#762 邪竜の住処偵察戦と魔将の正体
俺たちはストラに乗って移動。俺のメンバーはリリー、イオン、恋火、イクス、ノワ、リビナ、リアン、和狐、ブラン、セフォネ、コノハ、ゲイル、白夜、ロコモコ、ダーレー、ルーナ、ヒクス、ストラ、スピカ、サフィ、クリュス、蒼穹、コーラル、ハーベラス、ジーク、千影の全飛行戦力持ちを投入している。
ダーレーには俺とセチア、リアンはサフィに騎乗するのはいつも通りだが、今回はスピカにはメル、ヒクスにはファリーダとユウェル、ジークには急遽シフォンたちの代わりに参加が決まったブルーフリーダムのメンバーが乗っている。
他にも乗れていない人たちもチロルたちの余っている召喚獣に騎乗している。するとイクスが報告する。
「マスター。正面から敵反応多数。わたしたちより上空にも大型の魔力が複数、それに大型の魔力のみがこちらに向かって来ています」
「チロルの報告にあったネクロドラゴンだな」
「間違いないかと」
俺は全員に指示を出す。
『全員戦闘態勢! ネクロドラゴンが来るぞ! アルさん、アロマは上空にいる敵を確認してきてください』
『『了解!』』
俺はコノハとのシンクロビジョンで敵を捉えた。かなりでかいな。しかしビビってもいられない。先制攻撃はこちらが貰うぞ!
「「「「セイント!」」」」
『『『『セイント』』』』
「ホー!」
俺とコノハのセイントの連射がネクロドラゴンに命中すると姿を表す。
ネクロドラゴン?
? ? ?
現れたのは青白い光を放つ煙の体を持つ不気味なドラゴンだ。するとチロルが騒ぐ。
『あの顔は忘れない! こいつが私たちをぶん殴ってきたドラゴンだよ!』
『そうか…それじゃあ、その仕返しと行こう。全軍攻撃開始!』
全員が一斉攻撃すると敵の姿が消えた。こちらにはリリーやヒクス、スピカのような激突持ちの召喚獣がいるのに攻撃が躱されただと?俺たちが知らない謎のスキルだな。ヴァインが警告がする。
「空間転移だ! どこから襲って来るかわからないぞ!」
どうせ俺を狙ってくるんだろうが!
「来るぞ! ブラン! ユウェル!」
「はい! 主!」
「任せろ! タク! ファリーダ。タクの上に移動してくれ」
「えぇ!」
しかし俺たちが待ち構えていても敵が現れない。コノハの神瞳を持ってしても捕捉出来ない。他の召喚獣たちでも察知出来ないようだ。するとイクスが警告をする。
「敵正面部隊、急接近! マスター!」
ネクロドラゴンがいつ来るか分からない状態で攻め込んで来るか。ヴィオレが聞いてくる。
「どうする?」
「…俺たちの目的は偵察。敵部隊を突っ切って強引に住処に向かう!」
「ふ…了解した! 全員密集陣形! 敵部隊を突破する!」
「「「「おぉ!」」」」
俺はリリーたちに指示を出す。
『リリー! イオン! ノワ! 竜化だ! 敵部隊の道を開けてくれ!』
『わかった! 行くよ! イオンちゃん! ノワちゃん!』
『『『竜化!』』』
更に花火ちゃんも竜化して、四人が先行しようとするとイクスが反応する。
「マスター、敵部隊から高魔力発生!」
『リリー! 跳ね返してやれ!』
『任せてタクト! 反射!』
リリーが敵部隊からのドラゴンブレスを受ける。
『うぎぎ~! やぁああああ!』
なんとか反射でドラゴンブレスを返す。すると敵のドラゴンたちは回避する。よし!道が開けた!
『突っ込むぞ! イオン! ノワ!』
『任せてください! 道を広げますよ! ノワ!』
『…ん。援護する。花火、手伝って』
『わかっているわよ!』
ノワが影針、同じく竜化した花火ちゃんが火雨でイオンを援護し、イオンが敵軍の中に突っ込むと氷雷で敵のドラゴンたちを凍らせていく。
俺たちも続いて飛び込んでいくと敵部隊手前でネクロドラゴンの爪が俺たちに迫って来た。こいつはガスの体から手や顔を自在に出すことが出来るのか!
