#725 家族の絆の魔法剣とパンドラの鍛冶能力
三連休二日目の朝、今日も朝食を食べてからログインする。
「おじ様ー!」
まずい!パンドラの声だ!今回は入口で待っていなかったのか!俺は大切なところを手でガードし、タックルに備えると目の前でパンドラが止まった。どうやら力の制御が出来るようになってきたようだな。
「おじさん、お手手どうしたの?」
「これか? これは男の反射行動だ。気にしないでくれ」
「なんだかわからないけど、わかった!」
うん。それでいいと思う。
「それでどうかしたのか?」
「そうだった! 新しい武器が完成したよ! パンドラのとお父さんの!」
ん?へーパイストスだけじゃなくパンドラも?作るの早くないか?とにかく見に行くか。そう思ったのだが、パンドラに止められた。
「お父さん、疲れて寝ているからパンドラが持ってきてあげるね!」
く…へーパイストス。いい娘を持ったな。ここまでお父さんを心配している娘は中々いないと思う。ちょっと目頭が熱くなっているとパンドラが出来上がった武器を持ってきてくれた。ここで凄い違和感…リリー専用の大剣をパンドラは普通に持っている。大丈夫なんだろうか?
「これぐらい全然へっちゃらだよ!」
『…』
全員が固まる。パンドラのステータスは見られないのが怖くなってきた。少なくともリリー相当か超えている可能性が出てきた。
「リリーも持てるよ! タクト」
「何張り合っているんですか…それよりも名前はいいんですか?」
「そうだった! タクト、名前をつけて!」
これは名付けるのに苦労した。色々考えた末に決めた名前を伝える。
「レガメファミリアって名前はどうだ?」
『どういう意味?』
全員が首を傾げているよ。
「家族の絆って意味だよ。この魔法剣に俺たちのこれまでの絆とこれからの絆がずっと続いていく願いを込めてみた。俺の最初の召喚獣であるリリーにこの願いを託したいと思って名づけて見た」
「タクト…任せて! この魔法剣でタクトもみんなも守ってみせるよ!」
よし。名前が決まったな。すると鍛冶場から絶叫が聞こえてきた。
「ここに置いてあった魔法剣がないぃぃぃ~!?」
「あ! お父さんの声だ!」
起きたら自分が作った魔法剣が無くなれば驚くよな。ましてや俺ではとても持てない剣だから驚いて当然だ。
「パンドラ。へーパイストスを呼んできてくれるか?」
「はーい!」
鍛冶場の方から凄い音が聞こえた。朝のブレーキは偶然だったのだろうか?いや、きっとへーパイストスにはブレーキが存在していないんだろうな。子供は親には遠慮というものが存在しないらしいからね。
「あ…ふ…ここに…あったん…ですね」
へーパイストスは下半身を抑えて、千鳥足だ。どうやら致命傷を受けてしまったらしい。
「大丈夫か?」
「あはは! お父さん、おじ様とそっくりなんだよ!」
俺のはガードのためでへーパイストスはダメージを受けたことによるものだけどな。
「リリーさんが持っていったんですか?」
「いや、パンドラだよ」
「え!?」
「えっへん」
そりゃ、驚くよな。俺たちも驚いたから。俺は事情を説明するとへーパイストスはパンドラを褒めていた。いい親子だね。それじゃあ、中断したリリーの新しい魔法剣に名付けをしよう。
レガメファミリア:レア度10 魔法大剣 品質S+
重さ:200 耐久値:4000 攻撃力:2000
魔法剣効果:万物切断、英気、詠唱破棄、大物特攻(究)、英雄障壁、魔力解放
宝玉効果:先制、集束、荷重操作、衝撃波、透過、魔法再時間短縮(究)、宝玉解放、宝玉全解放
刻印効果:俊敏値アップ(究)、激突
アダマンタイトで作られ、アレキサンドライトの他にペリドット、ルビー、サファイア、エメラルド、シトリン、オニキスを使用した魔法大剣。その斬れ味は伝説の武器にも引けをとらず、圧倒的な魔力は伝説の武器を遥かに凌ぐ程の性能を有している。自作する魔法剣の中でもトップクラスの魔法大剣。
殆どグランアルヴリングと似ている性能だが、違いは大剣だから当然基本的な能力が高い。そして注目は刻印効果の激突。これでリリー最大の弱点である攻撃を躱される可能性を封殺している。恐ろしい武器をまた作ったな。
「タクトとお揃いの剣だ~!」
「全然違う…って聞こえてませんね」
「呆れていますけど、イオンお姉様もこんな感じですよ?」
「嘘!? え…ちがいますよね? タクトさん?」
残念ながら本当です。全員が頷いているから反論の余地はない。それからパンドラが作った新たなルナティックミスリルソードを見ると本当に出来ていた。しかも二本も…俺はへーパイストスを見る。すると通信を要求してきた。
『どうなっているんだ?』
『僕も驚きましたが、パンドラは同じ物の作製がどんどん早くなっています。恐らくルナティックミスリルソードならもう半日かかりません。正直鍛冶師として完全敗北しています…』
