家政婦な女神
つづきですよろしくおねがいします
ディーネがやってきて二日、スキル『進化』の恩恵は何も分からない。
彼女は、美人だし気立ても良い。
何も言わないのに、掃除から何から何でもこなし、料理も美味い!。
まさに家政婦の鑑の様な女性なのは、二日で確定されたのだが。
俺は家政婦を雇った訳じゃなあぃ、シカモこの家政婦は首にできない!。
俺が何らかの形で死ぬまで、傍に居据わり続け決して自分からは離れない、仮に何処かに置き去りにしても、主の気配を辿り、帰巣本能で帰ってくるから放置しても意味を成さない。
もっとも、そんな酷い事を、
…………俺にはとてもやれやしないけど。
俺はよわいっ……!。
だからさぁ、今日も赤目兎を狩りにいく。
兎の肉は食材に、骨は良く分からない材料に成るし、皮は普通に売れる。
初心者には、持って来いの金策の一つだ。
しかもこの兎は、街の周囲から森全域に生息している為に、街から遠く探し回る必要が無い。故に、凶悪な魔物に襲われる事も殆ど無い。稀に、オークの雑魚に襲われる俺みたいな初心者も、直ぐに街へ逃げ込める訳だ。初心者は当然この辺りで、無難にレベルを上げて行く。
「ディー?、狩りに行くけど憑いて来る?」
「いきますっ! 、すぐ片しますから、置いて行かないで下さいよ!
「分かってるよ……」
まあ、答えはわかってたけど、一応聞かないと黙って行くこうとすると、すぐに拗ねる。昨日も、洗濯してるのを邪魔しちゃ悪いと、黙って家を出ると、『放置はいやあーっ』と、泣きながらすっ飛んできた。
「お待たせしましたぁー」
そして彼女は、とても元気だ!。
今日の、目標は赤目兎を10匹は狩りたいな。
◇ ◇ ◇
「いやあ━━━! 、こいつ強いですっ! 、助けて下さいっ!」
狩りを始めて……間も無くディーは、赤目兎のサンドバック化していた。
同じ見た目の兎でも、固有に強さも大きさも微妙に変わる。
ディーが、絡まれている奴はおそらく、二つ程レベルが上の奴だろう。
今の俺達がレベル3だから6程度の兎。
倒せる相手だけど、スキルの無い俺達だと二人で当らないと、大怪我をする。
赤目兎が、後ろ足で土を蹴り上げ目潰しをディーに。
そのままジャンプしてハイキックを食らわし、ディーはぶっ飛んでいた。
「きゃあ!」
更に、頭でも噛み付かれでもすれば、重症患者出来上がり!。
流石に、そんな目に遭わせたら大変だから、俺が間に割って入る。
ディーを庇い、ハイジャンプからのハイキックコンボを、盾で防ぐ。
バーン! っと、激しく木製の盾が軋む、衝撃の強さから格上の相手と判別できた。
「ノベルさん!」
「こりゃ、キツイわ、ディ良く死ななかったな……」
「えへへ、私、意外と頑丈ですからぁ」
大地に座り込み、笑って頭を掻くディーを振り返り、一瞬でも可愛いと思った俺は馬鹿だろうか?、横から別の赤目兎に、接近されていた事を見逃す失態をおかす。当然、そのツケを払う結果に成る訳で、後ろ蹴りで、転倒させられた。
「ヤバイですっ! 逃げましょっ」
ディーの進言は正しい。
初心者の癖に、下手に立て直そうと躍起に成って、命を落とさないまでも。
大怪我、重態にすらなりかねない……、ここは素直に逃亡を決める。
一緒に逃亡とはしりだすが、ディーが草に足を取られ転倒してしまった。怒り状態の赤目兎は、待って託したとばかりにディーを目掛ける。
2匹同時に、蹴られた日にはいくら女神でも、大怪我してしまう。
とても、二匹同時に庇えない俺は、片方だけに盾を向けた。
まぁ、一発喰らう暴挙にでた!。
バーン! 一発目の音と衝撃が腕を軋ませた。
次は、腹に一発喰らうだけと、歯を食いしばり身構える。
…………! 何もおきない?・・・あれ?。
腹に喰らった後、下手したら袋にされる覚悟してたが……。
「おいっ! 怪我はあるのか?」
ディーを庇った体を起こし、声の方へと見上げた。
白い見事な甲冑をまとう騎士と、連れの女神が立っていた。
「え! 、いや……大した事は!」
「そっちの新米女神も、貴女も怪我してないのかしら?」
そうだ、ディーは無事か?。
「でぃー?」
「はい、無事です!」
ふぅ、とりあえずディが無事なら良しとしよう。
急場を救ってくれた二人に、お礼をとスッくと立ち上がる。
「ありがとう……、助かりました!」
礼の後、頭を戻して改めて鎧をみると、かなり高価な装備と分かった。
きっと、高ランクの魔物を討伐している証拠の装備だ。
いつかはそんな鎧を装備したいものだと、彼の装備を嫉ましげに見る俺。
「街の付近にも、偶に強いのが出る。用心しろよ新米!」
うおぉ、こう言う台詞を吐いて見たい!。
かっこ良くて憧れる……。
「あ……はい」
「貴女もよ……っと」
「私、ディーネです」
「ディーネさんね、私はアルト、よろしくね」
「はぁい、ありがとう!」
俺達を、助けた二人はその後街中へと消えて行く。
白い鎧の騎士と女神の、実に様になった後姿だった……。
それを、羨望の眼差しで見送る、駄女神と俺が居た!。
ありがとうございましたー