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付き合っていない清楚系美少女がなぜか俺にだけ甘えてくる  作者: 柊なのは
7章 変わるきっかけ
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嫌なら嫌と断ればいい

 翌朝、学校へ行く前に母さんに名前を呼ばれて、引きとめられた。


「今日、お父さん早く帰ってくるらしくてね久しぶりに夕食を食べに行かないかってなったの。だから早く帰ってらっしゃいね」


 つい最近、父さんと外食は嫌だなと思っていた。断りたいが、断ったら明日の朝から何か言われそうでそちらの方がめんどくさかった。


「わかったよ。早めに帰ってくる」


「いってらっしゃい」


「行ってきます」


 夜のことを考えると少し憂鬱な日になってしまった。夕食のことは一度忘れ、瑞季との待ち合わせ場所へ向かった。


 瑞季と登校し、教室へ着くと支倉さんが駆け寄ってきた。表情がニコニコしており何かいいことでもあったのだろうか。


「瑞季、鴻上くん、昨日は、相談ありがとね。昨日、帰り道に陸斗に告白したんだ」


「そうなんですね。どうでしたか?」


 瑞季は、告白が上手くいったのか気になり支倉さんに尋ねる。


「付き合えることになったの! 2人には背中押してもらったからほんと感謝してるよ」


 支倉さんは、瑞季にぎゅ〜と抱きつき、そして俺にも……するわけないが、手を取ってぶんぶんと振りながらありがとうと言われた。


「おめでとうございます。良かったですね」


「うん、勇気だして良かったよ」


 彼女がそう言うと陸斗が教室に入ってきて支倉さんは、じゃあねと言って行ってしまった。


「碧くん、放課後時間ありますか?」


「ごめん、今日は家族と外食する予定があって早く帰らないといけないんだ」


「家族と外食ですか……何だか嫌そうですね」


 いいですねと言うかと思ったが、瑞季は俺の表情を見てそう言う。


「まぁ、嫌かな……」


「では、約束を破って私と放課後デートでもしますか? 嫌なことを無理やりしなくてもいいのですよ?」


 家族との夕食をせず放課後デートをしようと提案してきた彼女の発言に俺は、嬉しく笑ってしまった。


「そこ普通は家族との時間は大切だから嫌でも行けと言うところじゃないか?」


「言ったところで碧くんが苦しい思いをするなら行かなくてもいいと思います。碧くんは、いい人すぎます。もっとわがまま言っていいんですよ」


 やりたいことがあるなら誰に何を言われようと我慢せずやるべきだと彼女は俺にそう言った。


「もし、家で何で約束破ったんだと言われたその時は私が碧くんを連れ出したと言ってください。一緒に怒られてあげますから」


 彼女はそう言って俺の目の前に手を差し出す。これが何かを変えるきっかけになりそうで俺は、迷わず彼女の手を取った。


「放課後デートだっけ? 行こうか」


「えぇ、行きましょう。後のことは考えず楽しみましょうね」


 放課後、俺は、母さんに友達と夕食食べてくるから行けないとメールで送った。返事はわかったわと優しい文章。母さんは、誰と?とか、それは先に約束していてことなの?とかそういうことを一切聞いてこなかった。


 母さんは、自分がやりたいことをやればいいと思っているのでダメなことはダメと言うが、理想を押し付けたりしてきたことはなかった。


「陽菜乃さんにメールされたんですか?」


「うん。何も言わなかったら心配させるし」


「そうですね。ところでどこに行きますか? いつも私が選んでますので碧くんが私と行きたいところを選んでください」


「そうだな……じゃあ───」



***



「む、難しすぎませんか……? 碧くん、このゲーム、何か裏で取れないようになってたり──」

「なってたりするかもしれないけど、店員いるから小声でな。瑞季がその……初心者だから中々取れないだけだと思う」


 さすがにクレーンゲーム下手とは言えず、別の言い方をした。


 いつもは行かない場所に行こうと思い、ゲームセンターに来たのだが、瑞季は、クレーンゲームをしたことがないらしい。


「確かにそうですね。碧くん、一度見本を見せてほしいです」


「わかった。見てるより一緒にやった方が感覚掴めるかもしれんから一緒にやるぞ」


 彼女の背後に回り、後ろから彼女の手の甲に自分の添えた。


「タイミングが大事なんですよね?」


「うん、ここって言うところでボタンを押す」


「わかりました」


 前後、左右とボタンを押してでクレーンを動かしていくと上手くクレーンが狙っていた猫のぬいぐるみに引っ掛かった。


「と、取れましたよ! 碧くん、はいタッチしましょ!」


「おう、やったな」


 両手ではいタッチし、落ちたものを下から取り、彼女に渡した。

 

「はい、どうぞ」


「い、いいのですか?」


「俺がもらっても困るし。それに瑞季がこれ取りたいって言って始めたものだから」


「で、では、ありがたくもらいますね。大切にします」


 小さな猫のぬいぐるみを彼女は、嬉しそうに抱き締めた。


「そろそろ6時ですが、私の家で食べていきます? お父さんは帰りが遅いですし、私の手料理になりますが……」


「いいのか?」


 家に帰って何か簡単なものでも作ろうとしていたが、瑞季から手料理を作るので来ないかという誘いが来た。


「いいですよ。ですが、食べに来るならちゃんと陽菜乃さんに連絡するのですよ?」


「うん、連絡するよ」


 母さんに『瑞季の家で夕食を食べてくる』とメールするも『いいけど、露崎家の方に迷惑かけないようにね』と返事が来た。


「碧くんは、何が食べたいですか?」


「ハンバーグかな」


「では、ハンバーグを作りますね」


 ゲーセンから出て瑞季の家に向かった。今は思いっきり瑞季との時間を楽しんで、そして伝わるかわからないけど、父さんに自分の気持ちを伝えよう。

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