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ヤンデレ兄とニート妹の相互依存生活  作者: スイレン
連載
10/15

独占欲

今回は観月ちゃんヤンデレ回です。

この子は回を重ねるごとに病んでいく‥‥。


 「ーーふざけるなぁぁぁぁ!!!」


不意に、彼女の絶叫が聞こえた。

その声に、先程の肩の痛みを思い出し、思わず体を震わせる。


「‥‥なんのよう? 今、君に構っている暇ないんだけど。後にしてくれない? 後でたっぷり構ってあげるから。」


観月を縛っていた縄をほどきながら、どうでもよさげに千尋は言葉を返した。


「‥‥ダメ。」


気がつくと、観月はそう言っていた。


「‥‥? 観月?」


「ダメ‥‥。」


解かれた手で兄の背中に腕をまわす。

兄の肩に顔を埋めて囁いた。


「千尋兄さんに、私以外の人のこと、触って欲しくない‥‥。」


ほんの少しだけ腕に力を込めながら、観月は続ける。


「兄さんが、あの女の人を蹴ったときも、嫌だった。‥‥触られた時も、凄く嫌だった。ーー兄さんにしか、触られたくない。そう、思った。」


恥ずかしくて、満足に喋ることができなかったが、何とか言い切ることが出来たとほうっと息をはく。


‥‥一方の千尋は歓喜だか忍耐だかの狭間で固まってしまっているが。


「な、ん‥‥!?」


目を見開いて、絶句してしまった人吉だが、次の瞬間には再び吼え始める。


「‥‥!! 貴方は知らないみたいだけどね!! その男は貴方のお父さんと、自分の母親を殺しているのよ!?」


その言葉に、千尋は不快そうに眉を上げ、観月は目を見開いた。


「‥‥証拠は?」


至極どうでもよさげに千尋は問いかける。


「貴方が前日に犯人の家を訪ねていることと、彼女の父親の携帯の最後の通話相手が貴方だということは、とっくに調べがついているのよ!!」


「だから、証拠は?」


「‥‥は?」


「俺が義父さん達を殺したという証拠は?」


「なっ‥‥!?」


ないんでしょ?

そう鼻で嗤って千尋は観月に微笑みかける。


「ねえ、観月? 俺とあの女、どっちを信じる?」


頭を撫でられながら観月は目を瞬かせる。

そんなの、決まっている。


「千尋兄さん。」


「!?」


「よかった。」


驚きで息を呑んでいる人吉を見向きもせず、観月は言いきった。

本当に嬉しそうに微笑みながら、千尋は観月を抱きかかえる。


「じゃあ、帰ろうか。いい加減観月もここにいたくないよね?」


「うん。」


「問題は、この女だけど、どうしようか?」


じっと人吉を千尋は睥睨して考える。

人吉が体を恐怖で震わした、その時だった。


「俺に任してくれませんかねぇ? 先輩?」


「‥‥誰?」


怯えながら、でも不思議そうに、観月は首をかしげた。

それを見て、千尋は不快そうに鼻を鳴らした。


「‥‥観月を見ないでくれるかな。狭間君。」


にっこりと、男、狭間新太は微笑んだ。





待ってました新太君!!

個人的に書きやすくて大好きです。

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