満たされない熱と剣聖の壁 最新版且つ正しいエピソードの時系列位置に配置した版です
# TID:C01_P01_T0801_I00__07R__満たされない熱と剣聖の壁
# EID:07R
# タイトル:満たされない熱と剣聖の壁
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## ■ 季節
・秋
## ■ 舞台
・騎士団養成校協会競技場
・大会会場および表彰会場
## ■ 登場人物
・真壁千夏(16)
・春日井陽菜(15)
・韮塚勇人(剣聖)
・剣原恵(18)
・尾賀誠也(16)
・中川一馬(17)
・刈谷真理(16)
・稲葉真一(18)
・源藤元(18)
・記者たち
・実況
・大会運営関係者
・観客
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## ■ 目的(必ず“増えるのはOK/減らすのはNG”)
1. 千夏の現在地点を戦闘面から描写する
2. 千夏の実力が同世代を大きく上回っていることを示す
3. 千夏が勝利しても満足できなくなっていることを描く
4. 陽菜との実力差と目標関係を再確認する
5. 剣聖・韮塚勇人を物語上位戦力として描く
6. 千夏がまだ到達していない高みの存在を示す
7. 合同課程で得た成長を結果として証明する
8. 将来的な聖級到達への伏線を置く
9. 剣聖・韮塚勇人に興行師としてのパフォーマンスをさせて、記号的キャラではないことを示す
10. 千夏に新しい目標を与える
11. 騎士団側からの正式な評価を獲得させる
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## ■ テーマ
「勝者の空虚」
「壁の向こうにある高み」
「才能ではなく成長の途中」
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## ■ 物語構造(Dual Structure / Multi Structure)
Aパート:秋季個人戦術技大会における千夏の圧勝劇
Bパート:剣聖・韮塚勇人との敗北を通じた新たな目標の獲得
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## ■ beats(物語の流れ)
① **Scene1:満たされない大会**
・千夏が大会へ全力で挑む
・全試合を本気で戦っている
・しかし死線の緊張感が存在せず物足りなさを感じる
② **Scene2:トーナメント進行**
・一回戦から実力差を見せつける
・二回戦で真理を下す
・三回戦の中川を最も面白い相手だと感じる
・準々決勝と準決勝を危なげなく突破する
・決勝で剣原恵を破り優勝する
・大会全体に物足りなさを覚える
③ **Scene3:優勝者インタビュー**
・千夏が謙虚に受け答えする
・記者が対立を煽る
・騎士団軽視という空気が作られ始める
④ **Scene4:剣聖の提案**
・韮塚勇人が場を収める
・騎士団の名誉を守るため自ら出場を宣言する
・エキシビジョンマッチ開催が決定する
⑤ **Scene5:剣聖との戦い**
・千夏が開幕全力を叩き込む
・勇人は一歩も動かず対応する
・千夏は技術そのものを認識できない
・圧倒的な差を体感する
⑥ **Scene6:敗北**
・勇人の一撃で吹き飛ばされる
・執念で立ち上がる
・気付けば切先を突き付けられている
・千夏が正式に敗北する
⑦ **Scene7:陽菜との会話**
・陽菜が勇人の余裕の無さを指摘する
・千夏は信じ切れない
・陽菜が次は勝てると励ます
⑧ **Scene8:剣聖の独白**
・勇人が千夏の成長を認める
・すでに聖級への階段を感じ始めていると評価する
・今回の戦いでさらに伸びたと判断する
⑨ **Scene9:表彰式**
・千夏が大会優勝を正式認定される
・剣聖から特別所見が与えられる
・将来性を高く評価される
⑩ **Scene10:帰路**
・合同課程卒業条件の進捗を確認する
・陽菜が追い付く宣言をする
・千夏は過去より前を向いている
⑪ **Scene11:部屋での余韻**
・賞状を読み返す
・韮塚の本音を発見する
・剣聖の意外な一面に苦笑する
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## ■ 物語の意義
・千夏が同世代の頂点級戦力へ到達していることを示す
・ それでも上には剣聖という圧倒的な壁が存在することを描く
・ 陽菜との関係を「後輩と目標」の形で再確認する
・ 千夏の成長物語を次の段階へ進める
・ 将来的な聖級到達の可能性を正式に示唆する