「やらせないよ! スピカちゃん!」
「ヒヒーン!」
「ヒクス!」
「ピィ!」
スピカとヒクスの光速激突が決まったかに見えたけど障壁で防がれる。しかし騎乗しているメルとファリーダのイベント武器での攻撃がネクロドラゴンに入る。
「スピカちゃんを貸してもらっているし、こいつは私に任せて先に行って、タクト君」
「私もこいつには怨みがあるから残ります! 行ってください! タクトさん」
「あぁ! 二人とも頼む! コノハ、霊化したら、スピカたちに察知手段がない。助けてやってくれ」
「ホー!」
メルとチロルにネクロドラゴンを任せて、俺たちが先に進むと敵部隊の正体が明らかになった。
デビルドラゴン?
? ? ?
フォールンドラゴン?
? ? ?
ドラゴンライダーデビル?
? ? ?
ドラゴンライダーデーモン?
? ? ?
デビルドラゴンは悪魔の羽のような翼を持っているドラゴン。これに騎乗しているがドラゴンライダーデビル。ぶっちゃけドラゴンに乗っている悪魔のようにしか見えないが装備は立派だ。長槍のランスと盾を持っている。
フォールンドラゴンは紫色のドラゴン。デビルドラゴンの決定的な違いは翼。漆黒の天使の羽みたいな翼となっている。そして騎乗しているのはデーモンは武器はハルバードやモーニングスターを持っている奴までいる。間違いなくデビルドラゴンコンビよりこちらのほうが強敵だろう。
これを見たヴァインは怒りが頂点に達した。
「てめぇら! 若いドラゴンたちまで堕としやがったのか! 絶対に許さねぇ! 姉御! 住処を頼む! こいつらのことは俺が引き受けた!」
「わかった。お前たち、弟とドラゴンたちを頼むぞ」
「「「はい!」」」
俺も指示を出そう。
『雷電さん、タクマ、ブルーフリーダムのみんなと竜騎士部隊はここで俺たちの退路を確保してくれ』
『『『『了解!』』』』
『リビナ、リアン、ゲイル、白夜、サフィ、蒼穹、コーラル、ジーク、千影も頼む』
『『任せて(ください)!』』
リビナたちも参加させたから、多分大丈夫だろう。俺たちがイオンたちが作ってくれた道を通り抜けると敵の後方にいた部隊は俺たちを追ってくる。イクスとのシンクロビジョンで敵を捕捉。食らいやがれ。新魔法!
『『レッドスプライト!』』
俺たちを追ってきていた敵部隊に超広範囲の赤雷が降り注ぎ、残らず墜落した。
レッドスプライトは実在する自然現状で漢字で書くと超高層紅色型雷放電と呼ばれている。要は遥か上空で見られる赤い雷の名前だ。
このレッドスプライトはまだ詳しいことが分かっていないが確かなことは通常の雷より遥かに大きい雷であること。それはこのゲームでは攻撃範囲として反映されている。因みにゲームでは思いっきり地面に落ちているが現実でのレッドスプライトは地面には落ちないと考えられている。
俺たちが完全に抜けた後、みんなが戦闘をしているとこいつらの厄介なところが判明して来る。それが騎兵の特徴でもある連携技。逆に言うとこれを封じれば敵はそこまでの驚異じゃないとタクマは判断した。
『チロル、こっちに来れないか?』
『今、ボコボコにしている最中だけど行けるよ』
『そ、そうか…悪いがこっちに来て、騎乗している奴らを落としてくれ』
『了解!』
タクマが目を付けたのがチロルが持っている落馬の魔槍。これの効果で面白いようにライダーたちが落馬していく。こうなるとドラゴンライダーを名乗る悪魔たちはただの悪魔に成り下がることとなった。
これで落馬の魔槍は彼らにとって天敵の装備であることが確定した。流石に羽があるから地面に落下することは無かったが、ただのデビルやデーモンは今の俺たちにとってはただの経験値だ。
