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図書室と先輩~ぷらす♪~  作者: アデル
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テルテルアデル

 地元ターミナル駅のデパートで買い物を済ませたわたしは、アスファルトから立ち昇る熱気もなんのその、照りつける太陽に立ち向かうが如く、スッピン、素肌を惜しげもなくさらし、電車かバスで来ればよかったという後悔なんぞ、汗と一緒に流れ出てしまえ! と言わんばかりに炎天下を全力疾走。自転車は基本立ちこぎだぁ! うりゃぁぁー!

 うん、汗は出たけど、後悔はさらに深くなったぞ、と。

 あ、もうダメ。家にたどり着く前にギブアップ。

 アソコ(近所で一番大きなショッピングセンター)で涼んでいこ。あいかわらずの根性なし。

 ふひ~。建物に入り冷房のありがたみを再認識。

 ついでになんか見ていこう。本屋でも行こうかな。新刊本を、買うつもりはないけど手にとってはパラパラパラ。雑誌を見たりしながらウロウロウロ。

 もうちょっと涼んでいこうかどうしようかな、と店内に時計を探しキョロキョロキョロ。素直にケータイ出せばいいのに、そういうことは億劫がるわたし。

 と、その時わたしの目は、どこかで見たような体型の人物を捉える。


「あれ、先輩?」


 後姿がよく似ている。先輩も私服だったらあんな感じだろうな。

 しかしその人の横には小さな子供。手をつなぎながら、ピョンピョン跳ね回っている。じゃあ、違うよね。


「それにしてもよく似てるなあ」


 そう思ってまた視線を戻そうとした時、子連れパパさんと思われる人物が横を向き……。


「え?やっぱ、先輩だぁ」


 思わず、その場で先輩をジィー。

 その視線に気付いたのか、先輩がわたしをチラリ。一度目を戻したけれど、一瞬の間をおいて

それこそこちらがビクッとしてしまうような勢いでわたしを振り返る。首大丈夫ですか?


「先輩。どうしたんですか、こんなところで?」


 プライベートに対する遠慮というものを身に付けていないわたし。駆け寄るようにしてバツの悪そうな顔をしている先輩の元へ。


「いや、なんていうか……」


 なんでそこで言いよどむかなぁ。

 先輩に手をつながれてわたしを見る小さな男の子。三歳くらい?カワイイ♪

 わたしはその子を控えめに指差して、一応お約束のボケをかます。


「先輩のお子さんですか?」


「バッカ。兄貴んとこの子。一緒に買い物来てさあ、子守押し付けられたってわけ」


「後姿が全然違和感なくて、ホント、パパさんかと思っちゃいました」


 わたしは後姿をみたときの第一印象を遠慮なく言ってみる。


「あー、それ、店の人にも言われた。パパとお買い物ー?だと」


 心底うんざりしたように言うところが、なんとも可愛らしくて。ふけてるって言うとすぐ躍起になって反発していたけど、これでわかったでしょ、先輩。

 そんな会話をしている横で、男の子は先輩の手を引っ張ってはゲームコーナーに行きたい素振り。ブンブンブン。


「あー、わかったわかった」


 ほんと、違和感ないや。

 懸命になって男の子が引っ張っていこうとするもビクともしない。手首摑んでいるあたりが、かなり慣れてるように見えるんですけど?

 たぶん今日に限ったことじゃないんだろうなあ。


「あ、そうだ。高橋さん、今度の花火大会、行く?」


「へっ?」


 先輩のパパさんぶりがちょっと微笑ましくて、なんだかほんわかした気分になっていたところで突然聞かれたものだから、思わず間抜けな返事をしてしまうわたし。あうっ、恥ずかしー。


「運動公園でやるでしょ。あれ、写真部の連中と行くことになったんだけど、よかったら高橋さんも一緒にどう?」


「あれっていつでしたっけ」


 一応チェックはしておいたものの、誰からも誘われなくて、そのまま忘れていたというのは、このさい黙っておこう。ちょっと悲しいものがあるよなあ……。


「30日。来週の日曜。どう?」


 写真部の人と一緒か……。できれば先輩と二人で行きたいなぁ、などと言えるわけもなし。

 ん?となると小峰先輩も来るってこと?うーん、考えどころだぁ。

 それに「はい、行きます」って即答するのも、なんか誰にも誘われていなかったのがバレバレじゃない?


「うーん、たぶん大丈夫だと思います。あとで確認しますけど」


 わたしだっていろいろあるんですよ、みたいな見栄をはってしまうのは、ねえ、しかたないよね。


「んじゃ、あとで連絡ちょうだいよ」


「あ、でもいいんですか、わたしが行っても」


「やっぱ、大勢のほうが楽しいっしょ。それに、高橋さんなら部員同然だし」


 いえ、それはそれで、なんか納得のいかないものがあるんですけど。でも、まぁいっか。


「わかりました。空けとくようにしますんで」


「うん。細かいところはまた後でってことで」


 ちょうどその時、男の子が自分の父親を見つけたらしく「パパァ」と大きな声を出す。


「んじゃ、俺行くわ」


「はい、お疲れ様です」


 なんでこんな返事してんだろ?

 先輩の後姿を見送りながら、内心小躍りしたくてたまらなくなっているわたし。


「ラッキー♪」


 帰り道、家に帰り着くまでウキウキしっぱなし。浴衣着て行っちゃおうかなぁ。小峰先輩はどうすんだろ?

 あ、でも浴衣でバス乗るのもなあ、ちょっとハズイかも。

 ホント、遠足待ちきれない小学生か、ってくらい気持ちが弾み始める。

 家に着いて、早速カレンダー見れば、当然そこには何の書き込みなし。


「ガッチャ♪」


 あー、早く木曜日にならないかなあ。あ、そうだ、天気予報チェックしなきゃ!

 あわててパソコンを起動する。えぇーい、おそい!早く立ち上がれー! 地元の天気、ポチっとな。

 ガーン……、60%。

 なんの、週間予報なんてあてにはならないし。雨と決まったわけじゃない。

 お願い。木曜日だけでもいいから晴れてちょうだい。

 そしてあわててタンスの中から布キレを引っ張り出すわたし。

 テルテル坊主さん、作らねば!

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