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## ■ 次回へのフック
・ 千夏は本当に聖級へ到達できるのか
・ 剣聖が見た「階段」とは何を意味するのか
・ 危険度四単独解決という次の目標を達成できるのか
・ 陽菜はどこまで千夏へ迫れるのか
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## ■ 固定ルール
- この台帳は “増えるのはOK/減らすのはNG”
- beatsは 最低3以上(短縮禁止)
- 目的は 2項目を基本とし、削除不可
- 物語構造(A/Bパート)は必ず記述
- テーマは 最低3行
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秋季個人戦術技大会 ― 混ざった眼と、満たされない熱
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【Scene 0:大会前日・合同課程の廊下】
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【ト書き】
昼前の合同課程。
窓から差し込む光が廊下の床を白く照らし、
訓練帰りの生徒たちの影が長く伸びている。
壁にもたれていたのは、背の高い女性だった。
肩にかかる程度の濃い茶色の髪。
鍛えられた肩と脚を持つ、健康的な体格。
訓練服の上からでも分かる均整の取れた身体が、
長く積み重ねた実戦経験を感じさせる。
ちなつは胸の前で参加証を持ち、
書かれた文字をじっと追っていた。
そこへ、一人の女性が近づいてくる。
姿勢はどこまでも真っすぐ。
腰まで流した黒髪が揺れ、
肩に掛けたタオルが訓練帰りであることを示している。
はるなだった。
はるな
「……それ、戦技大会の参加証?」
ちなつ
「うん。参加者六十四人、六回戦勝ち抜き。
“精神と健やかな肉体を育てる”って建前の大会。」
はるな
「いいなー武道の実戦。
……懐かしいな。あの教官元気かな」
ちなつ
「教官はわからないけど、あのオッサンは元気だと思う」
【ト書き】
ちなつは参加証を指で軽く折り曲げる。
その仕草に、はるなが少しだけ眉を寄せる。
はるな
「……韮塚さんか……懐かしいです。
参加理由は、卒業要件だけですか?」
ちなつ
「……んふっ
合同課程に来てから、大分もまれたからね、
昔の自分がいた場所で、今の自分を試せる」
はるな
「古巣に、ちなつ先輩の今の力を……」
【ト書き】
はるなの口角が上がる。
ちなつ
「うん。
伸びたと思う。で、あっちの最強と今の私
どっちが上なのかなーとね」
はるな
「……行けます!、絶対優勝行けますよ!先輩」
ちなつ
「後輩、私は、優勝狙ってるよ!」
【ト書き】
はるなが突きだした拳に、ちなつは拳を合わせる。
ちなつは参加証を胸ポケットにしまい、
廊下の先に伸びる光の方へ歩き出す。
その背中を、はるなが静かに見送った。
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【Scene 1:大会前日・夜】
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【ト書き】
こぼれる汗。沸き立つ気配。
釣り下げられた鉄球が振り子のように揺れて迫りくる――――
大剣を正眼に構えた剣の腹で、鉄球の軌道をそらし、またそらし、小一時間。
真壁千夏は、
何度も何度も同じ動きを繰り返していた。
振る。
止める。
踏み込む。
振り返り――――
振る。
止める。
踏み込む。
振り返り――――
その動きは、
今の自分を作った原点へと繋がっていた。
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騎士教官
「いいか、騎士の技は武器の拡張だ」
「届かないを届くに変える」
「騎士の戦技とはな、相手から距離という逃げ道を奪う者だ」
「まずこれが、飛影剣だ」
【ト書き】
教官が腰に構えた剣を振り下ろす。
剣は届かない。
そのはずだった。
だが。
不可視の何かが伸びる。
離れた先の人形が、
遅れて真っ二つに裂けた。
────────────────────────
騎士教官
「そして飛盾打」
【ト書き】
左腕の盾を心臓の前へ持ってくる。
一瞬。
盾がぶれたように見える。
次の瞬間。
盾の前方に放たれた不可視の衝撃が、
人形を弾き飛ばした。
────────────────────────
騎士教官
「最後が大鎧だ」
【ト書き】
振り子のように吊るされた鉄球が放たれる。