チロルが抜けたネクロドラゴンの方ではコノハとメル、スピカコンビが完全に抑えている。
霊化で逃げるネクロドラゴンをコノハが見つけ出し、スピカが光速激突で回転角で突き刺すと更に浄化の能力を発動させて大ダメージを与える。コノハをネクロドラゴンが狙おうとするとコノハは攻撃を回避して、スピカが光鎖で拘束すると騎乗したメルがネクロドラゴンに攻撃する。
さっきまでここにチロルとその召喚獣たちが参加していたんだからボコボコにしていたというチロルの言葉に嘘はないだろう。
一方雷電さんたちも負けていない。まず雷電さんが乗るウィンドドラゴンは飛行能力ではドラゴンの中でもトップクラスだ。少なくとも機動力では敵を圧倒している。単純な速さに加えて、急旋回、急停止、急加速を駆使して簡単に敵の背後を取ってしまう。
対するデビルドラゴンとフォールンドラゴンは気配遮断で夜闇に溶け込む戦い方をするのだが、そこはヴァインたちからの情報を貰っているからゴールドシープなどが持っている光輝スキルや虹光などの体を光らすスキルで姿が丸見えとなっていた。
「隙だらけですよ! 竜騎技! ドラゴンアサルトアタック!」
ドラゴンアサルトアタックは騎乗したプレイヤーと共に行うドラゴンダイブだ。連携技のように見えるがちゃんとした技だからこちらのほうが威力は当然高い。
「同じドラゴンライダーとして負けるわけ行きませんね。どんどん行きますよ!」
そして竜騎士たちはチロルによって、単体のデビルドラゴンやフォールンドラゴンとなったドラゴンを中心に狩っていく。
「行くぞ! 部位竜化! 竜翼!」
竜騎士の背中からリリーたちのようなドラゴンの翼が生える。これにより竜騎士たちは飛翔スキルを時間限定で得る。
「竜騎士技! ドラゴンキラーブレード!」
竜騎士はドラゴン特化の職種だ。当然技もドラゴン特攻の物となっている。それでも竜騎士たちが連携して斬りまくってやっと倒せるんだからやはりドラゴンはタフだ。
そして敵部隊を抜けた俺たちはヴァインたちの住処を目視で捉えた。
「あの山が私たちの住処だ!」
「マスター、あの山から無数の大型反応が移動中。来ます」
住処出てきたドラゴンはこちら。まずは地上。
ドラゴンゾンビLv48
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
スカルドラゴン?
? ? ?
ヘドロドラゴン?
? ? ?
上二つは知っているがヘドロドラゴンは初だ。体がヘドロが出来ているドラゴンだ。腐蝕とか持っていそうだな。
次に空は先ほどと同じドラゴンの他に新しいドラゴンがいる。
タタリドラゴンLv48
通常ドラゴン 討伐対象 アクティブ
デーモンドラゴン?
? ? ?
ディザスタードラゴン?
? ? ?
タタリドラゴンは小型のドラゴンなのだが、最早ドラゴンと呼んでいいのか分からないドラゴンだ。何せ顔が怪しい宗教か何かでありそうな一つ目みたいな絵が顔になっているドラゴンだ。他の部位がドラゴンだからドラゴンと言いたいんだろう。
能力は間違いなく祟りを使ってくるだろうな。祟りは和狐などが妖術で覚えている。効果が同じなら攻撃してきた敵に呪いと病気の状態異常を与える技のはずだ。ドラゴンたちの大魔法封じだろう。
デーモンドラゴンはデーモンの角を持つドラゴン。恐らくデビルドラゴンの進化ドラゴンだな。
ディザスタードラゴンはデーモンドラゴンより更に大きいドラゴンだ。今までのドラゴンで間違いなくこいつが一番強い。それが二体もいる。こいつらが中ボスかな?
