道家の朝
ご飯を机に乗せて準備を整えた龍弥はそのまま席に座り、ご飯を食べ出した。
「当たり前のように食うのかよ」
「先輩、食べないのですか?」
俺は無警戒に敵であった男の作った食べ物が怪しく感じて食べるか悩み机に置いてそのままにしていると、夜月は動じることなく一口食べて話しかけてきた。
「それでだ。君たちは何が知りたいのかい?」
「家族を裏切った男が今さら、ここに帰ってきた目的は何なのよ」
凰火がさぞ当たり前のように家族として暮らしていることに嫌悪感を向けて問う。
「手痛いな」
凰火に怒られたことに龍弥は頭を掻いて言った。
「さっさと話せ。さもなくばMIOに連行する」
龍弥は飽きずに無駄話を始めており、目的も話さないため脅して本題を話させた。
「それは困った。じゃあ言い方を変えよう。勝者の報酬を渡しに来た。と言っても情報だ」
「情報?」
龍弥は話の前振りもなくおかしな話をし出した。
「ああ。五角会は昨夜に滅んだ」
「何を当たり前のことを」
俺は当然の話をされたことに意味が分からず、そんな話がしたかったのかと龍弥に話を返した。
「残念ながらお前さんらではない。昨日の夜。五角会本部に襲撃があった。そいつは一人で幹部を殺害。原型を留めていない遺体が大量に見つかったそうだ」
龍弥の話を聞いたものの何が言いたいのか分からず、話を返すことを諦めてご飯を食べ始めた。
「名前は九鬼 水仙。〈憤怒〉の魔王によって俺たちの組織は滅ぼされた。だからと言っていいが、自由になってな。こうしてここに戻ってきた」
龍弥はご飯を食べてどうでも良さそうな話をしているかのように話を終えた。
「は?魔王?」
「おう。だから気を付けろとだけ言いたかった。お前たちも狙われる対象だからな」
龍弥の話を聞いたが、どこまでは本当なのか分からず、聞いた話を他人事のように受け流した。
「あの魔王が動いたのですか?」
夜月は九鬼と言う魔王の性格を知っているのか、驚いた様子で龍弥の話を聞いていた。
「当然だろ。ここは魔王領。それに俺たちが戦った相手もお前たち魔王だからな。介入して来ると覚悟していた。だが滅ぶとは思わなかった」
「お前はこの先はどうするつもりだ」
俺は龍弥の状況も俺たちと変わらないか危険な状況であることが察せるためこの先の話を聞いた。
「残念だが。俺はMIOに連行だ。すでに家の前に待っているからな」
「呆れた方です」
香ノ木さんは呆れた顔で窓の隙間から外を見つめていた。
「待たせているからな。私はこの辺で去ろう。」
「見送りはさせて」
凛さんは悲しそうに言うと薄い上着を羽織った。
「俺たちも送るか」
俺たちも凛さんほどではないが、何となく気になり、見送ることにした。
「なぜ魔王の研究を始めたんだ!」
「簡単な話だ。俺が魔王に強烈な憧れを持ったからだ。だが、分かったことと言えば、関われば碌な暮らしができないと言うことだけだな。凛さん。体には気をつけて」
「ええ。あなたも」
凛さんを見る龍弥は悲しさもあり、その姿はまるで大切な家族と別れることを惜しむ父のような顔だった。
「では魔王、そして婚約者諸君。この旅行を楽しみたまえ!」
龍弥はMIOの魔導士に拘束されると、ちょっとした火種をその場に残して朝焼けの空へと消えた。




