スネックボトム
“スネックボトムを攻略せよ。最深階に辿り着きしものは全てを失いそして得るだろう。天空の司書たちはそう告げ、我大マジックス、エミール=ソルは奥深く最深部へと探索し、そして同じようにスネックボトムを再度構築しようと試みた。告白しよう、それは困難な…”大マジックスとスネックボトム(遺跡建設時代~巨大遺跡はなぜ広がったか~)
「スネックボトム、と。そう。有名なとこなの?」
「有名と、思いますけど、どうしよう」
緋竜の悲しき声が耳に残る。駅宿の舎へ空旅を預託し、トリス預託のメモを受け取る。そこまでがスネックボトムで私が行うことの確定事項。
「どうかしたの」
済ませたらメモの命ずるままにする。そうすればここの試験はらくらくに終わるはずだと決まっていたのに。
「おかしいな。本当なら、ここにいる」
はからずも漏れてしまう呟きはスネックボトムそのもののためか。これじゃあ私も同じ、勇者の世間知らずを馬鹿にできない。
大遺跡スネックボトムの歓迎。「冒険を、探索行を、レジャーを、スネックボトム、ここにあるもの」冒険の始まりとして常にある大遺跡群スネックボトム。メモ通り動いてゆくと集合、出来るはずなの、はずだったのに。「メンバーは一応四人集まった」トリスから結論からの始まりを渡されたのは折りたたみメモ。
「ど・う・し・た・の!」
結局認めなければ始まらない。
「広大なスネックボトム眺めては越すに越されぬオウサカの関」
「なにそれ」
「この場所スネックボトムに迷えば、オウサカの関が立ちはだかる」
左右には一面広がるレンガ壁。わざわざと遺跡風味を加えさせ崩れた壁に覗くもレンガ。広大なスネックボトム、昔には争奪の的だった時代も。私でも広いだろうと分かっていた。
「だからなにそれ」
「従者、私一人で、挑めます?」
「挑むって、この、これ?」
勇者が腕を振っては前を示す。
「無理」
潔い即答とともにおびえ顔。
「だから、そう、ここで探そう、仲間たち!」
締まらない、見つからない、どうしよう。勇者と私トウサの冒険はそんな中でも始まってゆく。「勇者と楽しいショーをお待ちあれ」メモにある最後の文字に不安でも従わざるを得ないのだった。