選考
つづきです、仲間を募集したお話、よろしくお願いします
「ねっ!、私の言った通りでしょっ! えへんっ」
本部で、メーアさんから渡された応募者リストを見て、二人で目を疑った?。
「うへぇっ! 、何ですかこの数は!」
「うわぁ!、凄い数ですよっ、ノベルさん」
たった一人を募集した処、そろいも揃った、二百名の希望者……。
この中から、一名を選ぶ作業を思うと溜息が毀れた。
如何して、駆け出し冒険者の募集に、こんなにも希望者が殺到したのか?、メーアさんには、最初から結果がわかってた物言いをしていたが、俺には意味が分からない為、得意気な顔をしている彼女に聞いてみた。
「あら、知らなかったのね、二人ってこの街で結構名前が売れてるのよぉ!」
「えっ?、どうして俺達が?、まだ駆け出しなのに?」
ディーネと二人して、不思議そうにメーアさんを食入る様に見詰めた。
「ちょっ、顔がこわいっ! 、ほらぁアレよぉ、この前の変種オークの討伐。実はアレに手配書が出てるのよ、あっちこっちの狩場を暴れまわって、被害者は百名近く出てた奴なのよね」
「知らなかった……」
道理で血生臭い臭いが充満したはずだ……、そんなに人を襲って血を浴びれば、血の臭いが染み付いて取れない。
「そんな奴を、たったの二人で倒しちゃったもんだから、街では大騒ぎしてたわ。そこへ持ってきて、仲間募集の広告なんか出せば、そりゃあ人も殺到するって物でしょ!」
言われてみると、確かにそうかも知れない、他人が同じ事をしたのを見たら、俺だって注目してしまうのは間違いない。納得は出来るが、そんなに凄い実感が沸いて来ないのが正直な気持ちだ。なにせ数日前に冒険者に登録したばかりの、立場的には全くのぺーぺーなのだ。
それが……、二百名からの『どこの騎士団に入隊希望を?』って数の参加希望がきても、実感が沸かなくても当然じゃないか?。
「取り合えず、これ見て誰にするかを決めてきてねっ」
ドサッ! っと、メーアさんから希望者のプロフ書類を渡された。
二百名もの名簿と、プロフ書類……、とても重く感じるのは、実際の重量以上の物が込められているせいなのか?。こんな書類を持って街中を歩けば、又もや変に目だってしまうと想い、メーアさんに頼み部屋を借りて、そこで選考することにした。
……っと、別室で二人して選考を始めては見たものの、何を基準にして良いやら悩むばかり。中には正直言って、これは駄目だなって人もちらほらと見えたが、大多数はどれもそれなりのレベルと経験があり、一人だけ選ぶと、残りは『不採用』にする訳で申し訳なくて決め兼ねていた。
「多過ぎて……、誰を選べば良いのか分からないな」
「ですね……、ノベルさん人気出すぎですよ」
ディーネは、手に持った女性剣士の書類を睨み付けている。
彼女が何を考えているか、何と無く想像付くが、黙って見てない振りをする。
ディーが余所見している隙に、メーアさんから聞いた話を言うと、俺達が注目されてる理由は、彼女の影響が大きい様だ。999回も駄目ダシされた駄女神が、あろう事か手配書に載っている魔物を、たった二人で倒した片割れの一人であると。
勿論、この話は彼女には言うわけには行かない、下手に誤解して凹まれても、宥めるのに苦労しそうなのが、手に取る様に想像が付くせい。
散々悩んで、誰を選ぶにしても最終的にディーが、顔を顰めたら却下にするのを考えれば、最初から彼女に選ばせた方が効率が良い。
「又、相談なんだけど……、ディーが選んでくれないかな?」
彼女は、ちょっと戸惑いの顔して返事をした。
「えっと……、私が選んでも良いのですか?」
「うん、ディー頼むよ!」
「じゃあ……、選んでみますね」
見られていたら決め難いだろうと、ディーに一言残して俺は隣の部屋へと移動した。そして隣接した窓から、彼女の様子を見る事にした。
最初は、読書でもする様に書類を見ていたが、その内にわなわなと震え種類を睨みつけ、両手で頭を掻き毟り出した。女神が混乱して髪を掻き毟る姿は、思わず声をあげて、笑い出しそうになる程に可笑しかった。
これ以上、覘いて笑い転げるのも可哀そうなので、俺はその場を離れる事にした。
彼女必死で選んだ者を教えに来たのは、俺が待ち草臥れて船を漕ぎ出した頃。
決りました! ノベルさん! 起きてくださぁい!
