#716 樹森の遺跡群の攻略法
夜、俺は樹森の遺跡群で遺跡調査をする。まずは宝玉を納める石板がある一番大きな遺跡に向かう。メンバーは恋火、イクス、ノワ、リビナ、ファリーダにした。
「わわ!?」
恋火が躓き、体で受け止める。
「おっと。足元が不安定だから気をつけるようにな」
「すーはー…はい!」
「今、タクトのローブの匂いを堪能したね? 恋火」
「そそ、そんなことしてません! 深呼吸をしただけです!」
物はいいようだ。すると今度は俺が躓く。
「さっき自分で言ったのに、何やって」
ファリーダが躓き、こっちに倒れて来ると思ったら、イクスとリビナが阻止した。
「甘いです」
「残念だったけど、そういうお約束はボクには通用しないよ~。ファリーダ」
「わざとじゃないわよ!」
やれやれだ。
「…遊びはそこまで。来る」
ノワの警告に俺たちが戦闘体勢になると森から巨大な蛇が飛びしてきた。
ナーガ?
? ? ?
ナーガはインド神話の蛇神だ。このゲームではバジリスクの進化先でもある。最大の特徴はこの蛇はラミアタイプで武器を装備することが出来るという点。但し上半身が人というわけではなく、あくまで蛇に手があり、武器を装備している。
『シャー!』
ナーガの頭から小さな六匹の蛇が俺たちに向かって来る。
「よ! 危ないな~もう」
リビナが雷龍の鞭でそれらを弾く。このゲームのナーガは神様としての強さはそこまではない。しかしバジリスクからの石化能力と神魔毒、更に先ほど見せた六匹の蛇を使った攻撃と武器の槍で苦手な距離がないオールラウンダーな蛇だ。
「行きます!」
『シャー!』
恋火が飛び出すと六匹の蛇が殺到する。それを恋火は斬り裂くと陽火と恋煌の効果でナーガは燃え上がる。それでも怯まず、石化ブレスを使って来る。
「わわ!? 危なかったです…」
「そこです」
石化ブレスで見えなくなっていたナーガをイクスはエネルギースナイパーライフルで目を撃ち抜く。目を撃ち抜かれたナーガは激高するが既に桃色の煙に包まれている。
「淫夢結界」
『シャ!? シャ~』
落ちたな。ファリーダが力を溜める。
「これで吹っ飛びなさい!」
「…ドラゴンブレス」
ファリーダの渾身の一撃を使った衝撃波で遺跡にぶつかるナーガに更にノワが追撃するとナーガは地面に潜り、ドラゴンブレスを躱した。ナーガが厄介なところはこれだ。この間に高速再生で生命力を回復させてしまうから対策がないと中々倒せない。ま、俺は対策があるから大丈夫だ。
「地面から出すぞ」
『『『『アースクェイク』』』』
地震が発生し、ナーガが飛び出した先はリビナの前だった。
「もしかしてボクを狙っていたのかな? 残念だったね。堕ちて」
『シャ!?』
リビナがナーガに優しく触れるとナーガは堕落する。
「…ノワもやる。竜技ドラゴンアブソリュート」
「もしかしてさっきドラゴンブレスを躱されたこと、根に持っている?」
「…リビナが何を言っているのか分からない」
「へぇ。ノワにもそういうところがあるのね」
俺も意外だ。まぁ、仕留めにいった攻撃を躱されたら、ムッと来る気持ちはわかる。
「…止めは恋火に任せる」
「わ、わかりました!」
「あれれ? いいのかな? ノワ」
「…ノワがお願いした。にぃ、リビナをお仕置きして」
「え! ボク、お仕置きされちゃうの?」
体をくねらせるな!ナーガ相手にみんな余裕だな。まぁ、手の内を知っているからこそなんだけどさ。
「あまりノワをおちょくらないでやれよ。恋火」
「はい! 決めます!」
倒れ伏しているナーガを恋火が斬り裂き、燃えながらナーガは倒れた。それじゃあ、解体しよう。
ナーガの瞳:レア度8 素材 品質B+
強力な石化の力を宿している瞳。主に盾や杖の素材として使用される。木と相性がいいため、素材は金属より、木製が主流。砂漠や森での王たちは王杖にして、自らの権力を誇示したとされている。