鍛冶の神様が敗北を認めてしまっただと!?お父さん、負けるの早すぎだよ!もっと頑張ろうぜ!まだ刀とかはパンドラは作れないから勝っているはずだよ!するとユウェルと視線が合う。
「ふ…」
ここにも敗北を味わっている子がいた。弟子だと思っていたのに一瞬で抜かれたら、そうなるだろうな。でもユウェルも鎧や他の武器も作っているからまだ負けていないと思う。
さて、こうなると依頼が困るな。ちょっと依頼を整理しよう。
「へーパイストスは千影の錫杖を頼む」
「はい!」
「セチアにはケツァルコアトルの杖を頼みたい」
「そのことなんですが、ケツァルコアトル様の話ではあまり相性がいい木がないんです。強いて言えば生命の木なんですけど、正直オススメはしません」
セチアがそう言うなら仕方ない。ケツァルコアトルの杖は持ち越しにするか。するとセチアから提案される。
「タクト様、金属を使った魔法杖に興味はありませんか?」
「え? そりゃあ、ないわけじゃないがいい宝石がないぞ?」
「リアンの物ならいいのがありますよ」
セチアが取り出したのはブリザードドラゴンのところで手に入ったタンザナイトだった。忘れてた。
「イオンお姉様がずっとこれを使った魔法剣を待っていますが今回はリアンの魔法杖として使用するのはどうかと」
「セチア!?」
「…なんかごめんな」
「違いますよ!? タクトさん! 別に待っているわけでは!」
セチアから暴露されたんだ。これは事実だろう。
「タンザナイトは一個だったよな?」
「はい。どうしますか?」
タンザナイトはブラックダイヤモンドと同じで捧げることが出来なかったんだ。
「和狐、着物の調子はどうだ?」
「もうすぐリリーはんの着物が完成します。素材の量からして、イオンはんの着物までは作れると思います」
「そっか。素材についてはルインさんたちから買うから安心して続けてくれ。イオン、今回はリアンの魔法杖を優先していいか? 新しい魔法剣は約束するからさ」
「別に約束してくれなくても譲りますよ。ブルーダイヤモンドを貰っちゃいましたから」
このイオンの様子から大丈夫そうだな。ただ次のタンザナイトが手に入った時はイオンの魔法剣を作ることを覚えておこう。
「それではユウェル、一緒に作ってくれますか?」
「っ! 任せろ!」
嬉しそうだな。へーパイストスでも作ったことがないものがないもののチャレンジだし、初めての宝玉を使った装備作製だ。気合い十分で何よりだ。
「パンドラは何を作ればいいの?」
「そうだなぁ」
「タクトさん、パンドラに鉄扇をお願いしていいですか? あの場にはパンドラもいましたし、一緒に本を読んでいたので、行けると思います」
「行けると思います」
へーパイストスの真似をするパンドラを見ると最初の頃のリリーを思い出すな。
「それじゃあ、パンドラには和狐と千影の鉄扇をお願いしようかな?」
「任せて! おじ様!」
『しっかり見ていますから安心してください』
お父さんのフォローがあるなら大丈夫だな。これで方針が決まったから俺はギルドに向かい、サバ缶さんからジュラルミンの素材を貰い、ルインさんから天の衣を買う。しっかり俺たちの分の天の衣を確保してくれてたらしい。お世話になります。
そこでサバ缶さんからカリオストロの話を聞く。
「何人かに話を聞いたら、剣より杖の意見が多かったですね」
「え? なんでですか? 錬金術師と杖って関係ありましたっけ?」
「あるにはあるみたいですが…それよりも話す杖は魔法少女物の鉄板だとかなんとか」
え?魔法のステッキって話すのが普通なの?俺の中で魔法少女は使い魔とかがいて、話すイメージだ。考えが古いのかな?未希が見ていたのを少し見たぐらいだからな。
「それって欲しがっている人がいるってことですか? 素材さえ貰えたなら作製しますけど」
「わかりました。みんなに聞いてみますね」
その後、ジュラルミンを合金錬成装置で作製するためにカリオストロの研究所に向かう。大量のジュラルミンを作り、ノアのところに持っていく。
「まだ足りないが一応これだけは生産出来るようになったから渡しておくな」
「おぉ! これだよ! これ! 空を飛ぶためにはこれがないとね! それじゃあ、ボクも少しずつ作っていくとするよ。ふんふ~ん」
金属なんだが、大丈夫なんだろうか?まぁ、大丈夫なんだろう。さて、次は謎の鍵についてだ。知っていそうなのはニュートンさんとアインシュタインさん。今回ニュートンさんは避けよう。これが錬金術師にとって、重要なアイテムならニュートンさんに見せるのは最後の手段とするべきだと思った。
ということでアインシュタインさんに会いに行った。
「タクトです。お邪魔いたします」
「むぐ?」
アインシュタインさんがラーメンを食べていた。しかも研究所内がラーメンの皿で一杯というカオスな状況だ。アインシュタインが現代に生きていたらカップラーメンばかり食べて研究していたんだろうか?そんなことはないと信じたいな~。
