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令嬢、知識を学ぶ

勉強回

「えぇと、これがシルバーウルフで、これがゴブリン?え、先ほど見たオークと一緒では……いえ、角がありませんし、大きさも全然違うのですわね」


 寝る前にも訓練は欠かさない。今まで役に立たないと切り捨てていた本棚から、魔物や薬草に関する知識が書かれた本を開き学んでいく。特にこの王国周辺に生息しているモンスターの知識は重要だ。しっかりと本にマークしていく。


「次は冒険者になる方法ですわね」


『冒険を志す者へ』と書かれた本には、冒険者になるために私が必要なことが全て書かれていた。私が住む前にここに住んでいた前フォーベルト氏は、この本をなぜここに置いていたのだろう。少し疑問に思ったが、考えることよりも今は覚えることが大事なはずだ。疑問に蓋をし、読むのに集中する。


 重要そうなポイントはこんなところだろう。


 一、冒険者は貴族や平民といった階級に関係なくなれる職業である。冒険者ギルドでいつでも登録できる。身分の詮索は基本されないし、ライセンスの取得にはお金も時間もさほどかからない。基本的に緩い制約だが、しかし絶対のルールとして、自身の持つ能力を詐称することだけは禁じられている。詐称がばれた場合、ライセンス剥奪はもちろん、最悪牢獄送りとなる。


 二、冒険者にはランクがあり、下から順にD、C、B、Aに分けられる。例外として、特殊な功績を残した物にはS、SSランクが贈られることがある。これを持ったものは、国から国防に関する指揮権の一部を授与される。そのため、S以上のランクを持つ冒険者は貴族、王族と同じように上級階級の人間の一人として見られることが多い。


 三、冒険者稼業は基本上手くいかないことが多い。単純に基礎能力が足りないというだけで、何十年も冒険者を続けているのにもかかわらず、Cランクにとどまることを余儀なくされている者は多々いる。冒険者で食っていこうと思うなら、相応の覚悟を持って挑むべきである。

 

「ふっふっふっ!魔力のない冒険者のみなさまには悪いですが、私には回復魔法が使えるという強い長所がありますわ!体力も兄上に鍛えられてばっちりですし、基礎能力に関して言えば、問題ないはずですわね!」


 ふっふっふっ、と笑いながら、私は勉強を続けた。魔法を使えるのは、古き神からの恩恵を得た者たちの家系に連なる者のみ。そしてその家系は、ほとんどが上級階級にいる。いわゆる平民にとって魔法とは、とても珍しく希少なものなのだ。


 もちろん、魔法が使えるから必ず冒険者になれるわけではないのはわかってる。だからこそこうして勉強しているわけだ。私が冒険者たちの姫になるためには、潤沢な魔力に豊富な知識、仲間の不調にいち早く気付く機敏さと適切な処置を行うための心の余裕が必要になってくるはず。


 明日からは、パニックにならないための心構えについても学ぼう。冒険者は命がけで戦っている。だからパーティの一番後ろの安全圏にいる私が、ちょっと危ないめにあっただけでキャーキャー騒ぐような女ではダメなのだ。


 

補足

ここで読んでいる本は、古くからこの家に貯蔵されている本です。10年、20年前の本とかもあるので、ここで学んでいる知識は現実とはだいぶ差異があったりします。

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