お!瞳が出たか!メルたちの話では瞳がレアで基本は鱗と牙、激レアでナーガが使っていた槍が手に入るそうだ。メルたちは沢山ナーガを倒しているから、素材をルインさんに売りまくっているらしい。
さて、捜索を続行する。一番大きな遺跡の屋上には確かにアイテムを納める石板があった。これにアイテムを納めるとハヌマーンが現れるんだよな。
俺たちは周囲を調べる。
「メルたちの言う通り、何かある訳じゃないんだな…」
「気になるのは水路でしょうか? マスター」
イクスの言う通り、気になるのがこの遺跡の屋上から下の遺跡に向けて水路が続いている。当然メルたちも怪しいと思って、水を流したらしいのだが普通に流れただけだったらしい。一応俺たちもバケツの水を流してみる。
「…普通だな」
「はい。違和感がありませんでした」
全部の水路に流れたからヒント要素無し。次に遺跡の中を確認するが何もない。近くの遺跡の中も調べるが全く違和感がなかった。一番大きな遺跡の屋上で大の字になる。
「ダメだ~! 全くわからん!」
「タクトお兄ちゃんにもわからないことがあるんですね」
「タクトの考えが外れることもね。諦めて遺跡攻略をしたら?」
「いや、絶対何かあるはずなんだ」
運営がノーヒントでこんな非効率的なことをさせるはずがない。
「無かったわよ?」
「そうなんだよなぁ~」
だが、何かが引っ掛かっている感じはする。それがわからないからもやもやするんだよな。
「だぁ~! なんだ! 何が引っ掛かっているんだ! この感じ!」
「…にぃが壊れた」
「新鮮だね~こんなタクト。ちょっと可愛いかも」
「わかります!」
わからんでいい!するとメルたちが来た。
「何かわかった?」
「わかっていたら、こんな風になってない」
「だよねー。今回はタクト君の予想も外れかな」
「いや、絶対何かある」
これだけは間違いない!
「頑固だね」
「…意外」
「そう? 兄ちゃんは結構頑固な所あるよ?」
頑固で悪かったな。
「もう一度遺跡を見てまわってくる」
「火影さんたちやトリスタンさんの看破スキルや罠察知スキルでも反応が無かったら、無駄だと思うけど…気を付けてね」
絶対無駄じゃないね!何がなんでも見つけてやる!
「私たちが護衛するから大丈夫よ」
「はい! 任せてください!」
俺たちが下に降りているとノワが言う。
「…にぃの気持ち、少しわかった気がする」
「ん? 何か気づいたのか? ノワ?」
「…分からない。でも、いつもと何かが違う感じがする。むずむずする」
なぜむずむずなのか分からないがノワのこの様子は嘘とは思えない。ノワがそう感じるなら原因は影だろう。しかし下に降りて影を見ても異常はない。
一応火影さんとトリスタンさんに看破と罠察知の報告を聞いてみる。
『違和感でござるか? 特に無かったと思うでござるよ』
『私もよ。ただいつもよりスキルの反応が遅かった気がするわね』
『おぉ! 言われてみれば時間がかかっていた気がするでござるよ』
『ありがとうございます!』
これで確信した。いつもと違うことが起きているということはやはり何かトリックがある。
「よし」
俺は匍匐前進で調べる行動に出た。
「絶対何か見つけてやる」
『そこまでする…』
全員から呆れられる。なんとでも言え!恥を捨ててこそ見える世界がきっとあるんだ!しかし見付からない…くそ。
「マスター! ナーガが来ます!」
またかよ…本当に沢山出るんだな。俺は起き上がり、戦闘するため、一歩踏み出すと右にバランスを崩す。踏んだり蹴ったりだ。
「ん?」
俺は下を見る。おかしい…俺はさっき左に傾いている石床でバランスを崩した。石床が左に傾いているなら左にバランスを崩すはずだ。もう一度石床を踏むと石床が左なのに、足は右に傾き、石床に足が僅かにすり抜けていた。これは幻術!
