魔王(♀)を討伐したら、同居ヒロイン化したんだが!? しかも惚れてきてるんだが!?
ある雨の日、帰宅したアランの部屋の前に、ずぶ濡れの魔王が体育座りしていた。
アラン「……いや、なんでお前いるの」
魔王「……住むところが、消滅したのだ。
令和、契約更新という制度、無慈悲すぎる……」
アラン「管理会社に滅ぼされた元魔王!?!?……しょうがないな、とにかく入れよ。
そんなに濡れっぱなしじゃ風邪ひくぞ」
魔王は嬉しそうな顔を隠しもせず、俺についてくる。
俺はすぐに風呂を沸かしてやる
なんかやたらと風呂場で「お湯……熱いが、浄化される感じ……」とか言いながらうっとりしてる。
そして事件は、翌朝――
魔王「……朝だ。殿下(※呼び方戻った)、味噌汁が……染みる」
アラン「……お前、ちょっとかわいくなってない??」
名前:ダーク=グロリアス=マジェスティ三世(通称:グロ子)
性別:♀(※超隠されてた)
現住所:住所不定
好きなもの:ブラックサンダー、ファミんチキ
苦手なもの:鏡
\\【ヒロイン力 +30】//
\\【元ラスボス、ギャップで魅了中】//
■修羅場フラグ発生:エミリアとリリィが現れる
エミリア「ちょっとぉ!? なにこの“元魔王同棲イベント”!!!私まだ未実装ですよ!!」
リリィ「アラン様、説明を。魔王が家にいるということは、“敗北”を意味します」
魔王「ふふ……その通り。殿下は我を征服したのだ。“胃袋”から」
深夜、ベランダで並んで缶コーヒーを飲むアランとグロ子(元魔王)。
魔王「この世界にも“終焉の因子”がある。
かつて我が支配しようとした“バグ”は、いまだ潜んでいる」
アラン「……また世界、滅びかけてんの?」
魔王「だが今は、お前と……この世界に、少しでも触れていたい」
\\【トゥンク♡】//
\\【魔王のハートに火がついた】//
アラン「……え、ちょっと待て、お前まさか俺に――」
魔王「殿下、今宵、布団を並べたいのだが」
アラン「ストレートゥゥゥゥゥ!!!!
いやいやいや、俺はいいけど、まだ未婚の男女がだね、そういうのは良くないよ!!
そうだ!まずはデート!!デートしていろいろ確かめないとね!!!」
魔王(グロ子)「殿下、我“デート”なるものをしてみたい。
この世界の“恋愛”という概念、よくわからぬ。経験したい」
アラン「え、そんなノリで?恋愛、そんな気軽に頼む?」
そういうわけで、我々(アラン・グロ子)は秋葉原の地に降り立った。
最初の目的地:メイド喫茶「めいど・いん・どらごん」
(※ドラゴン要素は完全に余計)
メイド「おかえりなさいませ〜ご主人様♥ 魔王様も〜♥」
魔王「……ふむ、我がかつて使役していた“漆黒の従者”よりも良い声をしておるな」
アラン「その比較やめよう。ややこしいから」
魔王「“萌え萌えキュン”とは、この世界の召喚魔法の一種か?」
アラン「むしろ最強クラスの魔法だよそれ……」
つぎはゲーセン
・プリクラ:
魔王「この神器、我の魂を吸い取っているのでは……?」
アラン「大丈夫、カメラアプリってそういうもん」
→背景に「世界征服なう♡」
・クレープ屋:
魔王「甘い……だが、癖になる……っ」
アラン「ツノ震えてるけど大丈夫?」
・ゲーセン:
魔王「このヌイグルミ(でかいクマ)……我が欲する!」
→UFOキャッチャー30回失敗、店員が同情してくれる
→魔王、涙目でぬいぐるみ抱えて帰る
夕日の照る道を2人(?)で並びながら歩く
「殿下……本日は、楽しかった。
このような日が、ずっと続けばと思ってしまったのだ」
「グロ子……」
「だが、我は“世界の不具合”を知ってしまった。
この令和にも、また“バグ”が存在する。……それを正さねば」
「おい、やめろ、せっかくのデート回だぞ!?」
\\【謎の通信:プロメテウスからの警告】//
『異常発生。ヒロイン力、想定値を超過。シナリオ崩壊の危険あり』
アラン「ヒロイン力って超えたら爆発するの!?」
グロ子がふと立ち止まり、アランの服の裾をつまむ
「殿下……その……もし我が“普通の女”として生きられるなら……その時は……」
「ん? なんだって?」
「…………っ! ファ、ファミんチキ食べたい!!!」
アラン「逃げたーーー!! 恥ずかしくて逃げたーーー!!!」
こうして(今日の)世界崩壊は免れた。