高崎
「そろそろ。昼食の準備をしましょうか」
今の時刻は11時いまから昼食を作れば十二時ぐらいには出来上がるだろう。
「私がやるぞ」
「いえ。僕がやるので大丈夫です」
やんわりと断る。
妹のアドバイスは守る。これ、大事。
「ならせめて、手伝いでも」
「いえ。さすがにあそこは二人で作業するのは狭いですよ」
「むー。君は何かを隠しているな」
鋭い。
「ハハハ。そんなことがある訳ないじゃないですか」
「どうやらこれは一度、話をするべきだな」
先輩は手をワキワキ動かしながらこちらへと迫ってくる。
何をするのかわからないが、嫌な予感がし、冷や汗が出てくる。
『ピンポーン』
救世主のごとくいいタイミングでインターホンが鳴ってくれた。
「あっ。誰か来たみたいなので出ますね」
「あっ。逃げるな」
先輩がそう言うが僕は聞こえないふりをし一目散に玄関へと逃げ込んだ。
「どちら様でしょうか」
そういいながら玄関の扉を開ける。
「お初にお目にかかります。私、高崎花蓮と言う者です」
僕は無言でドアを閉めた。
いや。来客の対応としては最悪だろうが、こちらも理解ができない。
何故、泊りがけの登山のような大荷物を背負ったメイド服姿の女性が訪ねてきたんだ。
いや、先輩関係なのは解っているんだが。
『ピンポーン』
ふたたびインターホンが鳴る。
しかたない。
意を決して僕は玄関の扉をあける。
「大丈夫ですか」
「いえ。割かし大丈夫ではないですが。何か用事でしょうか」
「おかしな言い回しをしますね。まぁそれは置いておき、お嬢様関連でお話がありまして。中に入れていただいてもよろしいですか?」
「は、はぁ。ところで、その大荷物はいったいなんですか」
さすがにこう立て続けに起こると気は抜かない。
「あぁ、これですか。これは必要なものです」
「あの、あまり荷物を運び込まれても狭いので困るんですが」
「ご安心ください。荷物に関してはこれですべてになりますので、さすがに増えないかと思われます」
「わ、解りました」
最後ならまぁいいよね。
「ど、どうぞお上がり下さい」
若干どぎまぎしたが高崎さんという方を家の中へと入れた。
「高崎ぃ~~」
先輩が高崎さんにかけた第一声がこれだった。
先輩の顔には少し怒気が見える。
「ふっ」
そして高崎さんは先輩に対して嘲笑の笑みを浮かべている。
なんだこれ。
「高崎話が違うじゃないか」
「あらあら、お嬢様。私はお嬢様に言われた通りホラー映画を数本選んだだけですよ」
「私が、スプラッター系のホラーが苦手だと知っての所業か」
「ふふふ。純粋な坂上様を言い丸め込めて、ホラー映画で怖がらせてそのの姿を見て悶絶しようなどと悪いことを考えていたから罰が当たったのではないですか」
「罰と言うかお前が仕組んだことだろう」
何故か口論が始まった。
と、言っても高崎さんは全然、余裕そうだけど。
そして、先輩はやっぱりそんなロクでも無い事を企んでいた。
呆れたような、覚めたようなそんな感情を先輩へと向ける。
「あらあら、坂上様のお嬢様を見る視線がすごいことになっていますね」
「ち、違うんだ。聞いてほしい」
高崎さんの言葉で僕の視線に気づいた先輩はたいそう焦っている。
「何が違うんですか」
「えーと。そのな」
うまく弁解ができないのだろう僕の問いかけにもしどろもどろになっている。
「ふふふ。大丈夫ですよ坂上様。これはからは私があなたを鍛えてあげます」
高崎さんに突然、後ろから抱きしめられる。
なっ何を。
甘い香りと、至近距離に迫った高崎さんの可愛いの顔に僕の顔は熱くなり、そのばから動けなくなる。
「あらあら、照れて固まってしまって可愛いですね。これは、女性の扱い方も教えなければいけませんね。楽しみです」
その時の高崎さんの雰囲気はまるで獲物を狙った肉食動物のようだった。
僕はいったいどうなるのだろう。
お読みいただきありがとうございました。
高崎登場会です。
さて彼女はこの場をどれだけ引っ掻き回すのでしょうか。




