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洞窟からでて森の中を進むと……

 油断もなにもあったもんじゃない。

 僕の首筋にナイフは浅くない傷をつけるが、僕はすぐに回復薬で回復させる。

 男は僕の方を見ながら、

「こんな……一瞬で傷を治すなんて……化け物か?」

 なんて言い出していたが本当に失礼な人だ。


「それで、他に逃げて来た人たちはいるんですか?」

「お前らなんかに教えるわけがないだろう? 教えて欲しければ……ぐふっ」


 リリが男の顔面を蹴り飛ばし、顔から出血する。

「パック、回復薬頂戴!」


僕から回復薬を受け取ると怪我をした男に頭からかけた。

「痛みがすっーと無くなったでしょ? でもね、もう一度蹴るとどうなると思う? 大丈夫よ。何回でも回復して痛みを感じられる身体にしてあげるから」


「すっすみません。滝の裏と川沿いに抜け道があって二手に別れて逃げるつもりでした。先に川沿いに逃げた奴らがいたので俺たちはどうするか話してて……」

「わかったわ。ありがとう」

 リリはそのまま、男の首筋に手刀を振り降ろすと気絶させてしまった。

 足跡を確認してみると、男が言った通り川沿いを逃げた足跡がある。


 追いかけなければいけないが、僕たちは先に箱の中を確認すると、箱の中にはやはり1箱に1人ずつ子供が眠らされていた。

「子供6人を起こしては連れていけないわよね」

「そうだね。だけど、上の部屋に入るのを天使の湧き水に目撃されているから、そのうちくると思うんだよね」

「それなら子供たちはここに置いていく?」

「それしかないと思うよ。他のメンバーを助けるとしたら連れていけないからね」


 気絶させた盗賊たちは生糸で全員を縛り上げて道の端へ転がしておく。

 子供たちは……だいぶ深い眠りにつかされたようだ。

 命に別状はないなら、わざわざ起こして怖い思いをさせる必要はないだろう。

 このままここで寝かせておくことにした。

「パックさんどうしますか? 二手に別れますか?」


 洞窟内の足跡は川沿いに進んでいる方だけだったが、できれば滝の裏側も確認しておきたい。

「念のため二手に別れますか」

「それでしたら、私とエディが一緒に滝の裏へ行きましょう。犯人たちがいない可能性もありますから少し先まで走って見てきます。それでいた時にはどちらかが知らせに戻ってきますので」

「お二人で大丈夫ですか?」


「私とエディは奴隷契約がなされていますので裏切られる心配はありません。それに、楽な方を選ばせて頂きましたので」

 本人は楽だと言っているが、こんな相手のテリトリーの中で別れて行くのは勇気がいることだ。本当に助かる。


「コクリンさんありがとうございます。エディ気を付けて」

 エディは僕を見ながらゆっくりと頷いた。


「じゃあ私たちは川沿いを行きましょう」

「わかりました。じゃあこれ回復薬ですので必要な時には使ってください」

 僕は手持ちの回復薬をコクリンさんへ2本渡しておく。


「ありがとうございます。それではご武運を」

「はい。コクリンさんも決して無理はなさらないでくださいね」

 僕たちはそのまま二手に別れてダンジョンの中を進んで行く。


 川沿いの道はほぼ1本だった。

 先を進んだ男たちの足跡がくっきりついているため、見失うこともなかった。

 途中で分かれ道があったが、ここではもう別れずに足跡の方をおいかけることにした。


 途中から緩やかな上り坂となり、やがて出たのはどこかの森の中だった。

「パック森にでちゃったけど?」

「そうだね。とりあえず警戒しながら進んでいこう」


 辺りはすっかり暗くなっている。ここが街から見てどのあたりなのかはわからないが、洞窟の進んだ感じからするに、それほど遠い森ではなさそうだ。


「パック、夜だし空からミニドラのまま見てもらう?」

「いや、その必要はなさそうだよ」


 僕たちが出た場所から少し進んださらに奥の方に、何かが燃えているような光が見える。

 なんの炎かはわからないが、目立つことこの上ない。


「松明にしては……すごく派手に燃えているわね」

「リリ、ドラゆっくり行ってみよう」


 暗い森の中で燃えている炎を目印にしてゆっくりと進んで行く。先ほどの男たちなのか? こんな場所で炎をつけていたらすぐに居場所がバレてしまう気がするのだが。

 もしかしたら罠の可能性もあるが……行ってみないことにはわからないが、罠の時は……ドラに助けてもらおう。

 段々と近づいていくことで燃えているものが地面から生えている木であることがわかった。誰かが森の中で炎の魔法を使ったのだ。


 森全体に燃え広がっていないのが幸いだった。

「リリ、ドラ」

 小声で二人を呼び、ハンドサインで三方向に別れる。

 これで罠だったとしても全員がやられるということはない。


 少し遠回りをするようにしてその場所へ近づくと……男たちが倒れているのが見えた。

 子供たちが入っているだろうと思われる箱は地面に綺麗に並べられ置かれていた。

「パック……どういうこと?」

「僕たちよりも先に誰かが来て彼らを戦闘不能にしたってことだろうね」

「いったい誰が……?」


「パック! リリ! これ見て!」

 男の上に降りたドラが男の首を指しながら声をあげた。

 そこには赤い二つの穴があいている。

 ヴァンパイアに血を吸われた跡だ!


「リリ、ドラ辺りを警戒して! 近くにヴァンパイアがいる可能性があるよ。今はヴァンパイアの時間……もしこの森で襲われたらかなり厳しい戦いになる」

 リリは剣を抜き暗い森に向けて剣を構え、ドラも周りを警戒してくれる。

 僕は、辺りを警戒しつつもさらわれた子供たちが入っている箱をあけ中を確認する。


「良かったぁ。子供たちは無事みたい」

 箱の中で子供たちはぐっすり眠っている。これならひとまず大丈夫だ。

 すべての箱の中身を確認できた頃、僕たちの方に人が近づいてくる気配がした。


「あなたたち、どこまで私たちの邪魔をすれば気がすむのかしら?」

 そこにはハンナ率いる天使の湧き水の人たちがいた。

リリ(洞窟内だし、怖いフリしてパックに抱き着いてもいいかな? ここがチャンスかな?)

考えている間にチャンスを逃してしまった。


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ツイッター @kanaritu7

挿絵(By みてみん)

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同作者の書籍化作品です。ネット版とはまた違った展開になっています。 本を読んで楽しく自粛を乗り越えましょう。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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