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地下牢の神子  作者: 雪香
16/31

4の国と2の国

主人公は出ません。


十神衆は、基本的に15才で元服を行い成人とする。

その際には、侍従長を変える者も居るらしい。5の国の侍従長が二代目であるように。


ある程度、体の成長を迎えると、肉体の老化が無くなる。

例えば、一の方は二十代の外見だがその倍は生きている、という様に。


不老だが、勿論死は存在する。個の差はあるが、神子は200年~300年、十神衆は400年~500年。その血を継ぐものなら、長い者で300年と。


十神衆のみ記憶を受け継ぐとされるが、幼年の頃はその片鱗はあらず、10歳前後に記憶を自然と思い出すらしい。







―――――――――――


4の国では、()の方が翌年に元服を予定しており、侍従長二人が準備に勤しんでいた。


侍従長二人といえども、一人は成人前の教育係で、一人は翌年からの補佐になる者なので、翌年からは一人となるのだが。


「断る。何故この僕が、斎女を選ばなければならないんだ?」


四の方は、二年前に記憶を取り戻したばかりで、幼年期の生意気な性質が抜けきれていない。


教育係の侍従長…虎斗(こと)は、四の方の元服に少々不安を覚えていた。

4の国には、偶然の重なりで気の利いた人材が少ない。

翌年から補佐になる…小菜(さな)だとて、条件が揃っていたが未だ十一歳である。


紅神子に献上する斎女に迷っているので、共に考えて欲しいと言えばこの調子だ。


虎斗だとて、侍従長として300年近くを生きており、そろそろ四の方と小菜に中心となって国を任せたいが、先が思いやられる。


1の国の流華は、美しく聡明で冷静に物事を判断する。

5の国の慧羅は、気働きができ顔も広い。

3の国の清風は、真面目で流暢な文を書く。


本国の小菜は、まだまだ経験も年数も無いに等しく、四の方との関係も薄い。

自分の死後が不安でしようがない。


やはり、此処は四の方様に紅神子様と会って頂き自覚を促すしかない…と、虎斗は拳を握り締めるのであった。










4の国は不安は残る。

―――――――――――


それでも、それでも未来があった。


2の国では、広い寝台の上で2の国の国主二の方が静かに横たわっていた。

外見は30代半ば頃の二の方だが、今は浅い呼吸を繰り返している。


「二の方様、ご気分はようございましょうか?」


そこへ、 白金の癖一つ無い髪をたなびかせる凛々しい女性が部屋に訪れた。女性は身に付けた銀の鎧が気にならない身軽さで、歩みを進めていく。


「…侍従長か…ああ、今日は調子が、いい…良い夢を見た………。」


薄く目を開ける二の方の途切れ途切れの言葉に、それでも女性は微笑する。


「…左様でございますか。ようございました。それで、夢とは?」


侍従長の女性…来蘭(らら)は、静かに二の方の額の汗を拭う。


(この方は、もう永くない。せめて苦しまずに眠って頂きたいが。)


「…紅神子様、だったよ。あの方の…初代様の、瞳は…本当に、美しかった……。」


はい、と来蘭はゆっくり相槌を打つ。

500年近く生き抜いた二の方は、既に亡くなっていてもおかしくは無い年である。


それでも、紅神子が現れるまで待っていたのは、奇跡だとしか思えない。


現在は、この様な状態でも二の方は斎女の選定や、自分が亡くなった後の取り決めを、来蘭に全て受け継がせたのだ。


どうか、この方に紅神子様がお会いできますように。

気丈な来蘭は、それとも涙を堪えて祈るのだった。







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