+Assassin⑥
涼と麻奈の護衛をしていた美沙は武器を構えた。
「ねぇ、麻奈ちゃん、どうして私たちが守られているの?それにさっきの光は?」
「守られていることについては、私にもわからないけど、妖雲さんは味方だから安心してね、それにさっきの光は、誰かの魔法だと思う」
麻奈は涼の話を聞いて少し心配しながら、安心した。
「魔王の真核さんよ、俺たちに着いて来い」
「真核?…」
「魔王…」
美沙と涼は何を言っているのか分からず、疑問を返す。
「お前ら、この島を予定変更だ、七番目の魔王の完全復活とこの島の破壊に変更だ」
「了解しました」
アヴィル率いる集団は、中心部に侵攻し始めた。
「しかし、さっきの魔法は一体」
「とても強かったわね」
「夜月ちゃん、彩花ちゃん、それに新人魔王くん、さっきの魔法は、鵜月ちゃんの魔法だよ」
「あなたは」
「インペルⅩのNo,2の堀部先輩!」
「でしたら、鵜月先輩は、阻止したと…」
「それはどうだろうな」
「どうしてですか、先輩?」
「恐らくだが、雅樹の方には、トップはいなかっただろうな」
「なぜ」
「を容易くここまで連れ戻した所だし、堀部さんだっけ、そっちも片づけているようだし、どうせ、クロードの方は容易く」
「では、本陣はジャック=クロード卿か、鵜月さんの方に」
「クロードから逃げるように方向展開して南に行ったとしたら」
「七番目、こっちは外れだったようだよ」
「ジャック=クロード卿」
「来たようだよ、お客さんが」
その頃、西では、
「クロノゲイザー、ここにいるすべての敵を片づけるぞ」
『形状変化を開始します』
剣から光、形が変わった。
「銃形態」
「なぜ、覇者の雅樹が拳銃を…」
「パラドクスの部下がこんなに多いとはねぇ」
「俺たちは、数で勝っている、押し切るぞ」
「かかって来い」
「賢者と言っても一人だけだ」
雅樹は、二丁の拳銃を周囲に放った。
「失せろ」
雅樹が放った弾は、パラドクスの部下を全員倒した。
「ば…化け物…」
「眠れ」
雅樹の周りには、血が大量に流れていた。
「もう封魔にバレたし、みんなの所に急いで行くか」
雅樹は武装を解き中心部まで建築物を飛び越え向かった。
「無事だと良いが…」
南では、倒れた鵜月が自分自身に治癒魔法をかけ続けていた。
「早く行かないと魔王が完全復活してしまう」
漸く治癒が全体に回り動けるようになった。
体力は戻らないが、傷だらけだった体は治り、少しずつ歩き始めた。
「来たか」
「これは、皆さんお揃いで、初めまして七番目の魔王さん、それとお久しぶりです〈怠惰〉の魔王ジャック=クロード卿」
アヴィルは、二人の幹部、約二十人の部下を連れて現れた。
「これは随分な挨拶だねぇ」
「お前らの目的は俺だな」
「察しが良いというより俺の考えを知っている奴が居るな、七番目の魔王。ならば、協力を」
「誰がテロリストに手を貸すかよ」
「ならば力ずくで行く」
アヴィルは、魔法で武器を転送した。
「我が故郷ケルト神話の神格ゲイ・ボルグを貴様に食らわせてやる!」
アヴィルは、武装して封魔に飛び掛かった。
「させません」
夜月は飛び掛かって来たアヴィルと封魔の間に入った。
アヴィルの攻撃は、夜月に抑えられた。
「貴様、俺を止めるとはどう言うことか分かっているよな」
アヴィルは卑屈な笑みをした。
「くたばれ、小娘」
アヴィルの攻撃に夜月は絶えることができず、飛ばされ剣も夜月の手から飛んでしまった。
「夜月、避けなさい」
の声は夜月に聞こえたが遅かった。
『ボォーン』
夜月は生きていた。目を開けた夜月の目の前に防御壁が張られていた。
「これは一体…」
「チッ、手加減のせいで当たらなかったか」
「飛び込み過ぎだ、転校生」
「麻樹先生!」
「体勢を立て直せ」
沙希一声で夜月は一旦引いて体制を整えた。
「無事だったのね。夜月。」
夜月が見るとそこには所々に傷を負った彩花が立っていた。
「笠木さん!」
「南側で大きな魔法陣が見えたからな。向かったが安納場だった。霧場はMIOの病院に連絡した。無事だ。」
