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#639 アジ・ダハーカの化身

朝、朝食を食べて、ログインするとブランが飛びついて来た。


「主、回復しました! 早く新しい盾を試しに!」


「はいはい。それよりも先にご飯な。昨日のシチューを出すから」


「はい!」


盾を部屋に置いておいたのはミスだったかな?ブランのテンションが異常なほど高い。俺はシチューを食べながら、アジ・ダハーカの現状をブリュンヒルデさんたちから聞く。


「現在も動きを止めているらしいです」


「技の反動というのが現在の見方だが、不気味ではある」


「それでも動かないのはありがたいんですよね?」


「あぁ…俺は今日、例の切り札の最終調整で戦闘には参加できません。聖剣グラムはそのままお貸ししますので、みんなをお願いします」


シグルドさんは頷いてくれた。俺たちに残されたのはトレントの砦とトレントの森に即興で作った壁しかない。そこを超えたら、ヴェルドーレ村に被害が出てしまう。ここで止めないとな。


幸い昨日の夜に一部の人たちに決闘イベントの素材で作られた武器が完成したらしいので、部隊全体ではかなり強くなっているはずだ。みんなの士気も高い。任せて大丈夫だろう。


俺は島でブランの新しいパッラースの盾のテストをする。


「主…この盾凄いです。こんなに重たそうなのに全く重さを感じません。それに槍の重さまで感じなくなりました」


これはやばい強化なんじゃないか?そして他の能力も確認する。まず絶対防御は斬撃や魔法でも一度だけ確実に防御するスキルのようだ。グランアルヴリングの攻撃を完璧にガードしたからその能力は本物だろう。


次は堅固。これは堅牢の上位スキル。各種攻撃の威力を半減させ、衝撃吸収などの効果も確認した。斬りかかってわかったが、この盾を破壊できる気がしないほど硬かった。透過ですり抜けようとするが英雄障壁に阻まれて終わり。


現状俺はこの盾とまともに戦って勝てる気が全くしない。まともに戦わなければ攻略は出来ると思うけどね。落とし穴に落として水で溺れさすとか。しかしこの盾の真価は防御だけじゃないことだ。


「はぁああ!」


ブランが槍を投げ、地面に突き刺さるとちょっとしたクレーターが出来ていた。今までこんなのは見たことがない。恐ろしい盾を作ったものだ。


すると通信が来た。サバ缶さんからだ。


『タクトです』


『大変です! アジ・ダハーカが無数の新たな敵を召喚したそうです! 召喚したのはダークドラゴンとザッハークとのこと! トレントの森の防衛ラインと砦で現在交戦中。先程通信は遮断されました。援護に来れませんか?』


何!?ここで新たな敵の召喚と通信妨害をしてくるかよ!


「イクス、最終調整は俺無しで大丈夫か?」


「はい。しかし私はここから動けません」


「わかった。バトルシップの最終調整を頼む」


「イエス。マスター」


俺はホームに戻り、リリー、イオン、セチア、恋火、ブランを連れて砦に転移する。


そこは既に大混戦状態だった。俺に漆黒のドラゴンが迫るとブランがパッラースの盾で受け止めるとそのまま盾で殴りつけ、吹っ飛ばした。そして投擲した槍に貫かれて死んだ。


作って良かった。それにしてもこいつらは倒せるんだな。これならイクスがいなくても大丈夫だ。俺は周囲を確認する。ここにいるのはダークドラゴンだけだな。大物はしっかり本隊が止めているんだろう。ならまずはここの安全確保だな。


「全員で空の敵を減らすぞ!」


『うん(はい)!』


「リリー、魔法は使えると思うか?」


「え? えーっとね…たぶん大丈夫だと思う!」


たぶんかよ。一応魔法対策もしないとな。


「セチア、俺が集める。魔法の集中攻撃で一気に仕留めるぞ」


「お任せを!」


リリーたちは一人ずつではきつそうだ。流石はジークと同じレベルのドラゴンか…俺はリリーとイオン、恋火とブランでコンビを組ませるとダークドラゴン相手に安定した。


更に俺がマグネットサークルで集めたところに俺のデトネーションとセチアのエクスプロージョンが炸裂し、一気に仕留める。魔法が操られる気配は今のところなしか。これならいける。


