#903 ダーレーの鎧と精霊門
本日、『Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~』のコミックス二巻が発売です!
表紙はイオンでイオンの可愛い姿がたくさん描かれているので、読んでみてください。
お昼を食べ終えた俺はゲームにログインするとみんなにプリンを出す。
「これがお兄様、必殺の飴と鞭作戦…あぁ!? ごめんなさいなの! 謝るからアリナにもプリンが欲しいの!」
やれやれだ。するとユウェルがやって来た。
「ダーレーの鎧が出来たぞ! タク! あ、プリン」
「ユウェルの分もあるよ。ヘーパイストスたちにも持って行ってあげてくれ」
「任せろ!」
デザートタイムが終わり、早速ダーレーの鎧を見る。
アリエスのダマスカスバーディング:レア度10 防具 品質S+
重さ:130 耐久値:5000 防御力:1200
効果:全耐性、堅固、全属性アップ(究)、神気、英気、黄金障壁、英雄障壁、星鎧、烈日、後光、陽光、重圧、全滑走、寒無効、妨害無効、衝撃無効、圧力無効、黄金の加護、太陽の加護
内側にゴッドウールを使ったダマスカス鋼で作れたバーディング。通常のダマスカス鋼で作られたバーディングより更に守りが堅くなり、見た目もメタリック一色からゴッドウールの金色が加わりより豪華となっている。
重さも上がったけど、問題なし!
「どうだ? ダーレー?」
『ま、悪くないな。よ!』
ダーレーが人型になると鎧も変化する。
「似合っているじゃないか」
「そうか?」
「こう言っているダーレーだが、最初着た時は目を輝かせていたんだぞ」
「嘘を付くんじゃねー!」
残念ながらこれはユウェルのほうが事実を言っているだろう。今のダーレーが否定をしていない時点で気に入っているんだと思う。どこから見ても立派な中国の昔の武将だから気に入るのも無理はないだろう。
「後は武器だな」
「あぁ。出来れば靴と乗る時に使う装備の一式変えるといいだろうな。素材はあるんだろう?」
靴はどうやら蹄鉄を作ればいいらしい。鞍と鐙も作れるだろう。手綱はちょっと分からないな。ただ鞍と鐙、手綱を頼むならミュウさんだろうな。一番の馬の装備を作っているスペシャリストだからね。
「やれやれ。我儘な弟を持つと大変だぞ」
「何度も言うが俺の方が先に召喚されているからな?」
「はいはい。睨み合わない。ユウェル、ダーレーの蹄鉄を作れるか?」
「蹄鉄自体を知らないぞ!」
まぁ、土のドラゴニュートが馬の装備を知っているのは無理があるか。それならこれもクロウさんに注文だな。
「素材に何かリクエストはあるか?」
「贅沢を言っていいなら、メテオライトがいいだろうな」
今生産を目指している素材を言いますか…まさかダーレーが欲しがるとは思ってなかった。理由を聞いてみるといいことを聞けた。
「メテオライトは俺の一族にとっては有名な素材でな。流星刀とか呼ばれている」
おぉ!流星刀をメテオライトで作れるのか!なぜ気付かなかったんだ!流星刀は日本では明治時代に作られた隕石を使った日本刀の総称だ。
同じようなものは世界中で作られていると言われていて、あのエジプトのツタンカーメンの墓からも隕石の短剣が見つかっている。更にダーレーの説明が続く。
「物凄い星の力を内包している武器と呼ばれているんだが、見た目も綺麗だからほとんど国宝だ。俺も知識として知っているだけだから憧れがあるぅ!?」
ダーレーがリリーの突進を受けた。
「聞こえてたよ! ダーレー! 新しい星の剣ならリリーからだよ!」
「リリーはエストオラシオンがあるから後です。ここは持っていない私が第一候補」
「そうは行きません! 刀ならあたしです!」
「いいえ。メテオライトはそもそもがわたしの武器素材です。あげるわけにはいきません」
戦争勃発。ダーレーを中心に発生したからダーレーの安否が不明だ。
「そもそも鍛冶が可能なのかわかっていないんだがな」
「聞こえてないぞ。タク」
ヘーパイストスに聞いてみると現状では鍛冶出来ないそうだ。星と炎、更にメテオライトを鍛冶するために必要なパワーを発揮出来るハンマーが必要らしい。星で鍛冶と聞くとやはり神話のヘーパイストスを思い浮かべてしまう。
ま、作れないなら仕方ない。リリーたちに伝えると戦争終焉。下には散々踏まれたであろうダーレーの姿があった。
