この街の救護院と遭遇
地下室には奴隷を収容しておくために檻が沢山あり、ほとんどの奴隷は倒れて意識がなかった。
だが、ところどころから声が聞こえてくる。
「ここを開けろー!」
「だれか……助けてくれ……」
奴隷の中には過酷な生活からか、毒への耐性を持った者もいるようだ。
中途半端な耐性があるせいで、意識を失うこともできずのたうちまわっている。
「安心してください。今楽にしてあげますからね」
「たっのむ……くるし……ころして……くれ」
奴隷の一人が檻から手を伸ばしてくる。
僕は彼の手を優しく握りスリープの魔法と解毒をかけてやる。
まわりの人間がどんどん意識を失っていく中で一人意識を失うこともできなかったのはさぞ辛かっただろう。
「ゆっくりおやすみ」
男が眠りについたところで、まずは空気をキレイにして地下室を確認していく。
ほとんどの奴隷はすでに意識がなくなり、ピクピクと痙攣をおこしていた。
このまま放置していたら確実に死んでいただろう。
持続性の毒とは言え、大量に摂取すれば死ぬのはまのがれない。
地下室の奥まで進んでいくと、そこにはまだこの毒の発生源と思われる小さな壺が置かれており、そこから紫色の煙がだされている。
「解毒……すると証拠がなくなってしまうか」
僕はこれ以上毒がもれてこないように、生糸で厳重に壺に蓋をした。
腐食毒などではないので、これででてくるのはかなり抑えられる。
あとは責任者にでも渡すかしておけばいいだろう。
僕は残りの奴隷たちにも全員回復していく。
毒におかされ、意識をなくしているものは多いものの死ぬまではいっていなかった。
僕は外に壺を持ってでて、奴隷収容所の人に報告をする。
「責任者の人いますか? とりあえず解毒が終わりました」
「パック大丈夫だった?」
「大丈夫だよ。中は結構毒でおかされていたけどね」
リリの横には責任者らしき男がおろおろとしながら立っていた。
「パック紹介するわ。こちらが収容所の所長のドリアンよ」
「パックさん、初めまして。奴隷収容所のドリアンです。この度はありがとうございました」
「いえ、気になさらずに。奴隷の回復は終わりましたので。この壺が原因のようなんですけど、なにか原因について何か身に覚えはありますか?」
僕は毒がでていた壺を渡す。
ドリアンは恐る恐る壺を受け取り一周見てみるが、どうやら原因はわからないようだった。
「みたことのない壺ですね。犯罪奴隷の収容所ですので、常に警戒はしているんですが……なぜこんなことになってしまったのか。怪しい人物の目撃などこれから調査をしていきます。本当に助かりました」
「いえいえ、僕たちができるのはここまでですので」
「パックさん何かお礼をさせてください。このまま帰してしまっては私の肩身が狭くなってしまいますので」
「それならこの街に何日間かは滞在する予定ですので食事でも一緒に行ってこの街のことを教えてくださればと思います。コクリンさん連絡の仲介をお願いしてもいいですか?」
「もちろんです。お任せください」
僕たちにはあとできることはない。
観光の続きをしようとすると、そこに白を基調とした服をきた一団が現れた。
この街には救済の森はない。でも、この街独自の救護院の人のようだ。
「毒ガスがでたって話だけど、私たちが回復させてあげるからケガ人を連れてきなさい」
「これは救護院、天使の湧き水のみなさま。わざわざお越しいただきありがとうございます。ですが、今回は通りすがりの方が助けてくださいまして、どうやらお力をお借りせずとも大丈夫です」
命令口調で話し始めたのは水色の髪をした……子供?だった。
身長はかなり低いが部下を二人ひきつれている。
「はぁ? 私たちがわざわざ来てあげたのに必要ないってどういうことよ!」
聖女モリヤが外面はかなり良かったが、この街の救護院の人はかなり過激なようだ。
「えっ……それは……ですね」
「私たちの仕事を奪い取ったのはどこのどいつよ」
全員が目を背ける。僕が名乗り出た方がいいのだろうか。
ドリアンの方を見ると、ドリアンは小刻みに首を横に振って関わり合いにならない方がいいと合図を送ってくる。
僕はリリと目で会話をして、そっとその場を離れようとする。
「ちょっと! ドリアン? 私たちを裏切ったりしないわよね? 私たち天使の湧き水を敵に回すってことがどういうことかわかっているわよね?」
「もちろんですよ。私たちがどれほど助けられていることか」
ドリアンは僕たちだけにわかるように手を振り、さらに離れるように合図をしてくる。
だけど、このまま放置していい空気ではない。
ピリッとした不穏な空気が流れる。
ごめん。リリまた面倒ごとに巻き込む。
「僕が……」
「私たちが助けたんだけど、何か問題ある?」
僕が名乗り出ると同時にリリが名乗りでた。
リリは腕を組み威圧的にその子を見つめている。
「なにあなたたち勝手なことをしているの? 私たちがこの街では回復を取り仕切っているのよ。あなたたち私たちの仕事とるってことは救済の森の回し者かしら?」
「違うわよ。あなたたちが来るのが遅いから危なかった人を助けただけでしょ。文句があるならもっと早くきたらいいんじゃない?」
「何を! 私たちにそんな口を聞くなんて」
「ハンナ様。ここで回復が必要でないのであれば相手にしている時間が……」
「リリ、そのあたりにしておこう」
ハンナと呼ばれた女の子とリリは視線で戦いあっていたが僕たちが止めたことでおお揉めにはならずにすんだが。
「あなたたちがこの街で何をしようといいけど、私たちの仕事を邪魔するならタダじゃおかないからね」
「邪魔されたくないならもっと早く来たらいいんじゃない?」
しばらくの間二人は睨み合っていたが、ほぼ同時に顔を背けそのまま天使の湧き水の人たちは去っていった。
「パックさん、あの人たちにはかかわりにならない方がいいですよ」
コクリンさんがそう言ってくれたが、僕たちもできるならもめ事になど巻き込まれたくない。
ご覧頂きありがとうございます。
かなりつです。
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滅茶苦茶いい絵ですよね!
絵riritto様