鉄球は戻る。
当然、
教官へ直撃する軌道。
しかし。
ギンッ。
金属音。
鉄球は教官へ届く前に弾かれ、
力なく垂れ下がった。
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騎士教官
「飛影剣も」
「飛盾打も」
「大鎧も」
「本質は一つだ」
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入学したばかりのちなつ(8歳)
「一つ?」
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騎士教官
「相手に選ばせないことだ」
「届かないと思った場所へ届く」
「安全だと思った場所を壊す」
「通ると思った道を塞ぐ」
「騎士は相手の自由を削る」
「それが分かれば、相手は攻めてこない」
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【ト書き】
その時は、
何を言っているのかよく分からなかった。
飛影剣は飛影剣。
飛盾打は飛盾打。
大鎧は大鎧。
大鎧は別として、相手を倒す技で別々と思っていた。
────────────────────────
【現在】
千夏
「……違ったんだよね」
【ト書き】
飛影剣。
飛盾打。
大鎧。
全部同じだった。
私はある時、分かった。
騎士の技とは、
武器を伸ばす、違う、
届かせる、違う、
相手に、『届かせない』技だ。
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千夏
「本質は、相手の攻撃を届かせない、
相手の攻撃を塞ぐ、
そして、相手を逃がさない。
つまり――」
【ト書き】
空間が軋む。
見えない盾が一枚。
二枚。
浮かび上がる。
にんまりと笑う。
────────────────────────
千夏
「こうやって、『面』にすればいいんだ」
【ト書き】
空間が軋む。振り子の鉄球が降りあがったところで
2枚の盾に支えられ止まる。
外れ流れてくる、ちなつの剣に触れる前に、逸れる。
逸れたとき、うっすらと不可視の盾が見える。
通り過ぎた鉄球がまた空中で止まる。
鉄球を支えていた鎖が切れる
が
鉄球は宙に浮いたままだった。
しばらくして鉄球が落ちる。
────────────────────────
【Scene 2:トーナメントの軌跡】
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【ト書き】
一回戦相手
源藤元 vs 真壁千夏
源藤元が、踏み込んで剣を振る。ちなつ剣を合わせる。
ギィィィン、甲高い音が鳴る。
同時にちなつが左にかわすように避ける。
直後、地面が鳴る。
ちなつ内心
「飛影剣の反射!?いや、遠距離遅延発生だ、発生場所も背後とか、いやらっし!!」
「でも、見える。次はアッチ、その次は、こっちか」
「……なめてたわ、気合入った!」
ちなつ内心
「まずは面ではじいて、面を置く……あ、当たっちゃった。
避けるセンス無いねー、あー、勢いよく転がってる」
「……剣、置いてみる」
実況
「そこまで!勝者、真壁千夏!」
ちなつ内心
「……終わった……」
【ト書き】
二回戦相手
刈谷真理 vs 真壁千夏
二回戦目。
古巣の仲間――同期の真理。
ちなつ内心
「はい、足、胴、首とかわしにくいところから順に攻めてくる。王道だね」
「はい、横、横、下、上と左右からの上下への変化。王道だね」
「はい、突き、通り抜けてからの、回転で斜め切り上げへ変化。王道だね」
「はい、手を出すと、伸ばした手を狙う、かがんで足元を狙う。王道だねー!!!」
「じゃ、攻めてみよう、知ってるよね、私の上下面圧……と横に逃げても転がすちっちゃい、側の面置き」
「お、横に避けた、あ、引っかかって転がった。起きない?……剣、置こ」
実況
「そこまで!勝者、真壁千夏!」
【ト書き】
ちなつが、古巣の席側を見る。
真理が泣いて、誠也と藤次が話を聞いている。
ちなつ内心
「……真理、泣いてる……そんなに悔しいの?」
(冷めた目を少しだけ混ぜて)
「……そういう所も、変わらないね。ずるさがない。もっと工夫が無いと通じないよ」
【ト書き】
三回戦相手
中川一馬 vs 真壁千夏
【ト書き】
中川が、その場で剣を振る。ちなつは面で受ける
ギィィィン、甲高い音が鳴り、少し遅れて地面が叩かれる。
ちなつ内心
「速重ッ……」
【ト書き】
ちなつ、前進して面圧で中川の左右を囲い、中川を正面から剣で打つ。
中川が左の面圧を砕き、ちなつの側面に回り、剣を打つ。
ちなつ、面圧で体を強制的に加速、ずらしてかわす。
ズバァアアア!
