表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
4/11

4.え? 悪役令嬢?

 私達四人はSクラスで一緒のクラスでした。初日から私は倒れてしまったので入学式に出ずに終わってしまいましたが。

 ……目が覚めた時にはもう終わってたんですよね。入学式。私、大丈夫かしら? ヴィーラント様が自分にぶつかったせいで、と私には非がないと周知してくれたらしいです。感謝です。入学式にも出ずにぶっ倒れた事が父と義母にバレたら何を言われるか……。

 普段は私に興味などないくせに私が何か粗相をすると矢の様に口撃してきますからね。

 

 父と義母の事などどうでもいいですね! なんといっても教室に! ヴィーラント様がいらっしゃるのですよ。尊い! お兄と馬が合うようで仲良さそうにいつも一緒にいますよ。男子同士で仲良くしているのも尊いです。


 私は大体マリアンヌ様と一緒にいる事が多いのですが、事情を知らないご令嬢がマリアンヌ様のいない時に近づいてきて侯爵令嬢なのに婚約者候補に居座って図々しいですわよね! とか、マリアンヌ様が私の悪口を言っていたとか色々言ってくる輩がたまに湧いてきます。勿論そんなモノを私が本気にするはずはなくにっこりと笑みを浮かべて去れ! と目で念じますといなくなりますが。

 

 私でもこうして色々言われたりするんだからマリアンヌ様も色々言われているのでしょうね……でもマリアンヌ様は私に何も言いません。私の事もお兄の事も信じてくれているから。私だってマリアンヌ様には言いませんよ。

 本当に私のお姉さまみたいなのです。同い年だけど。なんならお兄も同い年だけど。お兄の嫁になるからお姉ちゃんで間違はないのだ。


「ファビエンヌ様、ごきげんよう」

「イザベル様、ごきげんよう」


 うわー……今日も絡んできたよ……。私、お友達がマリアンヌ様しかいないから、マリアンヌ様がいなくなると一人になっちゃうんですよね。マリアンヌ様は先生に質問があるからとちょっといなくなっちゃったのですけど、その隙を狙ってイザベル様がやってきました。


 赤毛の縦ロール様です。お兄曰く婚約者候補として会った時から縦ロールで高飛車だったらしいです。お花畑のメロディもないけど、アレもないと言い切ってたよ……。

 殿下の婚約者候補に選ばれなかった事がどうにも面白くなかったらしいです。自分こそが王妃に相応しいのだとあちこちで吹聴しまくっているらしいですよ。

 そんな方が王妃に相応しいとは思えないのですが。

 そしてその殿下も教室にいらっしゃるのに一応婚約者候補の私に絡んで来ていいのかしらね?


「マリアンヌ様はいらっしゃらないのね?」

「先生に質問があるから、と……」


 イザベル様も私と同じ公爵家。同じ公爵家なはずなのですが、何故かイザベル様は上から目線な物言いなんですよねぇ。


「あら? ではマリアンヌ様が帰ってらっしゃるまでわたくし達とお話していてもよろしくてよ?」

「いえ、結構です」


 スパンと断るとイザベル様がひくりと頬を引きつらせた。

 だって、イザベル様のグループってある事ない事の噂ばっかり話しているんですもの。そんなの私には無理。合わない。


「あなたねぇ……」


 イザベル様が扇を私に向かって突き出してきた。ちょ、近い! 顔に当たったらどうするの!


「きゃっ!」

「え?」


 あ、あら? イザベラ様の手から扇が飛んで行った。そして私の肩には誰かの大きな手が添えられていた。


「ヴィーラント様っ」


 イザベルがにこやかな笑みを浮かべて声のトーンを上げた。おい。王子なら誰でもいいのか!? って! ちょっと待って。じゃあ、この手はもしかして……。

 私を守るように、そして肩を抱く様にしているのは、……そっと私の横に立った方を見上げると私よりも頭一つ高い身長、そして私の目の前には角ばった頬のラインがあった。


 やっば! カッコいい! ど、どうしよう!? え? やだ、私ヴィーラント様に抱き寄せられちゃってない!? スチル!!! 欲しい! じゃなくて! これは現実!


「人に向かって扇を突き出すご令嬢とはな……」


 ふんと鼻でヴィーラント様が笑うとイザベル様がかーっと顔を真っ赤にした。いや、だって衆人の前でイザベル様がやった事ですよね?


「ファビエンヌ嬢、怪我はないか?」

「大丈夫です。あの、ありがとう、ございます。ヴィーラント様」


 うわぁ! 名前呼んじゃった! 本人を前にして! あああ……どうしよう! 本当に! お兄と楽しそうに話をしていたはずなのにヴィーラント様が守ってくれるなんて、これって脈あり!? ねぇ!? 誰か! 教えて!

