白い世界と黒い影
混沌の動きが止まっている隙に触れるとそこは妙に白い世界だった。
「こいつは…」
『奴の精神世界ってやつだな。アクセスするにはちょいと苦労したが、お前さんにとってはちょうど良いだろ』
「やるじゃねえか。」
クルスリアは意外にも俺の役に立つ行動をしていたようで俺も思わず驚いた。
『恐らく奴の真体は奥で寝ているぜ。まあ。抵抗もあるかもだから気をつけな。マスター』
「おう。サンキューな。」
俺はクルスリアの忠告に従って不思議な空間が広がる場所の奥へと進んでいった。だが、そう簡単な話ではなかった。
「何だ?これは?」
白い世界は暗くなり、見えにくい。目標もない場所でどこへ向かうのか分からず、俺はただ進んでいく。
「おい。クルスリア、光ることはできるか?」
『あ?ライトか?良いぜえ。』
クルスリアはあくびをして言った。
「お…おぅ。」
俺はクルスリアが光る灯りを辿りに歩き続けて何分経ったのか気づくとそこに怪しいヘドロが囲まれた場所に着いた。
「これは…。何だ?」
俺は周囲を見渡し、何があるのか確認してみると囲まれた中心には男の子と狼が遊んでいた。
「あれは…」
『おい!マスター!下がれ!』
クルスリアは何かを感じたのか俺に下がるように注意した。
『助けて…助けて…助けて…助けて…』
助けの声は俺の足元から聞こえてきた。ヘドロから伸びる手そこから形が大きくなっていき、人の形へと変わっていった。
「こいつら…」
『マスター。あいつらは混沌に殺された人間だ。魔力で構成されていて残留思念みたいなものだ。気を抜くなよ。あいつは元魔導士だからな。やる気じゃねえとこっちがやられるぞ』
クルスリアは俺が元とは言え、人間を殺すことに躊躇しないように促した。
「分かっている。手を抜くつもりはねえよ」
俺はクルスリアの話に否定して言い返した。
『来たぜ。マスター!』
「おう。」
俺はクルスリアの声に軽い返事をして攻撃の構えをした。
「クソッタレ!!」
俺は彩花の魔法を参考にした攻撃で襲ってきたヘドロに攻撃して蹴散らす。
「キリがねえな。」
魔法とは言え、物理攻撃をする以上。攻撃すると根元と思われるヘドロから復活する敵を苦手とするところは面倒になってしまう。
『マスター、手こずっているな。』
「そう思っているなら、手伝ってくれよ!」
『仕方ねえな…。』
クルスリアは面倒くさそうに言うと、魔法を唱え出した。
『フィジカルボディを再構築、スピリチュアルボディを移行開始。完了』
「おい。クルスリア!」
俺が持っていた魔導書は、人間の女の子の姿へと変わった。
「どうだ?マスター?」
服はミニスカートにゴシックファッションとクルスリアは派手な印象を持つ姿になった。
「まあ。可愛いと思うぞ。」
「だろ!」
クルスリアは両手を腰に当てて威張った。
「それでここからだな。私がこいつらを押さえておくさ。マスターは一番ヘドロの中心に行きな。」
「良いのか?」
クルスリアの提案は非常に良いかも知れないが、一対多数の敵と不利なこともあり、心配してきいた。
「構わんさ。これでも伝説の魔導書だからな。この程度の敵、簡単さ。まあ。これが終わったら褒めてくれよ!」
「それ死亡フラグだからんな」
クルスリアはニコニコして話を弾ませる。
「そうだったのか。でもまあ。この体が尽きてもお前さんが持っている魔導書へと戻るだけだからな。安心しな」
クルスリアはどうしても死亡フラグを立てたいようでドンドン積み上げていった。
「早くいきな。」
俺はクルスリアの心配もあったが、早く済ませることで負担も減ると考え、中心へと向かった。