遅れて音が鳴る。
ちなつ内心
「やる、ギア上げる。本気の面圧を打つ、弱い、強いの順だ」
【ト書き】
中川が面圧を1枚砕いた後、一拍遅れて吹き飛ぶ。地面を転がる。
遅れて音が鳴る。
ギャン!ドォゴォオオ!
ザザザザ
【ト書き】
ちなつは飛来してきた飛影剣を面圧ではじく。
ギィィィン
バシバシ
【ト書き】
痛みで上がらない片腕をだらんと下げた中川が、片手で剣を構える。
【ト書き】
ちなつは正眼に構え、かぶりを振って、下ろす。
無数の飛影剣がちなつから、中川に放たれる。
【ト書き】
中川が片手で剣を振う。
ギィィィン
バシーーーーン
一筋の打撃が中川の胴を薙ぎ、中川が倒れる。立てない。
実況
「そこまで!勝者、真壁千夏!」
ちなつ(汗を拭いながら)
「……うん、こう来なくちゃね」
【ト書き】
準々決勝戦。
稲葉真一 vs 真壁千夏
【ト書き】
稲葉が躍りかかる。速い。
ちなつが剣で受ける。受けられた後、稲葉が飛び跳ねて下がる。
音と同時に、突風が二人を中心に広がる。
ギィィィン
ゴォッ
ちなつ内心
「……まっすぐ来た。力も強い。」
【ト書き】
稲葉が再び襲い掛かる、下段からの切り上げ。
ちなつが面圧を稲葉の背後に置き、持っている剣の切っ先を稲葉の小手に置く。
ギィィィン
ちなつが置いた剣を稲葉は火花を散らし払いながら、弾けるように稲葉が飛びのく。
着地した瞬間、ちなつの面圧で稲葉がはじけ飛ぶ。
起き上がらない。
実況
「そこまで!勝者、真壁千夏!」
ちなつ(剣を収め、息を吐きつつ)
「こういう子いるんだね。力任せで気持ちいいけど、それだけじゃ……ね」
【ト書き】
準決勝戦。
尾賀誠也 vs 真壁千夏
誠也
「ちなつ、真理の様にはいかないぞ!」
「合同課程でつけた力を見せてみろ!」
【ト書き】
誠也は第一騎士団の礼を行った後、剣を構え、突っ込んでくる。
ちなつは誠也の突撃を剣で受ける。
一瞬遅れて金属音が響き、突風が舞う。
ギィィィン
ゴオォォ
ちなつ(内心/身をかわしながら)
「……あぶなっ!はやっ!意外に重い、逃がしとこ!食らったら痛いかな?どうだろ?」
【ト書き】
ちなつは距離を取り、上下左右の面圧で包囲攻撃を仕掛ける。
誠也は正面の上段面圧を打ち破り前に突っ込んでくる。
そのまま再び鍔迫り合い。
ギィィィン
ゴオォォ
ちなつが後ろに跳ねとぶ。同時に誠也が少し下がる。
バン!
二人の居た地面に亀裂が入り、音が鳴る。
ちなつ内心
「誠也の飛影剣、見えてるよ、狙いどころが鍔迫り合い……
動きが止まって焦点が固定されるから恰好の的だっていう教科書ね……
なんか、綺麗だなぁ」
「よし、一発本気で撃つ」
【ト書き】
ちなつが、腰を落として、気合一閃、面圧を放つ。
誠也とちなつの間の地面がスコップでひっくり返しているようにめくれ上がっていく。
誠也が慌てて、横に逃げる。
【ト書き】
その先にちなつ、飛影剣を飛ばす。
誠也避けるが体勢を崩す。
ちなつは自分の体を面圧で押し、一気に距離を詰めて、誠也の眼前に剣を置く。
実況
「そこまで!勝者、真壁千夏!」
【ト書き】
勝利したものの、戦いの余韻は驚くほど薄い。
ちなつ(冷めた息をつきながら)
「……なんか、戦い方がきれいすぎる。
これじゃ……大和や蒼空、シウバ先輩とやりあった時の方が面白いね」
【ト書き】
決勝戦。
剣原恵 vs 真壁千夏
第二養成校の首席。
ちなつ内心
「構えがきれいだな。ちょっとはるな似てるかも。髪の毛も黒いし」
【ト書き】
剣原恵が開始の合図とともに、一歩前に出る。
ちなつの目にその瞬間無数の飛影剣が、広範囲に放たれるのが見えた。
ちなつ(内心/次々飛来する軌道を見切りながら)
「……多いい!!!!、誠也より速い!!!!あぶなっ、逃げたところにも来る!!
