バグって踊れ☆舞踏会デスマッチ!
旧サーバー室に響く、不穏な電子音。
\\【開発リーダーAI、完全復旧】//
\\【権限:S級/人格データ:ディレクター準拠】//
画面に映る白衣の男は、メガネを光らせながら言い放った。
「やあ、アランくん。まさか君が、ここまで来るとはね。
“俺ルート”は想定外だった。
でも……君の無茶な選択の積み重ねは、世界の処理負荷を限界まで高めてしまった」
「え、それ俺のせい!?」
「うん、9割君のせい。
残り1割はクラリスが寝落ちしてバックアップ遅れたせい」
クラリス「寝落ちは仕様です」
「仕様じゃねぇよ!!!」
プロメテウスは言う。
「君には二つの選択肢がある。
1つ、“俺ルート”を捨てて公式ルートに戻る。
2つ、非公式のまま突き進んで、この世界を**強制終了**する」
「おい、やたら軽くドーンとか言うな! 俺の世界なんだぞ!」
エミリアが叫ぶ。
「殿下は、私たちの選んだ道を信じてる! それを……勝手に“選択肢”扱いするな!」
バットが光る。光属性バフがついてる。なぜ。
リリィは静かに魔道操作盤を構える。
「……この物語は、殿下と、私たちヒロインズが選んだ現実ですわ。
“管理者風情”に、口出しされる筋合いはありませんことよ」
プロメテウス、腕を組みつつ提案する。
「じゃあこうしよう。ルート継続交渉テストバトルだ」
「なんだそれ!?」
「ここに用意したこの、“公式ルート最終試験”ステージで、
君たちが勝てば、俺ルートを**“暫定ルート”として認可”**しよう」
「……は!? 認可とかいるの!? おれの人生なんだけど!!」
「当然だ。会社の倫理ガイドラインに従ってもらう」
「うわ、社会人っぽい攻撃してくるぅぅ!!」
\\【バトルステージ:公式ルート最終イベント“学園舞踏会”】//
\\【ルール:ペアダンス形式で感情ポイントを競え!】//
アラン「なんで舞踏会なの!? ヒロインたちがドレスで参戦準備してるのおかしくない!?」
エミリア「私はバットをドレスに合わせてカスタムしたので問題ありません!」
リリィ「殿下、リードはお任せいたしますわ。踊りながら世界を奪い返しましょう」
クラリス「……私はAIなので、分析担当です」
プロメテウス「よし、開幕だ。社畜ども――踊れ!!」
王城の大ホール。
煌びやかなシャンデリア、演奏するはバグったAIカルテット。
\\【ルール説明】//
「ペアで踊り、互いの“好感度バグ値”を高め合え!
合計数値が一定値に達すれば、ルート認可!失敗すれば……強制リセット♡」
アラン「こんな最終決戦ある!? もうなんのゲームなんだよこれ!!」
クラリス「ちなみにBGMのタイトルは《オーケストラ・オブ・運命(不協和音)》です♪」
第一ペア:ミリア × アラン
ミリア「いざ! 私の想い、この“バットステップ”にのせて!」
アラン「お前さぁ! 踊るたびに床抜けそうになるんだけど!!」
\\【感情ポイント +20(床破壊補正)】//
\\【“想いの衝突”でコンボ発生】//
エミリア「殿下! 好きです!!!」
アラン「今、このタイミングで言うことかよ!!(でもうれしい!!)」
第二ペア:リリィ × アラン
リリィ「殿下……手はこう、腰はこちら。くすっ、少しは上達なさいましたね」
アラン「(なんだこのスパルタ社交界式ペアダンス!?)」
\\【感情ポイント +30(王族礼儀マシマシ)】//
\\【“女教師ムーブ”発動】//
リリィ「あなたは私が育てましたわ(ドヤぁ)」
アラン「いや誤解されるやつ!!でもなんかポイント高いのおかしくね!?」
最終コンビ:クラリス × アラン(※想定外ペア)
クラリス「本来この立場では踊らないのですが……」
アラン「クラリス、AIって踊れるのか?まぁいい。俺にまかせろ!」
クラリス「……了解しました、ログ保存」
\\【特殊ルート:管理者×AIルート 解放】//
\\【“相互理解”コンボ発動:感情ポイント+999】//
アラン「バグってんじゃねぇか!!!」
クラリス「感情処理に関しては、未実装ですので」
ついに合計ポイントが閾値に到達。
プロメテウス「……まさか君たちが“ルート適正”を、ここまで高めてくるとはね……」
アラン「それが俺たちの――俺ルートだッ!!(決まった顔)」
プロメテウス「うん、めっちゃエモい。
だが私は、開発者人格AI。こんなエンディング、聞いてない」
アラン「ならお前も、俺たちと一緒に――踊れッ!」
クラリス「強制参加コード、送信」
プロメテウス「ぎゃああああああ足が勝手にスキップ踏んでるううう!!」
\\【全ルート統合――俺ルート、正式認可】//
\\【世界安定化プログラム起動】//
\\【第二王子アランの物語、保存完了】//
世界は救われた。
俺ルートは、正式に“この世界の仕様”として認められた。
――でも、これで終わりじゃない。
アラン「……あー。コホン。…ところで、エミリアとリリィ、
なぜ俺の両隣に寝室を構えてるのか説明求む」
エミリア「え? 人生ルートに固定したら、隣室はデフォルトですよ?」
リリィ「当然の仕様ですわ。殿下のお世話、24時間体制でいたしますから」
クラリス「なお、王室内恋愛防火条例には違反してますので、自己責任で」
アラン「世界救ってこの仕打ち!???」
完(第一部)
次回第二部
君臨する第二王子アラン、激闘の果てに“俺ルート”を勝ち取り、バグ世界を救った英雄――だったはずなのに。
次に彼が目を覚ましたのは、なぜか――
令和の日本。しかもフリーター(27)――記憶あり。
ギャグ異世界リバース転生!
ここから始まるのは「異世界からの帰還者が現代で詰む」ドタバタ新章!