すると無数のタタリドラゴンが前に出てくると魔法陣を展開すると雷を放って来た。こいつらは雷魔法を使ってくるのか。
「ノワ! リリー!」
『…ん! 黒霧!』
ノワが黒霧で雷魔法をガードし、リリーが上昇する。
『星雨!』
リリーの星雨でタタリドラゴンたちに命中し、倒される。するとリリーに祟りが発動するがリリーには通用しない。
『効かないよ! あ、あれ? 力が抜けていく~』
何!?リリーの竜化が解除されてしまう。ちょっと待て、なぜ竜化が解除された!?呪いで竜化を封じられても既に竜化しているリリーには影響は出ないはずだぞ。
「タクト~!?」
俺は空中でリリーをキャッチする。
『大丈夫ですか? タクトさん、リリー』
「大丈夫だ。イオン。でもリリーに一体何が…」
リリーのお腹の虫が鳴く。リリーのステータスを見ると満腹度と魔力が無くなってしまっていた。これでは竜化が解除されて当然だ。
「うぅ…お腹が空いて力が出ない~」
よく似た台詞を聞いたことがあるな。それにしてもこれは俺たちが知らないスキルだ。完全にドラゴニュートの弱点を狙ってきたな。
「マスター! 敵が来ます!」
く…下と正面から攻撃飛んでくる。するとヴィオレの部下のドラゴニュートが黒霧でヘドロドラゴンのブレスを受けると黒霧のガードが効果がなく、直撃してしまう。すると致死毒と腐蝕の状態異常になる。
「ぐわぁあああ!?」
『『リフレッシュ』』
俺はファミーユでリフレッシュを使い、回復させるとお礼を言ってきてくれた。ヴァインと違って素直でいいやつだ。
「すまない。仲間が助かった」
「お礼は後だ。俺は任務があるから強引に地上に降りる。すまないが後方のみんなの撤退を頼めないか?」
俺たちの任務は偵察。敵がどんな能力を持っているかみんなある程度わかった頃合だ。ボスやこいつらの強さは俺が報告すればいい。
「それは部下たちに任せよう。お前に任務があるように私にも任務がある。しっかり道案内をせねば他の者に笑われてしまう」
もう十分なんだが、譲りそうにないな。
「無茶だけはしないでくれよ」
「お前に言われたくない。全員、ヴァインたちと合流して味方の撤退を援護しろ!」
「「「「はっ!」」」」
本当にドラゴニュートたちは鍛え抜かれている。誰一人自分もついて行くとは言わない。本当は心配だと思うがそれでも自分のリーダーの指示をしっかり聞いて行動している。こういう部隊は本当に強いと思う。
さて、これは俺たちも負けていられないな。
『イオンはここでみんなの指揮を取ってくれ。わかっているとは思うが、タタリドラゴンには攻撃しないようにして戦ってくれ』
恐らくリリーに使われた謎のスキルの条件は攻撃のはず。名前から矛盾するし、わざわざ前に出てきたところを見ると間違いないと思う。
『難しい注文ですね』
『みんななら出来るだろう?』
『と、当然です!』
俺の言葉に乗るイオンだが、他のみんなは大変だ。
『イオンお姉ちゃん…』
『…イオン、かなり難しいと思う』
『安請け合いは良くないぞ? イオン』
『う…だ、大丈夫です! 私たちならきっと出来ます!』
心配になるみんなだが、現状やるしかないって感じだ。すると敵が魔法やスキルでの攻撃が攻撃が飛んでくる。
『星壁!』
「守護結界!」
「「結界!」」
『…黒霧』
それを必死にリリーたちがガードしてくれる。くそ…これだけ攻撃されたら、身動きが取れない。
「セフォネ、影移動であいつらを脅かしてくれ」
「任せるのじゃ! 影潜伏!」
「ファリーダ」
「セフォネが作った隙の間に飛び込んで魔力妨害を使えばいいのね?」
話が早くて助かる。
「ルーナ、クリュス。妖精の輪を使ってくれ」
「いいんですか? パパ?」
明日の攻略のことを考えると出来れば温存したいがここは仕方ない。
「任務優先だ。妖精たちには悪いと思うが頼めるか?」
恐らく攻撃したら、タタリドラゴンの能力は妖精たちに発生するからな。申し訳なく思う。
「その気持ちで十分です。パパ。クリュス」
「えぇ! 妖精の輪!」
妖精たち現れる。
「敵に隙が出来たら、地上に降下する。恋火、和狐、ブランは援護してくれ。残りは空の敵を牽制。行くぞ!」
