ、なんでわかる?いや、別に隠してませんけど」
芽依
(ぷっと吹いて)
「そういう返しも含めてね、可愛いうちに直しなさい」
【ルイ・シウバ(3年)】
「ルイ・シウバ、三年だ。アマルカ大陸のセレオス自由都市群から来た留学生だよ。
アマルカ、大抵の人知らないだろ?だいぶ遠いからな、いいところをしっかり教えてあげるよ。
特に『大碧穴』の美しさと深さは、語り始めると止まらないよ。
いやほんとにきれいなんだ、海に浮かぶ青い島のように見えて、底なしの穴なんだ。
のぞき込むと、魚影がざぁあって動いてな、それを下から大きな魚や島烏賊が餌を求めて追いかけてくる
そしたら、虹鯨がその後を・・・・・」
【鈴木蒼空(3年)】
(被せるように元気よく)
「鈴木蒼空、三年だ。タラーナ出身。ここで困ったら何でも言え、内と外どっち向けでも力になるぜ
いいチームを作っていこう。」
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◆ 教官:5大大会の説明
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教官
「さて、合同課程が始まったこともあり、
諸君らには、合同課程の通過点の一つ、五大大会についてもう少し細かく説明しよう」
「ちなみに、先ほど紹介した上級生たちは、全員が……
これから説明する五大大会を知っている」
【ト書き】
陸斗がぴくッと動く。
「1.三年に一度冬に行われる能力別世界一大会(World No.1 by Capability)大会、通称“W1C”だ。説明は必要なかろう」
【ト書き】
ランドが立ち上がる。
ランド
「それって、天下一武道会!!」
伊織
「1 v 1での競い合いはないよ~
それに推薦条件が厳しいんだ、実績が無いと無理だよ。
ある?
実績?
……ん?」
【ト書き】
伊織はちらりと陸斗とランドを見る。
伊織
「あと、出力とか筋力とか、
そういう話だけじゃなくてさ。
何万人も見る大会だから、
各国のお偉方が『こいつを出そう』って
思う理由も要るんだよね」
【ト書き】
教官が小さく息を吐き説明を再開する。
教官
「2.毎年春に開催される冒険者協会主催、四人の仲間に背中を預け、
指定した迷宮の指定深度攻略を競う“Squad・スクワッド”だ」
ちなつ
「はいはーい、やってみたい!」
大和&芽衣
「お前、其れ今言う!?」
【ト書き】
伊織が小さく舌を打つ。
教官(完全に無視して)
「3.同じく冒険者協会が毎年夏に主催する、
五つのレイヤーに別れ、戦術から外交までの模擬戦を行う“霧中議”だ。
霧中議については、二年目以降に参加必須としている。
つまり、先ほど紹介した上級生は霧中議を経てここにいる。知りたいものは聞くといい」
【ト書き】
伊織が少し胸を張って大和を見る。
蒼空が手を握り締める。
教官(淡々と)
「4.秋には、騎士団養成校協会が主催する、一人で戦う戦術技大会、これは先日実施されたな」
【ト書き】
はるなが目を見開いてちなつを見る。
ちなつは口角をあげる。
教官(淡々と)
「5.同じく秋には、魔術師協会が主催する、五人一組で参加する魔術演武大会、
こっちはまだ間に合うから、参加したければ、受付に行くといい」
【ト書き】
おとの手が素早く動く。
教官(淡々と)
「以上の五大会だ。参加などの大会での規定については、
各協会が開催時期の半年前から公布されることになっている」
「それと、五大会に限らず、合法性の高い各種大会や競技への参加は特に制限していない。
希望者は大会名と参加理由を添えて、受付に行くといい」
ランド
「何でもいいんすか?アームレスリングとかでも!?」
教官(淡々と)
「……おすすめは、賞金が出てルールが決まっている競技大会だな。
何でもありではないからこそ、工夫の重要性が理解できる」
【ト書き】
教官はふー、と息を吐く。
教官
「5大会と実戦は、合同課程が始まってからこそ真価を発揮する」
「さて、それでは、本題だ」
「合同課程、開始の狼煙となる二チームに分かれた合同戦についてだ」
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◆ チーム分け
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教官
「合同課程 合同戦 ルールとチーム分けを説明する。
まずは、チーム分けだ」
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【チームA】
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・中村颯太
・春日井陽菜
・小林大和
・鈴木蒼空
・立花蘭土
・井上琉生
・北村朔太郎
・水理湊
・今度桜都
・山口芽依
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【チームB】
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・真壁千夏
・渡辺陸斗
・守屋廉
・佐伯紗耶香
・ニーコス・書
・田中結菜
・佐々木伊織
・佐藤新
・岡田悠真
・ルイ・シウバ
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◆ 合同戦ルール説明
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教官
「合同戦の目的は三つだ」
・チームにおける機能を理解すること
・仲間の能力や特徴を理解すること
・“知っている・わかっている”ではなく、“預けられる”ための交流をすること
「フィールドは110m × 70m。中央に中立帯。両陣地に象徴がある」
「木槌は中央に1本だけ出現。
魔法で飛ばすのは不可。肉体で投げるのは有りだ」
「木槌で相手陣の象徴を叩けば1点。
得点後は全員リセットだ」
「行動不能化はあり。
ただし木槌持ちは狙われやすい」
「試合形式は10分×5セット。
膠着すれば10分でリセット。
得点が動く限り最大50分続く」
「追加ギミックとして――」
✔ 木槌は“持っていると魔力が使えない”
✔ 象徴は“一定時間ごとに位置が揺らぐ”
「敗北条件は四つ」
・故意の怪我
・死亡
・欠損
・魔道具の利用
・人格否定の挑発
教官
「以上だ。
これより、合同戦の準備に入る。
時間一杯、顔合わせの会話をしておけ」
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◆【台本】合同戦説明後の「20名わいがや」シーン(決定稿)
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【ト書き】
教官の説明が終わった瞬間、
張り詰めていた空気が一気にほどける。
20名全員が、思い思いに声を上げ始める。
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◆ Aチーム側(10名)のわいがや
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颯太
「このゲームは、木槌持ったら、見る。
象徴を見る。
仲間の動線を見る。
そして、走る。
投げる。だ。
はるな、どう動く?」
はるな(静かに)
「……千夏先輩が来る。
正面は危険。横か後ろから崩す」
大和
「お、いい判断だな。
千夏は真正面から受けると危ないぞ」
蒼空
「焦らなきゃ大丈夫だ。
近くに出たら取りに行け。
迷うな」
ランド
「ミナト、これ……筋肉でどうにかなるか?」
ミナト
「……筋肉でどうにかなる部分と、どうにもならない部分がある」
琉生
「おいおいランド、全部筋肉じゃだめだろ、技も必要だ」
朔太郎
「……象徴の揺らぎ、周期があるなら……
ミナト君、計算できる?」
ミナト
「できる。けど、違う気がする。」
朔太郎
「違うって?象徴の移動先が分かれば守りやすいよね?」
ミナト
「うーん、守るための計算より、攻めるための計算の方がいいと思う」
はるな
「どこに出るかわからないから、見る、走るか投げるってこと?中村先輩」
颯太
「そ、広がって布陣する。そして、木槌を取る。そしたら、見る。で、近いは走る。遠いは投げる、だ」
芽衣
「ミナト君、琉生君、朔太郎君、ランド君、一旦注目、颯太、基本作戦説明してもらえる?」
颯太
「え?……いやそう言うのは、山口か……小林やってよ」
【ト書き】
颯太は、下がって座る
おとが、きょろきょろする。
芽衣が一瞬目を剥く。
大和
「はい、注目!このゲームの基本を説明するぞ」
「このゲームの重要点は、2つだ、その2つを押さえれば、作戦が決まってくる、わかるか?」
ミナト
「一つ、象徴が移動する、つまり、防衛は困難、
二つ、木槌を持つと魔法が抑えられる。つまり、持つと圧倒的に不利になる」
ランド
「お?そうだそうだ!」
【ト書き】
はるなが胸の前に左手を握りこんで持ってくる。
大和
「あってるな」
「その通りだ、守るのは向いていない。木槌持ちが弱まる。だから奪ってカウンターを狙うのが定石だ」
朔太郎
「カウンター……」
蒼空
「大和、そこらでいいだろ?」
大和
「おう、ま、ゲームのルールは後でじっくり話し合おう、みんな、名前は覚えたか?
立花、水理、春日井、今度、井上、北村!」
おと(驚いて)
「……すご、覚えてる……」
芽依
「私だって覚えてるわ、桜都ちゃん、はるなちゃん、よろしくね。もちろん男子たちも!」
【ト書き】
芽衣はぱっと手を振る。
ランド
「芽依先輩……」
────────────────────────
◆ Bチーム側(10名)のわいがや
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千夏
「いやー、楽しみだね!
はるな、どれくらい速くなったかなぁ!」
陸斗
「筋肉勝負なら負けねぇ。
ランドと正面からぶつかりてぇな!」
レン
「俺は拘束で全部止める。
ミナトの戦術? 全部焼き切る」
さやか
「え、ええ……私、足引っ張らないかな……」
結菜(優しく)
「大丈夫だよ、さやかちゃん。
私がちゃんと見てるからね」
伊織(冷静)
「まずはさ、皆の事、知ろうよ!」
新
「声掛けは任せて!
みんなの心を震わせるよ!
てことですよね?佐々木先輩?」
伊織(冷静)
「あって?ん?おう、今それだ!
この混とんとしたところを纏めてくれ、佐藤!」
悠真
「……僕、ちゃんと動けるかな……」
シウバ(肩を叩きながら)
「大丈夫大丈夫。
俺が転移で全部拾うからさ。
悠真は盤面だけ見てればいい」
新
「みんな、まとまろう!まとまれば勝てる!」
【ト書き】
伊織がぎょっとした後ため息をつく。
千夏
「シウバ先輩、今年も味方で頼もしい!!」
シウバ
「ん? 今ならフィールドの端から端まで行けるよ」
千夏
「最高!!」
【ト書き】
伊織が見回して、千夏、シウバ、悠真の塊、さやか、結菜の組み、レンと陸斗の組み
と3つの塊を見て、息を吸い込む。
伊織
「よし、話を戻そうか」
「まず全員、自分が得意なことを言ってくれ」
【ト書き】
その声は、ほどほどに響いた。
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◆ わいがや後の混ざり
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【ト書き】
大和と蒼空が壁際に立ち教室内を見渡している。
蒼空(小声)
「……千夏、完全に楽しんでるな」
大和
「はるなと颯太がどこまで食らいつけるか、だな」
【ト書き】
伊織が芽衣の側に行き話しかける。
伊織
「ミナトの判断速度速そうだな、理解も早い。あれは鍵になる。
だけど、選択肢が多いと迷うタイプだな。絞らせられるか?」
芽依(ちらりと伊織を見る)
「……でも、伸びるよ。
うち、今回はすごく良いチームになる」
【ト書き】
結菜が芽衣の側による。
結菜
「うん、すごくバランスがいいと思う」
「芽衣、そっちは、はるなちゃん凄そうだよね?」
芽衣
「うん、すっごいよ。近くに立つだけで、鳥肌が立った」
結菜
「よし、絶対友達になろ……」
芽衣
「結菜、ガンバッ!」
【ト書き】
芽衣と結菜の話を隣でうっすらと聞く伊織。
【ト書き】
琉生は神妙な顔をして、中村颯太に話を聞いている。
琉生
「中村先輩、走るってどれくらいで走れば?