「ずずず~…んん! 久しぶりじゃの! タクト」
食べてから聞いてくるんだね。まぁ、いいや。
「お久しぶりです。楽しんで貰っているようで何よりです」
「いや~。お主のギルドの支店には助かっておるぞ。研究者たちもみんな顔色がいいわい」
その後は肥満に苦しむことになると思うんだが、ゲームだから問題ないんだろう。
「それで今日はどんな物を見つけたんじゃ? お主のことだからまたとんでもない物を見つけたんじゃろ?」
「それがわからないから聞きに来たんですよ。これなんですが」
「む? 何かの鍵か? ぶ!?」
汚!?鼻からラーメン出しやがった!?嘘だろう…付いたんじゃん。帰ったら、和狐に洗ってもらわないと。
「ごほ!? ごほ!? す、すまん…」
アインシュタインさんが一度退室する。帰ってくると様子が変だ。
「いや。わしはこんな鍵、見覚えないの~」
「ラーメン、鼻から出したのにですか?」
「むぐ…そ、そうじゃ」
苦しすぎるだろう。
「と、ところでこの鍵はどこで見つけたのじゃ?」
「鼻から飛び出て来ました」
「ラーメンと一緒にするでない!」
だって、話す気ないならこちらもそれなりの対処しないと情報手に入らないじゃん。
「はぁ…わかった。お主がこの鍵を得たということは話しても問題ないじゃろう。この鍵は錬金術の始祖であるトリスメギストスの研究所の鍵じゃ」
とんでもない人の名前が出てきたよ。トリスメギストスは本名はヘルメス・トリスメギストスといい、ギリシャ神話のトリックスターとして知られているヘルメスなどの神の威光を継ぐ人物として登場する。
説明の通り錬金術の祖として知られており、有名な賢者の石を手にした唯一の人物と言われている。そんなとんでもない人の研究所の鍵だったとは予想外すぎる。
「今度はそっちの番じゃ」
「わかってます。この鍵はカリオストロという錬金術師の研究所で見つけました」
「カリオストロ? 知らん名前じゃな…ニュートンなら知っておるかも知れんか。ちょっとすまんの」
知られていないんだ。可哀想に…アインシュタインの帰ってくる。
「ダメじゃ。完全にデータがない…これでは見つけられないはずじゃ。トリスメギストスも意地が悪いの」
「この鍵が第三ということは第一、第二の鍵があると思うんですが」
「存在は確かにしている。一応その場所も分かっておるんじゃが、それはこの国最大の極秘事項じゃ。知らんほうがいい」
「どうせ錬金術ギルドの地下とか城の地下にある研究所にあるとかでしょう?」
アインシュタインさんが固まる。考えることは大体同じだよね。
「それじゃあ、この鍵は大切に保管しておきますね」
「いや、この鍵をニュートンたちに売れば城ぐらい簡単に立てれる金が手に入るんじゃが? 恐らくエクスマキナの船も手に入るぞ」
「もうマザーシップとバトルシップがあるので入りません。それでは失礼します」
いい情報を貰ってしまった。この国最大の夢はエリクサーと賢者の石だ。第一、第二でそれぞれ手に入るとするなら第三だけ余ることになる。なら第三は何か?俺の予想が正しいなら神ヘルメスと関わりがあるものが来ると思う。
ヘルメスが色々な物を持っていて、有名なのが二匹の蛇が巻き付き、ヘルメースの翼が飾られる杖ケーリュケイオン。空を飛ぶことができる翼の生えた黄金のサンダルとして知られているタラリアなどがある。セフォネが持っているハルペーもヘルメスの武器の一つ。
これらが手に入る可能性がある。この中でも最も可能性が高いのがファンタジーの中で最強の杖として不動の人気を誇っているケーリュケイオンだと思う。一応この杖は睡眠と生死を操る杖として知られている。もしこのゲームで即死と蘇生を自在に操れたら、ぶっ壊れだろう。
どんな能力が来るかわからないし、この杖が来ない可能性もあるが取引材料として持っておいて損はしないだろう。時間を確認すると微妙な時間だ。島で生産をして、ログアウトするとしよう。
名前 セチア ホーリーエルフLv21
生命力 182
魔力 400
筋力 170
防御力 113
俊敏性 154
器用値 336
スキル
杖Lv25 魔法弓Lv44 鷹の目Lv35 射撃Lv35 木工Lv32
採取Lv39 調薬Lv20 刻印Lv16→Lv17 宝石魔術Lv12 宝石細工Lv12→Lv14
封印魔術Lv10 ルーン魔術Lv10 連続詠唱Lv24 同時詠唱Lv24 魔力操作Lv13
風魔法Lv22 炎魔法Lv1 海魔法Lv1 土魔法Lv23 闇魔法Lv15
神聖魔法Lv11 雷魔法Lv24 爆魔法Lv24 木魔法Lv27 氷魔法Lv20
樹魔法Lv28 罠設置Lv5 魔法阻害Lv2 阻害無効Lv1 森林操作Lv12
自然波動Lv2 ホーリーエルフの知識Lv32 精霊召喚Lv11 精霊結界Lv14
精霊魔法Lv3 列石結界Lv8 使役Lv16 料理Lv26