当たり前か……でも、軽い!!食らっても痛くないかもしれない」
【ト書き】
ちなつが踊るようにステップを踏み躱わし続ける。
恵は刺突の構えを取り、腰を落として、走る。
ちなつ内心
「刺突か……っと、その前に」
【ト書き】
好奇心に負け、次々飛んでくる飛影剣の一発を、わざと正面から受けてみる。
――やっぱり、痛くない。
ちなつ(内心)
「……軽いなぁ……じゃあ、こういうのはどう?痛い振りっと、引っかかるかな?」
【ト書き】
ちなつが刺突を避けながらも、飛影剣を受け、
その顔が歪むさまを交差する瞬間に恵は見ていた。
恵の顔に笑みが浮かぶ。
刺突の交差で、立ち位置が綺麗に入れ替わった。
【ト書き】
恵、再び無数の飛影剣を飛ばす。
ちなつ(内心)
「あちゃー解りやすすぎ、こんな軽い飛影剣でも連続発動で、ほら、術後硬直……」
【ト書き】
ちなつ、面圧に角度をつけて置き、迫りくる飛影剣を後方に流しながら前進して――――。
術後硬直でわずかに動きが止まる恵の前に立ち、剣を置く。
実況
「そこまで!勝者、真壁千夏!」
「真壁千夏、優勝です!!!」
ちなつ(やれやれと肩をすくめながら)
「……この大会、正直、三回戦の中川君が一番の強敵だったわ」
「……寸止め前提の訓練だとこんなものなのかな……」
「……はるなみたいな子は、やっぱり居ないんだ」
【ト書き】
礼をした後、立ち去るちなつを恵はじっと睨んでいた。
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【Scene:3 エキシビジョンマッチ:韮塚勇人 対 真壁千夏】
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実況
「素晴らしい戦いでした。真壁選手に勝利者の言葉を聞きましょう!」
記者A
「真壁さん、優勝しましたね。今の気持ちは一言」
ちなつ
「……あ、すみません。はい、この大会は目標の一つだったんで優勝できてうれしいです。」
記者A
「誰が一番手ごわかったですか?やっぱり決勝で戦った剣原選手でしょうか?」
ちなつ
「そうですね。彼女の放つ無数の飛影剣は、怖かったです」
記者B
「ほんとですか?正直楽勝だったのでは?」
ちなつ
「いや、そんなことないですよ、皆さんの技量に運よく勝てただけです」
記者A
「次の目標は、連覇でしょうか?」
ちなつ
「そうですね、剣の道は進むと思うので、また、出てみたいと思います」
記者B
「中川選手じゃないですか?ちょっとだけ肝を冷やしたの、でも余裕でしたね?」
ちなつ
「ちょっとごめんなさい、さっきからなんか変ですよ?
全員強かったし、勝てたのは運です」
記者B
「いやね、この大会って騎士団主催じゃないですか、
真壁さんは以前は所属していたと思いますが、いまは、合同ですよね?」
「なんかもう、騎士なんて子ども扱いに見えたもんで」
ちなつ
「ちょっとそんなこと言ってません」
記者B
「みなさーん、この際だ、はっきり、言いましょうよ!!!
みなさんも見てて思ったでしょーーーよ??
子ども扱いされていたって!
舐められてますよ!」
【ト書き】
会場の空気が険悪になっていく。
子ども扱い?手加減してたってこと?
何様?舐めてる?
他の選手弱すぎ?