木槌持つと魔力途絶えるんですよね?
俺の幻影もダメだろうし……」
颯太
「実はな、体内に影響させることならある程度できる。
だから、身体操作魔法が強いと少し有利だ」
琉生
「へぇ、小技くらいなにかできる……かな」
【ト書き】
ミナトとはるなと朔太郎が大和から話を聞いている
朔太郎
「……千夏先輩の面圧、どう対処すれば……」
大和
「去年は、上下できた、実質左右だけが逃げ道だったが……」
はるな(ぽつり)
「……千夏先輩、強い。左右も来るわ」
千夏(聞こえてる)
「はるなも強いよ!
うちら、タイマンだと勝負がつかないから、
楽しみだね!」
はるな
「……はいっ!!!絶対、先輩を這いつくばらせます!」
千夏(ぷっと吹いて)
「そこは、『負けません!』って言ってよ、もう」
「その顔いいね! アハハッ!」
「でも、そうはいかないのが、ちなつさんだからねーー!」
ミナト(内心)
(……情報が多い。
でも、選択肢は見えてきた……)
【ト書き】
筋肉たちが筋肉の話をしている。
ランド
「陸斗、筋肉勝負なら負けねぇぞ!」
陸斗
「上等だ!、俺の筋肉が世界一だって教えてやんよ!」
蒼空
「ふ、甘いな、世界一の前に、俺を超えていけ!」
ムッキムキィィ!
ビッチィィ
【ト書き】
異世界
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◆ 10分ほどのざわつきの後
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【ト書き】
わいがやが最高潮に達したところで、
教官が手を叩く。
パンッ!
教官
「――静かに」
【ト書き】
一瞬で静まる。
教官
「合同戦は、5日後の朝9:00開始だ。
それまでの間、自由に過ごして構わない」
「遅れないように」
【ト書き】
20名はそれぞれの仲間のもとへ散っていく。
まだ知らないことばかりだ。
だが、5日後には背中を預けることになる。
(暗転)
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【宿舎】(夜)
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【ト書き】
夜。宿舎。
谷底が冷える。声が削れる。確認の声が残りやすい時間。
ミナトがリーンに声をかける。
ミナト
「リーン、いよいよ始まるよ、合同戦だ」
リーン
「はい、ガイドを読んでおりますので、存じております」
「勝てそうですか?」
ミナト
「わからない、でも、なんだろ、震えるほど熱いって感じてる」
(間)
リーン
「それは、良いことです」
ミナト
「……どうした?」
リーン
(少しだけ目を細める)
「いえ、なんでしょうか、大きくなったね、ミナト」
ミナト
「え?背のびたか?まだ?」
【ト書き】
リーンがクスッと笑って、一礼する。
リーン
「何にせよ、考えたいこともあるでしょう、本日はお疲れさまでした」
ミナト
「……お疲れ様……」
【ト書き】
リーンが退出する。
ミナトの部屋から秋の冷えは消え、
部屋には文字通り魔力と熱が渦巻いていた。
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◆【台本】Aチーム:1日目午前「ペア組手」導入
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【ト書き】
合同戦の説明から一夜明けた朝。
Aチーム10名が訓練場に集まっている。
空気はまだ少し緊張しているが、昨日よりも“戦う顔”になっている。
大和
「よし、今日は“実力の肌感”を掴む。
まずは軽く動いて――」
ミナト
「……その前に、確認したいことがあります」
【ト書き】
全員がミナトを見る。
ランドが「お?」と眉を上げる。
ミナト
「このゲーム……結局、相手を拘束すれば勝てる。
シンプルに、全員拘束してしまえば、得点は容易になる」
琉生
「まあ、そりゃそうだよな。
木槌持ってるやつを止めればいいんだし」
ミナト
「向こうも分かってる。
だから“打ち消し”に来る。
膠着を打開する手数の多さが、勝敗を決める」
【ト書き】
颯太が足元を見ながらミナトに近寄る。
颯太
「……つまり?」
ミナト
「“拘束されそうになった時、どれくらいの速度で離脱できるか”
これを数字で把握しておきたい」
ランド
「数字で……?」
ミナト
「感覚じゃなくて、実測。
逃げ切れるのか、逃げ切れないのか。
それが分かると、戦術が活きる」
芽依
「……いいね。
ミナトくん、すごく冷静」
大和
「よし、まずはそれだな。
コーンを置いて、等間隔でターンして走り抜ける。
“危険地からの離脱速度”を測るぞ」
【ト書き】
はるながさっと歩き出す。
おとがおろおろしている。
蒼空
「足の速さを知っておけば、作戦を立てやすい、
まずは、体を動かしてみようってことだ、
心配するな、今度」
おと
「あ、はい、そういうことか……ミナト君の解釈、独特」
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◆ 全員での「離脱速度テスト」
────────────────────────
【ト書き】
コーンが10m間隔で並べられる。
Aチーム全員が順番に走り抜ける。
颯太
「行くぞ!」
【ト書き】
颯太が風のように駆け抜ける。
ターンが滑らかで無駄がない。
いや、視認しづらい。
ランド
「はっや!!」
芽依
「相変わらず滑らかね……しかも隠し方がうまい。
これなら木槌持っても……いいねーー
颯太ーーー!」
琉生
「俺、強化しても追いつける気がしないんだけど……」
おと
「……速い……」
はるな(小さく)
「螺旋?関節の運動に応用している。しかも私より継続的……」
ミナト
「上手い魔力を筋肉の動きと骨格を支えるのに使っている。この身体操作なら……」
ミナト内心
「真似できそう、だが……チームの基準には無理、ということは、妨害か木槌持ちを
してもらえば、イケる。あの人の体捌きなら、大抵、多分……」
【ト書き】
続いてランドが走る。
バン、ギュゥ、バン、ギュっゥウ、バン、トットト、バン……
直線は速い。直線は速い。
タイムは遅い。
大和
「ランド、ターンが甘い! 膝をもっと内側に!」
ランド
「うおっ、了解!」
ミナト内心
「ランド、いや無理に直すな、お前はまっすぐ走れ、それがいい。うん、だからできないことをするな!」
【ト書き】
ドシャ!派手にレーンを外れて、転がっていった。
【ト書き】
おとは慎重に、はるなは静かに、朔太郎は淡々と、
芽依は軽やかに、蒼空は跳ねるように、
琉生はなんとなく颯太の様に走る。
最後ミナトもまた、颯太の様に走る。
颯太がじっとミナトの走りを見て、何かをつぶやいている。
ミナト
(全員のタイムを見ながら)
「……なるほど」
大和
「ミナト、どうだ?」
ミナト
「“拘束される前に逃げ切れる人”と
“逃げ切れない人”がはっきり分かれた」
ランド
「俺はどっちだ?」
ミナト
「……逃げ切れない側」
ランド
「だよな!!」
芽依
「でも、ランドくんは“圧”を掛けられるよ、あの速度で突っ込んでこられたら、
木槌持ちは、パスを出しちゃう!」
ランド
「芽依先輩……!」
ミナト
「圧、重要だ」
ランド
「ミナト……!」
────────────────────────
◆ ペア組手(3分×3人=9分)
────────────────────────
大和
「よし、次はペア組手だ。
拘束技の打ち合い。
3分間、全力でやれ。
3人まで同じ相手にならないように交代するぞ」
【ト書き】
ペアが組まれる。
──◆ 1本目(3分)
颯太 vs ランド
ランド
「うおおおおお!!」
【ト書き】
ランドが颯太を捕まえようと飛び掛かる。
その手には不可視の綱が伸びている。
颯太は体を斜めに倒し浮き上がり、ランドと交差する。
すると、ランドの体がくの字に曲がり、颯太の方に引っ張られる。
颯太
「はい、捕まった」
ランド
「早すぎる!!」
「というか、なんで???」
颯太
「くっ、隠すの下手かッ」
「そのキャラ、嫌いじゃないが、最初からわっぱになっていて、お前を引っ掛けたんだよ
もちろん見えないようにな」
ランド
「つぁぁぁぁあ、なるほど、このもひゃっした紐がそうだったのかよ!」
颯太
「……見えてんならよけろッ」
──◆ 2本目(3分)
はるな vs 琉生
琉生
「幻影で惑わせて――」
【ト書き】
琉生の姿がブレて、3人になる。
ボッ
風舞う音が鳴って、真ん中の琉生が、
はるなに後ろから脇を掴まれて両手で持ち上げられる。
はるな
「……これ」
琉生
「え、見えてるの!?!?」
「え、罠は??」
はるな
「……これ?」
【ト書き】
はるなは琉生から延びる切れた魔力の紐を顎で示す。
琉生内心
「魔力綱が分断されている、でも、うぉお、いま切れたって実感が来た。
ナニコレ感触を偽装された?いや、速すぎッてことか?
