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グロマギア  作者: ハナビ
魔王出現篇
22/96

陽炎の傷跡⑤

その頃、仮設病院では…。

「美沙さん。なぜ、この人たちを回収するのでしょうか…」

仮設テントの中では、負傷した魔獣使いと人魚の怪我をしている二人を確保し、二十四時間監視体制で見ていた鵜月と美沙がいた。

「鵜月、仕方ない。学園長が必要としている。連れて行くのは決まり」

命令通りに動く美沙と納得できない鵜月が監視の下で二人の治療が行われている。

「これも学園長の考えですか?」

鵜月と美沙は五日前の事件後で怪我をしたものの軽傷で済んだため、学園長の指示でパラドクスにいた少年と少女を連れて学園に帰るように命令があった。そのため、事件で行方が分からなかった二人の探索を二日間行い、漸く崩落した地下で発見したが、低体温状態で治癒機能が低下、栄養失調となっていた。

「この子たちはいつ学園に連れて行くの?」

鵜月は学園に連れて行く事は納得していないが、日時を聞く。

「まぁ、この人たちも瓦礫の下敷きの時より調子は良くなっているので、魔王と一緒に明日、学園に向かう事になるそうです」

「美沙さん。私たちも明日、この島から離れますか」

鵜月は監視する人不足だと思いながら、自分たちの今後の事を聞く。

「インペルⅩのみんなをこの島に導入することは良くないし。この島にはMIOの指令局があって人員が揃っているから私たちも今回は短いと思うよ。」

外に出た二人は暁を眺めながら自分なりに一段落着けた。


封魔は目を覚ますと、ぐちゃぐちゃの部屋にいた。

「マスター。起きな。朝だぜぇ」

人の姿になったクルスリアは封魔の上に乗り起こしていた。

「クルスリア。こんな姿を夜月にでも見られたら…」

封魔が危機感を感じ言っていると、部屋の扉が開いた。

「先輩。朝食できましたよ」

扉を開けて現れたのは、いつも仲良しな従妹ではなく、職務に忠実な夜月だった。

「先輩。一体何をやっているのですか?」

監視対象が魔導書といやらしい事になっている事はあまり見ないため、夜月にとっては刺激が強くグラグラと来た。

「夜月?朝食を食べるから助けてくれないか?」

夜月は封魔に一歩一歩大きな足音立てながら近づいてきた。

「えっと…。」

「クルスリアさん。先輩にいやらしい事をしないでください。そして先輩は自分の魔導書にデレデレしないでください!」

夜月は封魔の腕を引っ張りそのままリビングへ連れて行く。

封魔を椅子に座らせ、食べ物を皿に盛りつけ食卓を囲む。

「いただきまーす。」

真っ先に手を合わせたのは彩花だった。

「どうしてここに居るかなぁ。彩花さん?」

封魔は疑問に思い斜め右前に居る彩花に質問する。

「それは夜月があんたを起こしに行くって言って聞かないから仕方なく」

「大体、どうして夜月と彩花がここに居る!」

封魔は、間違えなく昨日の夜、玄関の鍵を閉めて寝た。だが、朝起きると開いていた。

「私がマスターの代わりに開けたから問題ない」

「それ結構、問題があると思うが!」

封魔は驚いて声を張って言う。

「マスター。早くしないと食べる物が無くなるぞ」

クルスリアは軽く足笑うように封魔が真剣に言ったことを流して朝食に集中する。

「クルスリアは食べているが、アイリアは、食べなくて良いのか?」

夜月の魔導書になったアイリアに尋ねる。

「魔導書は物ですよ。いくら食べなくても死にません」

「そういう物なのか?俺はこの間から魔導書と居るが、何も知らないからどういう物か?」

封魔は魔導書の力を借りて魔法を使ってはいるが、そういう存在がどのような存在なのか分からなかった。

「良いですか?魔導書は生きてはいますが、それは先輩の力をもらっているからです。いくら魔導書のクルスリアさんが食べ物をとってもエネルギーに変えることはできません」

夜月の話を聞いて封魔は、クルスリアの顔を見て聞く。

「なら、どうしてこいつは食べている?」

クルスリアは手を止めて汗を掻く。

「それは…」

「クルスリアさんがやっているのは単なる食費の無駄遣いです」

封魔は一息を吐いた。

「失礼だな。これでもうまいと感じるんだぞ」

「全く。魔導書は自由だな」

クルスリアの食事を止めることなく、封魔は朝食をとった。

「先輩。とりあえずこの家の片付けと学園に向かう準備を行ってください」