「見つけた~!」
『ッ!?』
「シャ!?」
俺の歓喜に声にみんな以外にナーガまで驚く。
「これだ! これ! 勝った! 俺は勝利したぞ~!」
「タクト? 大丈夫? ボクが看病してあげようか?」
「…にぃが完全に壊れた」
「気持ちはわかりましたから戦闘に集中してください。マスター」
おっと。そうだった。
「驚かして悪かったな。今は気分がいいから本気で相手をしてやるよ! 来い! ブリューナク!」
手にブリューナクが現れる。太陽の輝きの前にナーガは目を瞑ってしまう。
「シャ!?」
「これで死んどけ!」
ナーガは咄嗟の判断で地中に逃げ出すが投擲したブリューナクから逃げられない。ブリューナクは地面を突き進み、ナーガを貫いて倒した。それじゃあ、解体しよう。
ナーガの鱗:レア度8 素材 品質B
強い地属性の鱗。岩に擦れても傷つかないほど、丈夫な鱗で非常に長持ちすることで知られている。また雷属性に非常に強く、長持ちしすぎることで一時期蛇革が全く売れなくなった歴史があるいわくつきの素材。
経済というのは消費があってこそ、回るものだから長持ちしすぎるのは問題なんだよね。最も新しい商品が出てきたら買い換えるのが人なんだけど。
「よし! もう満足だ! 帰るぞ!」
『帰るな~!』
俺の声で駆けつけたメルたちから怒られたので説明する。
「本当だ…だからバランスを崩すことや躓くことが多かったんだ…」
「気づこうぜ」
メルたちには睨まれ、男プレイヤーにはボコボコにされた。調子に乗ってすみません。
「でも、これってどういうこと? どうして看破や罠察知が反応しなかったの?」
「さぁ? スキルの反応が遅れていたらしいから何か仕掛けがあるんだろうな」
「そうだね。多分看破スキルとかに対する妨害系のスキルが怪しいかな?」
「それだと妨害音が聞こえるし、映像にも妨害の痕跡が発生するはずよ。でも今の問題はそこじゃないわ」
そうだな。今の問題は幻術の規模だ。
「石床で躓くところはかなり広範囲ですよ。恐らくこのフィールド全域です」
見回りを担当していた人がそういうなら全域規模の幻術なんだろう。そうなると俺たちが目で見ている全てが疑わしくなる。それは水路に流れる水だったり、遺跡の景色まで怪しくなるということだ。
「どうしようか?」
「…姉様。これが幻術なら破る方法がある」
「あ! そうだよ! キルケーから貰った魔導書があるじゃん! あれなら幻術も解けるんじゃない?」
ということで魔術殺しの魔導書を使ってみると景色が歪み、遺跡群は元の景色になる。
これがこの遺跡の真の姿か…遺跡の建物には血のようなシミが付いており、似ても似つかない不気味な遺跡になった。
「水流すね」
メルが水を流すと幻術で見えなかった水路に水が流れていく。間違いなくあの先に宝玉があるだろう。
「場所を調べて! 私たちは手分けして遺跡を調べよう」
俺たちは遺跡を調べると幻術の犯人が判明した。シフォンが見つけた壁に書かれていた文章にはこう書かれていた。
『背に混を背負いし、魔王。この地に封じる』
更にルークが見つけた文章には伝説が書かれていた。
『猿人の子を浚いし魔王は幻術の使い手。手に持つ筆にて敵を惑わす』
これだけヒントがあれば流石にわかる。
「西遊記で出てくる混世魔王だろうね」
「孫悟空の最初の敵と言われている奴ね」
「それってめちゃくちゃ弱い魔王じゃなかったか?」