……俺が鈍いってことだよな。その目」
はるな
「……森の時、思い出して」
【ト書き】
陽菜はしばらく琉生を見て、
下ろして、端に歩いて行った。
琉生内心
「ヒルに気づけなかったトラウマ抉られたけど、気合貰ったよ、はるなちゃん」
──◆ 3本目(3分)
ミナト vs 芽依
【ト書き】
ミナトの目が虹色の炎をともす。
芽衣の瞳が星形に割れる。
芽衣内心
「へぇええ、そっち来る、だめ、こっち来て、こない?うまいわね、じゃこれは?」
ミナト内心
「行く、防がれるイメージ、誘われた、行かない。穴が多い、えらべな、あっ!」
芽依
「ミナトくん、迷ってる」
ミナト
「……っ」
芽依
「迷うと“動きが一拍遅れる”よ」
【ト書き】
ミナトの体に巻き付いていた不可視の鎖が色を持ち
現れてミナトが拘束された。
ミナト
(……見抜かれてる……)
────────────────────────
◆ 組手後:大和の“気づき”とBチームの脅威説明
────────────────────────
【ト書き】
全員が息を整える。
大和が腕を組んで、全員を見渡す。
大和
「……Aチーム、良いね。すごくいい、去年なんかよりずっと立ってる。
でもこのままだと、勝てん」
ランド
「筋肉が足りなくてすみません!」
大和(途中から被せて)
「ちなつだ、真壁千夏、あいつはほんとに規格外だ」
【ト書き】
はるなが静かに頷く。
はるな
「……騎士団予備校の時から、先輩は特別だった。
負けたことはないよ、
でも、一度も勝ったことがない」
ランド
「蒼空先輩!筋肉が足りなくて……」
蒼空
「筋肉不足は鍛えるしかない。明日も厳しいぞランド」
ランド
「蒼空先輩、俺はやるっす!」
大和(足りなくてあたりから被せて)
「“面圧”が異常なんだ。
遠距離、不可視、範囲がある。
そして、同時複数だ。
正面から受けると、体が勝手に止まる。
転ぶ。飛ばされる」
琉生
「うわぁ……」
大和
「そしてもう一人。
シウバの短距離転移がやばい」
ランド
「芽衣先輩!筋……」
芽衣
「しッ、静かにしよっ?ね、ランド君」
ランド
「芽衣先輩……」
ミナト
「……象徴の周りが空いていて、
Bチームが木槌を持ってしまうと――」
大和
「シウバが象徴付近に転移して、
投げられた木槌をキャッチして叩く。
“速攻パターン”だ」
琉生
「反則だろそれ!!」
颯太
「いや、ルール上は合法だ」
芽依
「だからこそ、怖いんだよね……去年も結構やられたし……」
ミナト
(……Bチームの“勝ち筋”が見えた。
なら、こちらは――)
【ト書き】
ミナトの目が静かに光る。
おとは、必死にメモを取っている。
(暗転)
────────────────────────
◆ 1日目 昼休み:会話になってない会話
────────────────────────
【ト書き】
はるなとランドはバスケットを開き、中からパンと
ハムを取り出して切り分ける。
大和
「春日井、すまんな」
はるな
「はい、大和先輩」
ミナト
「ランド、醤油ドレッシングはどれだ?」
ランド
「こっちだぜぇ、辛さマシマシの激辛丸だ」
ミナト
「醤油ドレッシングをもらうぞ、パンとハム、サラダありがとう」
ランド
「お、おう」
琉生
「ランド、俺も( ゜д゜)クレ」
ランド
「( ゜д゜)つヤルッ」
【ト書き】
ランドところから颯太が勝手に取り分けていた。
おと
「はるなちゃん、ピエトロで」
はるな
「はい、今度さん」
芽衣
「はるなちゃん、フレンチで」
はるな
「はい、山口先輩」
蒼空
「ランド、ドレッシングなしで」
ランド
「先輩どぞっ!」
朔太郎
「おとちゃんいい?醤油で」
おと
「朔太郎君、どうぞ」
朔太郎
「ありがとう、また組めて嬉しいよ」
おと
「!……そうね、また頑張ろうね!」
【ト書き】
秋のベイルスレイブの空は高い。
吹き抜ける風に少し体を震わせる。
ミナト内心
「始まった。勝ち筋を絶対見つけてやる!」
────────────────────────
◆【台本】1日目 午後:特徴の書き出し(ミナト+上級生)
────────────────────────
【ト書き】
午前のペア組手が終わり、Aチームは休憩を挟んで午後の会議に入る。
訓練場の端、木陰に簡易テーブルが置かれ、紙と羽ペンが並べられている。
大和
「よし、午後は“特徴の書き出し”だ。
戦術を組む前に、まずは全員の能力を言語化する」
芽依
「言葉にすると、見えてくるものがあるからね」
ランド
「筋肉……以外に書くことあるか?」
琉生
「ランド、筋肉は“項目”じゃなくて“カテゴリ”だよ!」
蒼空
「筋肉とそれ以外は分けて考えるものだ」
おと
「……私は……壁……」
ミナト
「いや、おとは“壁”だけじゃない。
誘導もできるし、足止めもできる
……というか、多分、おとはすごく重要な役を担ってもらう
と思う」
芽依
「そうそう。
“自分では気づいていない強み”を見つけるのが今日の目的」
おと
「私が?このゲームでは、反応速度の遅い私はあんまり……」
ミナト
「反応速度は重要だよ」
「でも、おとの役割はそこじゃない」
ミナト
「盤面を、固定させられる力を持ってる。
おとの構築系の術式で、相手の動線をある程度抑える考え方だよ。
(間)
おと、ちなつ先輩の力をまだ僕は肌では知らないけど、君の事なら見てた。
おとなら、相手が嫌がる道を作って、相手の動きを誘導出来るはずだ」
芽依内心
「この子よく見てるわね、人によってはたまらないわね」
芽衣
「ミナト君、おとちゃんには、地形を固定させるための術式を作ってもらって、蒼空先輩やランド君を
動かしやすくしたいのね?」
ミナト
「はい、少し整理が必要ですが、その役割がいいかなと」
【ト書き】
ミナトは静かに席につき、
午前中の組手の記憶と、上級生から渡された簡易プロファイルを並べる。
ミナト(内心)
(……情報が多い。
でも、ここで整理しないと……)
────────────────────────
◆ ミナトの分析開始
────────────────────────
ミナト
「……まず、全員の“軸”を整理する」
【ト書き】
ミナトは紙に名前を書き、横に短い特徴を並べていく。
ミナト
「颯太先輩は“抜きの上手さ”。
ランドは“正面の圧力”。
琉生は“幻影による撹乱”。
おとは“壁と誘導”。
芽依先輩は“安定と支援”。
大和先輩は“盤面の安定化”。
蒼空先輩は“突破力”。
はるなは“瞬間の切れ”。
朔太郎は“粘り”。
……俺は“組み換え”をやる」
ランド
「おお、なんかそれっぽい!」
琉生
「俺、撹乱なんだ……なんか嬉しい」
芽依
「ミナトくん、すごいね。
午前の動き、全部見てたの?」
ミナト
「……見てました」
大和
「思考速度が速いな。
そのまま戦術検討を続けてくれ」
【ト書き】
ミナトは、紙に向かってぶつぶつと言い出す。
はるなは、じっとミナトを見ている。
はるな(小さく)
「見すぎでしょ……並べられたら確かに、
一瞬の切れが突き抜ける……か」
おと
「壁と誘導、つまり、引き込み型の罠、あるいは、交通整理」
芽衣
「罠より交通整理の方がいいわ、罠にすると、象徴が動いたとき、
味方の邪魔になるかもしれないから……ね?」
おと
「芽衣先輩、もっと教えてください」
芽衣
「いいわ、おとちゃん、一緒に考えましょ?」
蒼空
「大和、ミナトはよく見ているな、あれなら、いいんじゃないか?」
大和
「ええ。指揮側の景色も見せてみます。俺もできない事だし」
蒼空
「大和も筋肉好きだからな、向き不向きを冷静に考えることを、俺はここで覚えたよ」
大和
「耳が痛いです。蒼空先輩」
────────────────────────
◆ ミナトの“選べない”問題が浮上
────────────────────────
【ト書き】
ミナトは次の紙に、戦術案の“枝”を書き始める。
ミナト
「……初動は颯太先輩。
ランドが正面を押さえて、琉生が幻影で揺らす。
おとは壁で誘導して……
芽依先輩が朔太郎と大和先輩を見て……見る?
いや、蒼空先輩が盤面を整えて……、そこを颯太先輩が抜いていく?
俺は?……いや、はるなは?……いや、やっぱりランドが前に出て……」
【ト書き】
ペンが止まる。
じっとはるながミナトを見ている。
ミナト(内心)
(……選べない。
選択肢が多すぎる……
どれも成立しそうで、どれも破綻しそうだ……)
芽依
「ミナトくん?」
ミナト
「……いえ。
続けます」
【ト書き】
ミナトは無理にペンを動かすが、
線が増えるほど“迷い”が濃くなる。
大和(小声)
「……芽依、見えるか?」
芽依(小声)
「うん。“選択肢が多いと迷うタイプ”だね……」
────────────────────────
◆ ミナトの“異変”の原因:千夏のプロファイル
────────────────────────
【ト書き】
ミナトは上級生の簡易プロファイルを見直す。
特に千夏の欄で手が止まる。
ミナト
「……おかしい」
ランド
「ん? どうした?」
ミナト
「千夏先輩の“撃破数”と“行動不能化数”……
前衛の怪物にしては、少なすぎる」
琉生
「え? あの人、めちゃくちゃ強いんじゃないの?」
ミナト
「強いはずです。
でも、この数字は……“倒していない”数字です」
【ト書き】
大和とはるなが顔を見合わせる。
大和
「……気づいたか」
はるな
「……千夏先輩は、“倒さない”」
ミナト
「倒さない……?」
はるな
「ちなつ先輩は……
あの人を倒すためには、自分の行動を読ませないか、面を砕かないと駄目」
ランド
「どういう意味だよ……」
ミナト内心
「ランド、そこは反対に考えるところだぞ、ふっ……
つまり、先読みして、壁を置いてくるってことか?」
大和
「千夏は“面圧”で相手の選択肢を潰す。
動線を奪って、味方が拾いやすい位置に“弾く”。
倒すのは味方だ、つまり、誘導役だ、しかし、力づくだがな」
【ト書き】
大和が少し笑う。
芽衣
「ちなつは賢いの。こっちが行きたいところ、行かせてもらいたいところを
面でつぶしてくる。あれは、まぁ、鉄板?で殴られるような感じになる」
琉生
「……え、それ……
数字に出ない強さじゃん……」
ミナト
「……数字になっていない……
“余白”がある……」
【ト書き】
ミナトの手が震える。
ミナト(内心)
(……読めない。
数字に出ていない“圧”がある。
盤面を支配する力……
どう対策すれば……)
芽依
「ミナトくん、大丈夫?」
ミナト
「……はい。
ただ……
“見えない力”が一番怖いと、思っただけです」
【ト書き】
ミナトの目に、静かな戦慄が宿る。
(暗転)
────────────────────────
◆【台本】1日目 午後:フォーメーション決定と練習開始
────────────────────────
【ト書き】
千夏の“数字に出ない強さ”に気づいた直後。
Aチームの空気が少し重くなる。
ミナトは手元の紙を見つめ、深く息を吸う。
ミナト
「……布陣を決めます。
こっちはパターンが多い。
ですが、タイプはそろってる。
だから、基本配置を決めて、役をやって、最適を探します」
【ト書き】
ミナトがはるなを見て、颯太を見る。
そして、全員を見回す。
全員が顔を上げる。
ミナトの声は震えていないが、迷いの影がある。
大和
「よし、聞こう」
芽依
「ミナトくん、ゆっくりでいいよ」
ミナト
「……まず、前衛は“強者三枚”で固定します」
────────────────────────
◆ 前衛(突破・初動制圧)
────────────────────────
ミナト
「前衛は――
颯太先輩、はるな、大和先輩」
颯太
「了解」
はるな(静かに)
「……行く」
大和
「任せろ」
ミナト
「この三人は“突破力”が段違いです。
今、千夏先輩の面圧を押さえられるのは、
この三人が一番有力です。」
【ト書き】
はるながわずかに目を伏せる。
はるな
「……勝てない。
でも、止めることはできる」
ミナト内心
「ちがう、俺の知っている『はるな』なら単独でも、
ちなつ先輩を押さえられる……多分、はず……だから……」
大和
「春日井、それで十分だ」
ミナト
「颯太先輩一人だと難しくても、
はるなが組めば、ちなつ先輩の選択肢を奪える……と思う
そして、そこに大和先輩が入れば、ちなつ先輩はたぶん、何もできない。
こちらのチームにBチームの前衛を押さえる余裕が出る」
【ト書き】
ミナト周りを見回す。
その目には全員の顔が映っている。
────────────────────────
◆ 中衛(波状攻撃・揺さぶり)
────────────────────────
ミナト
「中衛は――
蒼空先輩、ランド、琉生」
ランド
「おっしゃ!」
琉生
「幻影、全力で使うよ!」
蒼空
「前衛の“戻り”を支えるのが俺たちだな」
ミナト
「はい。
中衛は“波状攻撃”の要です。
ここは、中盤かなり支えになるはずです。
前衛が押し込んだ瞬間に、
蒼空先輩とランドが“当たり”で押し込み、
琉生が幻影で揺らす。
唯一の懸念はシウバ先輩の転移による妨害だけど、
ランド、琉生、走れるよな?