『『『『了解!』』』』
『セフォネ、頼む』
『行くぞ! 皆の者!』
セフォネが地上からタタリドラゴンたちの後方にいるデーモンドラゴンたちを狙う。
「ローリングスライサー!」
ハルペーを持ったまま、セフォネは回転し、デーモンドラゴンたちに飛び込み、ダメージを与えた。
「魔法侵食! ぬ? げ!?」
セフォネは更にタタリドラゴンの雷魔法を封じにかかろうとしたが攻撃した背後からデーモンドラゴンに噛まれてしまった。その間にヒクスに乗ったファリーダとユウェルがセフォネが魔法を封じたタタリドラゴンのところに飛び込んだ。
「セフォネ、あなたの犠牲は忘れないわ。魔力妨害! ユウェル!」
「セフォネの仇だ! 落ちろ! 重力操作!」
デーモンドラゴンたちは重力操作を受けるがなんとその場に留まっている。するとセフォネが呪滅封印を発動させ、蘇るが気分は最悪だ。気持ちは凄くよくわかる。
「妾を…食べおったな…許さないのじゃ!」
セフォネが暴れると同時にイオンたちも攻撃を始め、その隙に俺たちは地上に向かう。すると地表からヘドロドラゴンたちがブレスを吐いていく。
「あたしが破ります! 獣化!」
「うちも行きます! 獣化!」
恋火と和狐が獣化する。
『狐技! 火炎車!』
獣化した恋火はヘドロドラゴンのブレスを魔力切断と火炎車で強引に突き破り、そのままヘドロドラゴンに体当たりをした。
『炎輪! ハーミットブレス!』
『あたしも負けられません! ハーミットブレス!』
獣化した和狐の両手に炎の輪っかが発生すると和狐はそれを地面に投げつけて、火炎操作で操ると恋火の周囲にいたドラゴンゾンビたちを切断し、燃やすと止めのハーミットブレスで消し飛ばすと恋火も続いた。
「恋火と和狐に続け!」
「はい! 自然波動!」
「聖波動!」
俺の後ろにいるセチアが自然波動、ブランの聖波動で完全に着地地点を確保すると俺たちの着地を狙ってヘドロドラゴンがブレスを使ってくる。
『結界! なんなんどす!?』
俺はレギオン召喚で残りのグレイたちを呼び出すと和狐の声で和狐の結界を見ると大量のヘドロがついていた。
「和狐、結界を維持していろ。今、洗い流す」
『『『カーレントラピッズ』』』
大量の放水を受けるとヘドロは流され、和狐は結界を解除する。
『ありがとうっ!? …酷い臭いどす』
『うぅ…』
ヘドロの臭いは強烈だからな。恋火やグレイたちも戦い辛そうだ。このヘドロブレスは防御スキル対策なんだろう。特に黒霧は各属性の攻撃を防ぐが、物理攻撃には弱い。ヴィオレの部下の様子から恐らくヘドロブレスは物理攻撃の側面もある攻撃なんだろう。
つまりヘドロドラゴンは邪竜潰しのドラゴンということになる。だが相手がヘドロなら恐らく俺の手持ちにはこいつの天敵が存在している。
「黒鉄は辛いと思うがヘドロドラゴンの攻撃を受けてくれ。チェスはスカルドラゴンとドラゴンゾンビの攻撃を頼む」
『ヒクス、二人を連れてきてくれ』
俺たちが戦っているとヒクスが二人を連れてきてくれた。
「ユウェル! 竜化だ! ヘドロドラゴンは相手にしなくていい! ドラゴンゾンビを止めてくれ」
「わかった! タク! 竜化!」
ユウェルが竜化すると俺の姿が隠れる。それを確認した俺は自分の影に合図を出すと影潜伏していた銀たちが出てくる。
「…頼むぞ」
「「「はい!」」」
「香子さん、三人をお願いします」
「任せてください。タクトさんもご武運を。行きますよ」
四人は姿を消した。これで最低限の任務は達成だ。するとヴィオレがやってくる。
「この後はどうする?」
「強引に攻め込めばボスが出てくるかもしれませんし、潜入班にも狙いどころがわかると思いますので、ギリギリまで攻め込もうと思います」
「了解した。では、住処の入口の一つがこの道の先だ。案内しよう」
「お願いします。行くぞ! みんな!」
俺たちが進行とヘドロドラゴンのブレスが放たれると黒鉄が受ける。するとヘドロは黒鉄の体に付着するがダメージはない。毒や腐蝕の効果は黒鉄には通用しない。そしてお前たちに悪夢を教えてやる!
