#244 フリーティア城の戦いとネビロス登場
火計が成功しているとき、フリーティアのシルフィ姫様の部屋を訪れ、作戦成功を知らせるものがいた。
「シルフィ姫様! 作戦は成功したそうですぞ!」
彼はフリーティアの子爵だった。
「ん? シルフィ姫様? 寝ておられるのですか?」
「…ん」
シルフィ姫様が寝がえりを打つ。
「やれやれ。まだまだ子供ですな…そんな有り様だからあなたは死ぬんですよ!」
大臣の姿が豹になり、シルフィ姫様に襲いかかった。
しかしその豹の動きが空中で止まる。
「な!? これは!?」
シルフィ姫様の姿がノワになる。
「…影縛り」
「お前はあの召喚師の!」
「えぇ。タクト様のドラゴニュートです」
「っ!?」
壁からシルフィ姫様を始め、王族一同とガルー率いる近衛騎士団が現れる。魔法使いたちが豹の悪魔を厳重な結界で捕縛する。
グラン国王様が話す。
「まさかお前が悪魔だったとは…オセラ」
「罠だと!? 馬鹿な…貴様、いつの間に忍び込んだ!」
ノワに聞いた言葉だが、リーゼが自慢げに言う。
「妾の影に潜って貰っておったのじゃ。妾ならお主は警戒しないであろう?」
「ぐ…何故だ…私の変身は完璧なはずだ!」
シルフィ姫様が話す。
「確かに私たちはあなたの正体はわかりませんでした。しかし私を襲った悪魔はお城にいるならこの機会に動く可能性がある。だそうですよ?」
「ま、待て! 私じゃない! 私は手引きしただけだ! この様にな!」
だが、何も反応しない。
「あ、あれ?」
「あなたの部屋の召喚魔法陣なら壊させて貰いました。証拠も抑えましたよ」
ブラスが部下を連れて部屋に入ってくる。
「ブラス!? お、おのれ! 何故だ! 何故お前たちがいるのだ!」
「忍者って知ってるか? くそ悪魔。化けるのがお前だけの専売特許だと思ったら、大間違いだ」
タクトは火影たちには頼み、変化の術でガルーたちに変化して貰ったのだ。これにより、オセラはお城の守りが手薄になったと考え、まんまと罠に引っかかった。
サラ姫様が剣を抜く。
「ま、待て! 私を殺したら、情報を聞き出せんぞ! それに」
豹の悪魔は笑う。
「貴様らは我ら悪魔を甘く見すぎだ」
そういうとフリーティアにドラウグルビーストが二体召喚される。
やはりそう来るよな…こうなったら切り札を切るしかない!
「セチア! 中級精霊召喚だ! ミール、ルーナ! やるぞ!」
「「「はい!」」」
セチアが詠唱に入るとみるみる魔力が減っていく。ミールとルーナが譲渡で魔力を渡すが減りが止まらない。
「エントラスト!」
俺の魔力がセチアに流れ、無くなる。ぐ…久々だな…この感じ。しかし準備が整った。
「中級精霊召喚!」
セチアが中級精霊召喚をすると姿が小さく。やはり小さくなるのか…
そしてフリーティアの空に巨大な光の魔方陣が出現する。そしてその中から現れたのは輝く巨大な戦乙女だった。
『私は光の中級精霊。私を呼んだのはあなたたちですね?』
「は、はい! お願いいたします! お力をお貸し下さい!」
『…なにゆえ私の力を求めますか?』
「この国を! ここに生きている命を! この自然を守りたいからです! ですからお願いいたします!」
セチアの必死の願いに戦乙女は優しい笑顔を見せた。
『あなたの願い、しかと聞き遂げました。契約に従い、自然を汚しこの国を襲う敵を排除します』
フリーティア全土を使った超巨大魔方陣が描かれる。
『ヘブンサンクチュアリ!』
魔方陣が輝き、魔方陣の上にいる腐敗ゾンビが浄化されていく。ドラウグルビーストも例外じゃない。
俺は今こそ言おう…火計の意味無かった!まぁ、経験値が協力してくれた人たちに入るから良かったと思うとしよう。
『あなたの願い、叶えました。また呼ばれるのを楽しみにしています』
「は、はい! ありがとうございました!」
セチアがお礼を言うと光の中級精霊は消える。
国中から歓声が上がる。
「女神様だ! 女神様がご光臨して下さった!」
守護竜様やら女神様やら大変だな。この人たち…すると上空から拍手する音がした。
「いや~…やはり私の前に立ちはだかるのはあなたたちでしたか」
ネビロス!
「リリー!」
「うん!」
リリーが襲いかかるが遅かった。
「ふふ、私の相手はあなたですか? では他の人たちの敵は私が用意いたしましょう!」
ネビロスが指を鳴らすとフリーティア中に無数のデビルやデーモンが現れ、更に魔法陣からドラウグルビーストが六体、更に空から謎の侍の姿をした巨人が一体降ってくる。識別する。
ドラウグル?
? ? ?
多すぎだろ!ふざけんな!まずはあの巨人を止めないとどうしようもない!
「恋火! 獣化だ! ドラウグルを止めてくれ!」
「わかりました! 獣化!」
「みんなはドラウグルビーストだ。あいつらを城壁に近付けさせるな!」
恋火が獣化する。姿は和狐と同じだ。やっぱり姉妹だな。だがステータスはやはり違う。
名前 恋火 シュラインビースト(獣化)Lv7
生命力 76→101
魔力 89→109
筋力 89→114
防御力 48→73
俊敏性 100→125
器用値 72→97
スキル
刀Lv18 二刀流Lv1 風刃Lv4 炎魔法Lv11 邪炎Lv12 忌火Lv19
気配察知Lv19 危険予知Lv18 霊力Lv2 幻術Lv2 神道魔術Lv5
見切りLv4 俊足Lv6 妖術Lv2 血醒Lv6 料理Lv8 神降ろしLv1
ブレスLv1 狐技Lv1
そしてイオン、和狐、セチア、ミールを残し、みんなはそれぞれチームを組み、ドラウグルビーストに向かう。
俺は今回、みんなには時間稼ぎを頼んでいる。威圧などの足止めスキルや速さを活かしたヒットアンドウェイ戦法を頼んだ。俺の魔力が回復したら、一気に切り札を切り、勝負を決めるためだ。
反対側では火竜となった花火ちゃんの姿があった。あれ?リリーたちより小さく感じるような…気のせいか?
とにかく俺は魔力を回復させるためにMPポーションを取り出し、飲みーー
グサッ
「ッ!?」
俺は右腕に激痛を感じ、目にはMPポーションを貫いた禍々しい剣が映った。
俺は咄嗟に体を回転させると壁にぶつかる。これは決闘フィールドか!?
俺が後ろを確認する。すると何もない空間から禍々しい剣が飛び出してる。あれでは気配や殺気も感じないわけだ。完全にしてやられた。
そしてその空間から赤い騎士の悪魔が現れる。
「ハッハー! やっと俺様の出番だぜ! 俺の名はゼパル! さぁ、お前らの絶望に満ちた声を俺に聞かせろ!」
ゼパル?
? ? ?
ソロモン72柱の悪魔。赤い騎士の地獄の大公爵が現れたのだった。