箱庭の日常④
毎朝なるアラーム、ともに麻奈の声が聞こえなかった。その代わりとして大きな鐘の音が響き渡り、俺は思わず、目を覚ました。
「封魔さん。おはようございます」
「麻奈か?ここは一体。」
目を覚ました場所は大量の本棚に埋め尽くされ、朝の木漏れ日を大いに取り込んだ窓が光を照らしていた。
「ここは図書館です。めいゆう図書館と呼ばれる場所です」
「盟友?友達のか?」
俺は何が何やら分からず、麻奈に質問をして答えるのを待った。
「めいゆうとは。迷える幽霊のことです。ここは死後を統括する魔道図書館です」
「幽霊?でも麻奈は」
俺は麻奈を死んでいないと思っていただが、麻奈は首を横に振り、そうではないと訴えた。
「私は生きていません。正確には精神は死の世界にいると言うのが正しいでしょう。封魔さん。私を探してください。そして倒してください」
一体何を言っているのか分からない。麻奈の伝えている言葉。はっきりとはしない世界に疑いをかけた。
「封魔さん。私は…」
「望月封魔!!」
麻奈の言葉をかき消すように図書館の扉を開けた男が一人。その男は大きな声で叫び。魔法を無差別に飛ばしてきた。
「お前は!篠原なのか!」
「ああ。そうだよ。篠原さ。良いや。正しくはこう言うべきだな。魔王。第五の使徒と」
「は?」
「封魔さんは逃げて。私が時間を稼ぎますので」
麻奈は篠原を止めるため、必死に体で止め、逃げる時間を稼いでいた。
「麻奈!」
「夜月ちゃん!お願い!」
麻奈がそう言うと、麻奈の体から夜月が飛び出し、俺を引っ張っていく。
「麻奈!」
「頑張って封魔さん。」
その後の記憶はない。どうやら事後情報によると、俺は夢の中で色々な不可思議を体験していたようだった。
「思い出せねえな。」
「先輩。あまり思い出さなくて良いと思います」
「そうなのか?」
夜月は妙に思い出して欲しくないような顔をして言っていた。
「でもどうしてだろうな。」
「何がですか?」
「夜月が俺の夢にプリクラを撮りませんかって言った理由だよ」
そう言うと夜月は頬や耳を真っ赤に染め上げ、知りませんと怒った口調で言ってきた。
あの時の記憶、はっきりとは思い出せないが、麻奈が出てきたような気がする。そして俺を逃げるようにも。
「『私を探してください。そして倒してください。』か。」
「麻奈さんの言葉ですか?」
「ああ。」
俺が目を覚ました後のことについてだが、さっきーちゃんにはとても怖い顔で「気にするな」と言われ、妖雲さんには「変態」と罵られ、香ノ木さんには何もされず、逆に怖かった。
「先輩。咲希先生の言う通り、気にしない方が良いかと思います。あれは夢なのですから」
「夢かぁ。ゆめ…。迷幽図書館。あそこに何かがあるのか?」
「ああ。魔王の核よ。我が願いを聞くが良い!」
「いやあああああ!!!!!!!」
俺は激痛で意識がなくなっていく中、夜月の手の温もりだけが唯一の感覚として残っていた。
「や…つき」




