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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第53章 ロンドンの夜明け

ロンドン、あまり良い思い出はないなあ。なんか一瞬だけモテたような記憶が...いや、気のせいだろう。


「ここまで来たからにはイギリスへも行ってみたいがの」

「船長、それは無謀です。」

「まあ、そうだろうな。囲まれてハチの巣にされそうだ。」

「ところで偽装マストを獣が登って行きました。」

「なんだと?」

「猿のようです。」

「むう、連れ帰るわけには行かない。捕らえよ。」

「はっ。」



「お、良いことを思いついた!」九鬼船長は手を叩いた。

「へっへっへ、これは楽しいぞ。そして有益だ。」

「何でしょう?」

「これより進路を北へ!イギリスを目指す。」

「船長、それは無謀だと。」

「いや、ロンドンまで押しかけたりはせんよ。近所までだ。」

「と言いますと?」

「イギリス海軍に発見されるあたりまで近づいて急いで逃げる。」

「それに何の意味が?」

「船の速さを見せつけてやるのさ。へっへっへ、ここまでおいで、ってな。」

「ですから、それに何の意味が?」

「金の日の丸、日本の印、それが報道される。」

「はあ。」

「それが潜入している金竜疾風に作戦開始を告げる。」

「なるほど、船長、さすがですね。」



「ハイ、ミスター! How is it going?」

「おお、嬢ちゃんか、きょうはずいぶんシックだね。」

「メイフェアのお嬢様だからね。」

「ほう、メイフェアでメイドをやってるのかい?」

「あのねえ、おじさん、肌の色で人を見積もってはいけないよ。」

「おっと、それはすまない。」

「わたしはメイフェアの館の(マスター)よ。メイドもコックもいるわ。」

「おそれいりました。」

「ドリーム・ツインズって知ってるよね?パンフレットでも記事になってたし。」

「おう、ずいぶんと人気らしいじゃないか。」

「私がプロモーションとマネージメントを司っているの。」

「へえ、若いのにすごいな。」

「ところでおじさん、パンフレット1つちょうだい。」

「はい、まいど。」

「あら、日本の軍艦ですって?」

「うん、なんかすごい速度で逃げていったらしい。」

「ふうん。おじさん、リッチモンドさんに伝えて。果物は熟したって。」



「安寿様、イギリス政府から返答がありました。」メキシコの政務官が書状を渡す。


「Your Excellency, 貴国の申し出を検討いたしましたが、以下の理由で同意できない運びとなりました。まず兵士たちですが、出撃した半分が生き残って捕虜となる事態は、我がイギリス軍において、許されざることです。敵前逃亡は死刑。安易な降伏は禁止。最後の一兵まで相打ち覚悟で玉砕するのが勇猛果敢なイギリス軍の伝統です。捕虜を交換材料にした取引には応じられません。そして、貴国が要求する奴隷貿易の廃止ですが、我がイギリスはそのような非道に手を染めたことは一度もありません。やっていないことをやめろと言われても、空を掴めと言われているようなもので、無理です。Yours sincerely,」



 安寿は捕虜たちを集めてバミューダ諸島まで連れて行った。


「ここから客船が出ているので、イギリスへお帰りなさい。待っている人もいるでしょう。元気な姿を見せてあげてください。それからこの書状を皆さんに託します。イギリス政府からのものです。よく読んで考えてくださいね。」


 ロンドンは騒然となった。パンフレットに奴隷貿易のことが暴かれたのだ。しかも詳細な証拠とともに。多くの市民が王立アフリカ会社へ押し寄せて石を投げた。「地獄に落ちろ!」「恥を知れ!」「この人非人が!」怒号が鳴り止まない。警察も排除できない勢いだ。そもそも明らかに正義は押し寄せた人々にある。


「裁判を起こせ!」

{法で裁かれろ!}

「死刑の要件は満たしている。」

「私は弁護士だ。多くの友と協力して裁きを受けさせよう!」

「そうだ、そうだ!」

「警察も調査しろ!」

「犯人を捕まえろ!」


 数日後にバミューダ諸島から捕虜たちが帰国した。彼らの表情は硬かった。母国が犯した罪を恥じ、そして母国がその罪をごまかそうとしていたことを知って怒り、軍の兵士としての誇りまで傷つけられた。彼らはそれぞれの家族の元に帰り、蜂蜜の聖女に教わった真理の友としての心を語った。彼らの怒りと悲しみは多くの人々に共有され、政府の威信は地に落ちたのだった。



「あの猿はどうなった?」九鬼船長が尋ねる。

「マストを降りてきたのでエサを与えたら、船員たちに懐いてきました。」

「なんだと!」

「蜂蜜をなめて上機嫌です。」

「ふ、ふざけんなあ!なんでおまえらだけでエサやってるんだ!ズルいだろ!」

「はい?」

「エサはわしがやりたいんじゃあ!」


よかったですね。お猿さんの餌やり係は九鬼船長に決まりそうですね。

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