夜月に言われるがまま封魔は動き、自分の家を綺麗にすることにした。

自分の家だが、一生。帰ってこないかもしれない。だが、麻奈と暮らした頃を忘れないように綺麗に片づける。

「これでよし。」

「次は学園に向かう準備です」

夜月はテキパキと封魔に指示をして動かしていき、効率的動いていった。

「先輩。必要な物は荷物に詰めましたか?」

「準備万端だな」

多くの物を片づけ荷物を詰めた鞄を持ち三人で集合場所のMIOの指令局の屋上へ向かう。


「おぅ。来たか。」

「沙希先生。来られたのですね。」

夜月は、いつも封魔が迷惑をかせている沙希に真っ先に挨拶をした。

「まぁ。私も学園に向かわないと行けないからな」

「先生もですか?」

沙希が何者なのかもわからず、聞いた。

「言っておくが、私は此処の誰よりも偉いぞ」

沙希は偉そうに威張っていた。

「まぁ、MIOを監視する者だからそうなりますよ」

MIOの指令局、屋上に学園に向かうと思われる者たちが集まってきた。その中には、封魔が毎日見ている顔がいた。

「よう。封魔。夜月ちゃん」

「比嘉先輩。萱倉先輩」

「まぁ、封魔が居て当然ね。魔王だし。」

騙し騙し涼との生活をしてきた関係は、今回の事件でバレてしまっていたのか。

「私はずっと前から知っているわよ!」

「知っている?いつから!」

涼が急に話し出したため、封魔はびっくりしていつからかを聞いた。

「いつって。最初からよ。」

「は?」

封魔は誤魔化していたつもりだったが、涼には隠せなかったようで損をした気分になっていた。

「そもそも突然、MIOの魔導士である九重さんと一緒になること自体おかしいでしょ。でもまあ。確信を持ったのは五角会の」

「あいつが来たときにってことは、今回の事件前には知っていたのかよ」

「私のことも知っていたのですか?」

夜月は封魔の正体だけでなく、自身の事についても知られている事に驚いた。

「あなた。とても目立つのよ。それに私はこれでもMIOの情報機関で働いているのよ。そのくらいのことはすぐに分かるわよ」

「つまり私のせいで先輩のことも」

「それは怪しむわよ」

封魔は精一杯頑張って来たことが無駄のようになることをため息を出してショックを受ける。

「まぁ、二人とも誤魔化すのが下手だからな。バレるよな。」

ここに居る全員が納得して縦に頷き封魔と夜月は、何も言えなかった。

「今日は俺と俺の監視役の夜月と…」

「沙希先生と比嘉先輩。萱倉先輩ですか?」

夜月にも誰が学園に向かうのか分からずに封魔が言った人に来ている人加えて聞いてきた。

「あと私たちが戦った魔獣使いの男の子と人魚の女の子も行くわよ。魔王。」

「あいつらが?」

「二人とも大切な試験体だからって学園長が呼んでいるのよ」

彩花は嫌な顔をして封魔に言う。封魔も少し心配な所があり、彩花が言う学園長は、かなり危険な奴ではないかと思った。

「私たちは、確かにそんな顔をされて当然な事をしましたが、魔王のせいで私たちも死にかけましたからお互い様です」

少し時間を遅れて現れたMIOの魔導士らしき人二人と男の子と人魚の女の子が来た。

「噂をすれば、来るものなんだな」

漸く全員揃い学園に向かえるそうになった沙希は、皮肉交じりで呟いた。

「美沙さんと鵜月先輩?」

夜月も最近、インペルⅩの人と話していないようで久々の再開に馴染んでいた。

「どうも。君が魔王の時は大変だったよ。」

「町は全壊、事故処理の山。帰れない仕事、終わらない仕事で地獄。」

鵜月は封魔のせいで町中に被害が起きたと思い、八つ当たりをする。

「すみません。鵜月先輩」

夜月はいつも迷惑をかけているため、謝罪を先輩の鵜月にする。

「どうして被害を出した魔王が謝らないで監視役の夜月が謝っているのよ!」

鵜月に正論を言われて封魔は苦笑いをして「辛いなぁ。今回は俺が全面的に悪かった」と言って頭を下げる。

「まぁ、私より夜月に言ったら」と更に正論を言われて頭を下げて動かなくなった。

「お前たち。イチャイチャするのは、向こうに行ってからにしろ」

沙希がそう言うと真っ赤になった鵜月が「誰がこんな変態と!」と拒絶する。

「それじゃあ行くぞ」

MIOの指令局屋上の鉄の床に魔法陣が展開され体が浮き上がり視界が一瞬白くなった後、大きな木と白く輝く漆の外見の建物の前に着いていた。

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