#623 桜武器と氷竜偃月刀
翌日、朝食を食べてからログインするとシャローさんたちからお昼に船旅のお誘いのメールが来ていた。俺は了解し、お昼の予定が決まると朝はみんなで生産をしていた。俺が料理の下準備をしているとリリーが言ってくる。
「タクト~、暇だよ~」
「仕方ないな。ほら」
俺はリリーの頭にセントラルで買ったボールを乗っける。
「それを一時間スキルやアイテムを使わず、頭に乗っけていたらデザートにバニラアイスをつけてやるよ」
「本当!? 頑張る! お…おぉ…おぉ~~…あぁ~~!? 落ちちゃった…」
四つん這いになって落ち込むリリー。そこまでショックを受けるか…話を聞きつけてみんなするが挑戦するが中々成功しない。賢い和狐などは耳や尻尾を使って、固定しようとしたが、一時間持たず、脱落。
「こんなの無理だよ! タクト!」
「やってみせてください! タクトさん!」
「いいぞ。だが成功したら、どうする?」
頭を撫でさせてあげるなどのリリーたちにとってご褒美になるであろう要求をされた。本当にこういうのが上手くなったもんだ。その後、俺はボールを全く動かすことなくクリアした。
『うそ…』
「それじゃあ、約束だな。いつもより強引にするから覚悟しろよ」
『え…』
全員が顔を真っ赤にして伸びた。そんなことをしていたが色々な武器が出来上がってきた。まず持ってきたのがセチアだ。
トリカブトの毒矢:レア度8 矢 品質B+
重さ:30 耐久値:60 攻撃:50
効果:神魔毒、毒ダメージアップ(極)、飛距離アップ(極)
イチイの矢にトリカブトを塗った矢。強力なトリカブトの毒をイチイの木の効果で更に増幅した矢で更に通常の矢より飛距離が出る暗殺向きの矢。
エルフが使っていたものだ。何も言うまい。
桜の弓:レア度9 弓 品質A
重さ:50 耐久値:200 攻撃:100
効果:一回のみダメージ無効、状態異常無効、浄化
桜の木から作られた弓。攻撃というより持ち主を守ることに特化した弓で一度のみ持ち主を危機から救うとされている。あらゆる状態異常を治し、不浄を清める力もある。桜の香りも相まって東の国では非常に人気がある弓。
桜の杖:レア度9 杖 品質A
重さ:50 耐久値:200 攻撃力:50
効果:一回のみダメージ無効、状態異常無効、神聖魔法威力アップ(究)、豊穣、浄化
桜の木から作られた杖。持ち主を守ることに特化した杖で一度のみ持ち主を危機から救うとされている。あらゆる状態異常を治し、不浄を清める力もあり、農作物を成長させる効果もある。桜の香りも相まって東の国では非常に人気がある杖。
桜の杖は俺が貰うことになった。どうしようもない時の保険だそうだ。心配をかけているな。
俺はそこである提案をする。俺がチェスのクエストでどうしても気になっているアルテミスと思われる人が持っていた弓だ。これは恐らくミスリルだった。
「私にミスリルの弓をですか?」
「あぁ。桜の弓を見てから言うのはなんだが、軽くて丈夫な金属だから普通に武器のガードもできるだろう。どんな性能になるか分からないが、使ってみないか?」
「はい! ですが普通の弓では勿体無いので、魔法弓にしたいです!」
それはそうだな。しかしそうなると少し様子見をしたほうがいいものが出来そうだ。
すると和狐とアラネア、ユウェルが入ってきた。
和狐とアラネアが持ってきたのはリリーたちの金羊毛を使った服だ。能力は金羊毛のローブとほぼ同じ。どうやらリリーたちにペアルックがどうので揉めていたから作ったらしい。
「それにしては速いな…これだけの量は大変だっただろう?」
「実は余った時間でアラネアはんと少しずつ使っていたんどす。ただ一人ずつ渡すと揉めそうでまとめて作ってから渡すことにしたんどす」
現に揉めていたから、反論の余地がないな。
「そうだったのか…ありがとな。和狐、アラネア」
「ロコモコはんにもご褒美をあげったってください」
そこは当然だな。ロコモコには俺がこっそり作ったチョコミントアイスをあげよう。そしてユウェルは俺に相談をしに来たようだ。
「師匠からミスリルの武器を作っていいと言われたぞ。タク!」
へーパイストスのお墨付きを貰えたなら安心して注文しよう。
「ならイオンの鎧を頼めるか? ドラゴンメタルも一緒に使って」
「わかった! 任せろ!」
そう言うとユウェルは部屋を急いで出て行った。暫くするとプールからイオンの悲鳴が聞こえてきた。
「きゃあああああ!? い、いきなり何をするんですか!」
「イオンの体を測るようにタクに言われたから測ってるだけだぞ?」
「え、えぇえええええ!?」
俺は急いでプールに行き、イオンの誤解を解いた。その言い方だと俺がイオンの体を調べあげようとした変態のように聞こえるだろうが!