「お…お前ら…いい加減にしろよ!」
「ダーレーが怒った!」
「逃げましょう!」
「待てよ! こら!」
まぁ、これは怒って当然だろうな。俺はダーレーの装備を注文しにギルドに向かった。ミュウさんにはカリュドーンの毛革とゴッドウールを使った鞍を依頼すると涙ながらの訴えをしてきた。
「手綱も鐙も全部無料で揃えるから! お願い! ロコモコちゃんの素材を使わせて! 生産職の沽券に関わるの!」
どうやらみんなからゴッドウール調達の圧力が凄いらしい。これの原因は間違いなく俺だ。戦闘で見せているし、結婚式の時にも堂々と登場したからな。
「わかりました。ちょっと和狐を呼びますね」
ミュウさんと和狐が交渉している間にクロウさんにお土産を持っていく。訓練中に落ちた大量の魔法の粘土だ。ヘーパイストスとパンドラ、ユウェルにあげてもまだ大量に残っている。そんなわけで魔法剣の作製で忙しいクロウさんに届けることにした。
「これはまた随分と持ってきたな」
「これを全部売るのか?」
「いいえ。依頼の代わりにタダでしてもらえたら、いいです」
「どんな依頼か怖いが聞こう」
これはダーレーの蹄鉄の素材にはミスリルとドラゴンメタル、楽園結晶で依頼した。
「…なんだ? この結晶は?」
「この間の旗の先に使われていた素材です」
「あの七色に光っていた槍の正体はこれか」
「しかしこれだと金はチャラにはならないぞ。タクト」
ダメか。
「それなら仕方ないですね。残りはお金で」
「お前、ルインのせいで徹底的に秘密主義になったな。少しは素材をこちらに回しても罰は当たらないだろう?」
「もちろんちゃんと礼はするつもりじゃ。ここは他のプレイヤーの進化の手助けをしてくれんか?」
そこを言われると厳しいな。話を聞くとメルたちやシフォンたち、満月さん、鉄心さんなど実力者がどんどんクラスチェンジをしていっているそうなのだが、どうしても止まってしまう人たちがいるらしい。戦争イベントも近そうだし、生産体制は整っているからここはそろそろ解放して行こう。
「分かりました。それじゃあ、値段の話をしましょうか」
「そうこないとな」
俺は楽園結晶をギルド価格で売上の六割で手を打った。かなり高額な装備になるらしく、お金ががっぽりだ。そして和狐とミュウさんとの話し合いも決着が付いた。
「二割…二割を勝ち取った! よっしゃあああ!」
どうやらロコモコ生産時の二割を取引することになったようだ。
「ふふ」
和狐は上手く交渉出来た様子だ。クロウさんたちの事を聞いたら、ミュウさんが崩壊しないか心配だ。その後も交渉が続く。ユグさんにはゴフェルの木、ユウナさんとハルはアダマだ。ユウナさんの話では一向に黄金の林檎が実らない状態らしく、アダマが必要だと考えたらしい。ハルさんも今後必要と考えて、アダマの取引をした。
みんなが受け取ると一斉に動きが変化した。欲しいものが手に入った時の生産職って俺たちより機敏に動くような気がする。
「島に」
「タクトはん。それ以上はしー…どす」
和狐に聖域の島で捧げる案を止められた。俺たちにはマイナスになるからだろう。本当にしっかりしているよ。
予期せぬ取引があったけど、今から先に精霊門のテストをしよう。セチアを呼んでどこがいいか聞くととりあえずトレントの森で行うことにした。
メンバーは精霊門役のセチアに戦闘していないイオン、恋火、イクス、ブランで挑む。全員が武器を構える。
「それでは行きます。精霊門!」
セチアの前に空間の穴が開く。この穴の先が精霊界なのか。
「いくぞ!」
俺たちは精霊門を潜るとそこは様々な色の光の粒子が漂う夜の森だった。森の木は全て星空のようになっていた。
「「「「綺麗~!」」」」
これはもう綺麗としか言えない。するとイクスが反応する。
「マスター! 正面から来ます!」
森の奥で稲光がすると木々を反射しながら、大きな雷が俺に向かってきた。
「主!」
ブランが防御に動くが雷はブランをすり抜ける。俺は攻撃の直前に転瞬で躱すとこの攻撃が木にぶつかると木が粒子となって消える。ぷよ助の粒子分解か?こわ。
「はぁああ!」
「やぁああ!」
イオンと恋火が左右から雷を斬り裂こうとした瞬間、消える。空間転移ということは俺たちと同じクラスの敵か。
俺たちは現れた敵を見る
トライコーン?
