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クリーンの魔法

「あっ……お兄ちゃん。ここじゃない、間違ったみたい」


「そうだよね。さすがにここはね」

 レイナの顔がひきつっている。


 レイナは気を取り直して横の扉へ移動する。

「こっちがお部屋です」

 レイナが部屋の扉を開けると、そこは先ほどの部屋よりも汚かった。

 しばらく誰も泊まった気配がない。


 黙ったまま部屋を閉めるレイナ。


「お兄ちゃんちょっと待ってて。お父さんに聞いてくる」

 レイナはそういうと急いで1階へ降りて行った。


「パックどうする? お金はあるんだし別の宿でもいいよ」

「うーん、そうだね。別の宿でもいいけど、今からご飯が美味しい新しい宿を探すのはさすがに面倒だから、この部屋を僕が掃除するよ」


 僕のクリーン魔法はドブ川でもキレイになるくらいなので、カビや埃、異臭もすべてなかったことにすることができる。


 クリーンの魔法をかけると部屋は見違えるほどキレイになった。

 ついでに横の部屋もきれいにしておく。


 変な虫とかはいってこられても嫌だからね。


「お兄ちゃん、手前の部屋なんだけどお父さん最近休業してたから、掃除してなかったんだって。今すぐ掃除するからちょっと待って……ってなにこれ! ピカピカになってる! お父さん大変だよ! 部屋が新品になってるよ!」


 レイナが大きな声で騒ぐと、下からおじさんがやってきた。

「レイナお客様の前で騒ぐなっていつも言ってるだろ。お前は母さんに似て静かにしていれば可愛いんだから……なんだこれーーー!!」


「お父さんの声が一番うるさい!」


 仲のいい親子のようだ。

「これはすごい。今までたまに冒険者さんから色々な魔法を見せてもらったけど、こんなにすごいのは初めてだ。そうとう名のある冒険者の方なんですね」


「いえいえ、僕たちは駆け出しのE級冒険者ですよ」


「そんな謙遜をして」

 何を言っても信じてくれなさそうだったので、冒険者カードを見せる。

 そこには大きな文字でEと書かれている。


「クリーンの魔法は練習をすれば誰でも覚えることができますよ。僕もかなり練習というか実践で使っていくうちに範囲も広がっていきましたので」


「ねぇお兄ちゃん私にもそのクリーンって魔法覚えられる?」

「練習すれば覚えられると思うよ。そんなに難しい魔法じゃないからね」

「お兄ちゃん、暇な時に私にその魔法教えてくれない?」


「コラ、お客様にそんなこと言うもんじゃないぞ。どうぞ気になさらないでください」


 レイナは少し落ち込んでいるような表情になり謝ってきた。

「お兄ちゃんごめんなさい」


「空いた時間だったらいいですよ。ただ魔法の素質にもよりますが、僕が側にいる間に覚えられるかどうかは別ですので」


「いいの? ねぇお父さん! お兄ちゃんがいいって言ってるよ」

「はぁ本当に申し訳ありません。疲れていたり、無理な時には断って頂いて構いませんので」


「いいですよ。門外不出の魔法ってわけじゃないですし、ただの生活魔法ですから」


『ぐぎゅるるる』

 ドラのお腹から盛大な音が聞こえてくる。

「パックお腹空いた」


「おっとこれは失礼しました。すぐに準備します。お部屋は何部屋使って頂いても大丈夫ですので!」


 おじさんは急いで1階へ降りて行く。

「ドラちょっと待っててね」


 料理ができるまで、まだ少し時間がある。

「それじゃあ今少しクリーンの練習する? 慣れると料理しながら、掃除してとかできるようになるから、かなり効率よくなるよ」


「うん。よろしくお願いします」

 それから僕たちはレイナにクリーンの魔法を教えた。


 途中でドラが火の吐き方を覚えると料理の時に便利だぞって言っていたが、さすがにそれはどうなのかと思っていたが、目を輝かせて聞いていた。


 魔法を覚える時はスクロールと呼ばれる巻物で覚えるか、術者との魔力を同期して覚える方法がある。スクロールは誰もが同じように覚えられるが出回っているスクロールは生活魔法がほとんどなので簡単な魔法しか覚えることはできない。


 術者との同期は高等な術も覚えられるが、その分教えてくれる術者の癖によってかなり左右される。


 例えば剣を覚える時に騎士団長から教わるのと、近所のおじさんから教わるのでは差がでてしまうのと同じようなものだ。


 僕も師匠から魔法を教わったが師匠は田舎のおばあちゃん師匠だったので、少し田舎臭い魔法になっているかもしれない。


 レイナはなかなか飲み込みが早かった。

 さすがにすぐに使えるわけではなかったが、何となく感覚をつかんだそうだ。


 ドラが少しだけ火を吹く魔法も同期しながら見せていたが、こちらはなかなか難しいようだ。

 さすがに火を吹くのはクリーンの魔法と違って簡単ではない。


「ごはんできましたよー」

 1階のおじさんより声がかかったので、1階へ降りていくとそこには、宿屋のメニューとは思えないほど沢山の料理が並べられていた。


「普段はこんなに料理の品数は多くないんだけど、レイナに魔法を教えてもらったり、足を回復してもらったりしたからな。結構多めに作りましたのでしっかり食べてください」


 ホロロ牛のステーキに、ビル鳥の照り焼き、パチパチ草のサラダ、それ以外にもフルーツの盛り合わせなど沢山の料理が並んでいた。


 料理はどれも満足いくものでお腹いっぱいになるまで食べた。

 ドラにあってはお腹がポッコリと膨らむくらい、しっかり食べている。


 少し食休みをしてから、僕たちは墓地の方へ散歩をしに行ってみることにした。 

レイナ「掃除って楽しいんだね」

パック「そうだね。やっていると意外と面白いよね」

レイナ「★いれてくれた人の家の掃除もしてげたいね」

パック「魔法が使えるようになったらね」



少しでも面白いと思ったら★とブックマークよろしくお願いします。

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同作者の書籍化作品です。ネット版とはまた違った展開になっています。 本を読んで楽しく自粛を乗り越えましょう。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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