はまれば、Bチームは何もできないはずです。」
大和
「いい連携だ」
ランド
「ミナト、走るぜ!」
琉生
「ちっ、走るさ、幻蒔いた後にな」
ミナト
「そうだ、木槌を取る直前に、幻影で木槌を取った自分を重ねるように走らせるんだ……」
琉生
「言われなくてもわかってる」
【ト書き】
ミナトは一瞬目を伏せて、次の言葉のためにノートを見る。
琉生の発言後に芽衣の目がミナトを見据える。
そのあと小さく頷く。
────────────────────────
◆ 後衛(司令塔・補強・制圧)
────────────────────────
ミナト
「後衛は――
朔太郎、おと、芽依先輩、そして僕」
朔太郎
「了解」
おと
「……壁、いっぱい作る……」
芽依
「後ろは任せてね」
ミナト
「後衛は“盤面の制御”です。
おとは壁で動線を制限し、
朔太郎は追い込み、つまり、おとの動線を外れるやつをふさぐ
芽依先輩は後衛と中衛の動きを見て、機能を戻すための
指示してもらえませんか?
僕は全体指揮を担当します」
芽衣
「ミナト君、ごめんね、ちょっと私に難しいかもしれない。
私、状況把握は上手だと思っているけど、
仲間の指示判断ってそんなにうまくないんだ」
【ト書き】
芽衣が伏目がちに言う。
大和
「芽衣、気になるところが、右だったり、左だったりしたら声を出してくれ
その後は俺が動く……ミナトこれでいいか?」
ミナト
「はい、そうしましょう、大和先輩、芽衣先輩よろしくお願いします
僕の指示とぶつかったら……まずは……僕を優先してお願いしてもいいですか?」
大和
「ああ、構わない、皆もいいな?」
【ト書き】
皆の視線がミナトに集まる。
蒼空
「ミナト、お前が後ろにいると安心するな」
ミナト
「……ありがとうございます」
────────────────────────
◆ ミナトの“分析の結論”と不安
────────────────────────
【ト書き】
ミナトは布陣を書き終え、
手元の紙を見つめる。
ミナト(内心)
(……これでいいのか?
選択肢はまだある。
もっと良い配置があるかもしれない。
でも――
選べない……)
芽依(小声)
「ミナトくん、迷ってる?」
ミナト
「……はい。
千夏先輩に限らずBチームの能力が読み切れません。
面圧……動線潰し……転移、後が見えない……
どう対策すれば……」
大和
「ミナト。“読めない相手”は、練習で読むんだ」
ミナト
「……練習で……」
大和
「そうだ。
布陣は“仮”でいい。
動いて、ぶつかって、
その中で“策”を探せばいい
理論で枠を作る、動いて枠を見直す、その繰り返しだ」
芽依
「うん。ミナトくんは少し“完璧”をこだわっているよ」
颯太
「まずは走れ。動けば見える」
はるな
「……動こう、……私はミナトの指揮を信じられると思う」
ランド
「筋肉も動かさないと固まるしな!」
琉生
「ランド、それは違うと思うけど……まあいいや!」
【ト書き】
ミナトはゆっくりと頷く。
ミナト
「……分かりました。
“動きながら策を探す”。
それでいきます」
ミナト内心
「重い……喉が渇く、何だこれ、
何でこんな水の中にいるような重さがあるんだ……
誰か、束縛術を試しに俺にかけているのか?……
動くからそんなわけないか……」
────────────────────────
◆ 練習開始
────────────────────────
大和
「よし、じゃあ――
布陣通りに動いてみるぞ!」
蒼空
「前衛、初動合わせるぞ!」
颯太
「はるな、行くぞ」
はるな(ちらりと後ろを見て)
「はい」
ランド
「中衛、筋肉で押すぞ!」
琉生
「筋肉じゃないってば!」
おと
「……壁、準備……」
大和
「最初は、全員の動きの癖を見るんだ!」
芽依
「後ろは任せて!見えてる!」
朔太郎
「開始、抜けてくるやつを押さえる」
ミナト
「――Aチーム、練習開始!」
【ト書き】
10名が一斉に動き出す。
砂埃が舞い、足音が重なり、
Aチームの“形”が少しずつ見え始める。
ミナト(内心)
(……怖い。
でも、動けば見える。
動けば――
Aチームの勝ち筋が見えるはずだ)
(暗転)
────────────────────────
【宿舎】(1日目夜)
────────────────────────
【ト書き】
夜。宿舎。
谷底が冷える。声が削れる。確認の声が残りやすい時間。
リーンがミナトに声をかける。
リーン
「主様、お帰りなさい。お疲れさまでした」
ミナト
「前衛の突破力は本物だ、凄い、中衛も厚い、この三人が本気を出せば
ちなつ先輩の能力でも超えられないはず、実際はるなが中衛三人を抜けるイメージもわかない」
(間)
リーン
「主様……ここに、湯とタオルを置いておきます」
「何か御用があればいつ何時でもお呼びください」
「おやすみなさいませ」
【ト書き】
顔をあげるミナト
ミナト
「あ、リーン、ありがとう、助かるよ。
そうだ、この手紙、出しておいてもらえないか?」
【ト書き】
机の引き出しから手紙を出す。
リーン
(少し伏目がちに近寄る)
「はい、本家の方?いえ、鬼族の里の李桃へですか?はて?」
ミナト
「あ、ちょっと、欲しいものがあってね。頼むよ」
【ト書き】
リーンが首をかしげながら手紙を受け取り一礼する。
リーン
「承知しました、確かにお預かりいたしました
それでは」
ミナト
「……お休みリーン……」
【ト書き】
リーンが退出する。
ミナトの部屋にはしばらく明かりがともっていた。
────────────────────────
◆【台本】2日目:フォーメーション確認(攻撃・防御)
────────────────────────
◆ 2日目 午前:攻撃フォーメーション確認
────────────────────────
【ト書き】
朝の訓練場。
Aチーム10名が、昨日決めた布陣に従って並ぶ。
前衛:颯太(抜き)・はるな(瞬発)・大和(前進)
中衛:蒼空(正面圧)・ランド(正面圧)・琉生(偽装、誘導、逃走)
後衛:朔太郎(壁・遊撃)・ミナト(司令塔)・おと(壁・誘導)・芽依(検知)
【ト書き】
大和が前に出て話す。
大和
「よし、まずは“攻撃の形”を固めるぞ。
前衛三枚は突破、つまり、ひたすら木槌を狙い、象徴を割ることを考える。
中衛三枚は押し込みと揺らし、つまり、こちらの象徴を守るために、
敵の木槌持ちを追い回すのと、木槌を手にしたら速攻反撃の為の前進になる。
ここは、作戦の内容をそろえておいた方が良い気がするな?
どうだミナト?
ミナト
「はい、大和先輩、ありがとうございます。まずは先輩の意見を後衛まで含めて
聞かせてほしいです。」
大和
「分かった、後衛四枚は制御と支援だ。つまり、敵の行動を誘導する。
守るときは、象徴までの道を閉ざし、木槌を奪う。
攻めるときは、象徴までの道を敷いて、速やかに木槌持ちを象徴につなぐ」
【ト書き】
皆が大和の話を聞く。
ミナトが大和の隣に立ち、大和に礼を言う。
ミナト
「ありがとうございます。僕の考えとほぼ同じです。僕の方からも皆に伝えます」
ミナト
「まず前衛、颯太先輩、大和先輩、はるな。
木槌を狙う最初の壁は、多分ちなつ先輩だ。だから、
はるなと大和先輩でちなつ先輩を止める。そして颯太先輩が木槌をねらう。
ちなつ先輩が出てこないなら、各々が木槌を狙う。
とったら、見る。象徴までの動線に味方が居れば、投げる。速攻だ
居なければ、敵の薄いところか、象徴に向けて走る。運ぶだ」
颯太
「分かった」
「行くぞ、はるな」
はるな(大和を見る)
「はい!」
【ト書き】
大和がミナトに向けて親指を立てて、
その後すぐに、颯太とはるなの後をついていく。
────────────────────────
◆ ① 前衛:颯太 × はるな × 大和の“質の違う速さ”
────────────────────────
【ト書き】
三人が同時に地を蹴る。
颯太:静かに消えるような速さ
はるな:黒い流れのような突進
大和:しなやかで強靭な突破力
朔太郎
「……三人とも“速さの質”が違う……
この三人を僕、止められる気がしない」
琉生
「これ、千夏先輩の面圧でも止められないかも……」
ミナト(内心)
(相変わらず、颯太先輩の動きは、視覚が狂う。
掴みづらいな単体でもすり抜けられそうなのに、
はるなが隙を縫って突っ込んでくる。
こっちが、瞬きしたら、はるなはもう目の前にいる感じでくる。
やっぱ怖……いや、頼もしいだ。うん、はるな、味方でありがとう。
そして、大和先輩。前に立っても、
二人の後ろに立っても、選択肢をつぶしに来る感じだ。
大和先輩を対処しようとすると、残りの二人に刺される。
大和先輩をほっておくと、大和先輩ともう一人の討たれる。
いわば、
颯太先輩は“静の速さ”。
はるなは“動の速さ”。
大和先輩は“強の速さ”。
この三つが重なると……
“突破の波”になる……)
颯太
「はるな、ここで角度変える!」
はるな
「……了解」
【ト書き】
二人が同時に方向転換し、
大和がその“空いた角度”を突く。
蒼空
「……これ、普通に強いぞ」
芽衣(小さく)
「うーん……」
「まあ、動いてからかな」
────────────────────────
◆ ② 中衛:蒼空 × ランド × 琉生の“波状攻撃”
────────────────────────
蒼空
「前衛が切り込んだ瞬間に、俺たちが押し込むぞ」
ランド
「筋肉で押す!」
琉生
「幻影で揺らす!」
【ト書き】
前衛の突破の“直後”に、
蒼空とランドが“壁のように”押し込み、
琉生が幻影で視界を揺らす。
ドンッ!!
朔太郎
「……地面が揺れた……」
ミナト(内心)
(……なんか違う……なんか違うぞ……
前衛の突破はさっき見せてもらった、あれは行ける。
中衛の押し込み?
幻影の揺らし?