「だね…ただ幻術対策は必須みたいだ。さて、タクト」
レッカに言われるまでもない。
「この魔導書を貸せばいいんだろう? わかってるって」
するとアイテムがある遺跡とボスがいる遺跡が発見された。わざわざ『混』と書かれていた遺跡があったらしいから間違いないだろう。更にその入り口の扉にアイテムを嵌め込む所があったらしい。
「完全にハヌマーンは罠だったわけだね…」
「なんかムカつくな~」
「随分時間を無駄にしちゃったし、たっぷりお灸を据えないとね」
ボス討伐の順番を決める。今回はメルたちに譲ることにした。まぁ、召喚師のために頑張ってくれているんだ。これぐらいは当然だろう。次はルークたちで最後は俺という順番だ。
順番を譲った変わりに挑戦するためのアイテム集めはしてくれるそうだ。俺はすっきりした気分でログアウトした。
名前 タクト 寵愛の召喚師Lv23
生命力 144
魔力 364
筋力 212
防御力 70
俊敏性 150
器用値 226
スキル
格闘Lv39 蹴り技Lv38 杖Lv43 片手剣Lv50 槍Lv35
刀Lv43 二刀流Lv10 投擲操作Lv18→Lv19 詠唱破棄Lv36 魔力操作Lv18
魔力切断Lv26 危険察知Lv20 超感覚Lv19 召喚魔術Lv41 封印魔術Lv40
ルーン魔術Lv33 阻害無効Lv9 騎手Lv43 錬金Lv27 採掘36
伐採Lv39 解体Lv52 鑑定Lv47 識別Lv49 疾魔法Lv15
炎魔法Lv11 地魔法Lv15 海魔法Lv12 暗黒魔法Lv12 神聖魔法Lv23
雷魔法Lv47 爆魔法Lv53 木魔法Lv36 氷魔法Lv37 時空魔法Lv54
獣魔魔法Lv9 遅延魔法Lv17 連続詠唱Lv40 水中行動Lv30 空脚Lv5
読書Lv20 料理Lv47 釣りLv23 シンクロLv32 エンゲージLv14
連携Lv28
名前 リビナ リリムLv19
生命力 154
魔力 314
筋力 158
防御力 114
俊敏性 213
器用値 210
スキル
鞭Lv20→Lv21 吸血爪Lv15 魔拳Lv10 飛翔Lv32 隠密Lv14
暗視Lv29 堕落Lv36→Lv37 精神誘導Lv15 罠設置Lv5 魅了吸収Lv37→Lv38
魔力操作Lv7 魔法阻害Lv3 連撃Lv18 闇魔法Lv17 雷魔法Lv18
爆魔法Lv20 時空魔法Lv16 影潜伏Lv6 金縛Lv10 集束Lv6
障壁Lv14 夢幻Lv12 暗黒弾Lv23 夢幻泡影Lv5 黒霧Lv3
超再生Lv3 魔素解放Lv8 暗黒波動Lv12 淫夢結界Lv27→Lv28 魔王化Lv5
夢魔の加護Lv9
名前 ファリーダ 魔将Lv20
生命力 122
魔力 190
筋力 280
防御力 100
俊敏性 152
器用値 152
スキル
斧Lv28 魔拳Lv29 舞踊Lv10 投擲操作Lv12 縮地Lv23
荷重操作Lv22 邪気Lv35 暗黒魔法Lv10 時空魔法Lv23 集中Lv34
誘惑Lv15 物理破壊Lv33 防御無効Lv4 戦闘高揚Lv5 魔力妨害Lv26
引力操作Lv12 重力操作Lv2 暗黒弾Lv23 暗黒波動Lv15 衝撃波Lv15→Lv16
連撃Lv13 乱刃Lv12 諸刃の一撃Lv2→Lv3 魔将技Lv7 魔素解放Lv19
魔王化Lv5




