+Assassin②
「ここかぁ」
周辺の工場と変わらず、トタンで作られている工場があった。
「その辺の工場と変わらないわね」
「入りたいが、鍵が掛かっているな」
「先輩少し離れて」
封魔が扉から離れると、夜月が鍵を取り出した。
「夜月どうやって鍵を…」
「私の魔道書です」
「変幻自在だと便利だな」
扉が開くと良く分からない機械と地面に扉があるのみだった。
「この機械はフェイクですね」
「おそらくこの下が本番か…」
扉を開ける階段が連なっていた。
「これってどこまで…」
「おそらくこの島の柱がある所まで繋がっているかと」
「どうして、こんな所に?」
「工場地帯は範囲が狭いので地下に専用の部屋を作っていると聞いた事があります」
「地下かぁ…」
三人は下に降りると、大きな広場になった。
「ここは一体…」
そこには、ガラス状の縦長い棒が無数にあり、一つ一つに良く分からない液体と人間が入っていた。
「この人たちは一体」
「奴隷だ、まぁそいつらは死に掛けだ」
「お前は昨日の錬金術師」
男は三人を上から眺めるように立っていた。
「また会えるとは、まぁ、今回は、俺も連れがいるから安心しろ」
「あいつが昨日襲撃したって言う奴ね」
「マルシェ、オイエン、後は任せた」
『了解しました』
「待て」
男の後ろから現れたのは、年齢は中学生くらいの男女が現れた。
「先輩、この子たちはどうしましょう…」
「殺すな、」
「分かっているわよ」
男の子は大きな邪神を出し、女の子は、下半身が鱗と鰓をつけて地面に入った。
「おい!今、女の子が地面に埋まったぞ」
「魔獣使いと人魚ですか」
女の子の上半身が出てくると、勢い良く息を吸った。
『ハァアア!』
「こ…これは!」
「人魚のハウリングボイス」
声の振動で円柱の棒が割れて液体が出て来た。
「円柱の液体が出て水浸しになっている…」
「せ…先輩!危ない」
封魔の頭上に邪神が居た。
『叩き潰せ、バルドル』
封魔は、避ける事ができず、潰される。
「先輩…」
「夜月、ごめん、私そろそろ無理…だわ」
「笠木さん」
彩花は、横たわった。
「せ…先輩…と…笠木…さんが」
『これで終わり』
男の子は、封魔のお腹に剣を突き刺した。
「先輩!」
『残りはお前だけだ』
「死ぬかよ」
『まだ、生きているだと!』
「先輩」
夜月は泣きながら、封魔を呼んだ。
「こ…ここは一体?」
「どうやら、奴隷の子たちが起きたようです」
奴隷とされていた子どもの中には自力で出る事が出来る子も居た。
「い…急いで逃げないと」
「ちょっと待って、」
「はい、」
「あなた、出る事が出来ていない子たちを出してあげて」
「しかし、」
「あの人たちは私たちに任せて」
「ここからは俺の戦いだな」
「何言っているのよ、望月 封魔、私たちのでしょ」
「笠木さん、」
「舌を噛んじゃって血は出たけど大丈夫よ」
『不可能、私たちの弱気でやられる奴らは勝てない』
「あきらめるかよ」
『残念だな、お前らはこれを見て負ける』
『バルドル』
「クルスリア!」
『あいよ』
「行くよ、夜月」
「はい!」
「〈傲慢〉に接続」
「〈暴食〉〈破壊〉に接続」
「インペル〈強欲〉ゲート〈協力〉のゲートに接続」
夜月と封魔の魔導書から魔力が大量に出て来た。封魔は黒い渦、夜月は白い渦が覆うように出来た。
「何だ!この膨大の魔力は…」
マルシェが攻撃をしようとしていたが、二人の魔力が大きく一歩下がった。
「「錬金術」」
夜月の周りにあった白い渦がなくなると、夜月の姿は制服の上から魔力で白いポンチョが出来た。
「おい、女!貴様もただ者じゃないな」
「私は先輩の監視役です」
夜月はそう言い、魔導書から変わった太刀を握りしめた。
「夜月、それはポンチョだよな、あとどうして錬金術を使えている?」
「元々、錬金術は〈協力〉の魔法の一つです」
「そんな事より」
「夜月は一緒に男の子方、彩花は女の子の方を頼む」
「私に指図するな」
夜月は封魔の提案に頷いた。
「行くぞ、夜月」
「はい」
封魔と夜月はマルシェに攻撃を開始した。
「くらぇ、邪神遣い」
封魔がマルシェに飛び込もうとした瞬間、
「マルシェだけじゃないのよ」と言い、オイエンが封魔の攻撃を抑えに来た。
「まぁ、仕方ないわね」
彩花はオイエンの対応をした。
「アンタの相手は私よ」
彩花は制服のスカートのポケットからグローブを取り出してつけて、言った。
