ペイドンの街向かう途中変な人に絡まれた。
「パック、次のペイドンの街楽しみだね」
リリは僕たちの前をスキップしながら歩いていた。
「パック次の街にリリは浮かれているけど、何がそんなにいいんだ?」
「ペイドンは光の街と呼ばれていてガラス製品が多い街なんだよ。僕は全然別の用事だけどね」
僕たちはラリッサの街で、シンボルだった変な銅像を博物館に返したあと出発した。
お金の問題とか色々あったけど、残りは全部寄付をしてしまった。
僕たちには十分お金もあるし、ラリッサの街の救護院はこれからいろいろ必要になってくるからね。
ペイドンはガラスの街としても有名だが、次の街はヴァンパイアが多く目撃された街として有名で、ヴァンパイアの調査がなされている街として知られている。
僕はガラス製品よりもヴァンパイアのことが知りたかった。
でも、リリが喜んでくれているからそれはそれで嬉しいけど。
今まで救済の森にいた時にはヴァンパイアは敵として教わってきていた。
でも、実際に話て見ると必ず駆除しなければいけないという感じがしなかったのだ。
そして、ペイドンの街では必ずしも敵として認識はされてはいないという話を聞いたことがある。
もちろん、味方というわけでもないだろうが、自分自身ヴァンパイアという種族についてもう少し詳しく調べて見たいと思ったのだ。
リリにペイドンの街に行くことを告げると、リリはガラス細工が見たいとかなり喜んでくれた。リリもやっぱり女の子なんだなって思ってしまう。
そんなリリを見て可愛いと思ってしまったことはリリにはもちろん内緒だ。
ラリッサの街には博物館があったけど、ペイドンのガラス細工通りは町全体が博物館のようにガラス細工でキラキラ輝いているという話だ。
お店ごとにキレイなガラスを前面にだしていて、それが太陽の光を浴びて足元までキラキラと光る様子は光の街と呼ばれる所以になったそうだ。
ただ、街としてはキレイだが、問題がないわけではなくヴァンパイアを敵としてみなしていないペイドンの街には救済の森の救護院がない。
救済の森の意思に従わない場所では手を差し伸べないというのが救済の森のスタンスだ。
だから、僕たちが知っている情報というのはかなり古い。
リリはペイドンの街へ行くと言ったときからもう目を輝かせているが、ラリッサの街の時といい噂というのはあくまでも噂なので、あまり信じすぎない方がいいと思っている。
時間と共に町は変化をしていくけど、それが全部伝わってくることは少ないのだ。
ただ、ペイドンの街はガラスの作成が多いのは間違いなく、救護院と仲は悪いが回復薬の瓶などの多くはペイドンで作られているため未だにガラスは作られているのは間違いない。
個別で仲が悪いのと経済的な繋がりはまた別なようだ。
「ここから少し離れているんだろ? 乗って行くか」
ドラが僕たちが歩いて行くのを心配して声をかけてくれる。
「少しって言っても歩いて2日だからね。それほどでもないよ。あと、少し薬草を採っていこうと思っているからゆっくり歩いて行こう」
「薬草か? 薬草なんてなくても回復薬があればすぐに回復できるだろ?」
「そうなんだけどね。僕も回復薬以外にも作れるように研究しようと思ってさ」
「そうか。まぁ急ぐだけが旅じゃないからな」
せっかくこう旅をしていくのだから、その時々で見られる薬草や毒などを調査しながらいきたいと思う。前回、僕は大丈夫だったがヴァンパイアにドラやリリが眠らされてしまって、その対策が必要だと思ったのがきっかけだった。
今あるものが最高だと思って慢心していると、いつかは足元をすくわれてしまう。
できる限りの準備はした方がいいのだ。
僕たちがのんびり街道を歩いて行くと、道端に冒険者風の男性が一人座っていた。
身体には全身に血を浴びたような跡がついている。
「どうしたんだろう?」
「魔物の……ような気はするけど……気を付けながら行ってみましょ」
僕たちが近づいていくと冒険者風の男は僕たちに気が付いたのか声をかけてきた。
「やぁ、君たちここから先へ行くつもりかい?」
「そうですが、何か?」
「この先にブラックドラゴンがでて暴れているんだ。君たちも冒険者なら知っているだろ? モンセラットででたドラゴンだ」
僕たちは顔を見合わせてしまう。
ドラはここにいる。それなのにこの人は何を言っているのだろう。
「どういうことですか? あのドラゴンがこの先にいるってことですか?」
「あぁ。あのってことはモンセラットにドラゴンがでたのは知っているようだね?」
「はい。でも、ドラゴンは逃げたって聞きましたけど。それになんであなたはこんなところで休んでいるんですか?」
「俺は今、そのドラゴンから命からがら逃げてきたところなんだ。これから街に戻ってドラゴンを追いはらうのをギルドに依頼しに行こうと思ったんだけどね。走りすぎて少し休憩していたところに君たちが来たんだよ。これを見てくれ近くにいた仲間が襲われて血を被ったんだがこんなにもかかってしまった」
ドラゴンが本当に出たのかどうかはわからないが、何か怪しい感じがする。
男は全身血だらけになっているのはいるが、彼がやってきた方の道には全然血の跡がなかった。
むしろ、彼のまわりに血を消したような跡がうっすらと見える。
「パック、それなら私の力を見せるべきね。私こう見えてモンセラットで剣星とまで言われていたの。だから私が退治してあげるわ」
「剣星だって? いや、それにしてもやめた方がいい。あの自然の暴力の前には誰にも勝てない。それよりも誰か人を呼んできてくれないか? 俺はもうしばらく走れそうにないんだ」
彼は急に疲れた顔をして呼吸を荒げる。
三文役者もいいところだ。
「そうですね。でも、あなたはドラゴンから逃げてきたわけだし、もしドラゴンが追って来たら誰かが殿をしなければいけないですから。僕たちがドラゴンを抑えますよ。リリは剣の使い手として優秀ですが、回復役の僕がいないとダメなので」
僕たちがそう言い、男が来たという方向へ歩きだすと男が急に豹変した。
「ゴチャゴチャ言ってねぇで行くなって言ってんだろ。言うこと聞けや!」
「盗賊の見張りかな? ドラゴンがでたとか冗談言えばみんな引き返すと思ったんだろうけど、そう簡単にはいかないよ」
「うるせぇ! お前ら計画失敗だ。こいつら処分するぞ」
男が声をかけると森の中から4人ほど男たちがあらわれた。
彼らは僕たちを囲むように左右に広がる。
どれも、ザ盗賊といった感じで髭は伸びてるし、髪はボサボサで異臭を放っている。
「あななたち、人を襲う時間があるならお風呂にで入りなさい」
「なに? 一緒に入ってくれるのか? ヒヒヒッ」
盗賊たちは嫌な笑い方をしてリリを挑発する。
「あっごめんなさい。あなたたちにはお風呂じゃなくて三途の川でキレイにしてもらったほうがよさそうね」
リリが素敵な笑みを浮かべる。
あぁもうこの先はわかってしまった自分がいる。
……可哀想だけど彼らが悪い。