押し込みなのか?あれ?んー……)
【ト書き】
ミナトは手をあげてばってんを作る。
ミナト
「ちょっと中衛のみんな、集まってもらってもいい?」
ランド
「はぁはぁ?ああっ!」
琉生
「なんだよミナト、なんか変か?」
蒼空
「どうした?」
ミナト
「うーん……波……波のイメージなんです。
多分、中衛がやった方がいいのは波のイメージなんです
だから、前衛が抜けられた後、または、前衛が木槌を持った後を想定した時
次の木槌持ちに向かって拘束や遅延を掛けに行くんです。
だから……ものを追いかけるっていうより相手を見ないと
いまの、相手いました?」
【ト書き】
蒼空がにやりと笑う。
蒼空
「なるほど、確かに前衛を追いかけただけだったな、ランドや琉生は?」
ランド
「っすっ!」
琉生
「木槌持ってるつもりだったわ……」
蒼空
「も一度やるぞ!」
ランド
「っすっ!」
琉生
「へーい」
蒼空
「前衛が切り込んだ瞬間に、前衛をカバーするぞ!」
ランド
「筋肉で塞ぐ!」
琉生
「幻影で視線を奪う!」
【ト書き】
前衛の突破の“直後”に、
蒼空とランドが“壁のように”塞ぎ、
琉生が幻影で木槌持ちを偽装し、視線を散らす。
ミナト
「シッ」
【ト書き】
ミナトが、両手を握って肘をわき腹にくっつけて小さく吠える。
────────────────────────
◆ ③ 後衛:朔太郎 × ミナト × おと × 芽依の“盤面制御”
────────────────────────
おと
「……壁、展開……」
【ト書き】
おとの構築魔法が滑らかに固められた壁を“斜め”に立てる。
ただの防御ではなく、
“相手の動線を誘導する角度と高さ”になっている。
ミナト
「……おと、その角度……
“攻撃の補助”にもなる……!」
おと
「……うん……
流れを……変える……」
ミナト
「すごいよ!……うん、でももう少し低くて、速くもできる?」
おと
「……うん……できる……速いほうがいい?……」
ミナト
「一定じゃないって思わせれば、幅が増える……かな?」
【ト書き】
ミナトはちらりと芽衣を見る。
芽依
「ミナトくん、良いよ。
おとちゃん、速いと普通、があると、相手の予想を増やすの
そうすると、少しだけ、相手をゆっくりにできる」
おと
「な、なるほど……速く小さく」
【ト書き】
おとの構築魔法が素早く小さな段差を“さくっと”に盛る。
ミナト
「それの方がいいよ!、踏んだところがそうなったら、絶対転ぶ!
後でランドにやってみよう!」
芽衣内心
「ん?仲間を?……ランド君と琉生君で比較してみてもいいかも……」
【ト書き】
おとは嬉しそうに笑い、小さな段差をたくさん作っていった。
朔太郎
「ミナト君、おとちゃんの魔法の起こりを見て、
遊撃、前衛と中衛の穴を補完するように動くとさ
速めに動けるような気がするよ」
芽衣
「それはいいわね、合わせましょ?」
ミナト
「朔太郎、良い気付き!それ行こう、芽衣先輩、おと、朔太郎、4人で合わせよう!」
ミナト(内心)
(芽依先輩の滑らかだ……すごいな、いや、朔太郎や
おとだって、ここは、皆すごいんだ……)
────────────────────────
◆ 午前の気づきモノローグ
────────────────────────
【ト書き】
前衛、中衛、後衛の基本布陣を守りながら
混合で動きを確認していく。
ミナト:
(……全体を見る時、俺の指揮が“遅い”。
みんなの動きが速すぎる……
こっちが迷うと、ダメだ。
後衛だけとか、中衛だけとかならまだいける。
いや、そもそも、前衛は指揮がいるのか?
動きを見ていると、こっちの予想を超える動きばっかりだし……颯太先輩なんて、輪郭がさだまらん。
いやいや、それはいいんだけど……それを踏まえて全体を動かす……)
はるな:
(颯太先輩……速いだけじゃない……上手い
……上等、あの『螺旋』を盗る!そして、合わせる……)
颯太:
(はるな……速さの“質”が違う。
これは武器になるな、それに、盗る気満々か、
ま、隠すつもりもないし、俺もはるなの『機』を盗る)
ランド:
(蒼空先輩と大和先輩の間に入ると……
俺、埋もれる……筋肉>俺<筋肉 だな。悪くないが……
もっと“役割”を考えないと……)
おと:
(……壁は……速さが入ると攻撃にもなるんだ……怖いけど、やる)
芽依:
(ミナトくん、迷ってる……
でも、迷いながらも前に進んでる……
解るな……出来る事を探さなきゃ……大和こっち見てる?)
────────────────────────
◆ 2日目 昼休み:会話になってない会話
────────────────────────
【ト書き】
ミナトはバスケットを開き、中からパンと
ハムを取り出して切り分ける。
大和
「水理、すまんな」
ミナト
「いいえ、実は、結構やるんです。こういうの」
大和
「へぇ、あのいつもいる青い子にやってもらってるんじゃ?」
ミナト
「……宿舎じゃ、皆と交代制でやってます。
それにリーンは、同伴なんで給仕はしてくれますが
調理は、本邸だと専用の人がいて……はいどうぞ」
大和
「そうか、ありがとう、旨そうだな!」
琉生
「ミナト、俺も( ゜д゜)クレ」
ランド
「( ゜д゜)クレ」
【ト書き】
ミナトは、切る前のパンを二つ取り出して、渡す。
300gほどのハムもそのまま渡す。
琉生
「ランド!合わせるぞ!」
ランド
「負けねぇ!」
ミナト内心
「お前ら何言ってんだ?手が止まっただろが」
【ト書き】
ミナトをおとが見上げてくる。隣には芽衣先輩がいた。
「おと、どうぞ」
「芽衣先輩もどうぞ」
【ト書き】
切り分けたパンと皿に切ったハムとレタスと玉ねぎを刻んだものを乗せて
ドレッシングをかけて渡す。
後ろにはるなが居た。その後ろに蒼空先輩と朔太郎だ。
颯太先輩はどこだろう?
振り向くと颯太は自分でパンとハム、サラダを取り分けていた。
ミナトは小さく息を吐いて、
パン、ハム、サラダをさらに盛って、はるなと蒼空、朔太郎に渡した
はるな
「ありがと……」
【ト書き】
秋のベイルスレイブの空は高い。
が、冷えが忍び寄り、立ち止まると肌寒い。
今はその冷えが、熱くなった体に心地よい。
ミナト内心
「空高く、技増す谷の秋……ってか、俺詩文の才能あったりするぅ?」
────────────────────────
◆ 2日目 午後:防御フォーメーション確認
────────────────────────
大和
「次は“守り”だ。
Bチームの速攻に耐えられなきゃ意味がない」
ミナト
「大和先輩、ありがとうございます。
では、木槌をもって攻めてこられるときをやります」
「おさらい……木槌を持ったら、魔法が使えない。
だからこそ相手は、攻めてくる。
基本戦術はたぶんこっちと変わらない。
とる。走る。見る。投げる。
だけど、注意することがある……
千夏先輩の“面圧”と、シウバ先輩の“転移速攻”……
これがどれだけやばいか、体験する」
颯太
「どうやって?」
ミナト
「面圧については……桜都、頼みたい。
軽くてもいい。障壁を素早く展開して、進路をふさぐ
当たったときにしびれるように俺が電膜をかぶせる
かすってもアウトを演出しておきたい……
実際はたぶん、吹っ飛ばされるんだと思う」
【ト書き】
チラリとはるなを見る。
はるなはすぐに頷く。
ランド
「うわぁ……聞くだけで怖い……」
蒼空
「怖がるな。
まずは“疑似面圧”で練習だ」
おと
「それだけでいいなら、大丈夫」
────────────────────────
◆ ① おとの“疑似面圧”演習(見せ場)
────────────────────────
【ト書き】
おとが前に出る。
両手を広げ、魔力を練る。
おと
「……疑似面圧……展開……」
ミナト
「合わせる」
【ト書き】
空気が“押される”。
重い。
3メートル×1メートル、1kgの“透き通った壁”が前に迫る。
ビィィと高く響く音が鳴る。
芽依
「……これ、普通に怖いよ……触れるとどうなるの?」
朔太郎
「圧力、一定。千夏先輩の“本物”より弱いはず……触ってみます」
【ト書き】
そっと手を出して触れる朔太郎、触れた瞬間、
ばっと手を離す。
朔太郎
「うわっ、気持ち悪い。」
──◆ 大和の対応
大和
「ふっ!」
【ト書き】
大和は“圧”を正面から受け、
体をしならせて“流す”。
大和
「うぉおお、いいな、この電膜、実際の圧とはまた違った
触れたくない感じがある」
──◆ ランドの対応
ランド
「うおおおお!!」
【ト書き】
ランドは“圧”を“弾く”。
筋肉で押し返すという暴挙。
ランド
「ちょ、ミナト、これ癖になるッ」
──◆ はるなの対応
はるな
「……」
【ト書き】
おととミナトが次々と張り出す圧に対して、
はるなは“圧”の“隙間”をすり抜ける。
黒い流れが圧の中を滑る。
ミナト
「芽衣先輩、ちなつ先輩の面圧ってこういうことですか?」
芽衣
「去年見たのちなつのより、こっちの方がえぐいわ。
さっき触って、体が止まったからね」
大和
「……これなら、千夏対策になるな」
はるな
「……うん。近づくだけで嫌な感じが
“流れ”の先読みを鍛えられる」
ミナト(内心)
(……Aチームは“面圧”の対策はこれでできる……
でも……
俺、前衛の指揮ができん。中衛と後衛ならいけるが……
このままじゃ……“勝ち筋”の時に……)
────────────────────────
◆【台本】2日目 午後:シウバ対策の発見
────────────────────────
【ト書き】
午後の防御フォーメーション練習が一段落したころ。
ミナトは、手元の紙に“Bチームの速攻パターン”を書き出している。
ミナト内心
「ちなつ先輩の対策練習はできるようになった、残りの日数やれることが見えた。
もう一つのシウバ先輩だが、こっちは、くっくっく。気づいちゃったもんね。
これ、つまりさ、行先を間違えさせればいいんだよな。
そして、うちには間違えるやつがいる」
ミナト
「……象徴までの線を開けないことが最優先。
でも、もし開いてしまったら……
シウバ先輩の転移速攻が来る」
大和
「そうだな。
象徴が空いて、木槌が投げられたら……
シウバが転移してキャッチして、そのまま叩く。
あれは反則級だ」
颯太
「転移の“初動”が見えないんだよな……」
はるな
「……気配も薄い」
ランド
「どうすんだよ、そんなの……」
ミナト
「……潰します。これは策があります」
【ト書き】
全員をミナトを見る。ミナトの口角が上がる。
ランドと琉生がじゃれている。
はるなが、じっとこっちを見る。
おとと芽衣が何か話している。
蒼空の目が輝く。
ミナト
「シウバ先輩の転移は“万能”じゃない。
“転移先を指定して飛ぶ”タイプです。
しかも聞いた感じ、無制限にできるものじゃない。
つまり――
転移先が“成功”であることが前提なんです」
ミナト
「そう。
転移先を“成功から失敗に変える”。
これが策です。策はいくつもあるんですが、
Aチームで一番効くのは───」
芽衣
「……あっ」
【ト書き】
芽衣の視線が琉生に行く。
ミナトも琉生とランドを見る。
琉生はランドの鼻に指を突っ込んでいる。
ランドは、琉生の指の上に鼻だけで支えて
浮かぼうとしている。
ミナト内心
「あれって、戦技、螺旋と機の応用か?
いや、強化魔法か?、強化魔法っぽいな
それに、軽量化も掛けている。つまり
何してんだお前ら!!!」
────────────────────────
◆ ① 転移先の幻惑(琉生)
────────────────────────
【ト書き】
バンッ
ミナトが指の隙間に雷撃を流し音を立てる
琉生とランドがミナトを見る。
ミナト
「あー、琉生、シウバ先輩が飛びそうな位置に、
“幻影の揺らぎ”を置けますか?