 でも、すぐにヴィーラント様は私の肩から手を放して距離を取ってしまう。ああ……残念……。

 …………イザベル様、もっと虐めてくれないかしら? そしたらヴィーラント様がまた守ってくれるかもしれない。


「行きますわよ!」


 イザベラ様は謝る事もなく、お取り巻き令嬢達にそう言うとくるりと踵を返して行ってしまう。いや、どこにいくのでしょうか? もうすぐ授業開始の鐘が鳴ると思うのですが。

 あ、イザベル様も一応同じSクラスなのですよ。王妃に相応しいと自分で自画自賛する位らしいのでお勉強は出来るのでしょうね。

 まだ入学したばかりで成績順など分からないのですが。テストが楽しみですね。


「あ、……ヴィーラント様」

「こちらに」


 すっとヴィーラント様が私の手を取りエスコートされた。連れて行かれた先はお兄の所だった。


「アンセルムの婚約者候補なのだろう?」


 そうだけど……。ああ、ヴィーラント様は私がアンセルム殿下の婚約者候補だから助けてくれたって事ですか。王宮に住まっていてお兄とも仲がいい様子ですしね……。そうですか……そうですよね。しゅんとしちゃいました。そうなんだけど……でもまだ会ったばかりでヴィーラント様に事情を話すわけにいかないですし、事情を話しちゃったらヴィーラント様の事にも触れないわけにはいけなくなりますよね?

 ん? いえ、私の家庭事情だけ話せばいいのでは? あ、でもそうすると何故中身お兄の殿下が私の為にそこまでするのかと疑問に思っちゃうか……。難しいな……。


「ファビエンヌ嬢を助けてくれて感謝する」


 お兄がヴィーラント様にお礼を言っていた。お兄からしたらきっと妹を助けてくれて、という意味なんですけどね。ヴィーラント様にはそうは聞こえないですよねぇ。


「いや、……余計な事をしたか?」

「いいえ。ありがとうございます」


 ヴィーラント様が私に向かって聞いてきた。ああ……素敵。どうしよう、私の目、ハートになっていなかしら? だって、初日にも助けていただいて、お姫様抱っこまでされて、今もまた助けていただいて。これってもう婚約してもよろしいのでは!?


 いや、自分、落ち着いて! 飛躍しすぎ!


 もう! お兄が内緒にしていたから私の心の中がすぐに大暴走するのよ! 教えてくれていれば心の準備が出来たのに!

 王妃教育でお城には通っていましたが、学園が始まる前には正式な婚約者になるまでの分の王妃教育は終了しましたし、学園に入る準備をするようにとしばらくお城に登城していなかったんですよね。それでも隣国の王族が留学の為に来るとかの噂位聞こえてきてもよかったでしょうに……って、私お友達がマリアンヌ様しかいないんでした。そして通常は何もなければ家から出ないのでした。


 そこへマリアンヌ様が帰ってきました。


「何か教室がざわついていいるようですけれど何かありました?」


 マリアンヌ様はそそと私達の方に近づいてきてお兄の隣に立ちました。お兄はマリアンヌ様を優しい目で見ています。うわあ、兄のこんな顔はちょっと気まずいです……。なんか恥ずかしい。でも目に見える位マリアンヌ様の事を大事にしている事が分かるのでそれはそれで嬉しいですけれど。


「イザベラ様がちょっと……」

「……ああ、はい」


 私が言葉を濁すとマリアンヌ様はスンっと冷たい視線になりました。……うん。やっぱりマリアンヌ様もイザベラ様に絡まれているんでしょうね。


「……ファビエンヌだけでなくマリアンヌも絡まれているのか?」


 お兄がマリアンヌ様のストレートのつやっつやの黒髪にそっと触れながらマリアンヌ様に聞くと、マリアンヌ様は頬をバラ色に染めながら大丈夫ですと答えていました。

 あまーいっ! やだー! もう! お兄ったら! 恥ずかしいっ! でもマリアンヌ様はお兄に気遣われて嬉しそうです。よかったね。

 私は二人の様子を見て口元が綻びます。二人が仲良くしているのはいい事ですね!


「……いいのか?」

「え?」

 

 ヴィーラント様がそっと小声で私の耳元に囁いてきました。いやーん! 耳が蕩けそう……。ええと、いいのか? って何がでしょう? あ、ああ、そうか、私も婚約者候補なのに二人が甘々ラブラブでいいのか? って事でしょうか?


「ええ。勿論……」


 ヴィーラント様に言い訳を言ってもよいでしょうか? 実はマリアンヌ様がアンセルム殿下の本当の婚約者で、私は名前だけの候補なのです、と。私がヴィーラント様推しなのはお兄もマリアンヌ様も知っているしいいですよね? だってヴィーラント様にお兄の婚約者候補だと思われていたら嫌ですもの。


「あの……」


 口に手を添えヴィーラント様に少し身を寄せお話をしようとしたら授業開始の鐘が鳴りました。残念! いえ、丁度よかったのかもしれませんね。お兄からヴィーラント王子に言ってもらった方がいいかもです。お兄にお任せすれば言っていい事をきちんと吟味して伝えてくれるはずですもの。


 鐘が鳴ったので私達はそれぞれ自分の席に戻ります。

 

 それにしても変な世界ですよねぇ。普段はドレスがデフォの世界なのに学園の中ではひざ下位までしかないスカート丈の制服なのですから。さすが乙女ゲーの世界です。

 女子の制服はブレザーですが、袖口がちょっと広かったり、レースがついていたり、リボンがふわふわだったりと日本の機能的な高校の制服とはちょっと違います。

 一応学園の中では身分は関係ないという設定ですが、それを鵜吞みにする方は勿論いませんよ? でも一応の建前としてそう謳っているし、お兄も気さくではあるので男子は仲良くしている様ですが、女子はねぇ……ギスギスしてますよね。

 主にイザベラ様が引っ搔き回しているというか……。

 私とマリアンヌ様は今の所静観しておりますけれど、度が過ぎれば対策をしなければなりませんね。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