私達、いつか幸せになれるよね?
私の人生は平坦だった。
とても平凡でありふれた生活を送る普通の女子高生だった。
高校生になるまで特に波のない平和で平凡な生活が続いていた。では、いつから変わったのだろうか?
いつからこんな風になったのだろうか?
保乃と別れてから私は記憶が曖昧でどこからどこまでが真実で、どこからどこまでが思い違いだったのか見当もつかない。
頭の中が混乱していた。
そんな状態で普通の生活など送れる訳がなく1ヶ月間の休学を要した。
休学を決めたのは私の異変に気づいた母だった。休学している間、私は塞ぎ込んで部屋から出られなくなり引きこもりとなった。
薄暗い部屋の中で窓の外から保乃が登校していく姿を覗く。
遠くからしか見えないが、保乃はいたって普通に登校しているようだった。
やがてその姿は見えなくなり、代わりに引っ越し業者の大型トラックが斜向かいに停まって荷物を運んでいるのが見えた。
窓の外から差す太陽の光を浴びながらその様子を静かに眺める。
スマホを取って久々にラインを開くと通知が100件を超えていた。
中身はほとんどが公式ラインの知らせだったが中には心配するすみれからの個人ラインや美菜たち四人のグループラインが何十件も溜まっていた。
美菜たちとのグループラインを開くと皆んな何事もなかったようにやり取りしている。
-來未ー、体調悪いのー?
-しばらく休み?
-最近、様子おかしかったけど何かあった⁇
-大丈夫そ⁇
-あ、明日の小テスト予習すんの忘れた!すみれ、朝来たら答え教えて!
-了解。
皆んな何事もなかったように日常を過ごしていて私だけがその日常から外れてしまった。
外れた人間はいつかきっと忘れられてしまう。
忘れられても外れた人間の生活は紛れもなく続いていく。
“私はね、再生するの。いつか必ず再生して幸せになるの。“
向かい合って見せた保乃の言葉、表情…
激しい怒りと悲しみが混ざった生命の息吹。あそこまでの激しさと強さを今の私には持ち合わせていなかった。
もっと軽やかにもっと図太く生きられたらどんなに楽だろうか。
器用に生きているつもりだった。だけど私は果てしなく不器用な人間だった。その人間性を保乃に暴かれたに過ぎない。
保乃が私の隠していた不器用さを見つけたに過ぎない。
いつか、私の人生は局面を迎えてこの出来事を忘れる時が来るだろう。
目の前を生きることに精一杯で保乃のことをまた忘れる時が来るだろう。
でも、いつかまた思い出す時が来るかもしれない。
そうなった時、そんなこともあったなと思えるほどの幸福と不幸が交互に訪れていること願う。
この出来事を小さな1ページにするほどの人生を送らないと私の人生、正気じゃいられない。




