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【正史没ネタ、IF 悪伯爵ミナト】 よろしい、ゴシップの終わらせ方を教えてあげよう

これは没案です。えげつない手法をえがいているために、没案にしてます。

ただ、悪伯爵ミナトシリーズとして、やっていくのも悪くないかなと思っています。



ミナト50歳(タラーナ軍中将にして伯爵)/かざね52歳/リーン52歳/アイリス49歳/はるな50歳


首都。紙の匂いが濃い朝。新聞が一枚、街の空気を変える。

文字は軽い。軽いほど刺さる。


「王女曰く「水理伯爵が、情熱的で-----」」


言い切る前に、人は続きを作り始める。“物語”が勝手に増殖する。




政治談議だった。王族が好むような。

花の値段がいくらだ。麦の値段がいくらで。

市井の民は休日にどのような過ごし方をしているのか…


水理家の作戦机。軽い紙、白紙。線。矢印。

ミナトの目から光沢が落ちる。

落ちるほど、世界は整う。


「よろしい、ゴシップの終わらせ方を教えてあげよう」


そう言ってミナトが義肢の指先でトントンと机を叩いた瞬間から、

タラーナ国の官僚機構を巻き込んだ、恐るべき「外圧駆除システム」の歯車が回り始めた。


これは、一発のゴシップ記事を発端に、ミナトとかざねが国家の制度そのものを利用し、水理家の関与を完璧に隠滅しながら「いつでも立ち上げられるとても都合のいい仕組み」を構築するまでの、一連のスキームの全貌である。


白紙に四つの点が置かれる。

王宮、出版、記者、そして王女。

点は入口だ。


【第一フェーズ】外堀の対処つまり、個別脆弱性の突入


ここで「仕込み」はある。書類に目を通し、端をそろえる。


ミナト

「そろった」

「詰まらせる事」

「変える事」

「止める事」

「全部できる」


ミナトの目は完全に光沢を失っていた。彼は目の前の白紙に、王宮、出版社、記者、そして元凶である王女の4つの「脆弱性」を書き出し、同時に同時並行で叩き潰す指示を下した。


記者の処理: 借金に追われるゴシップ記者の身辺を洗い、どこの闇金からいくら借りているかの裏帳簿を特定。その負債の債権を我が家のダミー会社で「全額一括買い取り」し、合法的に取り立ての主導権を握る。


対抗記事などに使えるネタを供給しながら、徐々に、専属の犬(格安ライター)として囲い込む。


出版社の処理:過去5年分の流通経路と紙の仕入れ、広告費の出所を精査。情報提供者への裏金など「微小な脱税の形跡」を掴み、タラーナ国税庁の生真面目な中堅職員の机に匿名で放り込む。税務調査員は喜び勇んで出版社を追うだろう。

頃合いを見て、白馬の騎士として彼らに手を刺し述べ、該当記事について懸念していることを伝える。


王宮内部の処理:内政官との緊密な空間を撮影させた警備の「穴」を追及。当日の立ち入り許可証と侍従長のシフトを照合し、出版社からの金銭授受を特定。

「王室典範違反(特定業者の優遇禁止)」について調査していると、王室の防衛トップに伝え、引き込みが疑われる、軍としても見過ごせないと協力姿勢を示す。


王女の処理: 過去1年間の「若い実業家A」や「資産家の令息B」との交友関係をリスト化。——調べれば調べるほど、大勢の男が泣かされている。特定の資産家から巨額の通貨(ラナ)が貢がれている裏付けまで取れた。

ミナトは「うわぁ……」と内心で引きつつも、それを王室の婚姻管理部署へ世間話として提出。


【第二フェーズ】トリプル・バッファ(三重の迂回スキーム)


ここからが本番だ


「これらをすべて、同時に、かつ水理家の関与を一切匂わせずに実行する」

ミナトが設計したのは、情報の流通経路を完全に逆探知不能にする迷路だった。


基本的に実行スキームはこうだ


【資金源】ギタル国籍の幽霊貿易会社(ペーパーカンパニー)

