14.
そんな彼女だからこそダブール商会という貴族から平民まで親しまれる商会が作られたのかもしれない。
「温泉の後、アッキー達はウィンドウ王国の王都にも仕事があるって行ってたけど、そこでもまた勢力拡大を図るのかしら?」
「それは分からないですね。私達はその辺は素人ですから。確実に言えるとすればアッキー殿は遊び目的ではないということですね」
「いいことだわ。ダブール商会は他の商会にはない魅力が多いからね。花嫁衣装まで置いてあるんだもの」
「……私達もこれから忙しくなりますね」
ジェシカは気を引き締める。それというのもトライセラは何を思ったのか、王太子としてリリィとの結婚を1ヶ月後に決めたのだ。今までの激務のせいで二人の結婚日を正確に決めていなかったのだが、疲れを癒し正常な判断ができるようになってから決めた。
「今から1ヶ月後……今まで決まっていなかったほうがおかしかったけど、いざ決まると期待と不安が湧くのよね」
「お気持はわかります。ですが、たとえ何があろうとこのジェシカはリリィお嬢様の絶対の味方でい続けます」
「ふふふ、ありがとう。本当に頼もしいわ」
「お嬢様……!」
リリィに頼もしいと言われたジェシカは頬を赤く染めて喜んだ。そんなジェシカの様子が嬉しくてリリィも照れくさそうに笑う。二人は本当に最高の主従関係だった。
◇
1ヶ月後、王太子トライセラ・ツインローズと公爵令嬢リリィ・プラチナムの結婚が行われた。結婚式はつつがなく行われたが、当日の前までは問題が多数起きていた。
三日前に以前の元王太子マグーマ・ティレックス男爵が妻を伴って現れて問題を起こしたり、二日前は第三王子トップス・ツインローズがいなくなったり、前日は国王夫妻が第三王子を王太子にするなどと喚いたりと散々だった。
そんな苦難を乗り越えてトライセラとリリィは遂に無事結婚することができた。よほどの問題でもなければ挫けることがないほど二人は強かったのもあるが、何よりもジェシカの存在が大きかったのだ。
「必殺ヘブンズトルネード!!」
「必殺カラミティストライク!!」
ジェシカの剣はリリィの障害をねじ伏せる。結婚式の障害も彼女の剣が活躍した。その過程で元王子と国王が痛い目に遭っても大した問題ではないのだ。
「リリィお嬢様、たとえどんな悪意が迫ろうとも私ジェシカ・シアターが必ずお守りします。それがたとえ国王でも王太子でもです!」
「ジェシカ、貴女は私の誇りよ」
「いやいやいや! 限度があるっていうか僕はリリィの敵じゃなくて夫だからね!」
これから先もジェシカとリリィの絆は続く。この二人とトライセラは幸せな人生を歩んでいくのだった。
数年後に新たな行方不明事件が起こったとしても。
完結