「ん……ごめんっ、寝てしまってた!」
「もう、一人選んだので確認して下さいね」
ディーネは、起きたてで少しボケた俺の手を引き、元の借りた部屋と入った。
机の上には、一枚と残りの書類の二つに分けられ、彼女は一枚の方を手に取り、俺の目の前へかざして見せてくれた。
「この方に決めましたが、どうですか?」
そのプロフを確認する……。
名前:リベルタ
性別: 女
年齢: ━
職種:弓術士
LV: 40
経験: 2年
受注:200
依頼完遂率:90%
一言:魔物討伐数に自信有り
「へぇー、クエスト数と成功率がたかいね」
リベルタという名の女性、レベル40の弓術士をディーネは選んだ。
しかし、経歴やレベルはもっと上の者が大勢居たのに、その中からリベルタを選んだ理由は何か?、彼女に尋ねてみた。
「ディーは、何故この人……、リベルタを選んだのか教えて?」
彼女は、少し身体を横にゆらしながら、はにかむ様に微笑み答えた。
「えっとですね…………、女神の感ですっ!」
「ぶっ! あはははは、良しっ決めたぁ、この人にしよう」
「え……、本当に良いのですか?その方で」
冗談で彼女は、感だと答えたつもりだろうが、その感には不思議と信頼が措ける気がした。彼女が感で選んだという事は、多分この人には通じる何かを感じたからだ。その得体の知れない、『女神の感』って奴を信じてみるのも面白そうだ。
「ディーが選んだ人で、正解だと思う」
「えへへ、そう……ですか?」
信じて貰えた事が、嬉しく感じたディーネは凄く照れていた。
机の書類を手に取り、二人でメーアさんの場所へと移動した。
「メーアさん、この人に決めるよ」
「以外と早かったね、もっと死ぬほど二人でのた打ち回って、悩むと思ったのに」
メーアさんは、俺からリベルタのプロフを受け取りながら、余り嬉しいとは言えそうに無い感想を洩らしてくれた。
「あらっ、リベっち選んだんだ」
「メーアさん知り合いですか?」
「ええ、知り合いと言うより……、悪友?……かな?。うん、正解だよ!」
ディーが選んだリベルタは、メーアさんの……友人らしい。
悪友と、宣言したのが少し気に成るが、正解といった事でも有るし、問題は無いだろう。
「あーでも彼女ね、申請出した後に用事が出来て、街を離れちゃってるのよね」
「別に俺達は、急いで無いしのんびり待ちますよ」
「そ、そう?、多分……、二日も掛からないと思うけど、待ってあげてくれる?」
メーアさんに、リベルタが戻れば連絡を貰える様に頼み、本部を後にした。
「どんな人か、愉しみですねっ!」
ディーネが、『女神の感』で選びメーアさんが太鼓判を押した。
きっと、良い人に違いない。
「ディーが選んだんだ人だよ、良い人に間違いない!」
「えへへへ、ありがとうノベルさん!」
彼女は俺の腕に、自分の腕を通し寄り掛かってきた。
何だか、本当の恋人の様に振舞うディーは、本当はどう想っているのだろう?。
俺は、そんな想いを抱きながら、ディーのお気に入りのカフェへ、二回目の足を向けた。
ありがとうございました