「先生、ありがとうございました」
「転校生二人は、後方支援をしろ」
「了解しました、先輩もお願いします」
「当然だ」
封魔は、二冊の魔導書を持つ。
『マスター、構えろ』
「ここからは俺も本気だ、あっさりとは、死ぬなよ、〈虚栄〉の魔王」
アヴィルはゲイ・ボルグを握り走り込んできた。
「俺が本気を出せば貴様らを跡形のなく、滅ぼせるんだよ」
アヴィルはゲイ・ボルグを飛ばしてきた。沙希は慌てながら防御壁を再び張った。
「お前たちは防御壁を張れるか?」
沙希は魔法を必死で張りながら話しかけた。
「私には高度な防御壁を張る事ができません。」
「私はどちらかと言うと攻撃だから」
夜月と彩花は、沙希に言った。
「お前たちはもう少し頑張ってくれ。」
沙希は力を入れ直して、アヴィルの攻撃を一人で踏み止める。
「そんなこと…言わないでくれませんか。Code,0の魔女さん」
「あぁ?」
沙希は切れ気味に聞き返す。
「なぜ来た。比嘉。」
「その役割は俺がやろう」
走って疲れながら、やってきたのは、雅樹だった。
「雅樹、まだ生きていたか!」
「俺を殺すな。とりあえず」
雅樹は沙希の防御壁の内側から押し出すように防御壁を張った。
「それを一時的ですが、良く止めましたねぇ」
「ちっ。このままだと押し切られるか。」
雅樹は今までにはない想像以上の魔力を出して魔法を放った。
「クロノゲイザー」
雅樹が魔剣を盾に形を変えて魔法を使う。
「押し返すぞぉぉ」
「ガキ一人が参加しただけでここまでの力になるとは…」
雅樹はクロノゲイザーでゲイ・ボルグの無敵な槍を防ぐ。
「大丈夫か、雅樹?」
「このくらいどうもねぇよ」
雅樹の防御壁はゲイ・ボルグを完全に防いだ。
「封魔。何も聞かねえのかよ」
クロノゲイザーを剣に変えながら雅樹は聞いてきた。
「何も聞かねえよ」
「そう言うことか」
「雅樹が沙希ちゃんに言ったCode,0って?」
「その話はあとで話す。それよりお前は麻奈ちゃんの方に行け」
「どういう事だよ?」
急に雅樹は麻奈の話を持ち出した。
「それって一体?」
夜月と封魔は、不思議そうに聞き返す。
「お前は魔王だ。そして麻奈ちゃんはお前の従妹だ。それがまともだと思うか!」
「た…確かに…」
夜月は、雅樹が言っていることを理解したようで更に言う。
「それでは私と先輩は、麻奈さんの方を」
「あっちには涼もいる。」
「どうして涼と一緒にいる?」
「夜月ちゃん。美沙ちゃんが向かっているよ」
「美沙さんだけですか!」
「あの人、いなくなったから。てっきり上司みたいな奴らに報告をしに行ったのか思ったが」
「先輩!早く走って下さい!」
「分かっている」
夜月は、封魔に急ぐように要求する。
「あなたたちにこの子は渡さない」
美沙は武器を構え言う。
「あなたたち。さっき、ここにいる魔王の従妹を真核って言った。どういうこと」
「知らないのか、その女の正体を」
美沙は警戒を強めて聞いた。
「どういう事?」
「まぁ、この話は終わりだ。これを聞いた貴様はどちらにしろ、殺す」
美沙の背後で異常な魔力の変動が起きた。
「…先輩!この感じは」
「感じ?」
『魔力だ、それも膨大な…』
夜月とクルスリアはどこからか魔力を感知したようで封魔に促した。
「クルスリア?急にどうした?さっきは喋ってなかったが」
『お前さんの魔力は魔王級だ。それを制御するのには骨が折れるものだ』
「先輩、さっきはすみません」
「そう言えば、慌てていたが、」
「麻奈さんがいますし、それに護衛をしている魔導士は、マジックカウンターを基本の美沙さんだけです」
「マジックカウンター?」
「はい、マジックカウンターは展開に攻撃を受けることが原則の攻撃です。いくら強いと言っても、魔導士は体力に限界はあります」
「そう…なのか?」
あまり理解ができなかった封魔は何が心配なのか考える。
「えぇ。その証拠に笠木さんです。雅樹さんがいたからよかったものの。危うく、死んでしまう所でした」