「イオンは胸囲がないな」
「…」
「タク。なぜイオンは頭をグリグリしてくるんだ?」
それは禁句だからだよ。俺はそう心で言いながら、その場から退避する。とばっちりはごめんである。
更にログアウト直前にクロウさんが来た。持っているのは立派な偃月刀。そしてへーパイストスの鍛冶場で最後の仕上げをする。
吹雪竜石を取り出し、ブリザードドラゴンに話しかける。
「俺たちに力を貸してくれ。ブリザードドラゴン」
『私に勝利したあなたたちの力となれるなら喜んで力となりましょう。死を与える我が吹雪の力、存分に使用するといいでしょう』
偃月刀にブリザードドラゴンの魂が宿った。これでよし。
「へぇ。その武器はそうやって作っていたんだな」
あ、見られた。まぁ、いいや。欲しい人はあの地獄のクエストに匹敵するであろうクエストを頑張ってくれ。滅茶苦茶苦労すると俺は断言しよう。
さて、鑑定する。
氷竜偃月刀:レア度10 偃月刀 レア度S
重さ:150 耐久値:800 攻撃力:600
効果:万物切断、英雄障壁、魔力切断、人特攻(究)、破魔、氷竜解放
棒の先が大刀となっている武器。アダマンタイトで作られており、ブリザードドラゴンの魂が宿っている。刃にはアダマンタイトと真砂鉄、スモーキークォーツの合金が使用されており、人や武器、魔の存在に対して恐ろしいほどの斬れ味を誇っている。
俺の迅雷と比べても遜色ない性能の武器だな。クリュスに持たせると何度か感触を試すと言う。
「凄い使いやすいわ。その…ありがとう」
「お…おう。いいってことよ。俺も仕事しただけだからな! それじゃあ、俺は次の仕事に戻るわ」
クリュスの不意打ちはクロウさんに効果抜群だったらしい。慌てて帰ったが、これは予想通りイベント上位者からの依頼が殺到して大変だからだ。それでもウキウキしているのはクロウさんが鍛冶師だからだろうな。
後でルインさんに聞いた話だが、ヴェインリーフの劣悪な環境から解放されたのも影響しているらしい。ヴェインリーフ…どれだけやばい国だったんだろう。今は忙しいから聞けないが時間がある時に聞きたいものだ。
俺はブラン用の盾を作っているへーパイストスに話しかける。
「調子はどうだ?」
「絶好調ですよ。ただこの盾の完成はもう少し時間がかかりそうです」
「何か問題でもあったのか?」
「パッラースの皮が予想外に固くて、盾に貼り付けるのに苦労しそうなんです。今、和狐さんたちに対処して貰ってますが、結構大変だろうなぁ」
そう言いつつも楽しそうなへーパイストスである。苦労をするということはそれだけの武器が誕生するということだ。楽しみにしつつ、俺はログアウトした。
名前 セチア ホーリーエルフLv11
生命力 146
魔力 320
筋力 130
防御力 93
俊敏性 122
器用値 282
スキル
杖Lv24 魔法弓Lv42 鷹の目Lv34 射撃Lv33 木工Lv29→Lv30
採取Lv38 調薬Lv20 刻印Lv16 宝石魔術Lv12 宝石細工Lv12
封印魔術Lv10 連続詠唱Lv21 同時詠唱Lv21 魔力操作Lv12 風魔法Lv22
炎魔法Lv1 海魔法Lv1 土魔法Lv23 闇魔法Lv15 神聖魔法Lv11
雷魔法Lv22 爆魔法Lv21 木魔法Lv27 氷魔法Lv19 樹魔法Lv27
罠設置Lv5 魔法阻害Lv1 阻害無効Lv1 森林操作Lv10 ホーリーエルフの知識Lv31
精霊召喚Lv9 精霊結界Lv11 精霊魔法Lv3 列石結界Lv5 使役Lv12→Lv14
料理Lv25
名前 和狐 ハーミットビーストLv10
生命力 168
魔力 292
筋力 137
防御力 106
俊敏性 220
器用値 223
スキル
扇Lv14 神楽Lv17 投擲操作Lv10 黒炎Lv22 聖火Lv25
火炎操作Lv8 天耳通Lv24 他心通Lv14 神足通Lv14 危険察知Lv26
封印魔術Lv20 幻影Lv16 炎魔法Lv11 神聖魔法Lv13 神道魔術Lv34
妖術Lv17 霊符Lv10 式神Lv5 護符Lv6 仙気Lv13
仙術Lv11 飯綱Lv15 金縛Lv2 鬼火Lv3 裁縫Lv30→Lv32
革細工Lv24 料理Lv27 血醒Lv7 ハーミットブレスLv10 狐技Lv14
神降ろしLv2 獣化Lv6
名前 アラネア 女郎蜘蛛Lv9
生命力 96
魔力 134
筋力 122
防御力 65
俊敏性 77
器用値 198
スキル
吸血Lv10 格闘Lv6 粘着糸Lv32 柔糸Lv22 鋼線Lv44
操り糸Lv15 裁縫Lv21→Lv24 隠密Lv14 罠設置Lv32 糸察知Lv15
猛毒ブレスLv15 土潜伏Lv22 投擲Lv7 土魔法Lv15 暗黒魔法Lv11
呪滅Lv5 魅了Lv7 使役Lv10 妖気Lv15 妖術Lv17
覚醒Lv2




