龍の信念
俺が敵を殴ると、体にまとった魔法装束は〈傲慢〉の装束とも魔王の時の装束とは異なる新たな装束が顕現した。
「先輩。その姿は一体…」
俺の知らない姿に夜月は驚いており、こちらを見ていた。
「クルスリアさん。それは一体…」
『恐らく。封魔さんのインペルで〈暴食〉の力を手に入れたのかと…』
「アイリアさん?」
彩花は勝手に自分のインペルが使われることに驚きと怒りがあったようで俺の顔を睨みつけてきた。
「俺にも悪いわけではないですが…」
「はあ…」
彩花は大きなため息を吐いて、俺に対する敵意を向けず、敵に意識を向けた。
「こうなったら、私もやってやるわよ」
彩花は嫌そうだが、仕方なさそうに手を貸してくれることになった。
「行くぞ」
「ええ」
俺と彩花は正面から来る敵を対峙することになった。
「かかれ!」
「敵の数は少ない割には一人ずつが強いな」
「戦ってすぐに魔王が弱気を吐くんだなってまだまだ未熟ね」
彩花は汗をかくが、疲れを見せない。攻撃は止まることなく続けており、集まっていた手下は次第に減っていった。
「おい。てめえら。こんな奴らに何してやがる!」
指示している男は俺たちに押されていることに怒り出した。
「おい。フォン・イェン、俺も前に出る」
「情報では魔王のインペルは〈傲慢〉だったはずよ。油断ように」
「馬鹿どもと一緒にすんじゃねえよ!」
男はフォン・イェンと呼んでいた忠告にも怒りながら言い返した。
「てめえ、強えじゃねえか。」
「お前たちに時間を潰される暇ねえよ!」
俺が男の攻撃を受けとめると楽しように話してきた。
「これはこいつらも勝てねえわけだな」
男は攻撃を塞がれたことに嬉しそうにしていた。
「五角会戦闘部隊、力のチョー・ハオラン。いざ、尋常に」
男は武器を構えており、真っ向から勝負しようとしてきた。
「あなたは本当にバカね…」
「うっせえわ。俺の流儀にケチ付けんじゃねえ!」
呆れ果てているフォン・イェンと言う女は着いていけないようで愚痴を溢していた。
「全く。これだから脳筋は嫌いなのよね…。あなたたちはあんなバカにはならないようにね。周りに迷惑だけを振り撒くんだから」
男は聞こえてくる声に怒りが蓄積しているようで。次第に漏れ出す覇気が大きくなっていた。
「さっさとやるぞ!魔王!」
チョー・ハオランは武器をグッと握り、突っ込んできた。
「クタバりやがれ!」
振り下ろされた武器は地面に刺さり、体を器用に動かし、蹴ってきた。
「クソ。体術も中々キツイじゃねえか」
蹴りは俺の体を直撃したものの痛みが少なく、後ろへ飛ばされただけだった。
「ぽっとでの魔王に負けてたまるかよ!」
チョー・ハオランはそう言うと武器を掴み、振り下ろしてくる。
「先輩!」
「お前と遊ぶ時間なんてねえんよ!」
俺はグッと握った拳はチョー・ハオランの自慢の武器を砕き、そのまま顔に拳が当たった。
「ぎゃああ。て…てめぇ、その力は…」
力を込めた一撃にチョー・ハオランは耐えられず、血を吐きながら倒れた。
「ハオラン。あなたたちは足止めを」
「はい」
フォン・イェンは急いでチョー・ハオランに近づき、治癒を始めた。
「フォン・イェン…悪い」
「私も戦うわよ」
チョー・ハオランはある程度の傷が治ると武器で体を支えながら起き上がった。
「無茶は御法度よ」
「悠長にそんなことを言う相手じゃねえだろ」
「そう…みたいね」
二人はお互いを支えながら生きているようにも見えた。
「先輩。大丈夫ですか?」
「ああ」
まるでそれは俺と夜月のように…。




