#715 緋緋色金の鍛冶方法と扇屋
翌日、学校が終わり家に帰宅し、ゲームにログインする。
今日のお昼は昨日行けなかった安綱さんに手に入れた緋緋色金について聞くとしよう。ヘーパイストスに声をかけると当然のようにパンドラが付いてくると言い出す。良いのかな?
ヘーパイストスは必死に留守番をお願いするがパンドラが言うことを聞くことなく、ヘーパイストスは敗北した。娘のお願いの前にお父さんは無力である。
俺は恋火とユウェルに声をかけて、桜花に向かった。俺たちが安綱さんのところに向かうと宗次郎と春ちゃんにばったり遭遇した。
「あ、タクトさん! お久しぶりです!」
「久しぶりだな。ユウェル、パンドラ挨拶してくれ」
「ユウェルだ! タクの土のドラゴニュートだぞ!」
「パンドラだよ! お父さんの娘なんだよ!」
「「え…」」
パンドラの爆弾発言に二人は固まる。ヘーパイストスは明らかに少年だ。それがお父さんで娘持ちなのは大問題だろう。
「パンドラ!? え、えーっと…これには深いわけが」
「「深いわけ!?」」
二人の顔が真っ赤になる。初だね~。
「ち、違います! えーっと…タクトさん! 笑ってないで助けて下さい!」
俺に助けを求めるとはお父さん失格だぞ…ヘーパイストス。俺は二人にパンドラの話をする。
しかし流石に作ったことは言えず、パンドラは記憶喪失でうちで預かることになったということにした。そしてヘーパイストスのことをお父さんと呼んでいると説明する。
「なるほど…そういうことならあまり触れない方がいいですね」
「そうしてくれると助かる」
なんとか納得してもらえた。俺は恋火、ユウェル、ヘーパイストスにパンドラの話を合わせるように伝える。
「挨拶の途中にすみません。僕は宗次郎。タクトさんの戦友です」
「私は春と申します。え~っと…宗次郎さんのお友達です」
手をずっと繋いでいるのに友達宣言。まぁ、人前で恋人とか言うのは恥ずかしいんだろうな。しかしこの発言にショックな顔をしている宗次郎である。
「な、なんですか? タクトさん」
「頑張れよ」
宗次郎には幸せになってもらいたい。するとお店から安綱さんが出てきた。
「人の店の前で何話してやがる! ん? ヘーパイストスと青生生魂を持ってきたとんでも坊主じゃねーか! どうしたんだ?」
俺の認識はそうなっていたのか。
「お久しぶりです。安綱さん。実は緋緋色金が手に入りまして」
時間が止まった。
「「はぁ!?」」
まぁ、驚くか。俺はお店に入れてもらい、緋緋色金を出す。
「…本物だな。ったく青生生魂の次に持っていくのが緋緋色金とは…お前さん、どうなっているんだ?」
本当にどうなっているんだろうね?でもきっとこの後、もっと驚くことになるんだろうな。大量の緋緋色金の注文が桜花で発生するだろうからね。すると宗次郎が目を輝かせて言う。
「初めて見ました。これが緋緋色金」
別に宗次郎見るのはいいんだが…春ちゃんは悲しそうな顔をしているのはいいのか?
「…これからデートじゃなかったのか?」
「へ? あ」
「…私のことは気にしないでいいよ。宗ちゃん」
女の子に言わせたらいけない一言だよな。これ。見ているこっちが辛くなる。
「…ごめん。春ちゃん。緋緋色金なんて一生見れるかどうか」
「緋緋色金を優先するな! 見たいなら見せてやるからお前はさっさとデートしてこい!」
強制的に外に放り出す。
「いいとこあるじゃねーか」
「こっちが辛くなっただけですよ。それで緋緋色金を使った刀は作れますか?」
「現状では残念ながら作れねーな。緋緋色金で刀を作るためには神火石って石がいる。他にも専用のハンマーがいるがそれは俺が持っているから問題はない」
流石に童子切安綱を作った人だな。一応ハンマーを見せて貰った。
天津麻羅のハンマー:レア度10 専用装備 品質S+
緋緋色金を鍛治するために必要なハンマー。鍛冶の神の力が宿っており、一流の鍛治師にしか使うことができない。攻撃には使用できない鍛冶専用のハンマー。
たぶんクエストで手に入るんだろう。俺の場合は受けれないからクロウさんたちには頑張って貰いたい。
「後、緋緋色金は神の力を宿してこそ真の力を発揮する金属だ。そのためには神石という神が力が宿っている石と魂鏡鉄が必要になる。理屈はお前さんが持ってきた竜石と同じだ」
つまり竜ではなく神様バーションを作れるわけだ。とんでもない刀が出来上がるぞ。これは。
「…それはどうすれば手に入りますか?」
「そいつは知らねーな。俺は鍛治師だからよ」
ごもっとも。話からすると桜花の神様に出会う必要があるみたいだ。しかし俺が桜花で出会っている神様はダイタラボッチと荒神、猪神ぐらいか?
帝釈天は月で出会ったからノーカンかな?でも桜花に社があるとか言ってたからどこかにあるそれを見つければひょっとしたら、いけるかも。
まぁ、たぶん日本の神様探しをしないと行けないんだろう。帝釈天の報酬が神石じゃなかったからな。
「ところでヘーパイストスにべったりのその娘は誰だ?」
「パンドラだよ! お父さんの娘なんだよ!」
「パ、パンドラ!?」
再び驚くへーパイストスだが、安綱さんは大笑いする。
「ははは! そうか! 娘か! そいつぁ、めでたいな! 嬢ちゃん、鍛治は好きか?」
「好きだよ!」
「そうかい…ヘーパイストスから色々学ぶことが多いだろう。大変だろうが、頑張れよ」
「うん!」
意外だ。まさかこんなことを言うとは思ってなかった。すると安綱さんが話す。
「桜花には腕利きの刀鍛治が多くいるがそのほとんどが跡取り問題を抱えている。弟子を取っても上手くいかないことがほとんどだ。自分の娘に鍛治を継いで貰うことは幸せなことなんだよ。大切にしろよ? ヘーパイストス」
「はい! 師匠!」
パンドラを連れてきたことは正解だったみたいだ。俺は緋緋色金を持って、お店を出ると宗次郎と春ちゃんがいた。まさかデートせずにずっといたのか?