「ぷよ助、分裂してヘドロドラゴンと戦ってくれ。俺たちは一気に攻め込むぞ!」
ぷよ助が分裂して自分をヘドロドラゴンに投げつける。これを見て、ヘドロドラゴンはブレスや爪で分裂したぷよ助を攻撃するが、ブレスは通用せず、爪で攻撃してもへばりつくだけだ。地球環境に害を与えるドラゴンよ。天敵を思い知るがいい。
くっついたぷよ助はヘドロを分解、浄化していく。そしてどんどん形を大きく変形させていくと。逃げ出すことも出来ないヘドロドラゴンは分裂したぷよ助に次々捕食されていった。
そして俺たちも敵を蹴散らして、進んでいく。
『竜魔法! ペトロイローション』
やはり地上戦ではユウェルが凄い。ドラゴンゾンビを石化させて、竜角と激突で道を開けていく。他にもそれぞれが相手にすべきモンスターが見えてきた。
まず厄介なヘドロドラゴンの氷結を確認した。この結果、優牙と伊雪が中心となって、対処していく。
スカルドラゴンは体をバラバラにさせて、厄介ではあったのだが、チェスが攻撃を引きつける間にアラネアが使役で呼び出した蜘蛛たちと共に粘着糸で拘束が決まると後はコアを破壊するだけ。コアの破壊役はファリーダ、虎徹や月輝夜が対応する。
これを一人でやっているのがセチアだ。
「!」
ルートスクイズで発生した木の根は動き回るスカルドラゴンの骨やコアを次々掴まえて拘束するとそのまま締めつけ破壊してしまう。骨すら砕くその締めつけに正直ゾッとした。これは拘束されたら、ダメな類の攻撃だな。
そして進化したハーベラスはグレイと共に先陣を切っている。次々先制でドラゴンゾンビに噛み付いては燃やし、反撃を食らうと更に強くなる。
正面から放たれた攻撃のほとんどはハーベラスが受けていた。当然死んでしまうのだが冥府神の加護の効果で復活すると呪滅撃と呪滅封印を発動させ、再び先頭を走っていく。最早怖いもの無しと思えるハーベラスだったが、ここで空の敵も黙っておらず、空からの攻撃が激しくなってきた。
タタリドラゴンが残っているのが厄介すぎる。どんなプレイヤーや召喚獣たちでも満腹度がやられたら、ご飯を食べる以外に対処がない。流石のハーベラスも為す術がないだろう。例外は満腹度がない黒鉄とイクスぐらいのものだが、魔力も失っているからこの二人でも動けなくなる。
すると恋火の警告が来る。
『タクトお兄ちゃん! 空から凄い雷が来ます!』
俺が空を見ると俺たちの上の雲が無数の稲光が発生した。ちょっと待って、これはかなりの大規模攻撃だぞ。
「全員固まれ! 恋火! 和狐! ブラン! ユウェル!」
空で戦っていたみんなが集まり、一斉に防御スキルを展開する。
「『絶対防御!』」
『『結界!』』
『『黒霧!』』
次の瞬間、俺たちに無数の紫電が落ちる。
「く…全員無事か?」
『はい。ブランとユウェルが守ってくれなかったら、危なかったです』
「ブラン!?」
ブランは息を切らしていた。
「はぁ…はぁ…私も無事です。主…ですが今の攻撃はパッラースの盾とユウェルの援護が無かったら、危なかったです」
『わたしもブランがいなければ危なかったからお互い様だ』
コノハの試練でくれたアテナ様に感謝だな。
「ヴィオレは無事か?」
「あぁ…確定の防御スキル持ちの武器と地竜の能力か。いい物を持っているな。助かったぞ」
武器を褒められた!これは嬉しい。俺が作ったわけじゃないけど、苦労して素材を集めたから褒められるのは嬉しいものだ。ユウェルも褒められて自慢げだ。するとノワが警告する。
『…にぃ! ディザスタードラゴンが狙っている!』
「イオン! ユウェル! 向かい撃て!」
『はい! ドラゴンブレス!』
『任せろ! タク! ドラゴンブレス!』
二人のブレスがディザスタードラゴンたちのドラゴンブレスとぶつかり合う。するとイオンとユウェルが押されていく。ここにノワとヒクス、ディアン、ストラがブレスのぶつかり合いに参戦し、なんとか拮抗する。
『く…魔力が…』
「全員、ディザスタードラゴンに集中攻撃だ!」
『「おぉ!」』
「宝玉解放! 全宝玉解放!」
スカーレッドリングとグランアルヴリングの力を解放する。ありったけの魔法攻撃をくらいやがれ!
