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墓地の庭園

 ラリッサの街の墓地は救護院が管理をしていて、観光名所としても有名になっている。

 亡くなったあとはラリッサの街の墓地がいいと言って人口が増えたなんて噂もあったくらいだ。


 だから僕たちはすごく期待をしてやってきた。

 だけど、目の前に広がっていたのは手入れのされていない荒れた墓地だった。


 魔力の淀みができているところもあり、そのうちスケルトンやアンデットなどが発生しそうな空気になっている。


「ここがあの有名なラリッサの庭園墓地? ただの広くて汚いお墓にしか見えないんだけど」

「前はすごく綺麗でデートスポットって呼ばれていたんですが、救護院のトップが変わってから庭園の剪定とかにお金を出さなくなってしまったみたいです」


 僕たちが庭園墓地へ行くというとレイナがガイド役をすると言ってくれた。

 店の方は、お父さんの足が治ったので任せておいて大丈夫とのことだった。


「なんか残念ね。せっかくなら綺麗な庭園の時に来たかったけど」

「ラリッサの救護院は今大変みたいですからね。先日も盗賊にいろいろ盗まれたみたいでお金がないみたいです。回復薬も値段があがってしまったみたいですし」


 確か商人も凄腕の盗賊がでているなんて話をしていた。

 マジックボックスを持っている僕としては盗まれる心配はないが、気を付けないといけない。


「パックどうする? せっかく来たし少し散歩でもする?」

「いや、もはやただの荒地になってるからね。救護院へ行って話でも聞いてこ……あれってゴーストじゃない?」


「キャーゴーストはダメ! 剣で切れないものは私苦手なの」


 リリが珍しく怖がっていた。


 そこにはフワフワと浮かびながら飛んでいるゴーストの姿があった。

 ゴーストは特に危険な魔物ではない。


 問題を起こしたりはしないが、ただゴーストがでるとゾンビやレイスなどが生まれる前兆になっていると言われている。


 ゾンビやレイスは人を襲い、さらに危険なヴァンパイアを呼び寄せることになる。


 ヴァンパイアは自分のしもべにするためにゾンビを捕まえにやってくるのだが、必ずといっていいほど街の人にも被害がでるのだ。


 救護院とヴァンパイアは長年敵対をしてきており、出会ったら即座に処分をするようにと言われていた。


 ただ、夜のヴァンパイアは非常に強く、頭の回転が早い。

 そのため夜に発見しても戦うことは避け、後をつけて朝になってから戦うのがセオリーになっている。


「ゴーストがでていることを救護院へ知らせないとまずいね」

「私はここから離れられるなら何でもいいわ。早く行きましょ」


「お姉ちゃんゴーストが来たら私が守ってあげるから安心して」

 レイナは腕まくりをしてリリの前にでる。


「ありがとう。でも倒さなくていいから早く行きましょ」

「無敵のリリでも苦手なものがあったんだな。僕には苦手なものなんてないから、これで何かあったらこの弱みで……」


 急に木の上に止まっていた鳥がバタバタと飛び立つ。

「ドラ……許される冗談と許されない冗談があるからね。もしゴーストを連れて来たりしたら、ドラがゴーストになるわよ」


 リリの殺気によって近くにいたゴーストたちは霧となって消えていく。


「ヒィッ! もちろん冗談だよ」

 

 ゴーストよりリリの方が怖いとは決していうことはできない。

 ドラは怒ったリリが苦手なようだ。余計なこと言わなければいいのに。


 ドラは僕の頭の後ろに隠れるように逃げてくる。


「お姉ちゃんたち楽しそうでいいなー」

 レイナだけはにこやかに僕たちのやり取りを見ていた。

 

「それじゃあ救護院へ行こうか。リリここの救護院には知り合いとかいたりする?」

「あっ……いないこともないんだけど、ちょっと会いたくない相手なんだよね」


「無理なら宿に戻っててもいいよ」

「いや、パックが守ってくれるなら行くよ」


「もちろん。僕より強いリリを守れるかは別だけど、気持ちはいつも守るつもりだよ」

「ありがとう。なら大丈夫。まぁ休みの可能性もあるし、この状況を伝えるだけなら知り合いじゃなくてもいいでしょ」


「そうだね。それじゃ行こうか」


 救護院は庭園墓地からそれほど離れてはいなかった。


 救護院へつくとリリの期待とは裏腹に、すぐにその男と遭遇することになった。

 リリを見るなりいきなり膝をつき

「どこの天使がこの街に舞い降りたのかと思ってしまいましたが、ついに私の子を産んで頂ける決心をされたということですね」


 そう言い放った瞬間、リリが顔面を蹴り上げ、ドラが炎を吐いて丸焼きにした。

 いつの間にそんな連携を練習したんだろう。


 そう現実逃避をしたくなった。


「なるほど。口から炎を吐くのはこういう時に使うのか」

 レイナの声がやけに救護院の前の広場に響いていた。


 どうするんだよ。これ問題になる感じしかない。

パック「ハイファンタジーの日間ランキングみた?」

リリ「見たよ。作者の作品がハイファンタジーで8位と9位になっていたんでしょ」

パック「読んでくれてる読者に感謝だな」

リリ「冒険頑張ろうね!」


パックとリリは腕をぶつけあい今後の活躍を約束するのであった。


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同作者の書籍化作品です。ネット版とはまた違った展開になっています。 本を読んで楽しく自粛を乗り越えましょう。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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