02 謎の怪物
事件の発生箇所は警察署からそこまで遠くなく、ものの10分ほどでつくことができた。
「あ、な、なんだよこれ…」
見るも無惨に破壊された建物。割れた看板。抉れた街路樹。燃え上がる車。そして…
そこにそれはいた。
「あれが、そうなんです、よね…?」
「あぁ、間違いないだろう…」
正義の問いに五十嵐は答える。
「あれが、超常現象の正体…!」
それは、黒かった。黒くて、人形ではあるが、手が変形しており、まるで動物、いや、神話に出てくる神獣や魔物のような大きな爪のようだ。
そして、顔は燃えるように青黒いオーラのようなものをまとっており、口からは獰猛な肉食動物のような鋭い歯が見えていた。
【何だ、また餌が来たのか。】
その化物は、俺たちにそう言った。
「えさ」確かにそいつはそう言ったのだ。
つまり…
俺達は殺される可能性がある。
その次の瞬間、やつが腕を振ったかと思えば、とてつもない強風が一瞬吹き、そして止み、後ろから何かが壊された音がなり、俺の頬を血が流れた。
(本物だ…! こ、殺される…!)
正義が焦っていると、五十嵐が、
「おい、動画を撮るぞ!ちょっとでもこいつの情報を手に入れるんだ!」
と、正義に叫んだ。
「ば、馬鹿じゃないですか!?俺達殺されるかもしれないんですよ!」
と、焦って答えた。
それに五十嵐は答えた。
「バカはお前だ!今回の怪物は人一人で解決できるような問題でもない!おそらく、軍単位の精鋭警察官を派遣する必要がある! いや、それでもきついか…
ともかくだ!俺達にできることは、少しでも情報を手に入れ、人のため世のために役立つことだ!
俺は死んだってそれが社会のためになるなら構わねぇよ!」
それを聞いて一瞬正義も納得したような表情を見せたが、すぐにさっきの表情に戻って、
「な、なんでそんな簡単に死んだって構わないなんて言えるんですか?
俺はたしかに警察官です。人の命を守るためにこの仕事につきました。どんな困難でも乗り越えられる覚悟はしてきました。
でも…死ぬのは違います。
俺は、まだ何も残せてないんですよ。
好きな子だって見つけて彼女も作りたいし、たくさんお金を稼いで海外旅行だって行きたいし、
もっと、もっとやりたいことがあるんですよ!
五十嵐先輩だってそうでしょ、大事な物とか、人とか、思い出とか!
全部捨てるつもりですか!?
今は一旦逃げて対策を…!」
その次の瞬間、眼の前にやつが現れそして、俺の腕を切った。
「うわぁ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ゛あ゛あっ!?」
(腕が、ない…!嘘だろ、こんなこと!)
それを見た五十嵐が拳銃を撃った。
ドン!
大きな音がなり、煙が出る。
しかし…
【おい、今何かしたってのか?】
「!」
そして、五十嵐も腹を軽く蹴られ、数mさきへと吹っ飛んでいった。
「先ぱ…うぐっ」
五十嵐の心配をしようにも、すでに正義は、かなりの重症を負っている。
このままではまずい。
だが…
(ここから生き延びるなんて多分、無理だな…
なら、最後ぐらい必死に抵抗してやる!
逃げようなんて思ってた俺が馬鹿だった!
こいつをそのままにしておけば、おそらく数百人、いや数千人もの人が死ぬ!
今のうちに倒しておく必要がある!それに…)
正義は遠くの方でうめき声を上げながら倒れている五十嵐を見て、その化物に言った。
「お前、よくも先輩を…!」
【ん?まだ生きているじゃないか。俺は優しいから生きている程度にしてやったんだよ。まぁ、死んだほうがマシだってぐらいの痛みは食らわせたがな!】
その時、正義の心は完全に怒りに染まった。
街を破壊し、人を傷つけ、そしてまだニヤニヤとしている、その全てに!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そして正義が化物に殴りかかろうとしたとき、どこからともなく声が聞こえた。
{力が欲しいか?}