「「「「デトネーション!」」」」
「「「「ナパーム!」」」」
『『『『デトネーション!』』』』
恐らくこれが今の俺が一度に出せる最大火力魔法攻撃だ。コノハなども魔法攻撃をするがここで展開した魔方陣が消えて、何故かタタリドラゴンに展開されてしまう。これは魔法攻撃のターゲットを強制的に変えたのか!?やばい!
だが、詠唱してしまった魔方陣を止める術はなく、タタリドラゴンにデトネーションが決まり、更にも空から落ちるナパームもタタリドラゴンたちが盾になる。
魔法を使ったみんなも同様で俺たちはリリーと同じ状態になってしまう。無事なのはイオンたちとスキルでディザスタードラゴンに攻撃しようとしたみんなだが、スキルでの攻撃も怪しい紫の光が発生すると攻撃が不自然に曲がり、タタリドラゴンに命中する。
結局イオンたちを援護出来ず、ブレス勝負に負けてしまい、ドラゴンブレスを受けてしまう。
『く…まだです!』
『あぁ! む? なんだこれ?』
ディザスタードラゴンの目が光るとイオンたちの魔力と満腹値がゼロになり、元の状態に戻ってしまう。タタリドラゴンと同じスキル?いや上位スキルか!いずれにしても俺たちの中で戦えるのは俺の強化に専念してくれていたダーレーとヘドロドラゴンと戦っていたぷよ助ぐらいか?
俺が倒れたまま視線をヘドロドラゴンに向けるとぷよ助の姿が無かった。さっきの雷はぷよ助を狙っていたのか?くそ!すると空から笑い声が聞こえた。
「ふはははは! フリーティアも英雄と聞いていたが所詮はこの程度か! 私の足元にも及ばぬわ!」
聞いたことがない声だな。どうやらヴィオレの話に聞いていた魔将のお出ましのようだ。
死侯爵の暗黒召喚魔将?
? ? ?
フォールンエルダードラゴン?
? ? ?
現れたのはディザスタードラゴンより巨大な体にその巨体を支える巨大な紫の天使を翼を六枚も持っているドラゴンと杖を持っている謎のマッスル魔将だった。名前からすると暗黒召喚師なのかな?
どうやら俺たちの攻撃を操ったのはフォールンエルダードラゴンの能力みたいだ。ディザスタードラゴンはドラゴンブレス中だったから間違いないだろう。ボスの登場に気付かなかった俺のミスだ。
それにしても俺は何故かこいつに見覚えがある気がする。出会ってはいないと思うんだが…。思い出せない。するとイオンが通信で敵の正体を教えてくれた。
『タクトさん。この人、私たちが今のホームを貰った時に置かれていた金色の銅像の人に似てませんか?』
…あ。そうだ。確かに似ている!ボディビルダーの姿でサイドチェストを決めていた金ピカの銅像のおっさんだ!服を着ているからわからなかった。これで侯爵の謎も解けた。俺のホームは元侯爵の家だからな。って結局俺たちの関係者かよ!