「それは人魚のオイエンと言う事を知っての宣戦布告かしら」
「人魚のオイエンって何よ」
「私を舐めないで」
オイエンは地面に潜り向かって来た。
「二度もくらわないわよ!」
彩花は左手を地面に翳し、右手で地面を殴り、砕く。
「おい、夜月…笠木さんは、あんなに力が強いんですか?」
封魔は、あまりの迫力にぎこちない敬語になった。
「はい、おそらく現存する魔導士。さらに言えば、笠木さんのインペルである〈破壊〉の中で三番目くらいに強いです」
「そんなに強かったのか」
封魔は、夜月が言った事に驚いた。
『何、よそ見をしている!』
マルシェは、封魔と夜月に向かって攻撃をして来た。
「夜月、構えろ」
「分かっています」
マルシェは、使役する邪神を動かし、攻撃を命じた。
「バルドル、二人を殺せ」
邪神は、封魔と夜月を何度も殴った。
「やれ、やれ、もっとやれ、バルドル」
邪神は、未だに死んでいないが、殴るのをやめた。
「なぜだ、どうして神の力を持つ邪神が戦わない!」
「もうあきらめろ、邪神も限界があるって事だ。これ以上しても意味はない」
「うるさい、俺が力ずくで従わせてやる」
封魔はマルシェに言ったが、聞かなかった。
マルシェは自ら右手の人差し指に血を出し紋章を地面に書き始めた。
「我と血の契約を継ぎし、眷族よ、我と再契約を結び我に従え」
マルシェは、人間とかけ離れた姿となった。
「こいつは一体?」
「このおぞましく、尋常ならざる魔力は、邪神遣いの禁忌魔法です」
封魔の横で夜月が言った。
「禁忌魔法…」
『全員、死ねぇ!』
マルシェは、周囲を踏みつけ、砂埃がたっていた。
「夜月、彩花、大丈夫か?」
「こっちは大丈夫です」
「彩花と呼ぶな」
「その調子だと大丈夫だな」
「でも、相手さんが動けていない」
「彩花は、人魚の子を安全な所に連れて行ったら、来てくれ」
「私に指図するな」
「夜月は俺と」
「足止めですね」
「頼む」
『止めるものなら止めてみろ』
夜月と封魔は、マルシェの攻撃を避けながら彩花の方へ進まないように止めていた。
「「ハァアア」」
「クソ、この化け物、固すぎだろ」
「全く下がりませんね」
封魔は、少し焦りながらマルシェに攻撃をしていた。
「望月封魔!何焦っている」
「こいつが暴れすぎたらこの島が沈んでしまうぞ」
封魔は、彩花に言い返した。
「此処からは、三人掛かりで抑えるわよ」
彩花が最初の攻撃として足場を崩して動きを鈍くした。
「せ…先輩!危ないです」
「マルシェ、正常な状態に戻れ」
封魔は動けなくなった邪神を剣で切り裂いて、中心にいたマルシェを取り出した。
「望月封魔!」
封魔は落盤している状態から飛び越えながら元場所に上がってくる。マルシェの邪神は、マルシェの体に入っていく。
「その子は、大丈夫でしょうか」
「とりあえず、この二人の処置をして行くか」
「あんたって本当に魔王なのかしら」
封魔と夜月は、治療を始めていた。
「あなたも治療ができるのね」
「まあ、怪我しているのは、治癒ができないが、擦り傷くらいなら」
封魔の手には、邪神の血が付着していた。
「先輩、ふき取ってください」
「と言っても、体が一瞬で吸い取ったぞ」
「一体どう言う事ですか?」
「おそら…クッ」
封魔は急にお腹を抱えて座り込んだ。
「先輩、大丈夫ですか?」
それを見ていた夜月が封魔の事を心配そうに聞いて来た。
「このくらいだったら少し経ったら落ち着くと思うが…」
「邪神の血を吸収してお腹を下す何て聞いた事ないわよ」
封魔の体からは、火のようなものが出ていた。
「先輩の体から火が出ています」
「俺は熱いより腹が…痛くなくなった」
「はい?」
「何か平気になったから先に行くぞ」
「ちょっと火は、大丈夫なの?」
「全く熱くもない」
「一体、何だったのですか?」
封魔から出ている火は、付いたままだが、お腹の痛みが治まったので、三人は、奥につながっている地下道を走って向かった。
「そう言えば、麻樹先生は来ないのですね」
「おそらく把握はしているけど動けていないのよ」
「どうしてだ」
「ヨーロッパの魔王ジャック=クロードのせいね」
「また、あいつか」
「早く行かないとこの島が沈んでしまうわ」
「わかっているが…」
三人は地下道を走っているが一向に錬金術師が見当たらない。愚か島を守るMIOの隊員の姿が見られないため守っていない様にも見える。
「これは…」