? ? ?
そいつは黄金の体に長い稲妻型の角が一本と短い稲妻型の角が二本がある馬だった。この謎の角は体や背中にもくっついている。間違いない。ホワイトホースの進化先にあるバイコーンの進化がこいつだ。
「ヒヒーン!」
「遮断結界!」
雷轟をいきなり使ってきた。セチアがこれをガードする。
「そういえばリキュールと出会ったのがトレントの森だったな」
「懐かしいですね」
「懐かしがっている場合ではありません!」
「ヒヒーン!」
イクスがそういうとトライコーンは雷化して更に雷の魔方陣を展開するとレールガンで遮断結界に突っ込んでくると遮断結界に角が刺さる。遮断結界の所が分解されている。厄介な能力を持っているな。そして角から雷放電を使ってきた。
「超バリア!」
イクスがこれを止めた。
「獄炎!」
「神波動!」
恋火が口から獄炎を浴びせ、ブランの旗から神波動が放たれるがこれを防がれる。
「バリアが使えるのか」
「わたしの真似をするとは、いい度胸です」
イクスがデウスエネルギーガンを乱射するが、バリアに弾かれる。しかしバリアを貼った状態では攻撃することが出来ないらしく、イクスがデウスエネルギーキャノンを構えるといなくなる。やはり危険察知能力も俺たち並みか。
すると今度は自分の体や横にある稲妻型の角が分離し、前の短い二本の角から荷電光線を撃って来た。
「どこまでもわたしの真似をしますか…」
「落ち着けイクス。ん?」
体に付いていた稲妻型の角が何故か地面に次々刺さる。すると稲妻が走り俺たちを囲むように稲妻が流れる。これは位置を指定する範囲攻撃か!やばい!
「させません! 氷牢!」
イオンが稲妻型の角を凍らせると稲妻が消える。更にイオンは他の稲妻型の角も凍らせて封じた。流石イオンだ。
「セチア、遮断結界はいい。後は俺たちの連携で倒そう」
「わかりました」
「イクス」
「空を飛んでいるあの角の破壊は任せてください。マスター」
ブランが遮断結界を解くと同時に俺は攻めに出た。
「閃影!」
俺が近衛で飛んでいるトライコーンに攻撃をするとトライコーンはこれを躱す。すると恋火も現れる。
「閃影!」
これも躱された。すると荷電光線を放っていた稲妻型の角が本体に戻ろうとする。そこをイクスがデウススナイパーエネルギーライフルで狙い撃ちする。しかしレーザーが弾かれて撃ち落とせない。
「それならこれで!」
イクスがホーミングレーザーを三連射するとそれぞれの角に命中し、爆発することで角を破壊した。その間も俺たちの攻撃は続いている。トライコーンの背後に現れたイオンが攻撃するとこれを黄金障壁で受ける。
どうやら慧眼持ちみたいだな。そしてイオンが虚空切断を持っていないことを理解した上に受けやがった。しかしそれなら俺が斬り裂くまでだ!