そう、例えば複数の木槌とか、小山とか、ベタな壁とか」
琉生
「できる!
転移先に幻影があると、
あのコート中ならどこだって置ける!
で、なんで置くんだ?」
大和
「なるほどな。
転移は正確さが命だ。
成功の選択肢が増えれば、木槌は取れない」
颯太
「……いいな、それ」
おと
「ッ!」
【ト書き】
はるなはミナトを見て口角をあげる。
ランドは、鼻を起点にして跳ねて、後方宙がえりをして
降り立つ。
朔太郎
「そうか、正解が多いと、選ぶ必要が出て……」
琉生
「解ってたぜ!やれるよ!ミナト」
────────────────────────
◆ ② シウバ本人の拘束(ランド or おと)
────────────────────────
ミナト
「次に、シウバ先輩本人を“拘束”する。
転移は魔力操作が必要です。
拘束されていると、発動が遅れる。
芽衣先輩、拘束について蒼空先輩、ランドと朔太郎と相談してもらってもいいですか?
重要なのは、拘束のタイミングです
木槌がこっちにある時は拘束はいらないです……」
【ト書き】
ミナトは頭を下げて、琉生とはるな、颯太、大和の方に行く。
芽依
「向うが木槌を持ったら拘束してしまった方が安全、ってわけね、わかったわ」
ランド
「任せろ!
筋肉で押さえつける!」
蒼空
「ランド、お前は“押さえつける”じゃなくて“止める”だ。
シウバは軽い。
当たりで吹っ飛ばすなよ」
ランド
「……気をつける!」
おと
「……壁で……囲む……
転移先を……限定する……」
朔太郎
「そうです。
おとの壁で“転移先を狭める”ことで、
シウバ先輩の選択肢を奪う」
芽依
「転移って、自由だけど、何もないところに飛ぶと……痛いわね」
おと
「“飛ぶ意味のある場所”を潰せばいいってことね」
【ト書き】
琉生に練習用木槌を渡して幻影を出してもらう。
琉生
「うぉおお、木槌って魔法を打ち消す?いや壊さないけど効果を避けられる。
木槌自体を幻惑で消せねぇ……」
ミナト
「そこは増やすだけでいいよ、いくつ増やせる?」
琉生
「動いていくんだよな……三つ、あ、いや、二つが限界だな」
ミナト
「十分だ、二つも偽装できれば、シウバ先輩を数メートル離せられるそうすれば、
颯太先輩やはるなが取れる」
琉生
「連携、練習やってくるわ……ミナト」
ミナト
「ああ!行けるぞ!」
────────────────────────
◆ ③ 象徴周りの“線”を絶対に開けない(全員)
────────────────────────
ミナト
「そして最後。
象徴までの線を絶対に開けない。
これが木槌を盗られたときの最優先目標です」
朔太郎
「遊撃として、象徴周りの“穴”を埋める。
前衛・中衛が押し込まれても、
僕が戻ります」
蒼空
「象徴周りを“固める速さ”が命だ。
芽依の強化支援がはまれば、
戻りが速くなる」
芽依
「任せて!、あ、でも、おとちゃん、群がる敵を妨害は頼むね?」
おと
「はい、いけます。小さな凸凹をたくさん作って……」
【ト書き】
おとがにへらと芽衣に向かって笑う。
ミナト
「象徴周りが空いた瞬間、
颯太先輩とはるなは“戻り”に入って、
ちなつ先輩に備える。
ランド、蒼空先輩、おと、芽衣先輩は、シウバ先輩の拘束を狙う。
琉生が転移先を幻惑し、シウバ先輩がはまったら、拘束して木槌を奪う。
投げずに持って動く奴が居たら、颯太先輩、はるな、追撃を」
大和
「……完璧じゃねぇか」
颯太
「いや、完璧じゃない。でも、“勝ち筋”の一つだな」
はるな
「……うん。木槌を追う」
芽衣
「向うは、木槌を守るための固めてくるわね?」
ミナト
「はい、だから、木槌を盗られた瞬間のシウバ先輩潰しです。木槌周りを固め始めたら……次です」
【ト書き】
ミナトが笑う。
ミナト(内心)
(……これなら……シウバ先輩の速攻も……“潰せる”……)
ランド
「うぉおおお、燃えてきた!」
蒼空
「ふぅう、熱いな」
────────────────────────
◆ 練習開始:シウバ対策の実験
────────────────────────
大和
「よし、実際に動いてみるぞ!」
琉生
「幻影、転移先に展開!」
おと
「……壁、狭める……」
ランド
「シウバ役、俺がやる!」
颯太
「象徴周り、戻る!」
はるな
「……戻る」
芽依
「滑り、展開!」
朔太郎
「穴、埋める!」
ミナト
「――Aチーム、シウバ対策、開始!」
【ト書き】
全員が一斉に動き出す。
砂が舞い、幻影が揺れ、壁が立ち、
“転移速攻”を潰すための動きが形になっていく。
ミナト(内心)
(……ランド、速い、直線速度なら、はるなや颯太先輩にも負け、
いや、やっぱちょっと遅いか?
だが、そんなことより、致命的だ。致命的に、ダメだぁあああ!……
そうじゃない、そんなまっすぐじゃ、幻影とかいらんだろ
早い、突っ込むの早い、速いじゃない、早い……
颯太先輩に頼もう)
【ト書き】
バンッ
ミナトが指の隙間に雷撃を流し音を立てる
ミナト
「はーい、皆、ちょっと集まってくれる?課題が見えた」
ランド
「はっ!ミナト俺のパワーの前に対策が無益とわかったか?」
ミナト(内心)
(イラッ……あ、いかん、そうじゃなうぃ……)
ミナト
「仮想シウバ先輩は、颯太先輩にお願いします。なるべく気配と視線を誘導して、
いきなり出てくる感を出してほしいです。」
颯太
「了解」
ミナト
「はるな、颯太先輩については、『目付』ではなくて集中して見てくれ、
視線を外されたことで転移を模倣してみたい」
はるな
「わかったわ、戦技の言葉知ってたのね?ふふっ」
ミナト
「琉生、おと、芽衣先輩、朔太郎、良かったです。次もその動きで頼みます」
ミナト
「大和先輩は、Bチームの一員として颯太先輩と一緒に攻めに回ってください」
大和
「おう」
ミナト
「では始めましょう!!!」
ミナト(内心)
(……これなら……
Bチームの“勝ち筋”を……
潰せる……)
(暗転)
────────────────────────
◆【台本】2日目:練習終わり、片付け中
────────────────────────
【ト書き】
秋の冷えが練習場の熱を急速に冷ます。
伸びた影法師が複数揺れている。
はるな
「ミナト」
ミナト
「はい?」
はるな
「目付、どこで知ったの?」
ミナト
「……戦技については、騎士系、戦士系の2大系統を書籍で……」
はるな
「そう……今度その本教えて」
ミナト
「分かったよ、題名については明日書いて持ってくる」
はるな
「うん、じゃまた」
ミナト内心
「みんな帰ったか……ランドと琉生、帰るの早かったな
道具は元の位置に戻した、後、鍵も閉めた。帰ろ」
────────────────────────
【宿舎】(夜)
────────────────────────
【ト書き】
夜。宿舎。
谷底が冷える。ミナトが椅子に沈み込む。
ミナト
「疲れた……多い」
「琉生とランドもう少し言うこと聞いてほしい……
芽衣先輩、楽だ……大和先輩も楽だ……
颯太先輩は、何だろうあの人追跡者に似てる。
蒼空先輩は、落ち着いたランドみたいな人だな。ちょっと失礼か……」
リーン
「主様、手紙が届いております。旦那様と奥様からです」
ミナト
「リーン、ありがとう」
(間)
リーン
「どうでした?」
ミナト
「母さんは、体調の心配と友達を連れてこい、だって、父さんは……
・今日はこれだけのことをしたと言えるか?
・一つの事に集中しろ、目の前の人と物に集中しろ
・楽しそうな事と楽しいことを区別しろ
・ほんとうに大切なものはすべて「手の届くところにある」
・お金の使い方を学びなさい
だって。難しいことも書いてる」
リーン
(少しだけ目を細める)
「旦那様らしい」
リーン
「今日は一段と冷えが来ています。こちらはヨロカノよりも冷えるそうで
暖をを取ってお休みください」
【ト書き】
リーンが、一礼する。
リーン
「本日はお疲れさまでした」
ミナト
「……お疲れ様……」
【ト書き】
リーンが退出する。
ほどなくしてミナトの部屋から灯が消え、静寂が灯る。
────────────────────────
◆【台本】3日目:実戦形式の模擬戦(決定稿)
────────────────────────
【ト書き】
3日目の朝。宿舎
本棚から本を取る。
『平賀内角 これで君も一流の戦士になれる戦技体系のすべて ~~たくさんから選ばなくてもこれだけで十分~~』
ミナト内心
「これだったな。平賀内角っと、うぉ!この本300年くらい前に書かれてる。すげぇな……大丈夫か?
いやでも、わかりやすかったし、実際、色々食らって、この本、本物だって感じたしな……」
目をつぶり開けた瞬間、そこにはるなの細剣がある光景を思い出す。
「さて行くか……」
【ト書き】
練習場
ミナトは誰よりも早く来ていた。
ミナト内心
「はるなの時間を使わせないようにしないとな。
実際、良い本だったな。お蔭で戦技の質と幅をある程度想定できた。
――あ、来た。一人……」
はるな
「おはよう」
ミナト
「おはよう」
はるな
「早いわね」
ミナト
「あ、例の本……このメモ」
【ト書き】
ミナトは今朝起きてから書いたメモを渡す。
はるなは受け取り、そっと目を通す。
はるな
「ありがとう、手間かけさせちゃったわね」
ミナト
「いや、何かの足しになれば良いんだ」
ミナト内心
「はるなは前衛、前衛の指揮いまだに見えない。
うん、後姿を見ていてもわかる。
俺が指示するより動きが速い……ん?
いや、まて、はるな一人ならまだいけるか?
