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Elysion Online ~ドラゴニュートと召喚師~  作者: とんし
希望の国エステル
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#740 希望の国エステルと実力比べ

翌日学校が終わり、俺は急いで家に帰る。既にイベントは開始されており、学校が終わる前に海斗から掲示板に既に敵の攻撃を受けていると言うのだ。


最初だからまだまだ弱く、相手はゴブリンとのことだが、急ぐに越したことはない。ログインした俺はへーパイストスたちに声を掛けてアーレイたちとメルたち、ルークたち、トリスタンさんと待ち合わせをして、偶然時間が一緒になったギルドメンバーとイベントを開始する。


俺たちが転移した場所は町の広場だった。


「お! 来たな」


彼はライヒの元トップギルドでサブマスをしていた人で名前はマグラスさん。定日の朝から昼に掛けて、戦闘でのまとめ役をやってもらうことになった。もちろん彼だけでなく、サバ缶さんたちや他の指揮をしてみたいプレイヤーたちのサポートもある。


「遅くなりました。状況はどうですか?」


「さっき作製中の砦に敵のゴブリンたちが攻め込んで来て、撃退したところだ。流石に難易度が一番高いだけあって、ゴブリンでもだいぶ強かった。詳しい話は後にしたほうがいいな…まずはイベントの開始する流れを説明するぞ」


「お願いします」


話を聞いた俺たちは白髪の老人賢者を紹介される。


「お話は伺いました。ようこそ。希望の国エステルへ。私はここで賢者として国王様を補佐しているテグスターと申します。冒険者の皆様、まずは国王様に謁見をお願いいたします」


この国はエステルと言うのか。お城に案内される間に町並みを見ることが出来た。この国の作りはパラディンロードに近い。ただしパラディンロードのように町を城壁で区切ってはいない。町を囲む巨大な城壁があるだけだ。


この国の最大の特徴は天然の山を整備して作られた町であること。大した文明だと感銘を受けているとドワーフやエルフ、ドラゴニュートが町人としていた。気のせいか元気がない。まるで敗戦した後のようだ。


俺たちはギルドカードをお城の門番に見せて、王様と面会する。


「よく来てくれた。冒険者たちよ。私は希望の国エスエルで国王をしているリアムという」


髭が生えたダンディな国王だが、王様というより戦士の風格がある人だ。代表して俺が挨拶をする。


「フリーティアの冒険者ギルド『リープリング』のギルドマスターをしております。召喚師のタクトです。こちらはギルドメンバーたちです」


「貴殿らのことはそなたらの冒険者仲間から聞いているぞ? フリーティアの英雄が集まるギルドが来てくれたことに感謝しよう」


『いや~』


みんながドヤ顔をする。全員がフリーティアの英雄扱いされたのは初めてだからな。しかしどうやらエステルの騎士たちには信用されていないようだ。


「ふん。冒険者がどれだけ戦力になるものか…」


「国王様、事情は理解出来ますがやはり正規の中央大陸の軍隊に依頼したほうがいいのでは?」


「お前たち! 国王様になんということ! それにフリーティアの冒険者たちに無礼であろう!」


「よい。テグスター。そこまで言うならお前たちがこの者たちと戦ってみるといい。それでお互い実力がわかるだろう。君たちには申し訳ないが五対五の模擬戦を頼めるか?」


話を聞いた通りだな。インフォが来る。


特殊クエスト『エステル騎士と決闘』:難易度D

報酬:エステル兵士の好感度上昇

エステル騎士と決闘し、実力を示せ。


俺はみんなを見ると全員頷く。


「わかりました。お受けいたします」


マグラスさんから話は聞いているが難易度から見てもそこまで強くないだろう。それじゃあ、好感度上げるために頑張るとしますか。まずは誰が戦うか決める。


「まずタクト君とアーレイ君は決まりかな」


『うん』


これにはアーレイが驚く。


「全員即答!? 他にもいるだろう!」


「勇者なんだし、仕方ないでしょう? それとも自信ないの?」


「な…あるに決まっているだろうが!」


アーレイは挑発に弱いな。そしてこういうイベントはギルマスという立場は普通高みの見物をしている物じゃないのか?戦えと言われたら、やるけどさ。するとトリスタンさんが言う。


「私はシフォンを推薦するわ」


「えぇ!?」


『タクト君にいい所を見せるチャンスでしょ?』


「え…えーっと…やっていいかな?」


俺に聞かれてもな。


「いいんじゃないか? みんなはどう思う?」


『賛成』


ということでシフォンの参加が決まる。するとメルが言う。


「じゃあ、私もやろうかな」


「えぇ~」


「ごめんね、リサちゃん。ちょっとここは譲れないからね」


「…私、戦えないからずるい」


ミライは戦いたいのか?まぁ、これでメルの参加が決まった。最後の一人をチロルが提案する。


「これはリリーちゃんが参加する流れじゃないかな?」


『わかる』


それは出来るのか?聞いてみると良いらしい。ということでリリーがすることが決まった。


「最初は誰が行く?」


「はいはーい! リリーが行きたい!」


誰も反対意見が出なかったので、リリーが行くことが決まった。相手は普通の騎士だな。可哀想に…とんでもない目に合うぞ。流石に魔法剣を使うのは酷いから水晶竜の大剣を使わせた。