俺たちが分かれて迎撃しているとサバ缶さんが来た。


「すみません。完全な不意打ちでメルさんたち、本隊が抜かれてしまったらしいです」


「無事なんですか?」


「現在たくさんのザッハークと戦闘中とのことです。ザッハークはアジ・ダハーカほどの化物ではないようでシグルドさんたちもいますから持ちこたえている状況だと思います」


するとリリーが警告をする。


「タクト! 森にいるみんなを下がらせて! アジ・ダハーカに狙われている!」


「サバ缶さん!」


「通信不能ですがノストラさんがいますから大丈夫のはずです!」


次の瞬間、アジ・ダハーカからドラゴンブレスが放たれた。すると通信が来る。


『こちら本隊。回避成功』


どうやらシンクホールで回避したらしい。レッカたちの咄嗟の判断は流石だな。それにこの通信妨害。アジ・ダハーカが攻撃していると消えるんだな。


『タクトだ。今、砦にいる。状況はどうだ?』


『ごめん。大苦戦中。ザッハークは倒せるんだけど、かなりの人数をかけないとダメな感じでしかも混戦状態』


『全員落とし穴から逃げて! 閉じられるわ!』


『ごめん! 緊急事態!』


みたいだな。俺はレギオン召喚で全員を呼び出すとダーレーにユウェルと騎乗する。


「セチア、リアン、和狐、コノハ、チェス、黒鉄、アラネア、ぷよ助、ロコモコ、エアリー、ルーナ、ミール、月輝夜、サフィ、蒼穹はここの守りを頼む。敵が全滅出来たら、リアン、和狐、コノハ、チェス、月輝夜、サフィ、蒼穹は前に出ていい。他は俺と共に本隊と合流する! 敵は強い。複数で組んで倒すようにな」


『うん(はい)!』


ここで重要なことを話す。


「アジ・ダハーカが召喚したこいつらは倒せる敵だ。つまりボコボコにすることが出来る」


グレイたちの目が光る。アジ・ダハーカに攻撃が効かず、ストレスが溜まっているのは誰でも同じだ。


「全員手加減無用で暴れていい。アジ・ダハーカにみんなの強さを教えてやろう」


『おぉ!』


「行くぞ!」


俺たちは砦を飛び出すとダークドラゴンたちが来るがグレイたちが撃退してくれる。俺の指示をしっかり守って、ボコボコにしている。上空でも一体ずつ確実に落としている。


すると結界を張って、守っている狐のセリアンビーストたちがいた。結界には中央の首がドラゴン、左右が蛇の三つ首のドラゴンが攻撃を加えていた。


ザッハーク?

? ? ?


あれがザッハークか…俺の記憶が正しければ両肩に蛇を生やした人間の王だったはずだが…このゲームでは人間ではなくドラゴンなんだな。葛葉ちゃんたちが戦っているが苦戦しているみたいだ。


俺たちは結界の壁を飛び越え、ダーレーがザッハークを踏みつけると放電を浴びせ、飛び降りると衝撃波でザッハークたちの動きを止める。そこにグレイたちが襲いかかった。


するとザッハークの目が光ると俺に魔眼が発動する。そんなもので今の俺とダーレーが止まると思うな!連携が発動し、グランアルヴリングでぶった斬るとザッハークが燃え上がる。しかし生きていた。


