#329 リリーの魔法大剣
翌日、学校終わりにスーパーで食材を買い込む。そして、ゲームにログインする。
ギガースは夜に攻略することにした。ギガースは夜目があるらしいがジャイアントがないため、夜の攻略が有利らしい。
俺の狙いは別にあるんだけどね。とりあえず畑と生産をしようとするとヘーパイストスとセチアがいた。まさか！
「お待たせしました。リリーさんの武器が完成しました！」
「凄い武器ですよ」
だろうね。リリーを連れてヘーパイストスの鍛治場に向かう。
そしてヘーパイストスの鍛治場に刀身が星のように輝く一本の大剣が置かれていた。
「綺麗…あ、タクト！ 名前付けて！」
来たな。考えてありますとも！
「エストオラシオンなんてどうかな？」
「どういう意味？」
エストは星を意味するエストレリャから。オラシオンは祈り。つまりーー
「星の祈りって意味かな。リリーの願いが叶うように名付けて見たんだが、どうだ？」
「エスト…オラシオン…うん！ いい名前をありがとう！ タクト！」
抱きついてくるリリーを受け止めて、名前をつける。するとより一層輝きが増した。鑑定してみる。
エストオラシオン:レア度9 魔法大剣 品質A
重さ：150 耐久値：150 攻撃力：150
魔法剣効果:星の加護、詠唱破棄、星光
宝玉効果:集束、魔法再時間短縮(大)、宝玉解放
刻印効果:俊敏値アップ（大）
オパールの宝玉を組み込んだ星の力を内包した魔法大剣。武器としては最高クラスに引けを取らない性能を有している。強大な武器なので使い手を選ぶ。
はい。余裕でぶっ壊れ性能だ。俺のスカーレットリングが可愛く見えるレベルだろう。攻撃力150ってスカーレットリングのおよそ四倍の攻撃力ってことになる。まぁ、大剣だから攻撃力の差は出るのは当たり前なんだけどさ。それにしても酷い差だ。
謎の星の加護や集束効果は後にして、何げに酷いのが俊敏値アップだ。セチアはリリーの弱点をよくわかっているな。この武器なら筋力をあげるより、俊敏値をあげたほうがリリーにとってはいいだろう。
リリーが手に持つとエストオラシオンは輝く。まるでエストオラシオンがリリーを持ち主と認めたようだ。
「わぁ…よろしくね！ エストオラシオン！」
それからリリーはずっとエストオラシオンに頬ずりをしている。余程気に入ったようだが、ちょっと心配になる。
「次はブランさんの盾を作りますね！ 感覚は掴みましたから三日で作れそうです！」
「じゃあ、それまでにイオンの武器素材を集めないとな」
「タクト！ 雪山に行こう！ エストオラシオンを使ってみたい！」
やれやれだ。まぁ、確かにエストオラシオンで雪山の敵にどこまで対抗出来るのか知りたくはあるな。イオンの素材も必要だし、挑戦してみるか。だが、その前に畑仕事と生産をしてから急遽雪山に向かうことになった。
メンバーはリリー、イオン、セチア、コノハ、優牙だ。防具はハピネスシープの服にして、バフを掛けて、準備完了。
「第一目的はイオンの武器素材だ。敵が出てきたら、リリーに任せる」
「まっかせて！」
「大丈夫でしょうか…不安です」
まぁ、イオンの気持ちはわかる。リリーがこういうときは大抵ダメな時だ。だが、今はエストオラシオンがあるからな。信じてみよう。
雪山に突入する。アイスドラゴンはいない。採掘ポイントを目指してダッシュする。まずは一つ見つけた。鑑定している時間はない。次だ！
「タクト様！ 珍しい草が！」
セチアー！あ、もう向かっている。イオンの素材が第一目標って言ったよな！？って何か足が冷たいな…あ、生命力が減って来ている！？靴が防寒じゃないからか？あーもう！
「急いで採取してくれ！」
「はい！」
急がないと敵に見付かる！すると優牙が上を見て、唸る。アイスドラゴンか！？いや、サイズが小さい。識別する。
アイスワイバーン？
？ ？ ？
アイスドラゴンじゃなくてありがとう！ってそんなこと言っていられる敵じゃない！
アイスワイバーンが息を吸い込む。ヤバい！
「任せて！ タクト！ 星光！」
リリーがエストオラシオンを構えると吹雪の中、辺りをまばゆい光で包み込まれる。
「集束!」
そして光がエストオラシオンに集まり、エストオラシオンが七色の輝きを放つ。そしてリリーがエストオラシオンを振りかぶる。
「光波動！」
アイスワイバーンの氷結ブレスとリリーの七色の光波動がぶつかりあう。
「いっけぇえええ！！」
リリーがそういうとリリーの光波動が押し勝つ。マジか…しかしアイスワイバーンは翼で防御する。
翼が破壊され、大爆発し、地面に落下するアイスワイバーン。よし！仕留められる！
「リリー！」
ドサッ
リリーが倒れる。え？
「どうした！？ リリー」
「力が…入らないよぉ…タクト～」
どういうことだ！？するとセチアが説明してくれた。
「どうやらリリーお姉様でもエストオラシオンは使いこなせないみたいですね」
