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付き合っていない清楚系美少女がなぜか俺にだけ甘えてくる  作者: 柊なのは
7章 変わるきっかけ
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碧の本音

「最近、いい感じなんだけど、告白する勇気が出なくて」


 修学旅行も終わり、日常が戻ってきたある日の昼休み。急に支倉さんから相談があると言われて、中庭で昼食をとりつつ話を聞いていた俺と瑞季。


 瑞季は、支倉さんの相談に乗ってあげようと真剣に考えていた。


「さやかさんは田部くんが好きなんですよね?」


「うん……好き。けど、告白して断られたらと思うと勇気でなくてさ」


 俺と同じだ。瑞季に告白して振られたと思うと怖くなり、中々相手に気持ちを伝えることができない。


「わかります。関係が変わるのは怖いですよね。私も中々勇気が出せず碧くんに告白できませんでした」


「瑞季も!? で、で、どうやって告白しようってなったの?」


「後のことを考えないことにしました。振られるとか、関係が変わることを恐れずに。碧くんが好きだと伝えない方が怖いですから」


 瑞季は、そう言って俺の方を見て小さく笑った。その笑顔にドキッとして、顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。


「確かに……好きって言えずに後悔する方がダメだよね。よし、決めた! 私、陸斗に告白するよ」


 バッと立ち上がった支倉さんは、陸斗に告白する決意をした。


「応援してますよ」


「俺も応援してる」


「2人ともありがとう」


 支倉さんは、お弁当を片付け先に教室に帰っていった。


「そう言えばお母さんとは今どうしてるの?」


「お母さんは、お婆様の家の近くでの仕事が多いそうで今もお婆様の家に住んでいますよ」


「そうなんだ」


「そうです、お母さんが家族で過ごす時間も必要とのことで今度家族で食事しに行くことになったんですよ!」


 瑞季は、とても嬉しそうに話すのでお母さんと上手くいってそうで良かったと思った。


「良かったな」


「はい、楽しみです」


 家族と食事……か。自分も家族で外食ることはよくあるが、父さんの説教が始まって嫌なんだよな……。


「碧くん、どうかされました?」


「いや、何でも……。それよりもうすぐ予鈴なるしそろそろ教室戻るか」


「そうですね。碧くん、何か困っていることがあるならいつでも私に相談してくださいね」


 彼女に嘘はつけない。何かを見透かされている気がする。


 父さんが厳しくて好きなことをできないと彼女に相談したところで何か変わるのだろうか。相談しても意味は……。


 教室へ向かおうとしていた彼女は後ろを振り返り、立ち止まった俺の目の前に来た。


「どうかしましたか?」


「瑞季に相談……というか聞いてほしい話があるんだけど……聞いてくれるか?」


 話したら何かが変わるかもしれない。そう思った俺は、誰かに話す選択肢を選んだ。


「もちろん、聞きますよ」


「ありがとう」


 今から話すと授業に遅れるので話は帰りに話すことにした。







***







「みっちゃん、碧、また明日ね」


 放課後、香奈が俺と瑞季のところに来て晃太と一緒に帰っていく。2人は、今日、一緒に出掛けるらしい。


「私達も帰りましょうか」


「あぁ、そうだな」


 学校を出て、いつもの帰り道を歩いていく。瑞季は、手を優しく握ってきたので俺は、握り返した。


「碧くんの悩みは何ですか?」


「俺、中学の時は、瑞季みたいに誰かのために勉強やスポーツを頑張るような人でさ……周りが見えないぐらい必死で窮屈に過ごしている時期があったんだよ」


「碧くんが……碧くんは誰のためにですか?」


「俺の場合、父親に。俺の父さん、多分他の家庭より厳しくてさ─────」


 瑞季にすべて話した。勉強は特にうるさくて学年1位じゃないとダメとか、勉強ができないなら部活はやるなとか、遊びに行くことを制限されていること、そういう話を全部。


 自由がなく窮屈に過ごしている時期があったといったが、今も変わらないことを。


「本当はバスケ続けたかったんだけどな……」


 ダメだと言われてから親に言えなかった本音を口にした。


 高校2年。今から部活に入ろうとはさすがに思わないが、本当は1年で入りたかった。部活動見学に行ったが、やっぱりバスケは楽しくて、やめたくなかったなとずっと思っていた。


「わかりました」


「えっ……?」


 何がわかりましたかわからないが、瑞季は俺の話を聞いて小さく笑った。


「バスケをやりたいならやればいいと思いますし、勉強も大切ですが、誰かと遊ぶ時間も大切です。碧くんはもっと自由に生きるべきです」


 自由に生きる、それはわかっている。高校から父さんの言うことを聞くのをやめて今日まで自由にやってきたつもりだ。


 けど、俺は、自由にやっているつもりでまだ父さんのためにこうしないとと行動しているところが少しあった。


「私が碧くんのお父様とお話しします。碧くんを自由にしてほしいと頼みにいきます」


「頼む?」


「えぇ、碧くんが何か言ってもダメなら私が何とかします。そう言えばお母様の陽菜乃さんには挨拶しましたが碧くんのお父様にまだご挨拶していませんでしたし、お父様に会ってみたいです」


 お母さんとの関係を変えてくれたように今度は自分が碧くんを助ける番だと思った瑞季は、俺の手を両手で握った。


「ありがとう、瑞季。けど、その前にもう一度自分がどうしたいか父さんにきっちり話してから瑞季を頼るよ。話聞いてくれてありがとな」


「いえ、いつも碧くんには相談乗ってもらってばかりですから」


「付き合ってることを伝えるのも後でもいいか?」  


「いいですよ。碧くんが言いたい時に合わせますので」


「ありがとう」


 話しているとあっという間に彼女と別れる場所まで来た。


「碧くん」


「どうした?」


 名前を呼んだので彼女の方を向くと瑞季は、俺を抱きしめた。


「今度は私が碧くんを救います。困ったことがあれば必ず私に相談するのですよ?」


「ありがとう、瑞季」


 瑞季に困ったときは誰かを頼れと言っていたが、自分も1人で抱え込もうとしていたんだな。

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