諸悪の根源、登場!
ケルベロス社長を倒し、俺たちは喜ぶ。
バーの中にいた魔物たちは、逃げていった!
俺は安心した。一瞬だけ。
「な、なんですか? あれは!」
ランが天井を指さす!
そこには、黒いエネルギー体がいた!
そのエネルギー体は、ランに向かって言う!
「我を指さすとは無礼なっ! 我が名は、魔王の魂だぞっ!」
「強炭酸ドリンクみたいな名前ですね!」
「無礼者っ! それでは、我の価値が130円ではないかっ! 我は、偉大な悪の塊であるぞ!」
「それなら、私も負けてません! 偉大なエロの塊です!」
「胸張って言えることかっ! ……まあいい。エロの塊よ、教えてやろう!」
「夜の、テクニックをですか?」
「違うわっ、我のすごさだっ! 我は世を闇に染めるため、生物に憑依してきた!」
「何にですか?」
「い、いやそれは……。ノミ、ダニ……シラミ」
影響力全然ねえ!
魔王の魂は、ポジティブに言う。
「だが、失敗も貴重な経験となった! それを生かし、我はついに人間に憑依した!」
ガーネットが問う。
「一体、誰に憑いたのだ!?」
「ガルネフロント=ヴァリウス! あだ名はガーネット! 後に魔王となる人間の娘だっ!」
「余かっ!」
「貴様みたいなお子ちゃまじゃない! ガルネフロントは、Eカップの巨乳!」
「みんなして……。ガルネフロントの価値は、おっぱいかっ!?」
「うん!」
「そ、それはそれで……恥ずかしいのだ」
「何を恥ずかしがる? 別人だろ!」
「違う! 余の前世が、魔王・ガルネフロントなのだっ!」
「ほう、それならちょうど良かった!」
「どういうことだ?」
「復讐のチャンスってことだ。ガルネフロントの中は、窮屈だったぞ!」
「まさか、ずっと余の胸にはさまれていたとでも言うまいな!?」
「ドスケベかっ、我は!」
「違うのかっ!?」
「当然。ガルネフロントは、ピュアで善人すぎた! 我の影響で、魔王の心も芽生えたがな!」
「ほう」
「一日一善がモットーで、全体のことを考えていた。善玉菌をたくさん摂り、正月はぜんざい派!」
「全然覚えてない!」
「前世の記憶だからな。全部は覚えてないだろう!」
「前屈が美しかったのは、完全に覚えている! 以前、前屈の全国大会で全世界を相手に善戦した!」
いつまで続くの? 『ぜんぜん論争』!
魔王の魂は怒って、
「ぜんぜんうるさいぞっ! ガーネットよ、うんざりするほど善だったなっ!」
「ああ、人間の頃だから忘れていたのだ! その後、余は魔王になったからな」
「善の魔王ほど、窮屈な場所はなかった! その分、ケルベロス社長の中は居心地が良かったぞ!」
「そんなにか!?」
「ああ。ケルベロスの中は、豪華クルーザー! ガルネフロントの中は、朝の満員電車だ!」
「ううっ、窮屈さがひしひしと伝わってきたのだっ!」
「よくもっ、よくも我に窮屈な思いをさせてくれたなっ!」
「知らん! それは、一方的なうらみなのだっ!」
「ケルベロス社長も浄化させおって! 許さんぞっ!」
うおっ、魔王の魂がガーネットに突撃してきた!
そして、体内に入ってしまった!
魔王の魂に入られたガーネットは、高笑いをする!
「ケルベロス社長から、悪の栄養をたくさん吸いとった! 今こそ、この女に復讐をする!」
まずい、ガーネットがこっちに向かってきた!
「ギャハハハッ! 仲間で同士討ちしろっ!」
ガーネットはそう言って、パンチをくりだした!
敵ならば反撃していた!
でも、相手はガーネット! 俺の、大事な仲間なんだっ!
パンチをかわす俺。このままでは、逃げる一方だ!
「はっはっは! どうした、反撃してこないな! じゃあ、これならどうだっ!」
ガーネットの両手から、黒いもやのようなものが伸びた!
それが、ランとスケルトンを覆う!
「仲間も、操らせてもらう! 闇の魔法・影念力!」
ガーネットのかけ声の後、仲間たちが俺を向いた!
「勇者よっ、消えろ! 皆の者っ、闇の魔法・暗黒球の一斉射撃だっ!」
くっ、ガーネットの命令で3つの暗黒球が向かってくるぞ!
ガーネットの声で命令を……。
俺は深い悲しみを覚えた! そして、バリアーを張りながらガーネットと相対する!
「ガーネット、これ以上罪を重ねるならいっそ……」
俺は、ガーネットの身体を強く抱きしめた! そして、小さくつぶやく。
「俺は、いつものピュアなガーネットが好きだ……」
「ロ、アス……。ロ、ロアス!」
その時、ガーネットの頭から魔王の魂が出てきた!
「ぐぇえっ! なんてピュアな心だっ! 居心地悪っ!」
俺は、ガーネットを抱きしめたまま。
その状態で、天井に逃げた魔王の魂に光の魔法を放った!
「ぎゃああっ、悪の塊である我が……負けた」
魔王の魂は、光の中に消えていった!
ふと、我に返った俺はガーネットを見る。すると彼女は真っ赤になって、
「は、はわわっ! な、なんで余はロアスに抱きしめられて……」
「す、すまん!」
俺はガーネットから離れた。そしたら彼女は俺をじっと見て、
「ロ、ロアス! で、でも……嬉し、かった」
「えっ?」
「な、何でもない!」
ガーネットはそっぽを向いてしまった。
まあ、深く追求するのも悪いな。
それより、諸悪の根源は倒した!
今は、仲間たちと勝利を喜びたい!