それを見た周りの騎士が関心げな様子だ。俺たちの装備を見ているみたいだな。どうやらこのクエストはただの力比べ意外にも利用できそうだ。


「では、始め!」


「きょえええええ!」


「いっくよ~! グランドスラッシュ!」


「ぐはぁ!?」


リリーのグランドスラッシュの衝撃波でエステルの騎士は決闘フィールドに激突する。しかしそれだけで水晶竜の大剣は終わらない。水晶投擲の追撃がエステルの騎士を襲う。


「あ…ぎゃあああああ!?」


無数の水晶に体中ズタズタにされて地面に落下した。そこでリリーの勝利が宣言された。


「やったー! 勝ったよ! タクト! 褒めて褒めて!」


「あぁ…よくやったな。リリー」


「えへへ~」


頭を撫でて目を細めるリリーだが、一方でやられた騎士は動かない。


「「「「…生きてる?」」」」


「…決闘では死なないはずだ」


それにしてもこれは弱すぎじゃないか?するとレッカからこういうイベントは最初は弱く、後から強くなっていくものと指摘された。そういえばサラ姫様たちとの訓練もこんな感じだったな。


次はアーレイ。シフォンとメルの決定には逆らえなかったアーレイである。相手はまたしてもエステルの騎士だ。


「はじめ!」


「おら!」


「くっ!?」


お!今度の騎士はアーレイの剣を止めた。それだけで大したものだ。しかし力の差だけはどうしようもない。


「へ! おぉらぁあああ!」


「く…そぉぉ!!」


「は!」


「あ!?」


完全に力負けして、押さえ込まれたところに剣を斬り返して、相手の剣を弾き飛ばした。これで二勝。


次はじゃんけんの結果、メルとなった。なぜ俺はジャンケンに参加させてもらえないんだろう?知らない内に最後と決まっているのは問題だと思うんだ。


メルの相手もエステルの騎士だったが、態度に問題があるみたい。これは情報には無かったな。


「女の騎士が相手とは舐められたものだ」


いるよね。女だから弱いとか思う人。そういう概念に囚われていて、相手の強さに気づかないようでは戦場では生き残れない。


俺がリアム国王に視線を向けると不敵に微笑んだ。これは確実に何か狙いがあるな。この騎士たちの様子から見て、なんとなく理解できた。恐らくこの騎士たちはさっきの戦いかそれ以前の戦いに一度勝っている。だからこんなにも強気でいられるんだ。


しかしリアム国王は自分たちの戦力では負けると考えている。だから俺たちという戦力は欲しい。しかしいきなり関わりがない俺たちが入ってきても騎士たちは納得しないだろう。だから俺たちの強さと自分たちの強さがどの程度のものか知ってもらうためにこの試合を組んだんだろう。