│

▼ (融資・家名買い取りの甘い蜜)

【隠れみの】プライドだけ高い没落貴族(ギャンブル破産寸前)

│

▼ (直接の依頼主として発注)

【実動部隊】王都の闇ギルド(ゴロツキの調査員) ──► 各ターゲットの破壊


もし王宮の憲兵が出版社の裏を調べても、行き着くのは「金目当てで出版社を脅そうとした、哀れな自爆没落貴族」である。その貴族自身が水理家の名前を知らないため、ログはそこで完全に暗転する。


さらに、出版社を襲う国税庁の若手職員には「匿名の告発状」としてデータを拾わせることで、手柄を焦る彼らの心理を利用して情報源の追跡を煙に巻いた。


【第三フェーズ】偽装救済法の成立(自動化モジュールの構築)


「だが、いちいち募集するのも面倒だ。向こうから勝手に、全裸で、帳簿を両手に抱えて走ってこさせる法案を作る」


ミナトは姉の凛や王宮の内政官のラインを動かし、財務省の隅っこに一本の法案を通させた。通称『歴史的家格を有する困窮爵位家への、一過性財政支援および復興人道交付金法』。貴族の敗者復活(セカンドチャンス)を謳った救済法である。


「貴族とは、かつて、血を流し、魔物から民を守った英雄の末裔であり、今もなお、その矜持を失わず、盾とならんとしている人たちだ、彼らに救済の手を。我々の国を作り、守り、血を流した英雄に再び栄誉の機会を与えたい」 が効き過ぎたか?みんな目がキラッキラッしていたしな……


情報の自動吸い上げ(ハニーポット)


国庫からほんの少しの端金を予算として付けるだけで、プライドが高く金のない没落貴族どもが蜘蛛の糸に群がる。交付の「厳格な審査」と称して、直近3年分の全口座明細、借入金の全容、交友関係ネットワーク、詳細な困窮報告書を提出させる。


国庫予算によるリスクの外部化

水理は1リムも損をしない。さらに、この救済金の「事務委託先」をかざね(従臣の榊原家)の関連企業で囲い込むことで、国の委託費で榊原家を儲けさせつつ、集まった一級の機密データをノータイムで水理家に直結させる。


これにより、調査コストは実質ゼロ。国庫の予算を使って、我が家の「身代わりを買って出る協力者の最新候補名簿」が自動的に、常に更新され続ける盤面が完成した。


「問題が発生してからスキームを作っていたのでは遅い。手順の自動化だ。これで次からは、どんなゴシップが来ても家族を永続的に守れるぞ……うち、何人かヤバイのいるし……できる!!」


「ん、ミナト、最高にやらしいわね。仕組みの維持保守はこっちでやっておくわ。ふっふっふ……」


「稼ぐ気満点だな、まったく、お主ものぅ。ふっふっふっふ……」


40代を過ぎ、国家の官僚機構すら「身内の火消しの仕組み」として利用するまでに老獪化したミナトと、計算高き共犯者のかざね。二人は作戦室で、完璧なシステムの構築に声を合わせて不敵に笑うのだった。


