宿題
スマホのアラームが鳴り、目が覚めた。
「アリシアおはよう。」
「おはようございます。」
今日も気分が良く起きることが出来た。
朝ごはんを作ろう。何が良いかな。
「アリシアは何が食べたい?」
「ん~、カレー?」
「朝からは勘弁してくれ、夜にカレーにするからそれで良いか?」
「やった~!」
「じゃあ朝飯は適当に目玉焼きで良いか。
今日は俺がご飯の準備をするから、アリシアは卵を用意しておいてくれ。」
「は~い。」
俺は急いでお米を洗い、水を入れて炊飯ジャーのスタートボタンを押す。
「さすがですね。」
アリシアがそう言ってきたが、単に慣れてるだけだ。大したことでは無い。
「じゃあ、目玉焼きを作るぞ~」
「は~い。」
「フライパンに油を入れて、火を点けたらよくなじませる。」
作業は全部アリシアに任せよう。
「火は弱火な。卵を割ってそのままフライパンに入れる。」
「え? あ、はい。」
てっきり器か何かに入れてからと思っていたらしく少し驚いたが、行動に移してくれた。
コンと叩きつけて、フライパンの上に割る。
「あっ…」
1個目は失敗だ。黄身が割れてしまった。
「どうしよう。」
「アリシア、失敗しても構わなからぞ。それにさっさと2個目を割らないと焦げちゃうぞ。」
「あ、はい。」
アリシアが2個目の卵を持って割る。今度は成功したみたいだ。
「あ、綺麗に出来ました。」
「そうしたらこのくらいの水を入れて蓋をするんだ。」
俺がコップにほんの少しの水を入れてアリシアに渡す。
受け取ったアリシアが水をフライパンに入れて蓋をした。
ジュ~~~~~~!
そろそろ良いかな?
「アリシア、そろそろだと思う。ふたを開けて確認してみな。」
「はい。」
アリシアが蓋を開けると、良い感じに焼きあがった目玉焼きがった。
「よし、火を止めて、お皿に移してくれ。」
俺はお皿とフライ返しをアリシアに渡す。
これで1品完成だ。後はいつものインスタント味噌汁で良いか。
本来だったらキチンと作った方が旨いんだが、それは今度の休みにしよう。
出来上がった順にテーブルに並べていく。
最期にご飯のアラームが鳴ったので、茶碗へとよそって完成だ。
「では、食べようか。」
「は~い。」
俺が壊れた目玉焼きの方を取ろうとしたら、アリシアに取られてしまった。
「ヨシカズさんのはこっちです。」
アリシアがそう言って上手に焼けた方の目玉焼きを出してきた。
「折角上手に焼けたんだから、こっちのを食べたら良いのに。」
「上手に焼けたからこそ、ヨシカズさんに食べてもらいたいんです!」
「そ、そうか、ありがとうな。」
何だかんだそう言った気遣いをしてくれるのは嬉しい。
ならこの目玉焼きは食べさせて貰うことにする。
「目玉焼きにはこれを少し掛けると良いぞ。」
俺は醤油を少し掛けた後に、アリシアに渡した。
「これって、昨日の黒い液体ですよね?」
「そうだ、沢山掛けたらしょっぱいけれど、少しなら旨いぞ。」
「へぇ~」
俺がそう言ったからか、アリシアも醤油を手にして少し掛けてみるみたいだ。
「ホントだ、美味しい~!」
喜んでくれて何よりだ。
アリシアも箸の使い方に慣れたらしく、しっかりと使いこなしているみたいだ。
「そろそろ仕事に行く時間だな。」
俺は着替えて身支度を済ませ、会社に行くことにする。
「じゃあ、後は頼んだぞ。」
「任せて下さい!」
「後は、これ。」
俺は紙袋をアリシアに渡した。
「何ですか? これ。」
「漢字辞典と国語辞典だ。順を追って覚えていく必要はあるだろうけど、これだけ有れば最悪調べることには困らないからな。」
「ありがとう! ヨシカズさん。」
「そしてこいつもな。」
俺は小学1年生の漢字ドリルを渡した。
「この国で最初に覚える漢字だ。」
「うん、頑張る~!」
アリシアの頭の良さなら今日1日で覚えそうだな。
2年生のも買ってきた方が良いかな?
「じゃあ、行ってくるよ。」
「いってらっしゃい。」
俺は会社へと出発した。