でも、あそこに颯太先輩と大和先輩が並ぶと……
カウォス!!!先がぶれ過ぎて見えない……」
【ト書き】
数分も待たずに、メンバーが集まる。
訓練場には、昨日までとは違う緊張が漂っている。
今日は“実戦形式”の模擬戦。
木槌、象徴、揺らぎ、行動不能化――
すべて本番と同じ条件で行われる。
大和
「よし、今日は“本番の動き”を確認するぞ。
木槌の動き、象徴の揺らぎ、行動不能化……
全部、実際にやってみる」
ミナト
「……はい」
【ト書き】
ミナトの返事は小さい。
昨日からの“全体指揮が遅れる”の
解決策が見えていない。
────────────────────────
◆ 午前:実戦形式の攻撃練習
────────────────────────
◆ ① 木槌の動きとパスの速度
────────────────────────
【ト書き】
木槌が中央に出現する。
颯太が一瞬で拾い、はるなへパス――
はるなが受け取る瞬間、木槌が“重く”なる。
はるな
「……魔力、使えない……」
ミナト
「木槌を持つと魔力封鎖……
パスの速度をもっと上げないと……!」
蒼空
「颯太、パスが遅い!」
颯太
「分かってる!」
【ト書き】
颯太→はるな→大和→ランド→颯太……
パスが高速で回るが、精度が安定しない。
朔太郎
「パス成功率、62%。
行動不能化のリスクが高い」
ミナト(内心)
(……小槌の効果が強い……
すぐ動けない……
パスが遅れる……)
【ト書き】
はるなが、手を握りこんだり、
足首を回したりしている。
はるな
「もう一回、いい?」
【ト書き】
皆が見る。
颯太
「もう一回だ!」
はるな(小さく)
「颯太先輩、螺旋内側に?……」
颯太(小さく)
「そうだ、機も使え」
はるな(頷く)
【ト書き】
颯太が木槌を取る。
颯太の動きが鈍る。体の外周を回すように勢いをつけてはるなに投げる。
はるな、空中でつかむ。
勢いを殺さないよう転がり、立ち上がり跳ねる。
勢いが死なない。速度が落ちない。
2メートル、5メートル進んで、失速し、大和に投げる。
大和→ランド→颯太……
パスが回る、はるなと颯太が速い、木槌を持っても他のメンバーと違い
速度が落ちない。
大和
「颯太!、はるなすごいな!どうやったんだ?」
ランド
「颯太先輩!教えてください!」
ミナト内心
「戦技の応用なのか、木槌をもってもすぐに効果が落ちない?
ますます、多い。先読みしようとすると、はるなと颯太先輩が
8人くらいに見える……。
なんか狡いな……逆にちなつ先輩もできるってことか?
はぁ、ランドの目の輝きみてたら、どうでもよくなってきた……」
芽衣
「ミナト君、おとちゃんの仕掛けの事でちょっと相談があるんだけど?いい?」
ミナト
「はい、なんでしょう」
【ト書き】
振り返ったとき、ミナトの笑顔がいつもより
いっそう笑顔だった。
────────────────────────
◆ ② 象徴の揺らぎへの対応
────────────────────────
【ト書き】
象徴が“ふっ”と揺らぐ。
位置が数メートルずれる。
ランド
「うわっ!? 動いた!」
琉生
「揺らぎの周期、まだ読めない……!」
大和
「象徴が揺らぐと、攻撃の“線”がズレる。
これは厄介だぞ」
颯太
「即断だな」
はるな
「……うん」
芽衣
「それで、おとちゃんだけど、大技も……」
ミナト内心
「……うん、前衛の指示は……今の俺には無理だ。
前衛は俺が指示するんじゃないな。じゃあどうする?
出来る事を考えると、俺はたぶん前衛を活かす方向の方がいいんだ
大和先輩、颯太先輩、そして、はるな、今は、言える事
何も見つからないからね……
木槌をもって象徴をこういう感じで叩く、すると砕ける。
相手が悔しがり、後ろを見ると仲間が喜ぶ、いける!いいぞ!……
でも俺には届かない……いや、違う。形を作る!やれる!……
でも、……いや!
悔しくはないぞ悔しくはッ」
芽衣
「………ってやればいいと思うの、どう思う?
ミナト君?……ミナト?」
ミナト
「はい、おとの大技ですね。良いと思います」
芽衣
「ごまかせてない、しっかり聞いて!」
ミナト
「はい、すみません。ちょっと、前衛職がかっこいいなって思ってしまってて」
芽衣
「まぁ、そうね。どうしても出来ないことをやられちゃうと……ね
わかる……でも、おとちゃんの事も考えてあげないと」
ミナト
「はい、すみません。しっかり聞きます」
ミナト内心
「目の前の人に集中しろっか……、父さん正しいよ」
芽衣
「で、つまり……ということ」
ミナト内心
「なるほど、おとにそういう術があるんだな、それを、切り札の一つに、いいぞ~楽しくなってきた!」
ミナト
「わかりました、ここって時に打ちましょう!いいカードです。」
芽衣
「うん、そうね。おとちゃんとも精度と速さをあげられないか話しておく」
【ト書き】
琉生が幻影で分身して3体に分かれて走っている。
その後ろを朔太郎と蒼空先輩が追いかけている。
琉生
「へいへーい、朔太郎、そっちじゃないよ、蒼空先輩、其れも外れ!
木槌はこっちでぇええす!」
────────────────────────
◆ ③ 行動不能化のタイミング
────────────────────────
【ト書き】
蒼空が木槌を持った瞬間、
琉生が“軽い拘束”をかける。
蒼空
「うおっ!? これ、動けねぇ!」
琉生
「木槌持ち、行動不能化されやすいって……
本当だ……!」
ランド
「声出さないと死ぬぞこれ!!」
琉生
「ランド、死にはしねぇよ!」
ランド
「いや、死ぬって!!」
芽依
「ランドくん、落ち着いて!」
ミナト(内心)
(……木槌の魔力封じは強い。颯太先輩とはるなだけだ
パス前提のキャッチだな……ん?待てよ木槌を囲うってのはどう
なんだ?)
ミナト
「大和先輩、木槌を防御障壁で囲ってしまうのはどうなんですか?
敵が手出しできなくなりますよね?」
大和
「メンバーへの行動不可は認められるが、木槌に対する操作は認められていない。
魔道具の利用と同じとみなされて反則とされてしまうな」
ミナト
「群がる敵をはめるのは問題ないってことですか?」
大和
「問題ないな、実際、昨年ちなつが、フィールドを耕して、相手チームの機動力を奪った」
ミナト
「耕す?え?耕す!?」
大和
「はっは、あいつの面圧は規格外ってことだ」
────────────────────────
◆ 午前の気づきまとめ
────────────────────────
ミナト:
(木槌の操作は反則、メンバーを押さえるのはあり
そして、木槌を持っても落ちない二人。
象徴までの線の確保……
とる。見る、走る、投げる。結局これか、
これをする。させない。それがすべて……)
ランド:
「声を出さないと死ぬ!!」
おと:
(……凸凹……味方の足を奪わない様に……
タイミングと場所……もっと考えないと……
それから、例のあれ、やるぞ、燻製箱より簡単!)
芽依:
(励まし……声かけ……
みんなの戦術が形になる……
去年は大和中心だった、今年は……ミナト君)
大和:
(後輩の成長速度……やばいな……
昨日より全員速い……
芽衣も気づいているな。
入り込んでいる。あいつらしい)
琉生
「俺の幻影みやぶれんっしょ?」
朔太郎
「確かに厳しい。視線誘導もやってる?」
颯太
「誘導いれてるな、視点を奪われて、一拍、気になる。
そっちを追ったら負けが多い」
蒼空
「はるな、息が上がらないな。鍛えてるのか?」
はるな
「はい、颯太先輩の螺旋が楽です」
蒼空
「く、ここだけの話だが、あいつはニンジャ志望らしいからな
戦技は『隠し』向きだ」
はるな
「ニンジャ?そっか、だから木槌の効果からも、少し隠すことができてるんだ」
蒼空
「俺が言ったっていうなよ?はるなだから言った」
はるな
「はい!」
────────────────────────
◆ 3日目 昼休み:会話になってない会話
────────────────────────
【ト書き】
芽衣はバスケットを開き、中から切り分けられたパンと
ハムを取り出して、サラダを添えてだす。
隣で桜都も手伝っている。
大和
「芽衣、旨そうだな!いい匂いだ」
芽衣
「ちょっと香辛料足したの、ドレッシングはピエトロね、どうぞ」
大和
「ありがとう、いや、腹が減る」
ミナト
「芽衣先輩ありがとうございます」
芽衣
「いいえ、昨日はありがとうね。ドレッシングは?」
ミナト
「あの醤油のでお願いします」
芽衣
「はいどうぞ」
はるな
「おとちゃん、ピエトロで」
おと
「はるなちゃん、どうぞ」
はるな
「ありがとう」
琉生
「おとちゃーん、俺も、( ゜д゜)クレ」
おと
「……」
ランド
「芽衣先輩、醤油でもらってもいいですか?」
颯太
「おい、琉生、早くしろ」
琉生
「おとちゃん、ごめん、フレンチでください」
おと
「はい、琉生君」
芽衣
「どうぞ、ランド君」
蒼空
「芽衣、すまん、ドレッシングなしで」
芽衣
「どうぞ、蒼空先輩」
朔太郎
「おとちゃん、醤油でお願いします」
おと
「どうぞ」
【ト書き】
パンを食いながら、舌鼓を打つ。
ミナト内心
「旨い!パンにしみるハムのうまみ、パンの香ばしさがそれに答えてる
それに、ドレッシングだ、舌に乗せたとたん唾液が出てくる。
サラダを砕くたびに口の中に味が広がっていく、旨い!」
「咀嚼が止まらない。次だ、次を、噛みたい。
旨い、くどくない、口の中に広がる味を残しておきたいのと
早く飲み込みたいのが喧嘩する!」
【ト書き】
二つの筋肉がにらみ合っている。
蒼空
「ランド」
ランド
「蒼空先輩」
蒼空&ランド
「「うぉぉおお」」
芽衣
「二人とも、負けるな―」
大和
「蒼空先輩に食いつくなんてランド凄いぞ!」
【ト書き】
ガブリ四つになり、足を鳴らす二人。
声を飛ばす二人。
ミナト内心
「んーー、この味、ほんとにすごい、いつまでも食べていたい
満腹感があってもなお、食べたくなる。旨い」
【ト書き】
パシン、パシンと手に持った小石を砕き砂に変えながら
何かを考えているはるな。
朔太郎とおとは、無言で食べている。
その少し外れたところで、声を掛けようとして何もしない琉生が居た。
【ト書き】
秋のベイルスレイブの空は高い。
が、冷えが忍び寄り、立ち止まると肌寒い。
ミナト内心
「食欲の秋か、体を動かした後はなおさらだな……
運動と彼女の料理を掛けまして、旨さ倍増、止まらない咀嚼!