結果ほどなくして


出版社:不適切な記事である可能性があったため、再度検査を行います。と広報に出す。

王宮:王女の真意は、水理伯爵は政治に熱心であったということで、他意はない。と広報にだす。


結末:世界を統べるシステムと、居間の絶対権力者

「ま、こんなもんか。魔王の方がよっぽどしびれたな」


その背後、音もなく影が伸びた。


「主様、手順をお忘れです」


「え? いや、今回は完璧に消したはず。何が?」


ミナトは怪訝そうに振り返る。記者の負債、出版社の脱税、王宮の典範違反、王女の男関係、そして自動化。論理的な問題はすべて対応したはずだった。


「火消しをする場所が違います、お分かりにならないので?」


「……それ、流行り?」


ミナトはきょとんとした顔で首を傾げた。

「この件で、王家を締めた後、凛姉さんや王宮の内政官にも同じようなことを言われたな……」


リーンの冷徹な、しかしどこか哀れみの混じった瞳がミナトを射抜く。


「では、帰りましょう。おそらく、首を長くしてお待ちです」


その瞬間、ミナトの脳内でカチリと何かの回路が繋がった。さっきまで国家の命運を冷徹に見据えてギラギラと光っていた彼の両目から、瞬時に全ての光沢が失われ、ただの空洞と化す。


「リーン、助けて」


「帰りましょう、首をながぁあああくしてお待ちです」


「……はい」


完璧なシステム開発者は、今や完全に「これから出荷される仔牛」の足取りで、カシャ、カシャと義肢の音を寂しく響かせながら自室の居間へと連行されていった。


カチャリ、と重厚なドアが開く。

そこは、世界のどの戦場よりも濃密な「圧」が支配する空間だった。


「(魔王かな、いや、いつか見た迷宮の深淵に潜む敗けた神かな……どっちにしても……愛してるよアイリス)」


ソファーの定位置に座るアイリスが、いつも通りの、しかしだからこそ底冷えするような極上の微笑みを浮かべてミナトを迎えた。その横では、はるなが複雑な表情で紅茶のカップを握りしめている。


「ね、ミナト、3人目かな? 紹介してくれるのかな?」


「いえ、あれは……違うんだ、いえ、違うんです。説明を」


国家を騙した弁舌はどこへやら、ミナトの口からは小学生のような言い訳が飛び出す。冷や汗が背中を伝い、義肢の接続部が小さく悲鳴を上げた。


「アイリス、ミナトの事情を聴かない? ね?」


はるなが助け舟を出すように口を開いたが、その声もちょっと震えている。彼女とて、アイリスのこの「笑顔の深度」がどれほど危険な域に達しているかは理解しているのだ。


アイリスの視線が、じっとミナトの目を固定する。


「ね、ミナト、わからないとでも? こういうわきの甘さ、私に怒られたいんだよね? ね?」


(わきの甘さ。――これ、詰んだ。ちょっとわきが甘かったねあははっ、でごまかせないコレ。一歩間違えたらこの屋敷ごと物理削除される。ああ、魔王、今だぞ、今こそお前が恋しい)


ミナトの脳内CPUがマッハで弾き出した最適解は、論理的な弁明ではなく、全人格をかけた「全面降伏」だった。ミナトは音を立てて床に膝を突く。


「申し訳ございませんでした」


深く頭を下げたまま、彼は一息に「再発防止策(業務改善命令)」をまくしたてた。


「これに合わせて、今後は、要人、特に女性の要人との会合には家人で信のおけるものを同行させます。さしあたっては、はるなとの子で、騎士団に身を置くあの愚息を同行させます!彼は生真面目で職務に忠実、かつ私の監視役としてもこれ以上ない適任です!」


その必死の提案を聞き、アイリスはふう、と小さく息を吐いて、ようやくその絶対的なプレッシャーを霧散させた。猫が獲物の命を保証してやったかのような、艶然とした笑みが戻る。


「ん。じゃ、私とはるなを抱きしめて、キスすること」


怒りの頂点から一転、提示されたのは甘すぎるほどの「罰(報酬)」だった。

ミナトは、先ほどまで国家予算をハッキングしていた老獪な怪物とは到底思えない、情けなくも心底安心しきった「光沢のない目」のまま、破顔して答えた。


「はい、喜んで」


世界を裏から操る水理伯爵の真の支配者が誰であるか、それを証明するように、ミナトは二人の最愛の妻を両腕で力一杯抱きしめるのだった。背後で、リーンが小さく「やれやれ」と肩をすくめてお茶を淹れ直しているのにも気づかずに

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