韮塚勇人
「ちょおおおっとまてぇぇええ」
【ト書き】
勇人がマイクを奪い、声を出す。
勇人
「ここに居る真壁千夏は何も悪いことはしていない。
それは、この大会を見ていた、私が保証する。
だから、誹謗はやめてもらいたい。
……」
【ト書き】
わぁああと湧く会場
勇人
「だが、騎士が弱いかもしれない、と思われるのも
私には許せない。そこでどうだろう?
私と真壁千夏の決戦を見てみたくはないか?」
【ト書き】
うわぁあああああああと湧く会場
パンパンと手を叩く勇人。
大会の運営者の一人
「韮塚会長、いくら何でも、横暴では?規約違反を超えて、規約無視ですよ!」
勇人
「その点、ご心配ごもっとも、しかし……
私は大会の運営最高責任者だ。
しかぁぁぁも、剣聖・韮塚だ!
その剣聖が見極めようってんだッ!!!
……
若手育成の観点でこれ以上どんな手があるか、
賢明な皆さんならお分りでしょう」
【ト書き】
勇人は両手を広げて掲げる。
会場の空気が一変する。
爆発的な声援!
剣聖の剣が見れる!
優勝者と剣聖の戦い!
これを見ないなんて!!!!
もう、建前の立場はない。
【ト書き】
非公式戦。
真壁千夏 vs 韮塚勇人
ちなつ
「なんか、乗せられたっすね」
勇人
「そんなこと気にする玉だったけか?」
ちなつ
「いえ、全然」
勇人
「かぁ、相変わらず、光ってんな」
【ト書き】
ちなつの口角が上がる。
会場の温度が下がる。
実況
「は」
【ト書き】
ちなつの周囲の景色が歪む。
その瞬間、剣聖・韮塚勇人に向けて、地面が四方から巻き上がる。
遅れて音が届く!
ドドドドドドドドドッ
耳がキーンと痛くなったと思ったら目が空気で叩かれる。
開始の合図は確かにかけられた、だが、「は」以外を聞こえた者はいない。
埃が払われると、競技場の中心に2メートル強ほどの小山が出来ていた。
その上に、ゆっくりと剣聖・韮塚勇人が舞い降りる。
ちなつ内心
「へへっ、打ち上げられた的が、下りてきたッ!」
【ト書き】
ちなつはすかさず次の技へ移る。
上下左右のタイミングを完全にずらした飛影剣を乱れ飛ばし、
その避け先を塞ぐように面圧を叩き込む。
しかし――
ギィィィィィィィィィィィィン
耳を覆っても頭が痛くなるような音が鳴り響く。
韮塚勇人は、正眼に構えたまま、ただの一歩動かずに全部打ち砕く。
剣の軌道すら、ちなつの目には視認できない。
ちなつ内心
「ちょっと、最初の全力面圧地面返しはともかく、
今の、どうやって弾いた?剣?発動系?、私、技って認識できてない……
あれ、足動かない……震えてる…………ちょっと凄すぎ」
「あ!!あああと、できることできること……」
【ト書き}
韮塚勇人は悠然と歩を進め、ちなつの正面から、容赦のない面打ちを放つ。
ちなつ内心
「わっ目の前にいる、ちょっ」
ちなつは反射的に飛びのくが、遅れてやってきた凄まじい衝撃波に弾き飛ばされ、
100メートルほど離れた観客席の壁まで激しく叩きつけられる。
ちなつ内心
「あぶっくくぉおぅ」
【ト書き】
ガシャアアアン!!!