「竜技! ドラゴンクロー!」


「水連刃!」


「モーニングスター!」


ドラゴニュート三人の追撃で沈黙する。三人でタッチしているがそんな余裕がある状態じゃない。次々、ザッハークが来る。予想以上に多いぞ。


「皆さん!?」


「緊急事態につき、救援に来た。一度結界を解除してくれませんか?」


「わ、わかりました!」


「全員、引け!」


結界が消えると同時に葛葉たちは引き、ザッハークたちが突撃しようとする。


『ディアン、ストラ! 全部ブレスで薙ぎ払え!』


後方から来たディアンと空からストラが連続ブレスでザッハークたちは後方にぶっ飛ばされる。


「ディアンは毒沼をここに設置してくれ。皆さんは毒沼の外側に結界をお願いします」


「わかりました」


「グレイ、虎徹、ゲイル、白夜、優牙、狐子、伊雪、ハーベラスはディアンと共にここで敵を迎え撃ってくれ。葛葉ちゃんたちも頼む」


「任せてください!」


俺たちは奥に進むと次々ザッハークが来る。うざったいな。するとファリーダがストラから飛び降り、ザッハークを潰すと俺に言う。


「ここは私たちが受け持つわ。恋火、リビナ、セフォネ、ユウェル、ストラ、クリュス。手伝ってくれるかしら?」


リビナがザッハークを雷龍の鞭で縛るとセフォネが右の蛇、千影が左の蛇、恋火が中央の首を切断し、クリュスが身体を両断して倒す。


「はい! 行ってください! タクトお兄ちゃん!」


「タクトが帰って来るときには全滅させとくよ」


「ずっと寝ていたからな! こいつらで準備運動をさせてもらうのじゃ!」


「さっさと片付けて、合流するわ。行って。お父様」


俺は任せて、リリーたちと共にメルたちのところに向かう。そして本隊を見つけた。するとザッハークがミライを狙っていた。俺はグランアルヴリングを投げるとザッハークに突き刺さる。そしてダーレーがそのまま激突し、俺は刺さったグランアルヴリングを握り、ぶった斬るとダーレーが蹴り飛ばす。


リリーたちは苦戦している人たちのところに参加する。空からの突然の広範囲援護攻撃に驚くみんなだが、リリーたちの姿をみて、状況を理解する。


やはり新しい武器を使っている人たちは強いな。それでも複数人数をかけないといけないからサバ缶さんの報告通りザッハークは雑魚ではないな。


するとザッハークが俺たち目掛けて向かって来るとブランが空から槍を投擲し、突き刺さると蒼雷を落とし、更にヒクスが槍に放電するとザッハークが感電する。そこにノワの影針が殺到し、倒される。


「ミライ、どうなっている?」


「…敵がどんどん増えてきてる。たぶん、アジ・ダハーカが一定時間ごとに召喚しているんだと思う。それにこのザッハークたちがデバフが多くて苦戦している」


それでこんな状況になっているのか。俺は襲ってきたザッハークに空から錫杖が飛来するとザッハークの影に刺さり、動きを封じると影分身した千影がさらに鋼線で縛り上げ、空から別の千影がザッハークを鏡幻で斬りまくって倒す。


逆から別のザッハークが来るとグランアルヴリングの衝撃波でぶっ飛ばすとスピカが空中で天鎖で縛り、地面に叩きつけるとコーラルの羽投擲で倒される。本当に滅茶苦茶な状況だな。とにかくデバフの解除が優先か。


「コーラル! 和魂を使ってくれ! ブランは聖療を頼む」


「ピィイイ!」


「はい! 聖療!」


コーラルの持つ宝玉が輝くと全員のデバフが解除される。更に生命力も回復し、それを認識したみんなは一気に動きが良くなる。かなりのデバフを受けていたみたいだ。


俺は周囲を確認すると防衛ラインの壁は既に崩されている。こんな状況じゃ防衛なんて出来ないな。体制を整えないと。すると上空に魔方陣が展開される。アジ・ダハーカか!


『来たか! 異星の機械人形の召喚師!』


魔方陣が輝くとブランが俺を守るようにパッラースの盾を構える。


「絶対防御!」


魔法を浴びるが俺たちに七色の光の膜が魔法攻撃を全て防いだ。俺は指示を出す。


『本隊全員、砦まで一時引け! 狐のセリアンビーストたちの防衛ラインの先で恋火たちが戦闘している。そこで防衛ラインを作り直し、戦況を立て直す!』


『了解!』


俺はリリーたちと共に転移せずに逃げ出す。するとアジ・ダハーカは当然のように反応する。


『逃げるか!』


逃げるとも。ここで死んだら、島で頑張っているイクスまで消えてしまう。そうなると作戦に支障が出る。しかし敵の進行も防衛ラインの構築まで時間がかかる。ここで時間を稼がないといけない。


