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織田家のアナザー・ジャパン  作者: 青い水


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第26章 私をハワイに連れて行って

かっこつけて島を出た一行だけど


「おい、天馬!かっこつけて島を出たけど、どうするんだよ?」

「そうよ、こんな小舟で太平洋に出て、どうにもならないじゃない!」

「また島に戻るの?超ダサいんですけど!」


 騒ぐ仲間たちを一瞥して、天馬は東の彼方を指さして言った。「あそこまで漕げ!」天馬が指さす方向には、金色の下地に赤い丸の旗がなびく巨大な船が待っていた。新世界丸?いや、よく見ると細部が違う。いずれにせよ日本の軍艦だ。天馬たちは小舟を漕いで軍艦までたどり着くと、縄ばしごを登って甲板にたどり着いた。


「ご苦労だった、金竜疾風よ。ここまで来たということは首尾は?」

「はい、上々です。あとは来月の会見を待つばかり。」

「そうか、でかしたぞ。」


 いつもは無口が奔吾が天馬の肩を叩いた。


「おい、どういうことだ?話が見えないぞ。」

「いや、すまん。俺たちが島に降りてから、海軍は交代でこの海域に停泊して、脱出した俺たちを拾い上げる手はずになっていた。」

「なんでそれを黙っていた?」

「そりゃあ、活命訓練の...」

「ふざけんなっ!」天馬を蹴り上げたのは安寿だった。

「私より1歳年上ってだけで隊長面すんな!」

「まあまあ。」鋼火がとりなした。

「おかげで真剣味が増して良かったかもよ。けっこう技術も上がった気がするし。それに、飴作り、めっちゃ楽しかった。やっぱり後がないギリギリの真剣勝負に本当の喜びは詰まっていると思うの。まあ、美形の兄妹喧嘩は、それはそれで眼福だけど。」

「で、これからどうするんだ?」と銀天が天馬に詰め寄る。

「ハワイの王を決めてもらう。」

「なんだと?」

「今のハワイは7つの集落に分かれ、それぞれに長老がいる。長老の下には何の組織もない。これでは話のしようがない。こちらが王を出して話をするとなれば、相手も王でなければ釣り合いが取れない。」

「え、まさか?」

「そう、信高様が来月じきじきにいらっしゃる予定だ。俺はその前に島に戻って、ハワイの王が決まっているのか確認する。決まっていない場合は、少し強引に王を決めてもらう。安寿と鋼火には一緒に来てもらう。何、荒事にはならんさ。」



「なあ、信高~!ワイハ行くのか?」


「ああ、新世界丸なら風向きによっては2週間で付くらしい。」


「いいなあ。俺も行きたい。連れて行って。」


「時空を越えた青水よ、おまえはいつでもどこでも行けるだろ。」


「まあそうなんだけど、私をハワイに連れて行って、と言ってみたかった。」


「なんだ、この感覚は?キという文字が頭いっぱいになる。」



「やっほー、元気にしていた?」

「あ、安寿と鋼火だ!やったー!歯磨きするから飴ちょうだい!」

「はいはい、たくさんあるから押さないのよ。」


「良く戻ってきた。日本の戦士たちよ。」長老が出迎えた。

「長老よ、代表者は決まったか?」

「おお、わしが持ちかけたので、みんなわしで良いと言ってな、わしになった。」

「そうか、ならばそなたがハワイの王だ。」

「王、なんだそれは?鋼火の絵を見てもよくわからん。」

「民を束ね民の上に君臨する者だ。民に命じて政を司る役目を果たす者だ。」鋼火の絵会話も子ども通訳団も、この台詞にはお手上げだった。

「だー、言葉で言っても俺もよくわからん。ともかく玉座と冠を用意しよう。形から入れば何とかなるだろう。」にわか作りの玉座と冠が用意された。

「良いか、王よ、近々われらの王がここに来る。対等の立場なので、威厳と敬意のどちらも忘れずに接するように。」そう言って鋼火をちっと見た。鋼火は少し考えて、紙に何やら絵を描いて長老に見せた。


 1週間後に織田信高がハワイに上陸した。暑いので薄着の着流し、いやこれはもう浴衣である。


「これは美しい島だが、暑い!水風呂に入りたいぞ。」

「殿、会談が終わりましたらご存分に。」

「あい、わかった。」


にわか作りの宮殿の急ごしらえの玉座でハワイの王は待っていた。


「やあ、ハワイの王よ!私は織田信高、日本の王じゃ。以後よろしくな。」

「わしはさきほどハワイの王になったハメハメカメじゃ。よろちくな。」

「ハワイは美しいのう!」

「当然じゃ、わしの妻だからの。」

「おっふ、そうか、幸せだの。」

「何か希望はあるのか?椰子の実をよこせとか。」

「いや、希望というか提案なんだが。」

「ほう、言うてみい。」

「子どもたちに義務教育を受けさせないか?」

「ギムキョウイク?なんだそれは?」

「まあ文字を読んだり数を数えたり。」

「誰が教える?」

「そちらに異存がなければ、安寿と鋼火でも。」


 それを聞いて子どもたちが「謁見の間もどき」になだれ込んできた。


「ぜひそうしてくれ。」

「頼むよ、長老!」

「言うこと何でも聞くからさ。」


 元長老現国王にこれを止めるすべはなかった。


「よし良いだろう。でも魚ぐらいしか報酬は払えないぞ。」

「義務教育はタダだ。日本全国北から南まで、全部タダ。給食も付いて全部タダ。タダで読み書き計算を教えてもらって昼飯ももらえる。どうだ?」

「おう、ならば頼むぞ、日本の王よ。」

「任せろ、ハワイの王よ。」


 話はトントン拍子に決まってしまった。


台湾のときと同じかね

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