「閃影!」
俺が近衛で黄金障壁を斬り裂くとイオンのフロストグレイザーとツインテンペスターの攻撃を受ける。賢いな。恋火とブランの攻撃を警戒して、イオンの攻撃をわざと受けた。更にイオンには雷放電を浴びせるがイオンは天氷装甲と竜鱗装甲でガードしていた。
「私の攻撃なら受けられると判断したことを後悔させてあげます! 大海波動!」
至近距離からの大海波動を吹っ飛ぶされるトライコーン。
「閃影!」
地面に激突したトライコーンは立ち上がろうとするが後ろ脚が斬られてバランスを崩し、紅炎で炎上する。恋火が大海波動にぶっ飛ばされている最中のトライコーンを狙って斬ったのだ。
「天撃!」
「デウスエネルギーキャノン!」
「放射熱線!」
セチアとイクス、イクスとブランの攻撃が直撃し、トライコーンが倒れると体中から赤雷を発生させて立ち上がる。ユニコーンの進化先だから当然蘇生を持っている。それにあれは逆鱗だな。
「ヒヒーン!」
トライコーンは赤雷の竜巻となって、俺を狙い突っ込んできた。これに割って入ったのがブランだ。
「主はやらせません! 絶対防御!」
しかし絶対防御をトライコーンはすり抜ける。だがこれはブランの誘いだった。ブランをすり抜けた先にいたのは、デウスツインブレードを解放した状態のイクスだ。
デウスツインブレードの巨大なエネルギーの刃と赤雷の竜巻が激突するがここはイクスに軍配が上がり、赤雷の竜巻ごとトライコーンを斬り裂いた。
「これが本物の実力です。む」
斬り裂かれたトライコーンが光に消えたと思ったら、光が集まり再び復活する。あれは起死回生か?
「ヒヒーン!」
今度は体を燃やして俺に突っ込んできた。鬱陶しいな。でも無限に蘇生するとは思えない。俺はあっさり攻撃を躱して地面に着地すると空から俺目掛けてトライコーンは落下してくる。
「ヒヒーン!」
「転瞬! 今だ!」
俺は転瞬でトライコーンの攻撃をギリギリで躱したことでトライコーンは地面に激突する。
「ルートスクイズ! あら?」
起き上がったトライコーンをルートスクイズに縛りあげるが動かない。するとインフォが来る。
なぜ死んだのか俺は分かってしまった。
「もしかして地面に激突したことで起死回生で復活した生命力が削られたのか?」
「「「「あぁ~」」」」
なんともあっけない最後だったが、最後の一撃で隕石の落下時のようなクレーターが出来ている。それだけであの一撃の凄さがわかる。解体しよう。
トライコーンの角:レア度10 素材 品質S+
聖獣トライコーンの角。まるで鋭利な刃物のような鋭さを持った稲妻型の角でとんでもない雷の力を宿している。その角の一突きはあらゆるものを電子分解してしまう威力を持っていることから神様でも脅威を感じてしまう角。
俺、電子分解されそうだったの?無我がなかったら、死んでいたぞ。いや、近衛で受けようとしただろうから近衛を失っていた可能性が高い。やばい…冷や汗が出ている気がする。
「ふぅ…とにかくこれは槍素材だな」
「タクトさん、私はさっきあのお馬さんに舐められました」
「そうだったか?」
「はい。そして私に槍を訓練するように言っているのはタクトさんですよね?」
イオンの新手の槍欲しいアピールだ。確かにイオンの火力不足を補うにはいい武器になるんだろうけど、即決は出来ない。何せ他にも欲しがりそうな子がたくさんいるからな。
「今は探索を優先させてくれ」
「むー」
「ここが危ないところというのはさっきので、わかりましたよね? イオンお姉様。そんなことをするのは時間の無駄です。急ぎましょう。タクト様」
セチアが容赦がない一言を言うがそれがセチアの緊張感の表れだと感じた俺たちは改めて精霊界の探索を開始した。