『今度は逃げられると思うな!』


『タクト! モンスターたちが全員こっちに来るよ!』


人気者は辛いね。だが、これは好都合だ。


『タクトです。敵の狙いが俺になりました。敵を誘導します。罠をお願い出来ますか?』


『了解よ。すぐに準備するわ! 場所を教えて頂戴』


『防衛ラインから右に移動中。攻撃で場所を知らせます!』


『機動力がある者はギルマスの援護に!』


みんなが動く中、俺たちへの攻撃は止まらない。魔方陣が展開され、無数の光線が飛んでくる。


「俺から離れろ! 大丈夫だ! 英雄障壁!」


「ダメ! タクト!」


リリーの叫びに咄嗟にグランアルヴリングでガードしようとするが魔法は英雄障壁をすり抜け、俺とダーレーは倒れる。しかし起き上がる。


あっぶな。クリームシチュー食べてなかったら、今ので終わってた。


すると今度はダーレーの動きが止まる。いや、引っ張られている。これは引力!?やばい!


「もうやらせない! ドラゴンブレス!」


リリーがドラゴンブレスを使ったことで引力は一時的にだが、解除された。


『タクト! 竜化を使わせて!』


『ここは私たちに任せてください!』


『…ん。にぃの命はノワたちが守る』


『私もやるぞ!』


リリーたちは俺より自分たちの役割を理解しているな。


『頼む!』


『『『『竜化!』』』』


空に竜化したリリー、イオン、ノワが現れ、地上では竜化したユウェルが周囲のザッハークを尻尾で薙ぎ払い咆哮を上げる。


『ふん。貴様らでは束になっても勝てぬと証明したはずだが?』


『それでもリリーたちは今、しないといけない事ぐらいわかるよ!』


『負けると分かっていても戦わないといけない時があることを知っています!』


それは俺が教えてきたことだ。


『…にぃだけは手出しさせない』


『わたしたちの全力! 受けとってもらうぞ!』


『ふん。聞く耳持たんか…しかし貴様らの相手をする必要は我らにはない』


俺に無数の魔方陣が展開される。


「聖剣技! シュトルムヴァータン!」


聖剣グラムの風が全ての魔方陣を吹き飛ばした。そして立ちはだかるように俺の背後にシグルドさんが着地した。


「彼はやらせん! 迷わず走れ!」


「はい!」


更に飛行部隊が陣形を整え、俺に集まっていたダークドラゴンやザッハークたちを攻撃する。


ダークドラゴンたちのブレスが俺に命中しようとした時、俺とダーレーの姿が幻となる。これはリビナの夢幻泡影か!すると別れた恋火たちがダークドラゴンたちを蹴散らし、俺を守るように現れる。


「お待たせ! 大丈夫だった? タクト」


「全く…一人で敵を引き付けるなんて無茶するわね」


「ほんまどす。タクトはんにはやらないといけないことがあるはずどす。ここはうちらに任せて、砦に向かってください」


「…あぁ。ここは任せる」


俺が逃げ出すと、アジ・ダハーカが魔方陣を展開してくる。


「魔法侵食なのじゃ!」


セフォネの魔法侵食を受けて、魔方陣が輝きを失い、消滅する。


『ヴァンパイアまで契約していたか…』


「妾がいる以上、タクトには手出しさせないのじゃ。ブラン、タクトを頼むぞ」


「はい!」


ブランが俺の守りに入り、リリーたちが怒りのドラゴンブレスを浴びせるとアジ・ダハーカをリリーたちを見る。


『ふん。どいつもこいつも。いいだろう! 何度でも絶望を教えてやる!』


アジ・ダハーカが戦闘態勢となり、恋火たちも切り札を切る。更には狐のセリアンビーストたちまで獣化する。トレントの森、最大の戦いが始まろうとしていた。

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異世界転生した鼠小僧は義賊になる
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