第8限目 生涯で羞恥心は何度でも訪れる。
「ひどい!」
「“ひどい!”じゃねーよ、あと少しでハゲ野郎をボコれたのに何してくれてんのさ!!しかも話の展開が早くなっちまったわこの変態が!!」
「そ、そりゃ最初は下手にツッコんだら悪いかなと思って、ずっと見てたけど・・・途中からヤバイと思って・・・」
矢野は本当に心配していたらしい。涙目で語っている。
てか、最初から見てたのかよ。
「でもやっぱ・・・きーちゃんにとっては迷惑だったよね・・・」
あれ・・・これって・・・
言い過ぎた・・・のか・・・??
いやそもそも人の獲物を横取りとかいかんし、すぐ助けてくれなかったり、何より変態だし。
でも何だかんだ言って助けてくれたことに変わりはないんだよな・・・
「・・・悪い・・・ちょっと・・・言い過ぎた・・・」
せっかく心配してくれてたからな・・・お礼ぐらいは言っとかなきゃ・・・
「・・・ありがとな・・・助けてくれて・・・。」
コイツは本当に良いやつなのかもしれない。
今までただの変態かと思ってた。ただのストーカーかと思ってた。
違ったんだ・・・自分が恥ずかしいよ・・・
「お・・・お礼なんていいよ・・・別に・・・。」
矢野はムスッとした顔で言った。
ツンデレ?
「そのかわり、ひとつだけ、お願い事が・・・」
「ゴメン無理。」
嫌な予感がする・・・寒気を感じる・・・
「ボクにチューを!!」
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
本当に自分が恥ずかしいよ・・・
コイツが良いやつと思ってしまった自分が・・・
すごく、恥ずかしい。
「ただいま戻りました~。」
その後、ウチは部室に戻った。
矢野の屍(仮)をひきずって。
「・・・雪田・・・なんで幸がK.Oされてんだ?」
「知らない。」
「雪ちゃーん、ちゃんと報告書書いといてよー。」
「めんどくさいからイヤです!!」
疲れたんで・・・今日は・・・本当に・・・許してください。
「ダメだよ~!!ちゃんと書きなさい!!」
「レオ兄ー、生涯ゲームしよー。」
今日はもう遊んでやる。誰が何と言おうと遊んでやる。
「・・・はよ書けや。殺るぞゴルァ。」
「書きます!書かせていただきます!」
忘れてました!先輩がヤクザの姪ってこと忘れてました!!
怖いです・・・顔が・・・。とてもロリ顔の子だと思えないくらいの顔だよ。
「よろしい♪」
あ・・・戻った。
「誰でもいいから幸の存在に気を向けてやれよ・・・。俺が悲しくなってくる(泣)」
~報告書~
1年X組 雪田綺璃
・体育館付近を掃除中、2万円トンズラお坊ちゃんが3年生の先輩2人(内1人は仮)から金を盗られるところに遭遇。
・先輩と会話してるうちにお坊ちゃんが逃げた。
・ハゲ先輩に(精神)攻撃した。ザマァww
・ハゲ先輩に(物理)攻撃をしかける直前、部員の矢野(変態)に邪魔された。
・ハゲと変態を倒した。(いろんな意味で)
まとめ
変態は、どうあがいても変態だと学びました。終わり。
「俺、文末に“終わり”って書いてある報告書、初めて見た。」
「・・・もう一人の先輩は?」
「さぁ…。」
実は戻る寸前、ハゲじゃないほうの先輩が近くで昼寝してたことに気づいた。
そして一応、体の部分を土で埋め、
「zzz・・・」
放置しておいたのはここだけの話だ。