競技場を囲む安全用防壁が軋む音が鳴り響く。
ガハッ、と激しくせき込む。
全身は冷や汗でびっしょり濡れ、足元はガタガタと震えている。
それでもちなつは、歯を食いしばり、血の滲むような執念で地面を蹴って立ち上がる。
その背後で、競技場を囲む安全用防壁は、防壁構造がむき出しになりしばらく明滅していた。
【ト書き】
――だが。
立ち上がったその鼻の先に、音もなく、韮塚の木刀の切先がそっと置かれていた。
【ト書き】
実況
「勝者!韮塚勇人ぅぅぅううう!!!!!」
「真壁千夏、破れました。しかし、魅せてくれました。
競技場の中心に小山を作ったのは紛れもない彼女です!!!」
【ト書き】
うわぁあああああああと湧く会場
――試合終了。
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【Scene:4 試合後:客席の隅にて】
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はるな
「さすがちなつ先輩、剣聖韮塚勇人が冷や汗かいていましたよ」
ちなつ(苦笑いを浮かべ、肩を落としつつ)
「よしてよ、コテンパンに敗けたよ……」
はるな(小さく微笑み、目を細める)
「あー、くすくす。多分、外から見てたから分かったんですけど」
「韮塚さん、余裕なかったですよ」
ちなつ
「ほんとかなぁ。何もさせてもらえなかった気がしたけどぉ」
はるな(真っ直ぐな目で)
「嘘言わないですよ。先輩、次は勝てます!」
ちなつ(ふっと表情を緩め、はるなの頭を軽く叩く)
「……ありがと、後輩!」
(小さく)
「ところで……どのへんがあのオッサン冷や汗だったの?」
はるな
「先輩の全方位攻撃をさばいた後、明らかに左手が止まりましたよ?」
ちなつ
「ふーん、ありがとう」
ちなつ(内心)
「はるなは、ほんとにすごくよく見てるね。左手ね……全然わからん」
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【Scene:5 舞台裏:韮塚勇人の独り言】
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【ト書き】
観客のざわめきが遠ざかる通路の陰。
木刀を肩に担いだ韮塚勇人は、誰もいない壁にもたれている。
韮塚勇人
「いやー、久しぶりにいい汗かいたぜ。たまには戦場に降り立たんとな、鈍る鈍る」
【ト書き】
そっと握る力の戻らない左手をさする。
「あいつ、もう聖級への階段の場所、掴み始めているな?」
「次は、最初から全開じゃないと、やばいか?」
「……くくっ、この戦いで何を見た?期待させられるぜ」
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【Scene:6 表彰式】
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表彰状
秋季個人戦術技大会
優勝認定証
所属:冒険者協会立合同課程 二年目
氏名:真壁 千夏
貴殿は騎士団養成校協会主催
「秋季個人戦術技大会」において
第六回戦までの全試合を勝ち抜き
卓越した戦術判断能力、武技運用能力ならびに実戦再現能力を示し
対戦部門において最優秀の成績を収められた。
よってここにその栄誉を称え、 秋季個人戦術技大会対戦部門優勝者として認定する。
今後も研鑽を積み、 騎士・冒険者両界の発展に寄与されることを期待する。
光神歴三千四十四年十一月二十五日
騎士団養成校協会
会長 韮塚 勇人
(公印)
副文
本大会において真壁千夏は全六試合を勝利し、 とりわけ準決勝戦及び決勝戦では極めて高度な戦術技運用能力を示した。
また大会終了後に実施された特別試合において、 剣聖・韮塚勇人との非公式交流戦を遂行し、その技量と将来性を広く示したことを付記する。
会長特別所見
真壁千夏は本大会対戦部門において優勝を果たした。 その剣は鋭く、その戦術は柔軟であり、何より挑戦を恐れない。
もっとも本人は満足していないようだが、それで良い。 満足した剣士は伸びない。
今後のさらなる成長を期待し、本状を授与する。
騎士団養成校協会会長
剣聖 韮塚勇人
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【Scene:7 表彰後:帰り道】
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はるな
「先輩これで……一つですか?」
ちなつ(にまっと笑って)
「うん、一つクリア、あとは、実質、危険度4の単独解決か、5,6のチーム解決でおしまい」
はるな(キラッキラの目)
「早い!合同って普通卒業まで四年ですよね?二年目で?すごすぎます」
ちなつ
「そういうの弱いからさ~やめてよ~」
はるな(真っ直ぐな目で)
「絶対に追い付きます!だって、先輩を倒さないといけないから」
ちなつ(ふっと表情を緩め、はるなの頭を軽く叩く)
「そこは、追い越すっていってよもう」
【ト書き】
宿舎。
ちなつの部屋。
ちなつ
「あー、・冒険者両界って手書きで足してる。しかも、妙に丁寧!
んー、団育成と将来……透けてるし!あのオッサン、
最初は冒険者なんてどうでもよかったんだ!
剣聖より向いてる仕事あるんじゃないかしら……」