「タクトさん! 緋緋色金の刀は!」
「まだ素材も揃ってないから依頼すらしてねーよ! お前は早く春ちゃんとデートに行け!」
全く…困った奴だ。すると恋火に服を引っ張られる。
「あの~…タクトお兄ちゃん」
「わたしたちとはしないのか? タク」
むぐ…宗次郎に言った手前、断れないな。
「久々に桜花の都を見て回るか。桜花のお菓子なら好きだろう?」
「はい!」
「知らないけど、好きだぞ!」
知らないのに好きというのはどういうことか分からないが、恋火とユウェルが喜ぶなら行くしかないな。それを聞いていたパンドラは寂しそうな顔でへーパイストスを見る。
「お父さん…」
「う…分かりました。一緒に町を見て回りましょうか」
「やった~!」
俺は店を見て歩きながら、三人に武器の依頼する。
「リリーさんの魔法剣ならボクが担当します。ユウェルさんにはミスリルの合金武器をお願い出来ますか?」
「任せろ! 最初は矢で次は剣でいいんだな? タク!」
「あぁ。パンドラはまずは二人から鍛冶の事を学んでくれ」
「わかった! おじ様」
その後、食べ歩きをしていると扇の専門店を発見した。俺たちが来た時には閉まっていたお店だ。気になったので、入ってみる。
「いらっしゃい! 暑い日に扇子がおすすめだよ!」
「わぁ! 綺麗な扇子です!」
「嬉しいこと言ってくれるね~。お嬢ちゃん。お兄さん、どうするね?」
ここですぐに俺に聞いてくるか…この人、出来る。
「じゃあ、お土産に一つください。三人とも好きなもの選んでいいぞ」
恋火だけでは不公平だからな。ついでにみんなの分も買おう。拗ねられるに決まっているからな。
「こりゃあ、太っ腹なお兄ちゃんだ! いい人を掴またもんだね。狐のお嬢ちゃん」
「え、えーっと…はい」
そう言われて顔をほんのり赤くする恋火だ。あまり恋火をおちょくらないでくれよ。するとへーパイストスに呼ばれる。
「タクトさん! ちょっと来てください!」
俺が見に行くとそこには扇の本が置かれていた。これって、まさか扇の作り方が載っている本か?
「すみません。これは売り物ですか?」
「そうだよ。うちは桜花でも老舗でね。俺は最近跡を継いだんだが、あまり商売が良くないからちょっとでも足しになるように秘伝の製作法を売りに出すことにしたのさ」
「この中には鉄扇とかありますか?」
「もちろんあるさ。鉄扇、軍扇、白扇。扇の事ならなんでも載っているよ」
マジか!買うしかないじゃん。お礼に俺は軍扇を買った。
軍扇:レア度5 扇 品質C+
重さ:5 耐久値:5
効果:一日一回、全員のデバフか天候を一つ解除する
武将などが使用する扇。厄から部隊を守るために使用される呪術的要素が強い扇。一般的に普通の日の昼間は太陽が書かれている方を開き、夜は三日月が書かれている方を開く。扇子の効果を発動したい時にはその逆で効果が発動する。
これで俺も将軍だ!
「あの…タクトさん? ローブ着てるのに、どうやって使うんですか?」
へーパイストスに的確なツッコミを受けた。
「…和狐に着物を作ってもらうからいいんだよ!」
「タクトお兄ちゃんって、勢いで買い物する癖ありますよね」
「無駄遣いはダメなんだぞ。タク」
ほほう…君たちの食費でいくら掛かっていると思っているのかな?ルインさんたちがフォローしてくれているから余裕が出来ているが、ソロだったらとっくの昔に財政破綻していることわかってて言っているか?ユウェル。
「ははは! まぁ、いいじゃねえか! 俺たち、商売人はお兄さんのような人は大歓迎だ! また買いに来てくんな」
「はい。それじゃあ、無駄使いはやめて、見るだけで店を回るか。当然お菓子とかも無しだ」
「タクトお兄ちゃんがへそ曲げちゃいました!?」
「それとこれとは話は別だぞ! タク!」
結局特産の桜饅頭などのお菓子をお土産に買い、帰った俺たちはリリーたちに扇子を上げると遊んでいる。その間に俺は緋緋色金の話をクロウさんにすると鉄心さんが俺が持っていた軍扇を見つけた。
「それ、どうしたんだい? タクト君」
「桜花で偶然見つけた扇屋さんに売られていたものです。これで俺も将軍です。ふぁっふぁっふぁ」
「いやいや。タクトは既に将軍より位が上だと思うぞ?」
「…しかも笑い方が似合ってない」
カイと雫ちゃんからツッコミを受けた。俺もそう思っているよ!でも、やってみたかったんだ!折角軍扇買ったんだからさ!
「はは。いや、子供たちが済まない。悪いがそのお店、教えてくれないかい?」
「構いませんが鉄心さんも買うんですか?」
「これでも職種が将軍だからね」
なるほど。そうでしたね。ということで鉄心さんにお店を教えて、俺はログアウトした。