「竜技! ドラゴンフォース!」
ヴィオレがドラゴンフォースを使って、死侯爵の召喚師に襲いかかるが杖で攻撃をガードされる。
「あの時のドラゴニュートか。あの時に力の差を教えたはずだ!」
ヴィオレがあっさり力負けしてして、弾かれるがすぐに襲いかかる。
「はぁああああ!」
「速さは立派だが、私には届かぬ!」
「それでも私はお前を許さない!」
「くだらんな。は!」
ヴィオレが剣を弾かれ、拳でぶっ飛ばされる。あいつ、召喚師だよね?自分のことは棚に上げる俺である。
「ふん。やれ、フォールンエルダードラゴン」
フォールンエルダードラゴンの目が光るとヴィオレのドラゴンフォースが解除されて、子供の姿になり、フォールンエルダードラゴンの上で倒れる。
「くそ…!」
やはりこれは何かのスキルであることは確定か。ただこの謎のスキルには恐らく条件がある。無条件に魔力と満腹度を減らす効果を発動出来るなら最初から使えばいい。それをしないのは条件があるからだろう。
怪しいのは攻撃。タタリドラゴンも攻撃が受けてから発動している。ディザスタードラゴンになると自分の攻撃が相手に当たることでも発動するようになるんだろう。フォールンエルダードラゴンはあの侯爵の攻撃を当てたことで発動したと思うべきか。たぶん侯爵の何かしらの能力だな。
すると侯爵はヴィオレを蹴落とす。
「ダーレー!」
「ヒヒーン!」
ダーレーのおかげで俺はなんとかヴィオレをキャッチするとそれを侯爵は言う。
「ほう…流石フリーティアの英雄。いい馬を持っているな。どれ。わしが貰ってやろうか? いい値を出すぞ」
ダーレーが俺を見る。
「焼いてやれ。ダーレー」
「ヒヒーン!」
ダーレーは嬉々として蒼炎を放つ。例え敵の能力を受けることになっても、攻撃しなければならない時がある。今がその時だと判断した。
蒼炎を放ったダーレーの攻撃はあっさり防がれて、ダーレーはフォールンエルダーラゴンの能力を受けて俺ごと倒れる。
「ふん…グランや姫どもも馬鹿な奴だ。こんな雑魚を英雄として担ぎ上げるとはな」
ダーレーを買うとか言った次はシルフィ姫様たちを侮辱か…俺はヴィオレを地面に置く。流石に黙っていることは出来なかった。
「…ゾンビたちから逃げ出した奴に言われたくないと思うぞ?」
「黙れ! 何も知らない子供が! この場は逃げるのが最善の策だった! 私は何も間違ってはいない!」
「いいや、間違いだね! 事実としてフリーティアは今でも残り続けていて、発展を遂げている! あんたがいう最善の策は今のフリーティアの姿を超えているのか? 超えていないならそれは最善じゃない! 気安く最善の策とか言うな」
最善の策とは言葉の通り、最も善い策のこと。はっきり言ってこの世に最善の策というのがあるのか疑問を持っている。どれだけ考えても後からもっとこうすれば良かったと思ってしまうものだ。本当に作戦などを考える人はこの苦労に悩まされる。俺にはこいつからその苦労が感じられない。だからはっきり告げる。
「自分の間違いを認めることも出来ない子供以下のあんたが大人ぶるなよ。みっともない。少しはリーゼを見習え」
リーゼはゾンビの時に無茶な行動をしたけど、しっかり反省して国を支えた。今でも自分の失敗を反省しないこいつよりリーゼのほうが立派な人間と俺は断言出来る。すると俺の言葉に侯爵は激怒する。
「貴様! わしがハンズの娘より劣っていると言うのか!」
公爵と侯爵だ。色々あるんだろうね。
「そうだ。聞こえなかったのか? 大人は耳が遠くなって大変だな。医者に診て貰ったらどうだ?」
「…ガキが…楽に死ねるとは思うなよ」
「どうぞご勝手に。口では勝てないから暴力を振るうしか出来ない子供のおっさん」
怒りが頂点を達したのかおっさんが俺に蹴りを放ってくる。転移クリスタルで逃げようとしたが妨害されて使えない。これは死んだかな。でも口では勝ったし、こんな暴力は虚しいだけだ。
心残りがあるとすればヴィオレか。この光景は銀たちも見ているはずだから助けてくれると思うんだが、やはり心配になってしまう。俺がそう思っていると俺の前の空間が歪む。なんだ?
「ピィ!」
「ぐはぁ!?」
「わー! いきなりどうしたのさ! ヒポグリフ」
空間から現れたのはアストルフォとヒポグリフだった。
かなり長くなったので、ここで切ります。