「今回の敵はそれほどだと言うのか」
「はい。それも私たちの敵となり得る人たちです。」
「それはまずいな。」
封魔と夜月は急いで魔力が感じた方へと向かった。
「封魔!と転校生?」
「夜月さん」
麻奈と涼が走って来た。
「大丈夫だったか?二人とも?」
「そっちこそ、どうしてシェルターに入らないの?」
「私は魔導士なので」
「そうだったの?」
「はい」
「それでどうしてそんな人が封魔と一緒にいるのかしら?」
「それは…」
封魔が言い淀んでいると、麻奈が戸惑いながら話を切り出した。
「夜月ちゃん。魔王の真核って何なの?」
「何でそんなことを!」
「敵から逃げる前に言われたのだけど…」
「真核は魔王の力のような物です」
「比嘉先輩が言っていたのはこう言うことでしたか…」
夜月は独り言をぼそっと言って、一人で納得した。
「夜月、こいつらを頼む」
「せ…先輩」
「妖雲さんがいるから恐らく大丈夫だ。それよりも二人を安全な所に連れて行った方が良い」
「わかり…ました」
「あんたが行っても意味が無い。邪魔にしかならない」
涼は封魔の正体が分かっていないため、言ったが、そのことを知っている夜月は言いたくても言えずに任せることにした。
「大丈夫ですよ、先輩なら」
夜月は落ち着いた表情で言った。
「…封魔さん…」
『あの二人…逃げ切った…?』
美沙は不安そうに二人が逃げって行った方を見る。
「今頃、逃げた奴らは捕えられているのだろうな。だが、貴様は行かせんよ」
多数の敵であっても苦にはならないが、不安がいっぱいで精神的に来ていた。
「クルスリア!」
美沙の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。
「『錬金術』!」
その声と同時に、魔導書から盾に変わった。
「ギリギリセーフっと言う感じだな」
「魔王…」
「こいつが…」
美沙は突然現れた封魔の姿を見てびっくりした顔をしていた。
「どうして援軍を呼ばなかった!」
「援軍なんて必要ない」
「死にたくなかったら呼べ!」
「援軍信号を発信したら、魔王は来た?」
「当然だろ!わかっていなくても行ってやる」
「あなたは、変。」
「いや。俺は結構。まともだぞ…」
背後から鉄の串のようなものが飛んできた。
「いいえ。先輩はまともではありません」
封魔が後ろを向くと夜月が性格を知った上で言い返してきた。
「夜月。二人はどうした?」
「ちょうどMIOの部隊に預けましたので、安全な場所に行くかと…」
「それじゃあ、片づけるか」
「そうですね」
「手伝い不可。」
封魔と夜月は、嫌がる美沙の横に武装して立った。
「もう少し耐えたら幹部の指示で援護が来るはずだ」
「来ませんよ」
夜月は援護を待つパラドクスの部下たちに言い返した。
「黙れ!貴様らには、分からないだろうな」
美沙は表情を変えず、襲い掛かってくる敵を粛清する。
「俺らも片づけるぞ」
「はい」
封魔と夜月も少し遅れて粛正をした。
深手を負いながらも部下は、封魔たちに言い出す。
「貴様らがやっている事は、今後の世界を大きく変えることだと分かっているのか?」
パラドクスの部下は声を荒げながら言った。
「知るかよ。」
封魔は部下の発言をあっさり跳ね返した。
「貴様は所詮、何も知らないガキ。黙って言うことを聞けば良かったんだ」
パラドクスの部下は、怒りを封魔にぶつけながら言った。
「それはどういうことだ?」
「魔王。こんな奴らの話をまともに聞くことない」
部下の話を聞こうとする封魔と聞かない美沙。いつもとは真逆な態様を行う。
「簡単な話さ、この世界で魔族は異端の存在。だからこそこの島を破壊して、我々の考えを広める。それだけだ」
「どれだけ魔族批判をしたがる」
「魔王、貴様は殺す。必ず。必ず俺たちパラドクスが殺しにかかる」
「先輩、ここまでの殺意が部下の一人だとすると」
「幹部はとんでもない憎を持っているな」
「涼と麻奈を追おう」
話を切り替えて、美沙は封魔と夜月に声をかける。
「はい」
「おう」