そういえば説明で使い手を選ぶとか書かれていたな。つまり実力不足で使用してこうなったわけか…
「あの～…タクトさん…あれ」
ん？どれ？イオンに言われて見るとアイスワイバーンが赤雷をほとぼらせながら、目を真っ赤にしていた。大変お怒りのようだ。
更に叫ぶと青かった体が真っ赤になり、翼も再生された。そして生命力が全回復する。
『ご、ごめんなさい』
全員で謝るが当然許される筈もなく。襲い掛かってくる。間に合え！
「リターン！」
俺たちは帰ってきた。すると腹部に激痛を感じた。あまりの痛さに倒れこむ。
「タクトさん！？」
「タクト様！？ 傷が！」
ギリギリだと思ったがどうやら魔法が発動したときに攻撃を受けたみたいだ。
生命力を見るとレッドゾーン。ハピネスシープのローブも損傷してしまった。
わたわたするイオンとセチアを落ち着かせ、ひとまず温泉で傷を癒すことにした。
みんなで温泉を楽しみながらリリーの状況を確認する。魔力がなくなり、生命力も半分減っている。更に満腹度もゼロになり、謎の状況異常になっている。しかも温泉の効果で回復しなかった。
「タクト～お腹減った～」
リープリングに戻り、料理を作るが自力では食べられないリリーは口をあける。
「あ～ん」
食べさせろと言うことだな。やれやれだ。俺がお肉を上げようとするより速く、イオンがリリーの口にお肉を突っ込む。
「むぐ！？」
「私がやってあげます。タクトさんがする必要はないはずです」
するとリリーが何やら暴れる。なんだ？
「い…痛いよ…イオンちゃん…」
痛い？どういうことだ？ダメージはないが…するとノワがリリーをつつく。
「…つんつん」
「い、痛い！ やめて！ ノワちゃん」
「…面白い」
「全然面白くないよ！」
どうやら筋肉痛みたいな感じだな。早めにネフィさんに聞きに行く。
「それは反動ですね…不相応の力を使用した後になる状態異常です。暴走の後や強すぎる強化の後になることがあります」
「治す方法などありますか？」
「残念ながらありません。自然と治るのを待つしかありませんね」
あちゃー、ダメか。
「というわけでリリーは夜の戦闘はお留守番だな」
「そんな～」
リリーの情けない声がリープリングに響いた。今回はこんなことになったがあのアイスワイバーンをエストオラシオンは倒すだけの力があることがわかったことはプラスだろう。
それと採掘と採取の結果がこちらだ。
魔氷塊:レア度7 素材 品質C
強力な氷の魔力が塊となった石。武器の素材に使われる。魔力を使う武器と相性が非常にいい。
アロエ:レア度5 素材 品質C-
やけどの治療に使われる薬草。料理に使うことも出来る。
ツワブキ:レア度5 素材 品質C
やけどや打撲の治療に使われる薬草。
魔氷塊ならサファイアの相性は大丈夫だとヘーパイストスが言っていた。後は数を揃えられるかどうかだな。
アロエとツワブキは薬草で有名だな。アロエは普通に食べても美味しいよな。これはセチアにあげた。
とりあえず和狐には俺のハピネスシープのローブの修復とハピネスシープの靴の作製を全員分、注文した。これで雪山は大丈夫なはずだ。
リリーはベッドでダウンしてしまったが、エストオラシオンのぶっ壊れ具合とイエローオッサの雪山の強さを再認識して、ログアウトした。
名前 タクト 情愛の召喚師Lv9
生命力 76
魔力 202
筋力 60
防御力 40
俊敏性 60
器用値 120
スキル
格闘Lv12 蹴り技Lv18 杖Lv27 片手剣Lv30 槍Lv18 刀Lv14
投擲Lv8 高速詠唱Lv36 召喚魔術Lv34 封印魔術Lv20 騎手Lv31
錬金Lv20 採掘Lv27→Lv28 伐採Lv33 解体Lv39 鑑定Lv29 識別Lv34
疾魔法Lv1 炎魔法Lv3 地魔法Lv2 海魔法Lv3 暗黒魔法Lv1
神聖魔法Lv10 雷魔法Lv31 爆魔法Lv28 木魔法Lv26 氷魔法Lv29
時空魔法Lv40 獣魔魔法Lv2 遅延魔法Lv2 連続詠唱Lv3 水中行動Lv11
読書Lv14 料理Lv37 餌付けLv8 釣りLv18 シンクロLv16 連携Lv6
名前 セチア ハイエルフLv19
生命力 57
魔力 170
筋力 52
防御力 36
俊敏性 44
器用値 170
スキル
杖Lv16 魔法弓Lv24 鷹の目Lv15 射撃Lv15→Lv16 木工Lv17
採取Lv31→Lv32 調薬Lv12 刻印Lv8→Lv10 宝石魔術Lv3→Lv4 宝石細工Lv3→Lv4
風魔法Lv8 火魔法Lv19 水魔法Lv24 土魔法Lv15 闇魔法Lv5
神聖魔法Lv7 雷魔法Lv5 爆魔法Lv7 木魔法Lv17 氷魔法Lv8
樹魔法Lv14 ハイエルフの知識Lv24 精霊召喚Lv7 料理Lv18
リリーの魔法大剣、解禁回でした。最強クラスの武器なので今のリリーでは扱えない武器となっております。
