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聖女の後見人

我が男爵家は王都から馬車で5日程の場所にある120エーカー程の土地を運用し生計を立てている貴族である。


遠い異国の島国の言葉で、「神の社」を意味する名を持つ故か、歴史に名を刻む聖女を3人輩出し、平民の生まれの聖女5人の後見人となった歴史のある由緒正しき貴族である。


皇国暦1520年、教会で行われる魔力測定の儀式において100代目となる聖女が発見された。


その生まれは平民であり、中流よりやや下の暮らしを送る少女だった。


聖女には、土地に絡む負のエネルギーを浄化する力があり、歴史を鑑みて聖女のいる土地は栄えると言われている事もある為に、王族や貴族達は彼女を自領に招く事に拘った。


浄化の能力は、心身の健康に大きく左右される。


そして、聖女を花嫁と扱う守護精霊はその僅かな感情の変化にも敏感であり、花嫁の憂いを祓う為ならば、()()()()()()()()()()()()()


「普通の生活」を望むアカネを、傀儡として手元に置くべく貴族の子女の通う学園に異例の入学を議会において承認し、入学直後の同性の学生による多種多様の嫌がらせを耳にしながら放置した国王セルバンテス3世陛下は原因不明の病で床に伏せる事となった。


アカネの心を蔑ろにし、伝承に残る繁栄だけを夢に言い寄った令息達の実家は度重なる不作や水害や台風、地震といった自然災害に見舞われ、回復の見通しは未だに立たないと聞いている。


レジナルド・ドハティー=マスグレーヴ王太子殿下の婚約者として、華國から()()()()()()()()()()()我が国に移住していたアイリーン様の心遣いが無ければ、この国は2年前に滅びていたかもしれない。


アイリーン様は華國に伝わる守護精霊、麒麟と共にあるといつかの夜会で耳にした事がある。


麒麟とは公明正大な精霊であり、悪しき行いをすればたちどころに神罰を下すと伝承されている。


我が国の守護精霊は雷獣であり、我が男爵家に伝わる古文書によれば雷は古くは「神鳴」と呼ばれ、雷の落ちた大地は肥沃になるのだと記されていた。


私はただ、アカネが、アカネの望む様に人生を歩む手助けが出来たのならば、それだけで十分だ。

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