……笑いの才能も、あったりするぅ?」
「ミナト、解説してるね」
ミナト内心
「はぁ?リーン????どこにいる?」
周りを見まわすミナトだった。
────────────────────────
◆ 午後:攻撃パターンの模索
────────────────────────
【ト書き】
午後。
Aチームは攻撃パターンを固めようとするが――
“最後の一手が決まらない”。
颯太
「はるな、ここでパスを出せ!」
はるな
「……違う。象徴が揺らいだら、走る!」
大和
「いや、揺らぎは読めない。
その場で最適解を出すしかない」
【ト書き】
三人の動きが“ズレる”。
個々は強いが、連携が噛み合わない。
朔太郎
「前衛三人の動き、同期率が低い。
個が最適化しすぎている……」
芽衣
「うーん、はるなちゃんかな、少し我が強い……」
ミナト
「……つまり……
“攻撃パターンが衝突している”……」
蒼空
「じゃあどうする?」
ミナト
「その場その場で、
個の力を最大化するしかない」
ランド
「個の力って……
つまり筋肉か?」
琉生
「ランド、黙って」
────────────────────────
◆ 極限状況の訓練(突破のための条件)
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ミナト
「極限を設定します。その状況で考えることなく動ける
道を探します。うちの前衛は、速い、判断も的確です。
でも、象徴の動き、木槌の負担、考えて動くと遅い。
即興ではかみ合わない。
だから……
“四方八方から拘束技が迫る状況”で、
木槌を持った状態で動く練習をします」
大和
「いいな。実戦に近い」
颯太
「やるぞ」
はるな
「……うん」
【ト書き】
おと、芽衣、琉生が束縛魔法を
蒼空、ランド、ミナトが木槌奪取を
朔太郎が、記録を取る。
四方から拘束魔法が飛ぶ。
木槌を持った颯太が避ける――
二人目が迫る。
颯太
「ミナトが来た!」
はるな
「パス!!」
【ト書き】
颯太→はるなへパス。
はるなが木槌を受け取る瞬間――
“黒い流れ”が走る。
大和
「……はるな、速すぎる……!」
蒼空
「魔力封鎖されてるのに……
なんであんなに安定してるんだ……?」
芽依
「はるなちゃん……
木槌持ってる時の方、落ちない、速い……?」
朔太郎
「“木槌持ちのはるな”は、颯太先輩を……超えてます。最速です」
ミナト
「続けよう!」
皆
「おーー」
ミナト(内心)
(……これだ……
魔力が使えなくても、
はるなは“速くて安定している”……
木槌を持たせるなら……
はるな一択……)
ミナト内心
「まて、琉生、妨害魔法を投げるのが、楽しそうだな。
普段は、ちょっと当たりがきつい……
だが、わかるぞ、相手が何もできなくなった瞬間を想像してるな……
案外戦闘ではウマが合うかもしれん。
おと、なんだそれ、機械式魔法発生器か?なんて楽に束縛魔法を投げまくってるんだ
無音式回転束縛連続発射進撃魔法ってか……俺、名づけのセンスもあるか?」
────────────────────────
◆ 結論:木槌は“はるな”に回す
────────────────────────
ミナト
「……結論が出ました」
全員
「?」
ミナト
「木槌は――
はるなに回します。
木槌を受け取ったメンバーは、
はるなへの動線を速やかに見切り……パスを出す
考えずに、見て、線を当てて、出す
これで、Aチームの最安定攻撃パターンになります」
【ト書き】
ミナトははるなを見る。そして静かにうなずく。
全員が息を呑む。
颯太
「……納得だ」
大和
「確かにな、はるな、お前が一番“止まらない”」
蒼空
「魔力封鎖されても速いってのは、技なのか?それとも筋肉か?……」
ランド
「筋肉っすよ先輩、そして、うちの同期では、はるなが最強っす!!だれも勝てんす!!!」
ミナト内心
「おおおおい、ランド!、俺、トーナメントではるなに勝ってる、
はるなに勝ってる。二回、眼力で伝えたぞ!、認識改変するなよッ!」
はるな
「……そんな…… 私……」
ミナト内心
「はるな、お前も否定しろ、いや違うのか、誰もランドの言葉を気にしてないのか、落ち着け俺。
心拍数上がったわ。くそっ」
芽依
「はるなちゃん、胸張っていいよ。
あなたが一番“突破できる”」
ミナト
「はるな。
君が木槌を持つ時、
Aチームは“最速”になる。
だから俺は、木槌をはるなに回すことに
このチームを最適化する!」
はるな
「……うん。やる」
【ト書き】
はるなは口角をあげて、しっかりと周りを見据えた後
頷いた。
────────────────────────
◆ 4日目:自由行動
────────────────────────
【ト書き】
3日目の練習が終わり、
全員が疲れ切った顔で集まる。
大和
「明日は自由行動にする。
体を休めろ。
基礎だけやっておけばいい」
蒼空
「無理に動くなよ。
疲労は判断を鈍らせる」
芽依
「みんな、お疲れさま。
ちゃんと寝てね」
ミナト(内心)
(……明日、休んで……
5日目の本番に備える……
はるなに木槌を回す戦術……
これがAチームの“勝ち筋”……)
【ト書き】
Aチームは解散し、
それぞれの宿舎へ向かう。
帰宅路、はるなと芽衣とおとは三人連れ立って、
試合で、ちなつが、結菜が、さやかが、ニーコスが
どう出てくるかを喋っている雰囲気だった。
(暗転)
────────────────────────
◆【台本・完成稿】4日目:自由行動(大和&芽依と遭遇)
────────────────────────
【ト書き】
宿舎の一室。
机の上には、戦術案の紙が山のように積まれている。
ミナトはペンを握りしめ、深く目を閉じている。
ミナト(内心)
(はるなは速い。
俺の計算を上回る速度で突破する。
でも……もし、はるなが拘束されたら?
次に木槌を預けるべきは……
いや、トーナメントの時より速いし、
蒼空先輩に力負けしてなかったからな。
最強だろ、あの子……いや!俺勝ったし!)
【ト書き】
紙には何度も書き直されたAチームの布陣図。
ミナトの手が「司令塔:ミナト」の駒を、
はるなの進路を切り開くための“囮”の位置へと滑らせる。
ミナト(内心)
(だが、万一の時は、大和先輩でもない。蒼空先輩でもない。
俺だ。俺が“盾”になって敵を止める。
はるなを通す。
俺の解析も予測も策も……
全部、はるなという矢を飛ばすための“弓”になる)
【ト書き】
ペキッ、とペン先が折れる。
ミナト
「……勝つ。これで最後の欠片……埋まる」
【ト書き】
静かな覚悟が宿る。
折れたペン先を見つめ、
ミナトは天井を仰ぐ。
ミナト
「……やっちゃった……」
そのとき――
コンコン。
リーン
「主様……少し、外へ出ませんか?」
【ト書き】
リーンがそっと部屋に入ってくる。
ミナトの手元の折れたペンを見てから
ミナトの顔を見て、胸が痛むように目を伏せる。
リーン
「……考えすぎです。気分転換を……」
ミナト
「……そうだね。少し歩こうか」
ミナト内心
「リーンは、こういう時いつも引き戻しに来るな。ペン如何しよう……
これ、凛姉さんが15の祝いにくれたやつなのに」
【ト書き】
二人が廊下に出ると――
ランド
「おっ、ミナト! リーンちゃんも!
どこ行くんだ?」
ミナト
「散歩」
ランド
「じゃ、俺も行く!」
リーン(小声)
「……主様と二人きり……が……」
ミナト
「ランドも来る?」
ランド
「行く!!」
【ト書き】
リーンの青い髪が揺れ、
普段隠されている角が一瞬火花を散らし
ながら覗きでてきた。
リーン
「…………ギリッ」
────────────────────────
◆ 外出:大和&芽依と遭遇
────────────────────────
【ト書き】
三人が校舎裏の並木道を歩いていると、
ベンチに座る二人の姿が見える。
大和
「……でさ、あの時のお前の判断、俺は好きだったぞ」
芽依
「もう、大和くん……そういうの急に言うと照れるってば……」
ランド
「うわっ……リアル恋人だ……」
ミナト
「……あの二人、付き合ってるの?」
ランド
「知らなかったのか!?
あの二人は“選んだ”んだよ。
お互いを!」
【ト書き】
大和と芽依がこちらに気づく。
芽依
「あ、ミナトくん、ランドくん、リーンちゃん。
お散歩?」
ミナト
「はい。少し気分転換に」
大和
「明日が本番だしな。
無理すんなよ、ミナト」
芽依
「ミナトくんは、考えすぎちゃうところがあるから……
ちゃんと休んでね?」
ミナト
「……はい」
【ト書き】
大和と芽依は自然に手を繋ぎ、
夕暮れの並木道を歩き出す。
その背中には、迷いのない“選んだ関係”があった。
ランド
「……いいよなぁ、ああいうの」
ミナト
「……戦闘中に私情が挟まるリスクを、
あの二人はどう相殺しているんだ……?」
ランド
「……は?」
ミナト
「恋愛は“契約と運用”だろう?
戦場は、相棒の――互いの行動を予測し、
リスクを管理していく。
恋愛の契約と運用が戦場で矛盾しないのか?
どうやって最適な関係を――」
ランド
「いや違う!!
違うぞミナト!!
恋愛はもっとこう……
気持ちとか……
ドキドキとか……
そういう……!」
ミナト
「ドキドキ……?
心拍数の上昇なら、戦闘前にも起きるけど……」
ランド
「違う!!
違うんだよ!!」
ランド
「……ミナト、お前……
恋愛の才能、ゼロだな……」
ミナト
「才能……?」
ランド
「例えば、そうだ!
さやかのこと、どう思ってるんだよ」
ミナト
「ランド……いくら何でもこの流れでそれは、
何を聞いているのかわかっているのか?」
ランド
「ああ、もちろんだ」
ミナト
「……あの森を生き抜いた仲間だ……」
ランド
「……さやか……ごめん……」
ランド
「じゃあ、リーンちゃんは?
いつも側にいてくれるじゃないか……」
ミナト
「……一応確認だが……初対面の時、同伴だと伝えた事、
忘れたわけじゃないよね?」
ランド
「それじゃ、わっかんねぇんだよ。同伴てなんだ?」
ミナト
「そっか……リーンは家族だ。僕にとって大事な……生まれたときから側にいる」
【ト書き】
リーンの頬が一気に赤く染まる。
リーン(小声)
「……主様……最高……」
ランド
「リーンちゃん!?なんで今ので喜ぶの!?」
リーン
「主様は……いえ、ランド様にはご理解いただけないと思います……」
(小さく)
「……かぞく……」
【ト書き】
ランドは天を仰ぎ、
リーンは胸に手を当てて熱を抑え、
ミナトは首を傾げる。
ランド
「ミナト、悪かった。踏み込んだこと聞いてな。試合前だってのに」
ミナト
「いや、聞いてくれてありがたかったよ。何を気にしていたのか知れたし。
何より僕も整理になった」
ミナト(内心)
(……人は“選ぶ”ことで関係を作る。
大和先輩と芽依先輩は、
互いを選んだ)
【ト書き】
夕暮れの光が三人を照らす。
影の形がそろっていない。
────────────────────────
【宿舎】(夜)
────────────────────────
【ト書き】
夜。宿舎。
谷底が冷える。声が削れる。確認の声が残りやすい時間。
リーンがミナトに声をかける。
リーン
「主様、あの、昼に言われていたことですが……」
「……リーンは、ミナト、抱きしめていい?」
ミナト
「リーン……それって……」
リーン
「家族といわれました」
「リーンはこの感情をどうしていいか……」
リーンが近づき、ミナトを抱きしめる。
「温かい……ミナト、変わらない……」
「大きくなったね、前はほとんど変わらなかったのに」
ミナトはそっとリーンの背中に手を回した。
「リーン…………」
(間)
「もう、いい?」
リーンがそっと離れると、真っ赤な顔をしたミナトが見えた。
ミナトはぐっしょりと濡れた手を後ろに隠して俯く。
ミナト
「リーン、なんだろ……」
リーン
「ミナト、わかります。それは、大人になっている証拠かと」
「……私も……もう……」
リーンが深々と頭を下げる。
【ト書き】
リーンの声はいつになく熱を持っている。
ミナト
「いや、ありがとう、明日、頑張れる」
「それに、家族は嘘じゃない」
「そもそも、同伴……だろ?」
リーン
(ぱっと顔を上げて)
「はいっ、リーンはミナトの同伴です」
ミナト
「……うん、よろしく頼むよ……」
リーン
「仰せのままに……明日に差し支えます」
「早めにお休みください。お休みなさいませ。主様」
ミナト
「お休みリーン」