食えない国王様だ。いや、この場合は流石は魔王たちの支配から解放を望む国のリーダーといったところか。俺が思考をしている一方でメルは笑顔で挨拶する。


「よろしくお願いします」


このメルの様子にケーゴがビビる。


「…メルの奴、相当怒っているな」


「当然でしょ。女を弱いと決めつけている男は全員女の敵よ」


おー怖い。そしてその怖さをエステルの騎士は思い知ることになる。


「ヘビースラッシュ!」


「…」


メルはヘビースラッシュをあっさり躱して、剣を突きつける。本来ならこれで試合は終わりなんだけど、メルはわざと剣は引く。


「ほら。もっと攻撃して来ていいよ」


「く…舐めるな!」


しかしメルは相手の攻撃を完全に見切り、涼しげに躱し続けた。そして剣を闇雲に振るい過ぎた騎士は息切れ状態となる。


「はぁ…はぁ…ちょこまかと逃げるな! お前も騎士なら正々堂々勝負しろ!」


「いいんだね? じゃあ、行くよ!」


スタミナ切れ状態の騎士をメルはボコボコにした。容赦ねぇ…しかも完全に文句を言ってくるのを持っていた。


「ふぅ…スッキリした」


「…お姉様。目的を忘れてる。兄様、引いているよ?」


「あ」


しまったと思うメルだが、既に遅い。ギルドでのメルの評価が決定した。


「流石姉弟。容赦ないところはそっくりですね」


「そういえばメルさんって基本的にギルマスの意見を否定してないよね」


「今後はメルさんを怒らすことにも気を付けよう」


「ちょ!? 違うからね!? 私は怖い人じゃないから!」


ちょっと待て。その言い方だと俺まで怖い人認定をしてないか!?メル!自覚はしているが言われるとショック!するとミライが慰めてくれた。本当にミライはいい子だ。


「…二人共、まだまだ甘い」


「「く!」」


何故かメルとリサが悔しそうにしている。次はシフォンだ。相手はやはり結構強そうな騎士だが、強さではシフォンのほうが上だろう。するとミランダが聞いてくる。


「何か言ってあげないの?」


「シフォンなら何も言わなくても大丈夫だろう」


「へぇ。結構認めているのね」


「当たり前だろう? 戦争や決闘での戦闘は俺も見ているんだぞ?」


あれを見て、認めないはずがないだろう。


「ふーん」


「なんだよ。その顔は」


「別に~」


なんだが、むかつく。すると試合が始まった。


「はぁ!」


「やぁ!」


勝負はお互いに剣撃の応酬となった。しかし両手で持っている剣の攻撃をシフォンが片手で止めれている時点で確かな差がそこにはある。


二刀流のシフォンが手数で勝り、押していく。相手の騎士もうまく避けてはいるがシフォンの攻撃の速さの前に攻撃が出来なくなっている。そしてついに騎士を追い詰めた。


「ミーティアエッジ!」


シフォンがミーティアエッジを放つと相手の騎士は見切りで攻撃を躱す。


「もらった! グランドスラッシュ!」


しかしシフォンはその攻撃を見切りで躱し、双剣を突きつける。


「参った…見事な腕前だな」


「ありがとうございます」


完全に読み勝ちしたな。これには拍手だ。


「えへへ~」


「痛!? なんだよ。メル」


「私の時には拍手が無かったのはなんでかな~? タクト君」


「誰も拍手していない試合に一人だけ拍手しろと?」


メルにそっぽを向かれた。俺にどうしろって言うんだよ。


最後は俺だ。相手は最初に文句を言った騎士だな。さて、これが俺たちの強さをエステルの騎士たちに見せるための試合でもあるならここは俺たちの象徴とする武器であるグランアルヴリングで戦おう。


俺が取り出したグランアルヴリングにエステルの騎士たちはどよめく。


「あれはまさか…エルフの魔法剣!?」


「しかも宝石が七つもあるぞ!?」


「なんと美しくも偉大さを感じる剣だ」


俺は自慢をする。


「これは俺の召喚獣であるエルフと専属の鍛冶師による最高傑作の剣です。これでお相手願いましょうか?」


「ま、まて! これは反則だろう!?」


流石に相手も武器の性能の差を思い知ったようだ。


「では、そちらが使っている剣を貸してくれますか? これで条件は同じのはずです」


「ほう…面白い提案をするものだな。いいだろう。許可しよう。誰か武器を貸してやれ」


これでルインさんやへーパイストスやクロウさんたちも少しは商売しやすくなったはず。さて、次は剣の腕をアピールしますか。俺は相手の騎士と剣の打ち合いになる。


「はぁ! は! ふ!」


横薙ぎから上段からの斬り下ろし、その後突き。悪くない動きだが、隙が多過ぎるな。簡単に避けられるし、普通に格闘戦を混ぜたらボコボコに出来そう。恐らくそういう発想がないんだろうけどね。


「く…は! ふぅ~」


俺が躱した後に相手の騎士は距離を取り、息を整える。メルが戦った奴のように攻め一辺倒に来ないか。すると相手の騎士が挑発してくる。


「どうした? 攻撃して来ないのか? それでは勝てんぞ?」


「そうですね」


「「…」」


互いに構えたまま、動かない。暫くにらみ合いをしていると相手の我慢が切れ、攻めてくる。我慢比べ負けした上に剣を上段に構えて振りかぶってくる。やけくそは致命的だな。


「はぁああ!」


「よ!」


俺は上段から来る剣に自分の剣を合わせて、体を回転させると相手も回転し、剣を巻き上げて剣を弾き飛ばす。剣道にある巻技だ。


「な…」


「終わりですね」


剣を突きつけるが流石に知らない技に呆気にとられているな。


「うむ。試合はここまでとする!」


クエストクリアのインフォが来る。


『特殊クエスト『エステル騎士と決闘』をクリアしました。エステル兵士の好感度が上昇しました』


そしてリアム国王が騎士たちに告げる。


「これでこの者たちが強いことがわかったな?」


「は…はい。無礼なことを言ってしまい申し訳ない…」


ちゃんと謝れるなら根はいい騎士なのかも知れないな。


「お互いに打ち解けたところでこちらの現状と敵のことを話そう」


やっと本題だな。これでこのクエストの全容が説明されるはずだ。しっかり話を聞くとしよう。

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